業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化したことにより、経済活動が抑制されるなど、不透明な状況が続きました。当社グループでは、「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」をコアバリューに据え、ステークホルダーの皆様に事業戦略がより伝わりやすいよう、事業コンセプトを「企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス」に一新しております。

昨今の新型コロナウイルス感染拡大により、リモートワーク等の働き方改革、DX・SaaSビジネスへの関心の高まり、不正口座利用問題によるオンライン本人確認(eKYC等)や多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)ニーズ等を受け、非対面取引に関する市場が急拡大しております。当社グループが事業展開する主要マーケットの1つである、国内デジタルマーケティング市場は、2020~2025年にCAGR(年平均成長率)7.2%の6,102億円(※1)と高い成長率が見込まれます。また、国内DX市場規模は、2030年には3兆425億円に拡大する見通しです。(※2)

これらを受け、当社グループは企業のWebサイト分析・解析支援を行うSaaS事業を中心に、広告・メディア事業、オンライン本人確認/eKYCサービスやDX支援開発などの新規事業を通じて、企業価値の向上に取り組んでまいりました。また、企業と顧客のオンライン手続きを「見やすく、わかりやすく、安全に」するプラットフォーム構築サービス「おもてなしSuiteシリーズ」をリリースいたしました。

今後も、これらの成長市場に対して、当社グループの培ったユーザビリティの高い技術を活用し、社会の「不」を解消する価値の高いサービスを積極的に提供してまいります。

なお、連結子会社は投資関連事業を行う株式会社Showcase Capitalの1社となります。

 

※1:IDC 国内デジタルマーケティング関連サービス市場 セグメント別/産業分野別予測、2020~2025年より

※2:富士キメラ総研『2020デジタルトランスフォーメーションの市場の将来展望』より

 

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(a)財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ265,514千円減少し、2,684,288千円となりました。当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ275,501千円減少し、504,003千円となりました。当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ9,987千円増加し、2,180,285千円となりました。

 

(b)経営成績

当連結会計年度における売上高は1,594,442千円(前年同期比4.2%増)、営業利益は12,844千円(前年同期比71.8%減)、経常利益は77,809千円(前年同期比32.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は59,756千円(前年同期比130.4%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメント区分の変更を行っております。変更の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「1.報告セグメントの概要 (3) 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。

 

<SaaS事業>

「ナビキャストシリーズ」では、入力フォームの最適化サービス「フォームアシスト」が金融機関を中心に、ウェブ解析士の資格を有するコンサルタントによる改善効果の高い提案など、付加価値の高い事業活動を継続しております。「ProTechシリーズ」では、オンライン本人確認/eKYCサービス「ProTech ID Checker(プロテックアイディーチェッカー)」が、ゼネラルリサーチ株式会社が行ったサイト比較イメージ調査において、「導入が簡単だと思う eKYCソリューション」、「消費者が選ぶ本人確認サービス 使いやすさ」、「eKYCソリューション 価格満足度」の3項目において1位を獲得いたしました。不動産業界の株式会社レオパレス21様、リユース業専門のPOSシステムを開発する株式会社NOVASTO様、日本最大級の楽器専門店株式会社石橋楽器店様(イシバシ楽器様)など、多岐に渡る業界への導入も進んでおります。また、AIによる保険証の自動マスキングサービス「ProTech AI Masking」は国内大手食料品メーカーから大型受注に至っております。DX推進によるオンライン取引の需要拡大を受けて、Webセミナーや広告宣伝を強化し、新規顧客開拓にも注力しており、「ProTech ID Checker」の導入企業アカウント数は前年同期比481%増を実現しております。引き続き、高い成長性と売上拡大を目指してまいります。

 

以上の結果、SaaS事業全体における売上高は940,648千円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益は600,346千円(前年同期比1.3%増)となりました。

 

<広告・メディア事業>

(広告関連サービス)

広告関連サービスについては、従来から提供してきた運用広告関連サービスに加え、顧客のニーズに合わせたSNS広告運用サービス等の提供により、安定的に売上貢献をしております。

 

(オウンドメディア)

主力となるスマートフォン関連ニュース系メディア「bitWave」が業績に大きく貢献しております。特に、2021年9月に発売された新型iPhoneの販売送客アフィリエイト収益が大きく寄与いたしました。また、クレジットカード比較を解説するYouTube動画メディアは当連結会計年度末日現在、チャンネル登録者数39,000人を超え、既存メディアへの新たな流入チャネルとして引き続き、集客に貢献しております。

新たな金融商品比較メディアは先行投資フェイズであり、減益となりましたが、引き続き、注力事業として積極的な投資を行い、業績への貢献を目指してまいります。

 

以上の結果、広告・メディア事業全体における売上高は455,520千円(前年同期比4.7%増)、セグメント利益は68,668千円(前年同期比5.5%増)となりました。

 

<クラウドインテグレーション事業>

当社の強みであるSaaSプロダクト開発ノウハウによって、業界特化型DX支援開発を行っております。DX支援人材の派遣サービスなども業績に貢献した結果、増収増益を達成いたしました。今後も、各界のリーディングカンパニーとのDX推進を積極的に展開してまいります。

 

以上の結果、クラウドインテグレーション事業全体における売上高は177,836千円(前年同期比49.3%増)、セグメント利益は53,875千円(前年同期はセグメント損失1,314千円)となりました。

 

<投資関連事業>

当連結会計年度末日現在、登録数はスタートアップ企業側が320社超、事業会社等の投資家側も130社を超えました。当連結会計年度において、株式会社Showcase Capitalが支援するスタートアップ企業が資金調達やM&Aを実現するなど、マッチングによる成果が見え始めてきております。引き続き、スタートアップ各社の事業成長の支援や上場企業の資金調達支援等を通じて収益化を目指してまいります

 

以上の結果、投資関連事業全体における売上高は19,942千円(前年同期比78.7%減)、セグメント損失は9,226千円(前年同期はセグメント利益19,032千円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、1,875,910千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、92,098千円(前年同期は96,389千円の獲得)となりました。主な減少要因は、貸倒引当金の減少額37,011千円、投資事業組合運用益29,248千円、売上債権の増加額16,506千円であります。主な増加要因は、減価償却費80,566千円、税金等調整前当期純利益70,414千円、法人税等の還付額14,066千円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、65,487千円(前年同期は61,717千円の使用)となりました。投資事業組合からの分配による収入28,600千円、貸付金の回収による収入16,008千円等により資金を獲得した一方で、無形固定資産の取得による支出106,049千円、有形固定資産の取得による支出11,243千円等により資金を使用したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、349,254千円(前年同期は735,217千円の獲得)となりました。短期借入れによる収入100,000千円により資金を獲得した一方で、長期借入金の返済による支出328,875千円、短期借入金の返済による支出58,338千円、配当金の支払額51,371千円等により資金を使用したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

(1) 生産実績

当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(2) 受注実績

当社グループのサービスは、受注から納品までの期間がきわめて短いため、記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

SaaS事業

940,648

106.8

広告・メディア事業

455,520

104.7

クラウドインテグレーション事業

177,836

149.3

投資関連事業

19,942

21.3

その他 (注)1

493

41.7

合計

1,594,442

104.2

 

(注)1.「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、経営管理業務受託事業等であります。

2.セグメント間取引については、相殺消去しております。

3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、前連結会計年度については、販売実績が総販売実績の100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

バリューコマース株式会社

179,563

11.3

 

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りに与える影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、2,684,288千円(前連結会計年度末比265,514千円の減少)となりました。これは主に、ソフトウエアが37,776千円増加した一方で、現金及び預金が322,642千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、504,003千円(前連結会計年度末比275,501千円の減少)となりました。これは主に、短期借入金が41,662千円増加した一方で、長期借入金(1年内返済予定含む)が328,875千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、2,180,285千円(前連結会計年度末比9,987千円の増加)となりました。これは主に、剰余金の配当51,371千円があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益59,756千円を計上したことにより、利益剰余金が8,384千円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は81.2%(前連結会計年度は73.6%)となりました。

 

(b)経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、中核事業であるSaaS事業のストック売上の向上、既存顧客へのコンサルタントによる追加提案売上、オンライン本人確認/eKYCサービス「ProTech ID Checker」の販売数増加、スマートフォン関連ニュース系メディア「bitWave」や「スマホのススメ」の販売送客アフィリエイト収益、DX支援開発による受託開発案件の納品により1,594,442千円(前年同期比4.2%増)となりました。

 

(営業利益)

売上原価は、384,043千円(前年同期比8.6%減)、販売費及び一般管理費は1,197,553千円(前年同期比12.5%増)となりました。売上原価の主な減少要因は、投資関連事業の売上原価減少によるものであります。また、販売費及び一般管理費の主な増加要因は、人件費及び広告宣伝費の増加によるものであります。この結果、営業利益は12,844千円(前年同期比71.8%減)となりました。

 

(経常利益)

貸倒引当金戻入額、投資事業組合運用益等が発生したことにより、経常利益は77,809千円(前年同期比32.2%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

投資有価証券評価損、固定資産除却損等が発生したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は59,756千円(前年同期比130.4%増)となりました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性

① キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

② 資金需要

当社グループの主な運転資金需要は、今後の成長基盤となる開発人員・営業人員に対する投資及び開発に係る業務委託や広告宣伝費などであります。また、主な投資資金需要は、外部リソースを積極的にグループに取り入れるためのM&Aやベンチャーキャピタル投資における新規案件への投資に係るものであります。

 

③ 財務政策

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保すること、将来の不確実性に備えて比較的厚めのキャッシュポジションとすることを基本方針としております。そのうえで、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を、投資資金や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入や第三者割当増資による調達を行う方針であります。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、外部要因と内部要因に大別されます。

外部要因としては、自然災害によるサーバ停止、インターネット関連市場の新たな規制や技術革新、競合他社との競争激化、法的規制の変化等により影響を受ける可能性がありますが、このような環境下において、当社グループの売上は堅調に推移しております。

内部要因としては、システム障害、コア事業であるマーケティングSaaS事業への依存、特定人物への依存、優秀な人材の確保や育成、情報漏洩による情報セキュリティの管理等の影響を受ける可能性がありますが、組織体制の整備及び内部管理体制の強化により、これらのリスク要因に対応するよう努めてまいります。

 

(5) 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりでありますが、収益拡大のためには既存事業の拡大及び知名度の向上のための広報活動、新規事業及び新商品の開発や投資事業によるシナジー創出が必要不可欠であると認識しております。そのためには、優秀な人材の確保や組織体制の整備をこれまで以上に強化し、これらの課題に対して企業価値向上を図るべく、当社グループ経営陣は最善の事業戦略を立案するよう努めてまいります。

 

(6) 経営戦略の現状と見通し

当社グループは、企業のWebサイト分析・解析支援を行うSaaS事業を中心に、広告・メディア事業、オンライン本人確認/eKYCやDX支援開発などの新規事業を通じて、企業価値の向上に取り組んでおります。

2021年11月には、企業と顧客のオンライン手続きを「見やすく、わかりやすく、安全に」するプラットフォーム構築を目指す「おもてなしSuiteシリーズ」をリリースいたしました。成長エンジンであるオンライン本人確認/eKYCサービスや「おもてなしSuiteシリーズ」の開発と販売への投資を強化してまいります。また、AI inside株式会社をはじめとする、有力パートナー企業とのアライアンスを実現させ、事業成長を加速してまいります。そして、中核事業の拡大を目的とするM&A戦略を進め、中期的企業価値の向上と株主還元を目指してまいります。

 

 

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