業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大により極めて先行き不透明な状況が続いております。

 当社グループが属する国内ゲームアプリの市場規模は、「ファミ通ゲーム白書2021」によると、2020年に1兆3,146億円と前年比8.4%増の成長を遂げており、堅調な成長が見込まれております。しかし、中国・韓国系を中心とした海外パブリッシャーによるタイトルのシェアが年々増加しており、また、各ゲームタイトルのリッチコンテンツ化が進行しております。そのため、資金調達力などの企業体力に限界のある、小・中規模事業者の淘汰が急速に進行しており、今後も事業者間の合従連衡が行われていくものと考えております。

 このような市場環境のもと、当社グループは、スマートフォンゲームの運営に特化したゲームサービス事業を主力事業としております。既にリリースされているゲームタイトルをゲームメーカーから買取や協業、またはM&Aで仕入れ、国内最大数のタイトル運営で蓄積したデータ・アセット・ノウハウをシェアリングすることで収益性を高め、タイトルの長期利益化・長期運営を実現しております。

 また、当社は、既存産業のDXが進む2020年代において、「デジタルの力で繋がりを拡張する」というミッションの下、強みのDX技能をゲーム領域に加えスポーツ領域のコミュニティに投下し、ファンタジースポーツとクラブDXとして事業化に取り組んでおります。

 当連結会計年度においては、既存タイトルでは堅調に推移したものの、通期を通した仕入れタイトル数の減少並びに遅延が影響し、前年同期比減収減益となりました。しかし、当第4四半期において、2021年度より新たな取組みとなる受託スキームにより、超大型タイトルを含めた2本のタイトルの仕入れを実現いたしました。また、ゲームファンへのさらなる価値提供を実現するため、株式会社Gaudiyと戦略的事業提携を行い、同社のブロックチェーン技術を活用したゲームコミュニティの提供を開始いたしました。ゲームサービス事業の再成長による安定した利益創出に向け、引き続き、獲得後の長期運営に必要な運営力、新たな価値提供の確立、新規獲得に必要な競争力・渉外力を強化してまいります。

 また、当連結会計年度において、2タイトルの仕入れと2タイトルのエンディングを行い、2021年12月末時点での運営タイトル数は32となっております。

 ファンタジースポーツでは、新たな競技への横展開となる「B.LEAGUE#LIVE2021」を2022年3月にローンチすることが決定いたしました。また、2021年6月にローンチした「プロ野球#LIVE2021」のKPI分析、検証を進めるとともに、新シーズン向けとなる「プロ野球#LIVE2022」を2022年4月にローンチすることが決定いたしました。「B.LEAGUE#LIVE2021」では、法的安定性を確保したスポンサー賞金スキームを導入し、ファンタジースポーツ事業のマネタイズを開始いたします。また、国内のファンタジースポーツ領域のNo.1を目指し、省庁を含めた議論の場への情報提供を行い、適正な国内市場の形成を牽引するとともに、当社における第二の柱となる事業として確立を目指してまいります。

 クラブDX事業では、FC琉球の物販・ファンクラブ事業において、デジタルインフラの構築、業務フローの全体最適化によって、継続的な成果を得ることができました。2022年度より、FC琉球との取組み強化を行い、収益拡大を目指します。また、2021年9月には、滋賀県大津市をホームとするプロバスケットボールクラブを運営する株式会社滋賀レイクスターズの株式75%を取得し、FC琉球との取組みで示した当社DX技能を活用しクラブDX事業の横展開を開始いたしました。

 なお、当連結会計年度において、当社グループにおける新型コロナウイルスの影響は限定的です。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は10,571,184千円(前連結会計年度比8.3%減)、営業利益は577,611千円(前連結会計年度比49.1%減)、経常利益は546,442千円(前連結会計年度比51.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は229,274千円(前連結会計年度比79.7%減)となっております。

 なお、当社グループはゲームサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ723,114千円増加し、3,478,945千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、527,961千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益471,930千円などの増加要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、14,969千円となりました。主な支出要因は、長期前払費用の取得による支出

150,500千円などによるものであります。
 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、210,102千円となりました。これは主に、長期借入れによる収入500,000千円などによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当社グループは、ゲームサービス事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

ゲームサービス事業(千円)

10,571,184

91.7

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社ディー・エヌ・エー

3,025,653

26.2

2,158,698

20.4

Apple Inc.

1,936,266

16.8

1,616,381

15.3

グリー株式会社

1,911,222

16.6

1,399,576

13.2

Google LLC

1,498,352

13.0

1,154,476

10.9

株式会社セガ

182,549

1.6

1,109,988

10.5

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 財政状態の分析

 (資産)

 当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べて764,697千円増加し、5,814,564千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加(前連結会計年度末比744,323千円の増加)、繰延税金資産の減少(前連結会計年度末比155,389千円の減少)などがあったことによるものであります。
 

 (負債)

 当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べて465,447千円増加し、2,996,587千円となりました。これは主に、長期借入金の増加(前連結会計年度末比493,199千円の増加)などがあったことによるものであります。
 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて299,250千円増加し、2,817,977千円となりました。これは主に、利益剰余金の増加(前連結会計年度末比5,002,138千円の増加)などがあったことによるものであります。

 

③ 経営成績の分析

 (売上高)

  当連結会計年度の売上高は、タイトルの獲得の遅延等により、前連結会計年度に比べ8.3%減の10,571,184千円となりました。

 

(売上原価及び売上総利益)

  当連結会計年度の売上原価は、プラットフォーム手数料の減少等により、前連結会計年度に比べ2.0%減の6,278,739千円となりました。この結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ16.3%減少し4,292,445千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

  当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、人件費をはじめとする各種費用の適正化に努めたことから、前連結会計年度に比べ7.0%減少し3,714,834千円となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

  当連結会計年度の営業外収益は、消耗品売却収入や消費税差額等の減少により、前連結会計年度に比べ35.2%減少し4,952千円となりました。当連結会計年度の営業外費用は、社債発行費が増加したこと等から、前連結会計年度に比べ38.9%増加し36,121千円となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ570,432千円減少し546,442千円となりました。

 

(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

  当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ45,952千円増加し46,330千円となりました。当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べ25,388千円増加し120,841千円となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ900,574千円減少し229,274千円となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概

要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,478,945千円となっております。

 ゲームサービス事業の持続的な成長に伴う運転資金、ゲームタイトルの仕入れ、将来的なM&A等の可能性に備えております。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、スマートフォンゲーム市場の変化、他社との競合、プラットフォーム運営事業者や業務提携先との関係、技術革新への対応度合い、特定経営者への依存、人材の確保育成、ネットワーク災害、コンプライアンスと内部管理体制、知的財産権、個人情報管理、サービスの安全性及び健全性等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社グループは、優秀な人材の採用、セキュリティ対策、新規事業の開拓、魅力ある新たなゲームタイトルの仕入や業務提携及びゲームメーカー又はその事業のM&A等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。

 

(3)経営者の問題意識と今後の方針について

 当社グループの経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。

 そのために、ゲームサービス事業における展開、新規事業・サービスへの積極的な取組み、システム技術・インフラの強化、優秀な人材の確保と育成、内部管理体制の強化等を行ってまいります。

 

(4)経営戦略の現状と見通し

 2020年代のメガトレンドとして、既存産業のDXが進む中、当社グループは強みのDX技能をゲーム領域とスポーツ領域を主軸に投下し、ゲームサービス事業と新規で注力しているスポーツDX事業の2本柱での事業展開を進めております。

 ゲームサービス事業では、再成長による安定した利益創出に向け、既存タイトルでのマーケティング注力やゲームコミュニティによる新たな価値提供を通じた売上増加を目指すとともに、当社の強みである運営力を磨き適正なコスト削減に取り組みを進めてまいります。また、ゲームタイトルの大型化などのタイトルの特性変化に合わせ、新規獲得体制や獲得スキームを一層強化し、当社におけるタイトル運営数の増加を通じて、盤石な利益創出を目指します。

 スポーツDX事業は、ファンタジースポーツ事業とクラブDX事業を展開しております。ファンタジースポーツ事業は当社の次なる成長を牽引する再注力事業と定め、スポーツとユーザーの新たなコミュニティを形成し、形成したコミュニティに対してデイリーファンタジースポーツ等の複数のマネタイズを行うことで、複利成長を目指せるモデル構築を進めております。また、クラブDX事業では、スポーツIPを通じて、SDGsや社会貢献への取組みを強化することで、当社のブランド力向上を図ります。

 ゲームサービス事業による盤石な利益創出、ファンタジースポーツ事業による複利成長のモデル構築、クラブDX事業による高いブランド力の獲得を通じて、持続的な企業価値向上に取り組みます。

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