業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績

当期におけるわが国の経済は、持ち直しの動きが続いており、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が緩和されつつあります。先行きにつきましては、新型コロナウイルス感染症の収束時期がいまだ見通せないことに加え、ウクライナ情勢を受けた原燃料価格の高騰や円安の急激な進行など、なお不透明な状況が続いています。

このような状況の中、当社グループは、2030年に目指す姿とその達成に向けた経営課題を明らかにしたガイドラインである「2030ビジョン」を策定しました。『木とともに未来を拓く総合バイオマス企業として持続的な成長を遂げる』を目指す姿として「成長事業への経営資源のシフト」、「CO₂削減、環境課題等の社会情勢激変への対応」を基本方針としています。また、その実現に向けた前半の5年間(2021~2025年度)に実行する計画として「中期経営計画2025」を策定しました。『事業構造転換の加速』を基本戦略に掲げ、「成長事業への経営資源シフト」、「新規事業の戦力化加速」、「基盤事業の競争力強化」の3つを重点課題に取り組んでいきます。

当期におきましては、特にグラフィック用紙の需要減少への対応として、釧路工場の紙・パルプ事業からの撤退を計画通り完了しました。また、新たに2022年5月末をもって石巻工場N6抄紙機を停機することを決定しました。

連結業績につきましては、売上高は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞に伴い前第1四半期において主に印刷用紙の需要が大幅に落ち込んだ反動や、2020年4月末の豪州・ニュージーランドでの板紙パッケージ事業の譲受けなどにより、前期に比べ増収となりました。一方、営業利益は、前期において豪州・ニュージーランドでの板紙パッケージ事業の譲受けに係る印紙税など一過性の取得関連費用6,053百万円の計上はあったものの、新型コロナウイルス感染症により停滞していた世界経済の回復や当期末のウクライナ情勢の緊迫化に伴う世界的な原燃料価格の高騰などにより、前期に比べ減益となりました。結果は以下のとおりです。

 

連結売上高

1,045,086

百万円

(前期比 3.7%増

連結営業利益

12,090

百万円

(前期比 37.1%減

連結経常利益

14,490

百万円

(前期比 18.0%増

親会社株主に帰属する

当期純利益

1,990

百万円

(前期比 37.7%減

 

 

なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 会計方針の変更」に記載のとおり、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しています。このため、前期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いています。

各セグメントの経営成績は、以下のとおりです。

 

(紙・板紙事業)

売上高

532,097

百万円

(前期比 6.4%減

営業損失

5,575

百万円

(前期は営業利益2,482百万円

 

新聞用紙は、発行部数の減少に加え、2021年2月及び2022年3月に発生した福島県沖を震源とする地震の影響で岩沼工場の抄紙機の一部が操業を停止したことにより、国内販売数量は前期を下回りました。印刷用紙は、前第1四半期に需要が大きく落ち込んだ反動により、国内販売数量は前期を上回りました。

板紙は、工業製品向けなどの需要の回復に加え、加工食品や通販・宅配向けなどが堅調に推移したことにより、国内販売数量は前期を上回りました。

 

 

(生活関連事業)

売上高

386,465

百万円

(前期比 21.6%増

営業利益

4,770

百万円

(前期比 39.6%減

 

家庭紙は、2020年10月に特種東海製紙株式会社の100%子会社である株式会社トライフと営業統合を行ったことにより、売上高は前期を上回りました。

液体用紙容器は、給食牛乳向け容器の需要が回復したものの、家庭用牛乳向け容器が前期に需要が増加した反動に加えて、天候不順などによりジュース向け容器も伸び悩み、販売数量は前期を下回りました。

溶解パルプ(DP)は、市況の回復に伴い、販売数量は前期を上回りました。

海外事業は、2020年4月末の豪州・ニュージーランドでの板紙パッケージ事業の譲受けにより、売上高は前期を大きく上回りました。

 

(エネルギー事業)

売上高

31,813

百万円

(前期比 4.8%減

営業利益

1,586

百万円

(前期比 76.9%減

 

エネルギー事業は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)における激変緩和措置が終了したことなどにより、売上高は前期を下回りました。

 

(木材・建材・土木建設関連事業)

売上高

64,518

百万円

(前期比 7.7%増

営業利益

7,613

百万円

(前期比 17.1%増

 

木材・建材は、世界規模での木材の供給不足と価格高騰に加えて、新設住宅着工戸数が増加に転じたことなどにより、売上高は前期を上回りました。

 

(その他)

売上高

30,192

百万円

(前期比 8.4%増

営業利益

2,117

百万円

(前期比 12.2%増

 

 

(2) 財政状態

総資産は、前連結会計年度末の1,547,326百万円から91,959百万円増加し、1,639,286百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が67,111百万円、棚卸資産が17,105百万円、投資その他の資産が16,245百万円増加した一方、有形固定資産が7,023百万円減少したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末の1,122,605百万円から78,076百万円増加し、1,200,682百万円となりました。この主な要因は、手元資金の流動性を確保するため、コマーシャル・ペーパー及び社債の発行等を行ったことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末の424,721百万円から13,882百万円増加し、438,604百万円となりました。この主な要因は、為替換算調整勘定が14,894百万円増加したことによるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、136,216百万円となり、前連結会計年度末に比べ66,517百万円増加しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得た資金は、前連結会計年度に比べ11,819百万円減少し、72,378百万円となりました。この主な内訳は、税金等調整前当期純利益7,797百万円、減価償却費66,549百万円、運転資金の増減(売上債権、棚卸資産及び仕入債務の増減合計額)による収入9,821百万円です。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ 121,698百万円増加 し、 61,247百万円 となりました。この主な内訳は、固定資産の取得による支出59,683百万円です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得た資金は、前連結会計年度に比べ59,381百万円減少し、54,314百万円となりました。この主な内訳は、有利子負債の増加による収入と配当金の支払による支出です。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料や燃料購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。また設備投資資金の主なものは、新規事業への投融資及び設備投資、既存事業の収益向上や操業安定化等を目的としたものです。
 今後も引き続き成長分野や新規事業へ積極的に投資を行っていく予定であり、その必要資金については、自己資金と外部調達との適切なバランスを検討しながら調達していきます。
 なお、長期借入金、社債等の長期の資金調達については、事業計画に基づく資金需要や既存借入の返済時期、金利動向等を考慮し、調達規模や調達手段を適宜判断し、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により当社グループ内での余剰資金の有効活用を図り、有利子負債の圧縮や金利負担の軽減に努めています。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。

 

(6) 生産、受注及び販売の状況

 ① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

前期比(%)

紙・板紙事業

金額(百万円)

434,527

△0.1

生活関連事業

金額(百万円)

350,812

26.0

エネルギー事業

金額(百万円)

31,813

△4.8

合計

金額(百万円)

817,152

9.4

 

(注)木材・建材・土木建設関連事業、その他は、生産高が僅少であるため、記載を省略しています。

 

 ② 受注実績

  当社グループは主として需要と現有設備を勘案した見込生産のため、記載を省略しています。

 

 

 ③ 販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

前期比(%)

紙・板紙事業

金額(百万円)

532,097

△6.4

生活関連事業

金額(百万円)

386,465

21.6

エネルギー事業

金額(百万円)

31,813

△4.8

木材・建材・土木建設関連事業

金額(百万円)

64,518

7.7

その他

金額(百万円)

30,192

8.4

合計

金額(百万円)

1,045,086

3.7

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しています。

 

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