(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度において、2021年4月にGHIを子会社化し、当社グループの事業の内容及び報告セグメントを、「ITツール事業」及び「ITサービス事業」へ変更しております。
事業の内容及び報告セグメントの変更を踏まえ、当社が掲げてきた「情報の活用」及び「セキュリティ+α」を引き続き当社グループの事業方針とし、営業活動については、ITツール事業において、営業拠点及び隣接地域への積極的な販路拡大を見据えた面開拓戦略を継続しております。ITサービス事業においては、パートナー企業との連携強化による事業拡大の営業戦略を展開しております。
当社グループの事業拡大に向けては、連結営業利益5億円の早期達成という業績目標に向けて、上述の営業戦略の推進による各セグメント事業の拡大に加え、M&Aを含めた投資・資本提携により、当社グループ事業の拡大に努めてまいります。
ITツール事業のセキュリティツールにおいては、身代金要求型ウイルス「ランサムウェア」やメールで感染を広げるマルウェア「Emotet(エモテット)」等、感染被害が目に見える形のサイバー攻撃が拡大し、企業規模を問わず、サイバーセキュリティ対策強化の必要性の認識が高まっております。このような背景により、当社のセキュリティツール製商品群の需要は高まっており、販売が継続して伸びております。2020年4月より国内2社目の総代理店(ディストリビューター)として取り扱いを開始しております世界初のSASE(サシー)プラットフォーム「Cato Cloud(ケイトクラウド)」は、複数の有力SIerとの二次店(リセーラー)契約締結により、販売実績が順調に増加しております。
ITツール事業の働き方改革ツールについては、新型コロナウイルス感染症対策による在宅勤務導入の広がりにより、当社働き方改革支援製品「Eye“247”Work Smart Cloud(アイ・トゥエンティフォー/セブン ワークスマート クラウド)」の導入企業が1,700社超と増加いたしました。しかし、市場の競争環境も高まっているため、「Eye“247”Work Smart Cloud」の競争力向上に向けた製品力の強化に注力しております。
ITサービス事業においては、連結子会社GHIに対するITエンジニア人材(以下、「IT人材」という。)需要は益々高まっており、今後のさらなる事業成長が期待されます。新型コロナウイルス感染症対策による入国者制限が緩和される動きにあり、国外IT人材の入国が進むことで、より一層の人材供給増加が見込めます。2022年1月には、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、「CTC」という。)との資本業務提携契約を締結し、同年2月28日付で、GHIの一部株式を譲渡いたしました。IT人材の採用・育成・供給サイクルを強化し、CTCと協同してIT人材需要の取り込みに取り組んでおります。
また、2022年1月には、投資・M&Aとアジア進出の専門パートナーであるNexpanderJapan合同会社(以下、「NPJ」という。)と資本業務提携も行い、同年2月からNPJの代表を務める金 相集氏(以下、「金氏」という。)を顧問に迎えております。NPJが日本国内に限らず、広くアジアにおいて有する強固な事業ネットワークを活用し、「テレワーク」、「クラウド」、「アジア」をキーワードとした投資・M&Aを加速させます。当社グループ既存事業とのシナジー効果が期待される関連事業や、これからの成長性が期待される新興事業等、NPJと協力して、当社グループの成長に資する事業獲得に取り組んでまいります。NPJとの取り組みについては、新たな営業代理店網を構築し、当社グループ製商品群の販売拡大にも合わせて取り組んでまいります。NPJに対しては、当社グループが目標とする連結営業利益5億円の達成を行使条件とする新株予約権を割り当て、当社グループの事業成長に強くコミットいただいております。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,682,921千円となりました。しかし、当社働き方改革支援製品「Eye“247”Work Smart Cloud」の製品力強化に向け、積極的に開発活動を継続しており、また、GHIの子会社化に係る一時的な子会社取得関連費用20,871千円を計上した結果、営業損益、経常損益及び親会社株主に帰属する当期純損益は、営業損失57,517千円、経常損失59,403千円、親会社株主に帰属する当期純損失29,416千円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(ITツール事業)
上記の各取り組みの結果、ITツール事業の当連結会計年度の売上高は1,043,855千円、セグメント利益は104,233千円となりました。
(ITサービス事業)
上記の各取り組みの結果、ITサービス事業の当連結会計年度の売上高は639,066千円、セグメント利益は90,184千円となりました。
なお、当連結会計年度は連結財務諸表の作成初年度であるため、前年同期との比較分析は行っておりません(以下、同様)。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,343,586千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、92,021千円の支出となりました。主な要因は、税金等調整前当期純損失47,230千円を計上し、売上債権が100,373千円増加した一方、仕入債務が38,488千円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、123,883千円の支出となりました。主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出132,623千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、29,988千円の獲得となりました。主な要因は、短期借入金の返済による支出50,000千円の一方、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入79,980千円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産実績が販売実績とほぼ同額となるため、記載は省略しております。
b.受注実績
当社グループは受注実績が販売実績とほぼ同額となるため、記載は省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
ITツール事業(千円) |
1,043,855 |
ITサービス事業(千円) |
639,066 |
報告セグメント計(千円) |
1,682,921 |
その他(千円) |
- |
合計(千円) |
1,682,921 |
(注)1.セグメント間の内部売上高は相殺消去しております。
2.当連結会計年度において、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。
財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計の額は、2,232,023千円となりました。主な内訳は、現金及び預金1,343,586千円、売掛金256,210千円、のれん187,569千円及び投資有価証券126,477千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計の額は、838,981千円となりました。主な内訳は、前受金211,828千円及び長期前受金280,810千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計の額は、1,393,041千円となりました。主な内訳は、資本金796,631千円及び資本剰余金838,753千円であります。
経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、1,682,921千円となりました。主な要因は、サイバーセキュリティ対策の必要性の高まりにより、ITツール事業のセキュリティツール製商品群の販売が増加いたしました。継続する新型コロナウイルス感染症の対策とした在宅勤務等のテレワークの運用管理として、同事業働き方改革ツールの働き方改革支援製品「Eye“247”Work Smart Cloud」の販売も増加し、導入企業が1,700社超となりました。ITサービス事業においては、子会社GHIのIT人材に対する需要が高く、堅調な実績となったことによるものであります。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、745,988千円(売上総利益率44.3%)となりました。主な要因は、ITツール事業のセキュリティツール製商品群の販売に伴う仕入原価及びITサービス事業の子会社GHIのIT人材の原価計上によるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、△57,517千円の営業損失となりました。主な要因は、販売費及び一般管理費において、当社グループの製品価値向上に向けた技術開発部門の計画的な増員及び製品の開発活動のスピード化に伴う関連経費等が増加したこと及びGHIの子会社化に係る一時的な子会社取得関連費用20,871千円を計上したことによるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、△59,403千円の経常損失となりました。主な要因は、第12回新株予約権の発行にかかる株式交付費1,835千円を計上したことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、△29,416千円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。主な要因は、特別利益として子会社GHIが入居するビルの土地開発等に伴う立ち退きに係る解決金13,800千円を計上し、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用に伴い発生した繰延税金負債に係る法人税等調整額(益)21,093千円及び2022年2月に子会社GHI株式の一部をCTCに譲渡したことによる当社持分変動の差額に係る法人税等相当額の発生により、法人税、住民税及び事業税(益)19,802千円を計上したことによるものであります。
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績について、財政状態においては自己資本比率61.3%、流動性比率は369.8%と安定した財政状態と認識しております。
経営成績については、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、売上高に対してITツール事業が6割を占めております。当社グループは、連結営業利益5億円の早期達成という業績目標に向け、より安定した成長基盤の実現のため、対処すべき課題として①販路の拡大、②収益構造における事業構成の多様化、③新製商品及び新規事業の企画開発を掲げ、各施策に取り組んでおります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローは、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」のとおり、現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、1,343,586千円となりました。これは、営業活動によるキャッシュ・フローが92,021千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが123,883千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが29,988千円の獲得となったことによるものであります。
営業活動における資金獲得となるよう事業活動に取り組みつつ、今後のさらなる成長に向けた積極的な投資活動と、投資に向けた幅広い財務戦略を展開してまいります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ITツール事業における仕入部材やソフトウェアのロイヤリティ等の支払費用及びITサービス事業GHIのIT人材に係る費用並びに販売費及び一般管理費等の経費であります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性とその源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金のほか多様な調達手段を検討してまいります。
当連結会計年度末における借入金である有利子負債の残高はありません。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,343,586千円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の業績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りのもつ不確実性により、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループは特に以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、連結財務諸表「注記事項(追加情報)」に記載しております。
a.繰延税金資産
繰延税金資産は、定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断において、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額は、その時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合には、回収が不確実な部分の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、親会社株主に帰属する当期純損益が変動する可能性があります。
b.固定資産の減損
固定資産は、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しております。資産計上したサーバー等のハードウェアやサービスの提供に用いるソフトウェア等について、事業環境の悪化や開発コストの増加等で当初想定した投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合に、固定資産の減損処理を行う可能性があります。
c.投資有価証券の評価
当社グループは、業務提携並びに業務提携を視野にいれた経営戦略として、非公開会社の株式を保有しております。非公開会社の株式については、当該会社の財政状態の悪化により実質価格が取得原価に比べて著しく下落した場合には回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除き、減損処理を行なうこととしております。
そのため、投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に回収不能額が生じた場合は、減損処理が必要となる可能性があります。
d.のれんの償却期間
事業計画に基づいて算出した将来キャッシュ・フローの累積額と投資額を比較し、概ね12年で投資の回収がなされることから、のれんの償却期間を12年と見積っております。
将来キャッシュ・フローは、対象会社の5ヵ年の事業計画に基づいており、当該事業計画は、ITエンジニア人員計画、稼働率及び売上単価等を主要な仮定としております。
なお、のれんの回収可能性については、子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定した収益等が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、翌連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。
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