事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については投資者に対する積極的な情報開示の観点から、以下に記載しております。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本報告書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で、行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

当社の事業領域に関連する市場動向について

当社グループの事業領域であるモバイルゲーム事業及びコンテンツ事業に関連する市場は、スマートフォン等の普及拡大や、次世代モバイル通信「5G」による高速・大容量のサービスが浸透することで今後も拡大を続けると予想されます。

しかしながら、当該市場は、技術革新や新端末の販売、通信インフラ等により大きく左右されます。また、市場の飽和・衰退、法的規制等の影響により市場の発展が鈍化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ブロックチェーン事業に関連する市場は、今後の成長性に期待がされる一方で、新しい事業分野のため、現在は未成熟な状況にあります。今後の市場成長のスピードが想定よりも鈍化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

当社の事業について

当社グループは、モバイルゲーム事業、コンテンツ事業、ブロックチェーン事業の3つの事業を行っております。中でも、モバイルゲーム事業の位置情報連動型ゲームとブロックチェーン事業に社内リソースを集中することにより、事業の成長を図っていくことを基本方針としております。

モバイルゲーム事業の位置情報連動型ゲームにおいては、サービスを長期に亘って運営しており、利益に大きく寄与しております。しかしながら、想定よりもユーザー数及び有料課金者数等が大幅に下回った場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

ブロックチェーン事業においては、国内暗号資産取引所にてQYSコイン(※)の「IEO (Initial Exchange Offering)」を目指すなど、トークンエコノミーの普及促進に向けた取り組みを行っております。しかしながら、新しい事業分野であるため、収益化までに想定以上に時間やコストを要する可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

コンテンツ事業においては、通信キャリアの方針によりフィーチャーフォン向けの着信メロディ等のサービスを終了しております。一方で、スマートフォン向けのサービスでは広告宣伝等を通じた施策により、緩やかな課金会員数の減少にとどまっております。しかしながら、外部環境による影響も含め、今後も有料会員数が想定よりも大幅に減少する場合や新規会員を計画よりも獲得できない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

※QYS(キス)コイン:当社で発行予定の暗号資産であり、中期経営計画にて公表した自社ポイント発行を指します。

 

競合他社について

当社グループの提供するモバイルゲーム事業及びコンテンツ事業においては、コンテンツプロバイダーやソーシャルネットワークプロバイダー等、数多くの競合が存在しております。また、広くはテレビや映画等のエンターテインメントも当社の競合であると考えられ、多数の競合他社が存在いたします。

当社グループは、これまで培ってきた位置情報連動型ゲームや着信メロディ等のノウハウを活用するとともに、消費者のニーズへの対応や新たなサービスの提供に注力いたします。しかしながら、画期的なサービスを提供する競合他社や参入企業等との競争が激化し、当社グループの優位性が損なわれた場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ブロックチェーン事業においては、新しい事業分野であるため競合となる参入企業は限られておりましたが、市場の拡大に合わせて大手企業の参入が増加し始めております。当社グループではモバイルゲーム事業と連携したゲーム3.0(※)の仕組みによる差別化も図ってまいりますが、今後同様のサービスを提供する競合他社や参入企業等との競争が激化し、当社グループの優位性が損なわれた場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

※ゲーム3.0:ブロックチェーン技術の活用により、ゲーム内アイテムがゲームを超えた資産となるなど、既存ゲームに新たな価値を形成する新しいゲーム運営サイクル。

 

④ 位置情報連動型ゲームの特性について

当社グループが注力しておりますモバイルゲーム事業の位置情報連動型ゲームは、位置情報機能を利用したゲームであり、自然災害等により交通機関での移動が困難な状況や、新型コロナウイルス感染症等の感染拡大による緊急事態宣言の発出等に基づくイベントや移動の自粛が要請される状況が生じた場合、売上高減少及び見通しが立たない場合があります。その状況が長期に及んだ場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 技術革新への対応について

当社グループの事業領域であるモバイルゲーム事業及びコンテンツ事業、並びにブロックチェーン事業に関連する市場は、技術革新のスピードが非常に速く、新たなサービスやコンテンツが日々生み出されております。その技術発展や新たなサービス・コンテンツの誕生によりモバイル関連市場の拡大は今後も予想されます。

当社グループにおいては、エンジニアの採用・育成等を通じて新たな技術の習得に注力しておりますが、新技術への対応の遅れや設備投資等のコスト増加により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 情報ネットワークについて

当社グループは、インターネットを介したコンテンツの提供を行っております。安定したサービスの提供を行うため、日頃からサーバーの負荷分散や定期的なバックアップ、サーバーの稼動状況の監視を行い、トラブル等の未然防止を図っております。

しかしながら、急激なアクセス過多や自然災害、事故等により当社サービスの提供に障害が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 広告宣伝について

当社グループは、各サービスにおける新規ユーザーの獲得は重要な課題と認識しており、広告の出稿に関して常に効果等の検証を行った上で、端末やコンテンツの利用者にマッチした広告出稿先を選択しユーザーの獲得に努めております。また、新規ユーザーの獲得のため、独自リワードの導入を含め、当社グループの広告戦略に沿った新たな広告手法を模索しております。

しかしながら、新たな広告手法が当社グループの想定するユーザー数を獲得できない場合や、広告宣伝競争激化によるユーザー獲得コスト高騰等の事象が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 特定の取引先及びサービスへの依存度が高いことについて

当社グループが提供するサービスの多くは、通信キャリアやソーシャルゲームプラットフォーム及びアプリマーケットを通して提供しております。そのため、通信キャリア、ソーシャルゲームプラットフォーム運営会社、アプリマーケット運営会社への依存度は高くなっております。また、特定サービスの売上高の占める割合が高く、当該サービスへの依存度が高くなっております。

各運営会社の事業戦略の変更、手数料率の変更、契約の終了や中止等が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当該特定サービスの業績が急激に悪化した場合には、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ ユーザーの嗜好の変化について

当社グループの開発運営するモバイルゲーム事業及びコンテンツ事業では、ユーザーの嗜好の変化は非常に激しくなっております。当社では、マーケティング分析等を行い、ユーザーの嗜好に合うコンテンツ開発及び運営を行い競合他社とは異なる特色あるサービスの提供をするよう努めております。

しかしながら、ユーザーの嗜好の変化への対応が遅れた場合や新規参入企業や競合他社のサービスとの十分な差別化が図れない場合には、想定より会員数や課金アイテム等の収益が減少する可能性があります。その結果、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)組織体制に関するリスク

① 特定人物への依存について

当社の創業者であり代表取締役である宮嶌裕二は、当社の強みである事業の創出やノウハウを蓄積しており、実際の事業の推進においても重要な役割を果たしております。また、各サービスのプロジェクト責任者等はプロジェクトに対するノウハウ等を蓄積しており、事業運営上においても重要な役割を果たしております。

当社グループは、同氏及び特定の人物に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、人材の育成及び強化を進めております。しかしながら、何らかの理由により特定の人物が当社の業務執行、プロジェクトを遂行できない事態となった場合には、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材確保、教育及び育成について

当社グループが継続して事業拡大を進めていくには、当社の人材バリュー(注1)、行動バリュー(注2)を理解し実践できる人材を確保及び育成していくことが重要であると考えております。

しかしながら、事業拡大に応じた人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合や、有能な人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(注1)「協調性」「主体性」「責任感」の3つであり、当社で働く社員には特にこの人材バリューを、求める人物像として掲げています。

(注2)「社員は財産である」「チャレンジし続ける」「スピード×クオリティ」「ありがとうで高収益を」の4つであり、当社で働く社員には特にこの行動バリューに沿った行動をとるように周知しております。

 

③ 内部管理体制について

当社グループは、企業価値の継続的かつ安定的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であり、同時に適切な内部管理体制の構築が必要であると認識しております。

当社グループでは、内部監査や内部統制報告制度への対応、さらには法令や社内規程等の順守の徹底を行っておりますが、事業の急速な拡大により十分な内部管理体制の構築が追いつかない事態が生じる場合には適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制に関するリスク

① 法的規制について

当社グループが属するモバイルインターネット業界は様々な法的規制の対象となっており、当社グループでは「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」等の各種法的規制に対して、法令に抵触することの無いようコンプライアンス規程の整備・運用を行っております。しかしながら、今後、現行の法制度が見直され新たな法規制が生じた場合には、当社の事業に多大な制約が生じるとともに当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが取り組むブロックチェーン事業につきましては、近年生まれた新しい分野でもあります。当社グループとしましては、弁護士等の専門家や関係各所へ相談し、法令に抵触しないよう開発・運用を進めております。しかしながら、現行法制度の見直し・改正等により、当社の事業に多大な制約や変更が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 知的財産の管理について

当社グループの事業はコンテンツに関わるビジネスであり、知的財産の管理は重要な課題と認識しております。そのため、知的財産権管理規程を定めて業務を行っております。

イ.当社グループ保有の知的財産について

当社グループでは、「駅メモ!」等の事業及びサービス名について商標登録を行い、知的財産権の獲得及び保全を行っております。

しかしながら、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、問題の解決に多大な時間及び費用を要し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

ロ.当社グループによる第三者保有の知的財産の侵害について

当社グループでは、外部からコンテンツの使用許諾等を得る場合は第三者の知的財産権に対する権利侵害がないことを確認するため、事前に顧問弁護士への相談等を実施した上で契約締結を行っております。また、コンテンツ制作の一部を委託している外注先との契約においても、第三者の知的財産権を侵害しない旨を合意しております。

しかしながら、当社の提供するコンテンツが第三者の知的財産権の侵害について確認が不十分であった場合等に、第三者より損害賠償請求を受ける可能性があり、その場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 個人情報の管理について

当社グループは、ユーザーの氏名、住所、メールアドレス等の個人を特定しうる重要な情報を保持しております。そのため、個人情報保護規程や情報資産管理細則等に基づき情報管理体制の強化に取り組んでおります。

しかしながら、2022年4月1日に施行される改正個人情報保護法等により今後さらに規制が強化された場合や、何らかの事情で重要な情報が漏洩し、当事者に対する損害賠償や信用失墜が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 情報セキュリティについて

当社グループは、社内外を問わず社内ネットワークへの不正アクセス等を防止するため、本人確認の強化等、情報セキュリティ管理体制の一層の強化に努めております。

しかしながら、コンピュータ・ウイルスやハッカーの侵入等、各サービスへの想定を超える急激なアクセス増加を起因としたシステム停止、自然災害等に起因するデータセンターへの電力供給の停止等、当社体制不備を含めた想定外の事態が生じた場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他

① 投資有価証券の評価について

当社が保有する投資有価証券について、時価のないものについては期末時点での発行会社の財務状況等により評価しておりますが、当該会社の財政状態の変動により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、当社取締役、従業員に対するインセンティブの目的で新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が新たに発行され、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。

なお、当連結会計年度末日現在において行使条件を満たす新株予約権はありませんが、仮に全ての新株予約権が行使条件を満たした場合の新株予約権による潜在株式数は320,600株であり、発行済株式総数9,246,095株(潜在株式を含む)の3.5%に相当いたします。

 

③ 自然災害について

当社グループは、本社所在地である東京で開発・運営を行っております。しかしながら、大規模地震や台風その他自然災害、新型コロナウイルス感染症等の流行及び事故や火災により開発業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限等、不測の事態が生じた場合には、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。

なお、現在流行中の新型コロナウイルス感染症予防策として、在宅勤務制度を導入し事業活動の影響を抑制しております。

 

④ 株主還元策について

当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識するとともに、持続的な成長に必要な経営体質の強化及び設備投資等を行うことも経営上重要と捉えております。そのため、持続的な成長のために内部留保と株主に対する利益還元をバランスよく実施していく方針であります。

以上から、業績・財政状態及び株価水準等を総合的に勘案しながら、株主に対する充実した利益還元を実施するために、総還元性向30%を目標として配当及び自己株式の取得を行う方針としております。しかしながら、事業環境の急激な変化等により、業績や財政状態等に影響が生じた場合には、目標とする還元策を達成できなくなる可能性があります。

 

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