課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社グループは、「組織を超えた連携を実現するソフトウェアを開発し世界規模で提供する」ことを使命(ミッション)としています。そのために、当社自体が「『つなぐ』エキスパート」として社会的な価値を生み出し、社会に貢献することを目指しています。

 また、当社グループは「『売上収益』は当社が社会に生み出した価値、『利益』は当社が生み出した価値と消費した価値の差分」との考え方を基本に、社会的価値の提供を通じて企業価値の増大に努めてまいります。

 

(2)経営環境、戦略

 当社グループは、創業時より「世界で通用するソフトウェアを開発し提供する」ことを事業のミッションとして掲げています。世界で通用するソフトウェアとは、米Microsoft社や米Google社のソフトウェアなど世界の大半の国や地域で使われるソフトウェア(サービス含む)を指し、当社グループはかかるミッションの実現のためのソフトウェアの開発と販売を基本的な事業としています。当社グループは、顧客からの注文に基づく受託開発ではなく、独自の製品を自ら企画開発して提供する事業形態であるために、市場やニーズの変化に先行して製品化を行う必要があり、そのために将来有望な新規技術に関する研究開発が必要です。そして、このような研究開発には先行投資が必要となります。当社グループがこれから世界市場での展開をより具体化させていくにあたり、研究開発のスピードも競合他社と同等又はそれ以上のものが必要となるため、以下に記載の重点技術領域における、現行製品・サービスの次世代版、ブロックチェーン、AIなどに関連する研究開発を推進しております。

 

 当社グループは、これからの投資分野として4つの”D”「Data(データ)」、「Device(デバイス)」、「Decentralized(分散化)」及び「Design(デザイン)」の領域を対象とすることとしています。クラウドをベースとしたビジネス基盤が構築される現代において、当社がこの4つの”D”を加速させるソフトウェアを提供してまいります。

<「Data(データ)」データのみがIT資産になる>

  クラウドによって、ハードウェアもソフトウェアも企業のIT資産ではなくなり、データのみが企業のIT資産となります。そして、ビッグデータ技術や、機械学習/深層学習などのAI(人工知能)技術が進展します。当社では、これらの技術をつなぐことで、企業の価値向上に貢献してまいります。

<「Device(デバイス)」デバイスが不可欠なインフラになる>

  インターネットが始まって以来初めて、コンピュータよりIoTなどの周辺機器の接続数が増える時代になります。当社では、「Handbook」によりスマートデバイス※への対応だけでなく、「Platio」(プラティオ)や「Gravio」(グラヴィオ)でIoT機器をつなぐことで、新たなデバイスを活用するシステムの価値向上に貢献してまいります。

<「Decentralized(分散化)」分散して協調ができるようになる>

  クラウドの普及が進展し、非中央集権型のシステムが構築可能となります。ブロックチェーンやピア・ツー・ピアの技術を活用することで、これまでは不可能だった非中央集権型組織のサービスも構築と可能となり、当社でも当該サービスの提供を通じて未来型組織の実現に貢献してまいります。

<「Design(デザイン)」機能ファーストからデザインファーストへのシフトが起こる>

  企業向けソフトウェアにおいても、近い将来デザイン志向のソフトウェア開発が重要になる時代が訪れると確信しています。当社が買収したデザイン戦略コンサルティング企業のThis Place社とのシナジーを活かし、デザイン指向の次世代ソフトウェアの研究開発を行ってまいります。

 

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが重視している経営指標は、従業員一人当たり売上収益、売上総利益率および営業利益率です。それぞれの指標の今期の実績は以下のとおりです。当社グループの業績は、世界的な新型コロナウイルス感染 拡大の影響を受けながらも増収および上場来最高の利益(営業利益320.3%増、税引前利益288.5%増、当期利益 247.4%増)となりました。売上収益は、欧米(特に米国と英国)において、年間を通じて流行した新型コロナウイルスの影響を受け、デザイン事業が前期比で減収となったものの、「ASTERIA Warp」(アステリア ワープ)を主力製品とするソフトウェア事業が伸張したことが全体の売上収益を押し上げました。利益は、中期経営計画「STAR」に沿った人員の拡充やマーケティング施策を重点的に実施したことにより、ソフトウェア事業は販売費及び一般管理費が増加し、加えて子会社This Place Limitedに関するのれんの減損が発生したものの、企業投資事業による収益が大幅増益の要因となりました。

 

前期実績

当期実績

従業員一人当たり売上収益

21,680千円

22,482千円

売上総利益率

81.3%

84.0%

営業利益率

30.5%

116.1%

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の世界経済は、世界的なコロナ禍からの回復傾向が顕著にある一方で、世界的な安全保障上の課題が増大し、世界的なインフレーションを起こし始めていると同時に場合によっては世界経済に予測不可能な重大な影響を及ぼすことが懸念されています。このような世界情勢の影響を受け、当社グループにおいては、社員の安全を確保しつつ事業活動を継続するために、在宅テレワークをはじめとした各種施策を迅速に実施し、影響の最小化と新しい働き方モデルの構築に尽力しています。

 中長期的には、「ニューノーマル」と言われる新たな社会の常態においては「遠隔化」「自動化」を実現するためのクラウドサービスやツールの適用が必須となり、従来予測されていたよりも短期間に新技術の普及が進んでいきます。当社グループは以前より未来のニーズを先取りした製品開発を行ってきましたので、これからの大きな変化は中長期的には追い風であり、その風を業績に反映させるべく以下の課題に取り組んでいきます。

 

① コーポレート・ガバナンスの強化

 当社は創業時より一貫して社外取締役を2名以上選任し、また2015年6月以降は社外取締役を過半数の構成とし社外の目と知見による意思決定と執行の監督を実行しておりますまた東証が定めるコーポレートガバナンス・コードには全てComplyの状況としております今後も株主との対話や構成の多様性を重視した継続的なコーポレート・ガバナンスの維持・充実が必要であると認識しております

 

② 戦略的な投資と投資後の管理

当社は、新たな技術の獲得や将来的な投資先企業との協業により市場拡大を期しています。そのため、100%子会社の投資専門子会社ASTERIA Vision Fund Inc.(米国テキサス州)を通じて積極的な投資を実施し、当社の事業セグメントの1つを構成しています。投資先企業の財務状況や市場環境に基づく公正価値評価によっては当社の営業損益に大きな影響を与えることが考えられるため、投資先の増加に伴い投資後の管理を行うための体制を強化することが重要となると認識しております。

 

③ デザイン事業の伸長

当社は主力事業の1つとしてデザイン事業を掲げていますデザイン事業は主として顧客企業のDXにかかるデザイン戦略コンサルティングを提供するものですがコロナ禍により既存顧客の多くがダメージを受けて減収となったことから今後持続的な伸長を実現するためにはニューノーマルの時代における成長分野に市場をシフトしていくことが必要であると認識しております

 

④ ソフトウェア市場における新市場の開拓

当社製品による売上収益のさらなる伸長のためには、当社製品を活用した具体的な用途を提案し、その市場に確固たる地位を確立することが課題となります。当社グループとしては、特に市場性の見込まれる以下のような新たな市場開拓を図る計画です。

(ア) クラウド連携市場

新型コロナウイルス感染予防対策として、これから情報システムのクラウド化が加速すると予想されています。データ連携はクラウド上のシステムとの連携の基盤としての用途として大きな成長が期待されています。「Warp」シリーズは、クラウドの課金形態に即した月額利用料(サブスク型)モデル「Warp Core」の販売を順調に拡大しており、中期的に売上収益の安定化に貢献できる製品に成長させてまいります。

(イ) AI連携市場

企業におけるDX(Digital Transformation)の進展とともに、機械学習(Machine Learning)をベースとしたAIの市場が中長期的に大きな市場に育つと見込まれており、この市場において、世界的に先進のAIを当社製品/サービスに取り込んで行くことが重要です。当社では、AIの研究開発専業のアステリアART合同会社を子会社に持ち、社外のAI技術提供企業とも資本提携などを通じた協業を進めてまいります。

(ウ) IoT/エッジコンピューティング連携市場

IoT/エッジコンピューティングは、大きな市場拡大が見込まれています。企業におけるIoT活用のためには、機器連携、クラウド連携、システム連携が重要であり、いずれも当社の得意とする領域です。特に、AI搭載エッジウェア「Gravio」において当該領域における企業協業を推進し、市場の開拓を進めます。

 

⑤ ブロックチェーン技術の普及

当社は、大きな将来性が見込まれるブロックチェーン技術において、非暗号資産分野での展開を図ります。「ASTERIA Warp」とブロックチェーンの接続アダプター、文書改ざん検知ソリューション、場所の定めのない株主総会での質問や議決権行使など、業種にとらわれないブロックチェーンのソリューションを提供してまいります。

 

⑥ 海外市場への展開

当社グループは、設立時より海外に通用するソフトウェアの開発と提供を目指しています。特に世界的にプラットフォーム(技術基盤や販売環境)が統一されているネットサービスにおいては、積極的に海外展開を行っています。当社グループのソフトウェアは、日本語、英語、中国語の3ヶ国語で開発していますが、多言語展開を含めた海外市場への取り組みが引き続き重要な課題であると認識しています。

 

⑦ 成長のための人材の強化

当社製品やサービスの顧客企業数が増え、ターゲットとなる業種業態も幅が大きく広がっています。また、今後マルチプロダクト/サービス化、グローバル化により様々なターゲット分野における成長をより確固たるものにするために、開発、マーケティング、営業、管理などの各職務において優秀な人材をタイムリーに採用することが重要な課題となっており、グローバル化の強化の為に、日本国籍以外の人材採用を積極的に行っております。

また、グローバルビジネスを展開する上で必要な海外の法的リスクに関する研修を充実し、グローバル人材を育成することが重要であると認識しております。

 

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