業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ167,073千円増加し、2,974,948千円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ153,607千円増加し、532,458千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ13,466千円増加し、2,442,490千円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の業績は、売上高2,058,165千円(前期比8.0%増)、営業利益77,630千円(前期は206,408千円の損失)、経常利益90,943千円(前期は202,202千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失39,696千円(前期は426,799千円の損失)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

「ソフトウェアプロダクト事業」は、組込みネットワークソフトウェア及びセキュリティ関連ソフトウェア製品、データベース製品、高速起動製品等の主に自社開発によるデバイス組込み用ソフトウェアの開発及び販売等に関するセグメントであります。

「ソフトウェアディストリビューション事業」は、海外ソフトウェアの輸入販売、テクニカルサポート、及びカスタマイズ開発に関するセグメントであります。

「ソフトウェアサービス事業」は、株式会社エイムにおける、組込みソフトウェア等の受託を中心とした各種ソフトウェアの設計、開発、及びデータコンテンツのライセンス販売等に関するセグメントであります。

 

セグメント及び分野別の売上内訳及び事業状況は、以下のとおりです。

セグメント

当連結会計年度

前連結会計年度

増減率

(%)

売上高(注)

(千円)

売上割合

(%)

売上高(注)

(千円)

売上割合

(%)

ソフトウェアプロダクト事業

689,900

33.5

556,344

29.2

24.0

ソフトウェアディストリビュー

ション事業

977,438

47.5

968,274

50.8

0.9

ソフトウェアサービス事業

390,827

19.0

380,475

20.0

2.7

合計

2,058,165

100.0

1,905,093

100.0

8.0

(注)売上高は、セグメント間取引を消去しております。

 

また、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントのうち、「ソフトウェアプロダクト事業」と「ソフトウェアディストリビューション事業」のセグメント利益の算定方法について、従前、旧株式会社ユビキタス、旧株式会社エーアイコーポレーションの事業収支をセグメント利益として記載しておりましたが、両社合併後、営業部門、マーケティング&コミュニケーション部門、管理部門等の共通部門の一本化を推進してきたことから、共通部門費用を1:1に配賦する方法に変更いたしました。

なお、第1四半期連結会計期間より、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後の算定方法によるセグメント利益に組み替えた数値で比較しております。

 

■ソフトウェアプロダクト事業

当事業の売上高は689,900千円(前期比24.0%増)、セグメント利益は136,155千円(前期比88.7%増)となりました。

コネクティビティ、セキュリティ&OS関連製品では、車載機器関連の既存顧客からの大口案件獲得に加え、IoTセキュリティ関連の研究開発案件の売上、セキュアなIoTサービスを実現するソリューション「Edge Trust」の半導体メーカーとの研究開発案件の売上、デジタルイメージング関連の既存顧客からのロイヤルティ売上を計上いたしました。

高速起動製品では、国内外の車載機器関連、海外民生機器の既存顧客からのロイヤルティ売上を計上いたしました。カーナビゲーションシステム等の車載向け機器を中心に、複数社との間で大・中規模案件の開発を継続して進めており

ます。

データベース製品では、産業機器等の既存顧客からのロイヤルティ売上等を計上いたしました。

 

2021年6月、Linux/Android高速起動ソリューション「Ubiquitous QuickBoot」の同年5月末時点での累計出荷ライセンス数が全世界で5,000万本を突破したことを発表いたしました。

同年6月、セキュアなIoTサービスを実現するソリューション「Edge Trust」で使用している、IoT機器のライフサイクルマネジメントに関するセキュリティ技術について、特許を取得したことを発表いたしました。

同年8月、セキュアなIoTサービスを実現するソリューション「Edge Trust」のセキュリティコンポーネントが、組込みデバイス向けミドルウェアとして日本初となるPSA Certified™の認証を取得したことを発表いたしました。

 

■ソフトウェアディストリビューション事業

当事業の売上高は977,438千円(前期比0.9%増)、セグメント損失は141,872千円(前期は257,447千円の損失)となりました。

BIOS製品「InsydeH2O」(「EFI/UEFI」仕様を実装したC言語ベースBIOS)、ワイヤレス製品「Blue SDK」(Bluetoothプロトコルスタック)のロイヤルティ売上、品質向上支援ツール製品「CodeSonar」(ソフトウェアの動的不具合をソースコードやバイナリファイルから静的に検出することができる解析ツール)のライセンス売上、キャリアグレード製品「ConfD」(オンデバイスネットワーク機器管理用ソフトウェア)のライセンス及びロイヤルティ売上、AIソリューション製品「CoDriver」(ドライバー・キャビンモニタリングシステム)の契約時一時金売上やIoTセキュリティ検証サービス等を中心に、多数の取扱い製品より、新規、既存顧客からのロイヤルティ売上等を計上いたしました。

2021年11月、株式会社チームAIBODとの資本・業務提携に基づき、製造業でのAI/DXを実現する課題解決型人材育成サービス「AIBOD ACADEMY(アイボッド アカデミー)」を提供することを発表いたしました。

2022年1月、見積もりプロセスの可視化とナレッジシェアツールを提供する株式会社Engineerforceとの間で資本・業務提携を行い、製造業向けの販売協業で合意したことを発表いたしました。

 

また、当期において、以下の製品の販売を開始いたしました。

・暗号化技術MACsecに準拠した組込み用ソフトウェア「HE-MACsec」 (ハンガリー Tuxera Hungary Kft.)

・バイナリソフトウェアコンポジション解析ソリューション「CodeSentry」(アメリカ GrammaTech Inc.)

・車載Android™機器向けAutomotive-Grade Bluetoothプロトコルスタック「Blue SDK FUSION」(ドイツ OpenSynergy GmbH.)

 

■ソフトウェアサービス事業

当事業の売上高は390,827千円(前期比2.7%増)、セグメント利益は83,348千円(前期は21,114千円の損失)となりました。

ソフトウェアサービス事業では、既存顧客との各種受託開発売上、データコンテンツ「YOMI」に関する車載機器向けを中心としたライセンス使用料売上等を計上いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1,705,449千円となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、増加した資金は221,543千円(前期は24,882千円の減少)となりました。その主な要因は、税金等調整前四半期純利益や未払消費税等の増加であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は149,187千円(前期は80,635千円の減少)となりました。その主な要因は、差入保証金の差入による支出であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の変動はありませんでした(前期は68千円の減少)。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェアプロダクト事業

61,116

9.5

ソフトウェアディストリビューション事業

118,129

△23.0

ソフトウェアサービス事業

229,220

5.9

合計

408,465

△4.1

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引消去前の数値によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェアプロダクト事業

61,116

9.5

0.0

ソフトウェアディストリビュー

ション事業

117,182

△24.1

600

△53.8

ソフトウェアサービス事業

210,464

△15.0

480

△98.3

合計

388,762

△15.1

1,080

△96.4

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引消去前の数値によっております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェアプロダクト事業

689,900

24.0

ソフトウェアディストリビューション事業

977,438

0.9

ソフトウェアサービス事業

390,827

2.7

合計

2,058,165

8.0

 (注)セグメント間取引を消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、2,428,905千円(前期比14,059千円増)となりました。その主な要因は、有価証券の増加であります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は、546,043千円(前期比153,013千円増)となりました。その主な要因は、差入保証金や投資有価証券の増加であります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、448,142千円(前期比149,717千円増)となりました。その主な要因は、資産除去債務の増加であります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は、84,316千円(前期比3,890千円増)となりました。その要因は、繰延税金負債の増加であります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、2,442,490千円(前期比13,466千円増)となりました。その主な要因は、その他有価証券評価差額金の増加であります。

 この結果、自己資本比率は82.1%となりました。

 

2)経営成績

■ソフトウェアプロダクト事業

当連結会計年度は、特に次の項目に重点を置いて取り組んでまいりました。

・高速起動製品を収益の核とした事業展開、車載機器を中心にLinux/Android搭載機器向けに幅広く展開、更なる高速化

・自動車・IoT分野を中心とした組込み機器向けネットワーク・セキュリティ関連ソフトウェアの展開を、協業によるサービス含めて推進

この結果、売上・利益ともに前年を大幅に上回る結果となりました。

翌連結会計年度以降は、次のような対策を講じて取り組んでまいります。

・高速起動製品の次世代プラットフォーム対応、海外市場への積極的な展開による売上拡大の実現

・車載AV案件対応への人的リソース拡充

・コネクティビティ及びRTOSの価値を最大化するパッケージの販売検討

・IoTセキュリティ向け検証ツールとの連携による顧客デマンドの創出

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▲「Ubiquitous QuickBoot」累計出荷数5,000万本突破

 

■ソフトウェアディストリビューション事業

当連結会計年度は、特に次の項目に重点を置いて取り組んでまいりました。

・ソフトウェア品質向上支援ツールの販売強化継続、エー・アンド・デイ社と協同開発した新製品「GSIL」、重点分野とするIoTセキュリティ関連製品「beSTORM X」とこれを活用した「IoTセキュリティ検証サービス」販売への注力

・AI関連製品の商材強化と収益化の実現

・2021年3月期までに新規獲得した新商材の販売強化、継続的な新商材確保による収益基盤強化

この結果、M&Aによる商権消失と主力製品のピークアウト、コロナ禍の半導体不足の影響を受けた顧客等の要因により、売上・利益とも前年比で微増となりました。

翌連結会計年度以降は、次のような対策を講じて取り組んでまいります。

・近年獲得した商材、開発製品の販売の加速

・ソフトウェア品質への懸念と顧客動向を把握し、ツールによる解決策を提案

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▲多様な海外ソフトウェアパートナー

 

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エッジAI関連製品ラインアップの強化

 

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▲車載ECUソフトウェア開発向けシミュレーションツール「GSIL」

 

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▲IoTセキュリティ検証ツール「BeSTORM X」

■ソフトウェアサービス事業

当連結会計年度は、特に次の2つの項目に重点を置いて取り組んでまいりました。

・車載機器メーカーを中心とした受託開発・音楽関連データコンテンツライセンス取引の継続

・Web・スマートデバイス向けから組込みまで幅広い範囲の対応により、安定した顧客との取引と、グループ連携による受託開発案件の獲得

この結果、売上は前年及び計画を上回り、利益は前年比減となるも、計画値を上回りました。

翌連結会計年度以降は、規模拡大に向け、M&A等も含めた開発人員確保の施策を検討してまいります。

 

以上の結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなりました。

 

(売上高)

当連結会計年度における連結売上高合計は2,058,165千円(前年同期比8.0%増)となりました。

詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価1,069,077千円(前年同期比0.7%増)、販売費及び一般管理費911,458千円(同13.2%減)を計上いたしました。販売費及び一般管理費の主な内訳は、給料及び手当458,770千円(同13.8%増)、支払手数料102,293千円(同17.9%増)であります。

(経常利益)

経常利益90,943千円(前年同期は202,202千円の損失)を計上いたしました。

これは、主に営業利益77,630千円(前年同期は206,408千円の損失)、為替差益10,341千円(前年同期比578.8%増)を計上したためであります。

(特別損失)

特別損失70,455千円(前年同期比33.7%減)を計上しました。

 五反田事業所の廃止及び新宿本社の移転に伴い本社移転費用53,566千円、関連会社株式の実質価額が低下したため、投資損失引当金繰入額12,070千円を計上したためであります。

(親会社株主に帰属する当期純損失)

法人税、住民税及び事業税21,662千円、法人税等調整額(損)38,523千円の計上により、法人税等合計60,184千円となり、親会社株主に帰属する当期純損失は39,696千円(前年同期は426,799千円の損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

・資本の財源及び資産の流動性

 資金の流動性につきましては、中長期的な株主価値の向上を図る観点から、M&A等の成長戦略及び財務の健全性強化のための内部留保の積上げと、株主の皆様への利益還元の拡充とのバランスを考慮することを基本としております。成長戦略に伴うM&Aや投資のための所要資金につきましては、グループ内での営業活動による自己資金で調達しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

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