(1)経営成績等の状況の概要
① 当連結会計年度の経営成績の概況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症等のまん延による行動変化や、ロシアによるウクライナ侵攻を契機として地政学的見地から世界的規模で見直し等が行われているサプライチェーンの混乱が引き続き国内外の経済活動に大きな影響を及ぼしており、これらから生じた世界的な半導体の供給不足や各種機器の納期遅延等が制約となって、景気の先行きは依然として不透明な厳しい状況となりました。
企業においては、これまでの少子高齢化に伴う労働人口の減少や働き手ニーズの多様化等に加え、新型コロナウイルス感染症まん延による行動変化を受けたリモートワーク等への対応等を背景に、業務プロセスの効率化や自動化等の推進にデジタルトランスフォーメーション(DX)として取り組む過程において、レガシーシステムからクラウド環境への移行が進んでいる一方、サイバーセキュリティ強化の観点も鑑みたオンプレミス(自社運用)環境とクラウド環境が混在するハイブリッド環境が増加しております。これらにより、情報サービス業界においては、ITインフラ投資が中長期的には全体として増加するものと考えますが、前述の国内外における経済活動の制約に伴い、短期的には当該投資の抑制が強まりました。
このような状況の下、当社ではパートナー企業と連携した公共セクター等におけるITシステム管理強化支援や、ハイブリッド運用ニーズに対応し、「ITコストの最適化」及び「IT運用管理の効率化」に寄与する、自社開発のITシステム性能監視/情報管理ツール「System Answerシリーズ」の機能拡張及びサポート強化を継続してまいりました。
また、24時間365日有人監視サービス「SAMS」等の顧客ニーズに合致したサービス提供や、日米の特許取得済み技術に基づくIoTセキュリティ基盤サービス「kusabi」に係るパートナー企業との連携強化及び提携拡充など、成長分野における取り組みも推進してまいりました。
当社グループは、ソフトウエア・サービス関連事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。ソフトウエア・サービス関連事業の内、当社におけるITシステム監視関連に係る売上区分別の業績は以下のとおりであります。
ライセンスの販売については、大企業を中心とするシステム運用関連に対する投資抑制傾向に加え、半導体の供給不足に端を発するサーバー供給の滞り等が影響し、前期比で想定以上の減少となりました。一方でサービスの提供については、「SAMS」サービスの順調な拡大に加え、既存顧客に対するコンサルティング等の増加により大幅に増加しました。また、その他物販につきましては、公共セクターを中心とする大型案件の受注により増加いたしました。その結果、ライセンスの販売については売上高632,694千円(前期比32.8%減)、サービスの提供については売上高465,701千円(前期比4.5%増)、その他物販等については売上高288,992千円(前期比42.0%減)となりました。
また、連結子会社の株式会社サンデーアーツにおきましては、費用の見直し等を徹底し、損益も若干の黒字で推移しました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高1,501,125千円(前期比25.4%減)、営業損失48,017千円(前期は280,804千円の営業利益)、経常損失は22,606千円(前期は273,928千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は17,544千円(前期は197,047千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
② 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、3,255,762千円(前連結会計年度末は3,260,054千円)となり、4,291千円減少しました。これは主に、現金及び預金が101,206千円、投資有価証券が269,767千円それぞれ増加した一方で、売掛金が469,315千円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、1,424,947千円(前連結会計年度末は1,508,904千円)となり、83,956千円減少しました。これは主に、短期借入金が80,000千円、未払金が41,956千円、それぞれ増加した一方、長期借入金が116,896千円、未払法人税等が104,067千円それぞれ減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、1,830,815千円(前連結会計年度末は1,751,150千円)となり、79,665千円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上に伴い、利益剰余金が17,544千円減少した一方で、その他有価証券評価差額金が96,609千円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1,406,317千円となり、(前連結会計年度末は1,305,110千円)となり、101,206千円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは342,787千円の収入(前連結会計年度は446,445千円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純損失の計上29,794千円、法人税等の支払150,092千円により資金が減少した一方で、売上債権の減少469,315千円により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは199,383千円の支出(前連結会計年度は319,737千円の支出)となりました。この主な要因は、投資有価証券の取得による支出117,064千円、保険積立金の積立による支出68,586千円により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは42,197千円の支出(前連結会計年度は50,656千円の支出)となりました。この主な要因は、短期借入れによる収入80,000千円により資金が増加した一方で、長期借入金の返済による支出122,396千円により資金が減少したことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
イ 生産実績
当社グループは、生産活動は行っていないため該当事項はありません。
ロ 受注実績
当社グループの事業は、受注から販売までの所要日数が短く常に受注残高は僅少であります。したがって、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。
ハ 販売実績
当社グループはソフトウエア・サービス関連事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、当社グループの売上高の大半を占める当社におけるネットワークシステム監視関連事業に係る販売実績を提供区分別に示すと、次のとおりであります。
区分 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
ライセンスの販売 |
632,694 |
△32.8 |
サービスの提供 |
465,701 |
4.5 |
その他物販等 |
288,992 |
△42.0 |
合計 |
1,387,388 |
△26.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 財政状態の分析
当社グループの財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成
績及びキャッシュ・フローの分析の状況 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態」に記載のとおりであり
ます。
ロ 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度において、売上高1,501,125千円の主な内容は、アイビーシー株式会社におけるネットワークシステム監視関連に係る業績であります。なお、当社グループの当連結会計年度における売上高の詳細は次のとおりであります。
ライセンスの販売については、「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴い、特にライセンスの更新に係る収益認識時期が従前より後にずれ込んだことに加え、大企業を中心とするシステム運用関連に対する投資抑制傾向、ならびに半導体の供給不足に端を発するサーバーやネットワーク機器供給が滞っている影響により、新規案件の獲得が想定を下回ったことから、前期比で大きく減少しました。一方で、サービスの提供については、次世代MSPサービスSAMS案件や既存顧客に対するコンサルティング等の増加により前年同期比で増加しました。その他物販等については「収益認識に関する会計基準」等の適用により、いわゆる代理人取引に該当するものについて売上高を総額計上から純額計上に変更した影響等により減少しました。その結果、ライセンスの販売については売上高632,694千円(前期比32.8%減)、サービスの提供については売上高579,438千円(前期比1.2%増)、その他物販等については売上高288,992千円(前期比42.0%減)となりました。
(売上原価)
当連結会計年度において、売上原価は476,579千円(前期比264,239千円の減少)となりました。主に、アイビーシー株式会社におけるその他物販売上に係る「収益認識に関する会計基準」等の適用により、いわゆる代理人取引に該当するものについて売上高を総額計上から純額計上に変更した影響及び売上高におけるライセンスの販売の減少等に伴うものであります。その結果、売上総利益は1,024,545千円(前期比247,935千円の減少)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は1,072,562千円(前期比80,885千円の増加)となりました。販売費及び一般管理費について主なものとして、給与及び手当が392,095千円(前期比42,962千円の増加)、業務委託費が73,762千円発生(前期比37,023千円の増加)いたしました。その結果、営業損失は48,017千円(前期は280,804千円の営業利益)となりました。
(営業外収益及び営業外費用)
当連結会計年度において、営業外収益は29,529千円(前期比19,146千円の増加)、営業外費用は4,119千円(前期比13,140千円の減少)となりました。営業外収益及び営業外費用について主なものとして、持分法による投資損益が前期12,911千円の損失から当期13,455千円の利益に転じました。
その結果、経常損失は22,606千円(前期は273,928千円の経常利益)となりました。
(特別利益及び特別損失)
当連結会計年度において、特別利益は発生しておらず、特別損失は7,187千円(前期比884千円の減少)となりました。その主な内訳は、関係会社投資損失引当金繰入額2,187千円及び貸倒引当金繰入額5,000千円を計上した結果によるものであります。その結果、税金等調整前当期純損失は29,794千円(前期は285,516千円の税金等調整前当期純利益)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度において、法人税住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は12,249千円(前期比100,718千円の減少)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は17,544千円(前期は197,047千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
ハ 経営戦略の現状と見通し
当社は自社開発の情報管理/性能監視ソフトウエア「System Answer シリーズ」の機能拡張やサポート強化によるITインフラ性能支援に加え、顧客のITインフラ環境へのセキュリティ診断や各種ソリューション提供を強化し、総合的なITインフラ運用支援により事業の顧客提供価値を一層高めてまいります。また、次世代に対応する開発製品への投資および人財への投資をより一層強化し、中長期的な成長の実現を目指します。
2023年9月期の連結業績予想といたしましては、売上高1,765百万円(当期比17.6%増)、営業利益100百万円(当期は48百万円の営業損失)、経常利益100百万円(当期は22百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は65百万円(当期は17百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)を見込んでおります。
なお、上記に記載した予想数値は、現時点で入手可能な情報に基づいており、実際の業績等は、今後様々な不確定要素により大きく異なる可能性があります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社は、中長期的に持続的な成長を図るため、従業員等の採用に係る費用、人件費、その他営業費用への資金需要があります。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、経常的な運転資金や事業規模拡大による設備投資等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により調達された資金を財源としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を含む会計上の見積りにつきましては、「2.識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報」に記載しております。
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