(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にありますが、個人消費に持ち直しの動きがみられます。先行きにつきましては、感染拡大の防止策を講じつつ社会経済活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって持ち直しの動きが続くことが期待されております。一方で、変異株による感染症の再拡大に伴う内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があるとされております。
当社グループに関連するモバイルゲーム市場及びモバイルコンテンツ市場につきましては、スマートフォンの所有率がさらに高まりを見せるとともに、次世代モバイル通信「5G」による高速・大容量のサービスが浸透することで、更なる市場の活性化が見込まれております。その中で当社グループの主力サービスである位置情報連動型ゲームの市場についても、市場拡大の傾向がみられております。一方で、2021年10月に緊急事態宣言の解除が行われたものの、新型コロナウイルス感染症の収束時期は依然として不透明な状況であり、変異株の流行に伴い感染症の再拡大の防止に努めることを求められていることから、市場成長に大きく影響する可能性があると考えております。
ブロックチェーン市場につきましては、様々な業界でのブロックチェーン技術の需要の高まりを受け、国内外において大きく成長することが見込まれております。当社グループの注力するNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)のマーケットも、海外ではアートなどを中心に急速に拡大しており、国内においても市場参入する企業が増加傾向にあるなど注目を集め始めていることから、今後の市場成長が期待されております。
報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、事業セグメントをモバイルゲーム事業、コンテンツ事業、ブロックチェーン事業として開示しております。そのため、当連結会計年度におけるセグメント別の業績につきましては、前年同期との比較分析を行っておりません。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご覧ください。
・モバイルゲーム事業
モバイルゲーム事業では、位置情報連動型ゲームである「駅メモ!」及び「アワメモ!」において、コロナ禍の影響が続く中、感染症の動向や社会情勢を注視しつつ、他社IPとのコラボイベントを実施する等、ゲームを継続して遊んでいただけるような施策を行いました。また、「駅メモ!」では、7周年記念施策やライセンスの月額サブスクリプションを2021年6月に実装いたしました。
「アワメモ!」では、新機能であるステーションNFTのオークションを、2021年12月までに6回実施いたしました。
その他の位置情報連動型ゲームの「駅奪取」においても、10周年記念施策やコラボイベントの実施等、ゲームを継続して遊んでいただけるような施策を行いました。
この結果、同事業の売上高は2,478,526千円となり、セグメント利益は751,938千円となりました。
・コンテンツ事業
コンテンツ事業では、プラットフォームであるキャリア各社の方針変更により、2021年3月にフィーチャーフォン向けサービスが終了いたしました。
また、自社で運営している各着信メロディサービスの課金会員数は緩やかに減少しております。
この結果、同事業の売上高は418,904千円となり、セグメント利益は236,966千円となりました。
・ブロックチェーン事業
ブロックチェーン事業では、目標に掲げている「ユニマSaaS」の利用者拡大への取組みとして、デジタルデータをブロックチェーン上で個人の資産として保有可能とする、NFT生成・販売のプラットフォームである「ユニマ(Uniqys マーケットプレイス)」を2021年7月にリリースいたしました。取り扱う商材とするアートや書籍といったNFTの販売を行い、SaaSの機能拡充に向けても取り組みました。また、国内NFT市場の活性化を目指す関連サービスとして、「ユニマNFT買取(β版)」を同年11月にリリースいたしました。
なお、コンプライアンス充足のための関係各所との協議を継続して行い、信頼性の高いサービス設計を目指して取り組んでおります。
この結果、同事業の売上高は86千円となり、セグメント損失は138,291千円となりました。
以上の結果、売上高は前年同期比1.5%増の2,897,518千円となり、EBITDAは同0.3%増の888,630千円、営業利益は同1.5%減の850,612千円、経常利益は同1.5%減の853,341千円、親会社株主に帰属する当期純利益は同7.5%減の538,648千円となりました。
当連結会計年度の財政状態の概要は以下のとおりであります。
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ267,468千円増加し、3,304,321千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ368,981千円増加し、3,094,032千円となりました。これは主に、現金及び預金が344,516千円増加し、売上高の増加に伴い売掛金が15,851千円増加したものであります。なお、現金及び預金の増減の主な要因は、② キャッシュ・フローの状況に記載しております。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ101,512千円減少し、210,289千円となりました。これは主に、ソフトウエアの償却及び減損によりソフトウエアが67,128千円減少し、オフィス移転により敷金の返還が40,222千円生じたものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ44,658千円増加し、431,193千円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ41,258千円増加し、427,793千円となりました。これは主に、未払法人税等が54,191千円増加し、未払金が売上高の増加に伴う変動費の増加により14,092千円増加したものであります。また、賞与の減少に伴い賞与引当金が19,397千円減少したものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ3,400千円増加しました。これは、本社オフィス移転に伴い資産除去債務を計上したものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ222,810千円増加し、2,873,128千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が538,648千円増加し、ストックオプションの行使に伴い資本金及び資本準備金がそれぞれ24,392千円増加した一方で、自己株式を349,851千円取得した影響によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ344,516千円増加し、2,665,764千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、656,046千円(前連結会計年度は466,912千円の収入)となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益777,156千円であり、主な支出要因は、法人税等の支払額198,094千円であります。
当連結会計年度において投資活動により支出した資金は、10,956千円(前連結会計年度は150,503千円の支出)となりました。主な支出要因は、無形固定資産の取得による支出30,077千円及び事業強化のために業務提携を実施したことによる投資有価証券の取得による支出10,460千円、収入要因は、敷金の回収による収入40,222千円であります。
当連結会計年度において財務活動により支出した資金は、300,573千円(前連結会計年度は473,829千円の支出)となりました。主な支出要因は、自己株式の取得による支出350,550千円であり、収入要因は、ストックオプションの行使に伴う新株の発行による収入48,784千円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
受注に該当する事項がありませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.外部顧客へ販売高のうち、売上高割合が10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における売上高は2,897,518千円(前年同期比1.5%増)となりました。
モバイルゲーム事業は、位置情報連動型ゲームにおいて、新型コロナウイルス感染症の変異株の流行による再拡大に対して、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出が繰り返されたことに伴う各種自粛要請を受け、「駅メモ!」等のゲーム内イベントの一時中断や延期が生じた中で、移動を伴わない施策の実施のほか、月額サブスクリプションのライセンスの販売やユーザー同士が協力して行うレイドイベントの実施等、新たな施策に取り組んだ結果、前連結会計年度と比較して売上高が増加しております。また、前連結会計年度にリリースした「アワメモ!」においては、新機能であるステーションNFTのオークションを順次開催しております。
コンテンツ事業は、プラットフォームである通信キャリア各社の方針変更により、2021年3月をもってフィーチャーフォン向けのサービスが終了いたしました。自社で運営しているスマートフォン向けの各着信メロディサービスの課金会員数についても緩やかに減少しており、前連結会計年度と比較して売上高が減少しております。
ブロックチェーン事業は、NFT生成・販売のプラットフォームである「ユニマ(Uniqys マーケットプレイス)」を2021年7月にリリースいたしました。ステーションNFTのほか、アートや書籍といったNFTの販売を行った結果、手数料収入が発生しております。
当連結会計年度における売上原価は1,446,104千円(前年同期比4.0%増)となりました。
これは主に、位置情報連動型ゲームにおいて、上記のとおり売上高が増加したことに伴い、システム利用料等の原価費用が増加したものであります。一方で、労務費が減少したほか、オフィス移転に伴い賃借料等の製造費用が減少しております。
以上の結果、売上総利益は1,451,413千円(前年同期比1.0%減)となりました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は600,800千円(前年同期比0.3%減)となりました。
これは主に、コンテンツ事業において、上記のとおり売上高が減少したことに伴う債権の回収代行手数料の減少や、オフィス移転に伴い賃借料等の一般管理費が減少したものであります。一方で、ブロックチェーン事業において、上記のとおり「ユニマ(Uniqys マーケットプレイス)」をリリースしたことに伴い広告宣伝費が増加しております。
以上の結果、営業利益は850,612千円(前年同期比1.5%減)となりました。
当連結会計年度における営業外収益は3,695千円(前年同期比11.6%減)となりました。
これは主に、未払配当金の受取期間満了に伴う除斥によるものであります。
当連結会計年度における営業外費用は966千円(前年同期比1.8%増)となりました。
これは主に、自己株式の取得費用によるものであります。
以上の結果、経常利益は853,341千円(前年同期比1.5%減)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別損失は76,207千円(前年同期比105.8%増)となりました。
これは主に、収益性の低下した事業用資産のソフトウエア「駅メモ! Our Rails(アワメモ!)」について、68,743千円減損処理を行ったことによるものであります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係)」に記載のとおりであります。また、本社の移転に伴う重複期間の家賃等の費用が5,748千円生じております。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は538,648千円(前年同期比7.5%減)となりました。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費を中心とした原価費用と広告宣伝費を中心とした販売費及び一般管理費等の費用であります。また、継続的なソフトウエアの開発及びサーバー等の設備に関する投資に加えて、既存事業からの安定収益によるブロックチェーン事業への成長投資を目的とした資金需要があります。
当該資金については、主に自己資金により充当しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は2,665,764千円となり、将来に対して十分な財源及び流動性を確保しております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、上記「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、組織体制、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し優秀な人材を確保するとともに、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
当社グループの経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後更なる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのために当社グループでは、事業面及び組織面の課題を整理し、各課題に対して適切かつ、効果的な対応を行ってまいります。
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