当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等) セグメント情報 2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法」を参照ください。
新型コロナウイルス感染症により急激に落ち込んだ紙の需要は、ワクチン接種の進展に伴う行動制限緩和による景気の持ち直しに期待感が高まるなか、回復の動きが見られたものの先行き不透明な状況が続きました。
このような事業環境下、当社グループは、新型コロナウイルス感染症収束後も、引き続き紙需要の減少が予想されるなか、強固な収益基盤を築き上げるために、また、企業の社会的責任として持続可能な社会を実現するために、経営理念のもと2030年に目指す姿として「ビジョン2030」を定めるとともに、当期を初年度とする「中期経営計画2025」を策定し、「既存事業の構造転換」「森林資源を活用した環境投資、環境ビジネス推進」の実現に向けた取り組みを開始しました。
当期の営業成績は、コロナ禍での経済活動回復による紙需要増加を背景に国内拡販・輸出販売強化に取り組むとともに、世界的なパルプ市況の回復を背景に製品パルプの販売強化にも取り組みました。
また、発電事業における安定操業や効率化の追求による製造コストの縮減、不採算事業の見直しなど既存事業の発展・強化に努めるとともに、新規事業分野であるナノフォレスト事業や中越エコプロダクツ事業の早期事業化に注力しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は90,104百万円(前年同期比10.0%増収)となり、営業利益は2,352百万円(前年同期は347百万円の営業損失)、経常利益は3,077百万円(前年同期は319百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,268百万円(前年同期は1,052百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
事業の種類別セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(紙・パルプ製造事業)
◎ 新聞用紙
新聞用紙の販売につきましては、構造的な要因による発行部数の減少と新型コロナウイルス感染症による広告減での頁数減少という複合要素により減少傾向が続いており数量・金額共に前期を下回りました。
◎ 印刷用紙
印刷用紙の国内販売につきましては、コロナ禍での経済活動回復を受けて数量・金額共に前期を上回る事が出来ました。また、旺盛な海外需要を背景に輸出販売を強化し、輸出販売につきましても数量・金額共に前期を上回る事が出来ました。
◎ 包装用紙
包装用紙の販売につきましては、自動車関連を中心とした需要が回復基調にあり、また、輸出販売を強化したことにより数量・金額共に前期を上回りました。
◎ 特殊紙・板紙及び加工品等
特殊紙・板紙及び加工品等の販売につきましては、高級白板紙分野では輸出販売を強化したことにより数量・金額共に前期を上回る事が出来ました。壁紙は好調に推移し前期を上回り、脱プラ需要および巣ごもり需要の食品関連を中心とした加工原紙も前期を上回ることが出来ました。
◎ パルプ
パルプの販売につきましては、世界的にパルプ市況が回復し、数量・金額とも前期を上回りました。
これらにより、当事業の業績は以下のとおりとなりました。
連結売上高 79,159百万円(前年同期比 12.2%増収)
連結営業利益 1,301百万円(前年同期は2,150百万円の連結営業損失)
(発電事業)
安定操業に努めましたが、紙生産数量の増加に伴う売電量の減少や、燃料価格の上昇などの影響で減収減益となりました。
これらにより、当事業の業績は以下のとおりとなりました。
連結売上高 6,450百万円(前年同期比 9.5%減収)
連結営業利益 717百万円(前年同期比54.1%減益)
(その他)
紙・パルプ製品の販売数量増加による工場稼働率向上で、紙断裁選別包装・運送事業等の紙・パルプ製造事業を補助する「その他の事業」は増収増益となりました。
これらにより、当事業の業績は以下のとおりとなりました。
連結売上高 19,179百万円(前年同期比11.8%増収)
連結営業利益 246百万円(前年同期比77.3%増益)
財政状態は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,461百万円減少し、122,029百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,625百万円減少し、73,408百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,164百万円増加し、48,620百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ713百万円減少し、14,861百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は8,257百万円(前連結会計年度比38.4%増加)となりました。
これは主として、税金等調整前当期純利益1,718百万円、減価償却費6,269百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3,150百万円(前連結会計年度比19.2%減少)となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出3,821百万円、長期貸付金の回収による収入645百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は5,894百万円(前連結会計年度は6,284百万円の収入)となりました。
これは主として、長期借入による収入4,660百万円、短期借入金の純増減額1,850百万円による支出、長期借入金の返済による支出8,403百万円によるものです。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) パルプは未晒総生産量であり自家消費量を含んでおります。
当社グループは、大部分が市況を勘案した見込み生産を行っており、グループ全体の受注状況を把握することは困難であるため、該当事項については記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等は、ワクチン接種の進展による行動制限緩和や輸出数量増加による販売確保に努めたことなどにより、売上高は90,104百万円と前期に比べ8,166百万円の増収となりました。収益面では、安定操業や徹底したコスト削減対策に努めたことで、2,352百万円の営業利益(前年同期は347百万円の営業損失)、3,077百万円の経常利益(前年同期は319百万円の経常損失)となりました。
上記に加え、当期は「中期経営計画2025」で掲げる「既存事業の構造転換」のために実施する高岡工場6号抄紙機の停機に係る減損損失や撤去費用の引当金などを特別損失として計上したことなどで、1,268百万円の親会社株主に帰属する当期純利益(前年同期は1,052百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメント別の売上高については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
④ 経営戦略の現状と見通し
2022年度は、収束の目処がたたない新型コロナウイルス感染症の影響をはじめ、円安の進行や国際紛争による原燃料価格の急騰、資源調達問題の発生など様々なリスクが事業環境に影響をおよぼすことが予測され予断を許さない状況が見込まれます。
このような状況下、原燃料価格の高騰に応じた適正価格の確保、製造工程における効率向上、安定操業実現による製造コスト圧縮への取り組みにより、収益基盤の強化を図ってまいります。また、昨年度取り組みをスタートさせた「既存事業の構造転換」・「環境投資・環境ビジネスの推進」を柱とする「中期経営計画2025」の達成に向けグループを挙げて前進してまいります。
⑤ 財政状態及びキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1.2%減少し、122,029百万円となりました。これは主として、有形固定資産が減価償却などにより1,604百万円減少したことによります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ3.5%減少し、73,408百万円となりました。これは主として、金融機関からの借入金が5,593百万円減少したことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2.5%増加し、48,620百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益1,268百万円、配当金の支払267百万円などにより利益剰余金が976百万円増加したことによります。また自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.4ポイント増加し39.8%となりました。
当社グループのキャッシュ・フローにつきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループの資金計画は、設備投資資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、銀行借入やコミットメントラインの利用などによって流動性を保持しております。今後の主な設備投資資金需要として、家庭紙マシンの新設(投資総額49億円)を予定しております。
また、当社グループはCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、資金融通を行うことで資金効率を高めております。
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ713百万円減少し、14,861百万円となりました。
なお、当連結会計年度末の金融機関からの借入金の内訳は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
資金につきましては、手元預金の増加(2020年3月:72億円⇒2022年3月末148億円)などの対応を行い、新型コロナウイルス感染症などの不測の事態に備えております。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、常に市場ニーズに密着し、創造的で信頼性の高い技術をもって、人と環境にやさしい「紙」の開発と安定した製品の供給により、経済・社会・文化の発展に寄与することを社会的使命と認識し「紙」の文化の創造に果敢に挑戦しております。
そして、「株主重視」「顧客重視」に心がけ、当社グループの総合力に対する信頼性と収益性の確保・向上を目指し、株主・顧客・地域社会・社員・企業の共存共栄を図るとともに、社会に対する貢献を重点に企業活動を行ってまいります。
また、グローバル化に対応し、迅速な情報開示に努め、透明な経営姿勢を保ち、加えて効率的な連結経営を行うことで、国際競争力の強化を図り、当社グループの存在価値を高めてまいります。
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