(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が継続する厳しい状況で推移しましたが、ワクチン接種の進展や各種感染症対策の継続により個人消費にも持ち直しの動きが見られてきました。原料となる板紙出荷量も前年より増加傾向にあります。一方で、世界的な原材料の需給逼迫や海外からの物流停滞により調達価格の上昇や納期遅延が発生し、加えて新型コロナウイルス感染症も新たな変異株が発生したことで収束の見通しが立たないなど先行き不透明な状況は続いております。
海外の経済においても、欧米や中国を中心に新型コロナウイルス感染症に対するワクチン普及等により経済活動の正常化が進みつつあります。しかし、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株の発生、中国経済の減速、米国のインフレなど、先行きは厳しい不透明な状況が続くものと思われます。
このような状況の中、当社グループでは、「包装を通じて社会に奉仕します」の社是に則り、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において、お客様にはWeb会議ツールを駆使して受注活動を進めてまいりました。当社グループ一体でお客様への供給責任を果たすべく、各部門で従来からの課題の解決に取り組むとともに部門相互で連携を強化し、全社一体となってお客様と締結した品質契約と個別契約の要求基準を満たす製品を生産し、確実な納品を徹底してまいりました。そのために防虫対策をはじめとした生産環境の改善にも努めてまいりました。このように「優秀な製品」「確実な納品」「適正な価格」の造り込みを進めてまいりました。
また、当社グループでは、ESGを経営の根幹に据え、事業を通じて社会的課題の解決を図るよう努めております。単に利益を求めるのみではなく、「包装を通じて社会に奉仕する」ことを愚直に追い求め、ESGを重視した経営を実践することで、更なる企業価値の向上と持続的成長を目指しております。その中で、環境への取組みとしては、包装業界の先駆者として、脱プラスチック・省資源・易廃棄などのパッケージを開発・促進し、再生利用による循環型社会に貢献するSDGs実践企業を目指して、環境方針を制定し行動しております。結果として国内においてはエネルギー由来CO2排出量を前年同期比4.0%効率化とより少ないエネルギーと素材をより無駄なく製品化することで環境負荷低減に貢献いたしました。持続可能な調達を推進するお客様の要求に応えるべく、環境に配慮したパッケージの設計を提案するとともに、森林認証紙の使用にも対応し、当連結会計年度の当社での使用原紙重量比の78.4%が認証紙となっております。知的財産への投資等に関しては、当社ではホストコンピュータによるバッチ処理を見直し、ペーパレス化とリアルタイム情報の把握から最適なタイミングでの事業判断ができるよう、DX開発への取組みに着手いたしました。DXに向けて、グローバルスタンダードで標準化されたERPパッケージ導入とオペレーションのトレーニングを進めております。この取組みは、自分の仕事に対するイノベーションや新しい知識を取り入れて全従業員の70%を技術者に成長させていくために相応の人員と工数を費やす人的資本への教育投資として位置付けております。このほか、従業員の健康状況に関しては、日々情報を収集し、全社で共有しております。新型コロナウイルス感染症に対しては、すべてのステークホルダーへの安全安心を最優先に、従業員とその家族への消毒の徹底および感染対策の指導、工場内の入場制限、ソーシャルディスタンスの確保、時差出勤など、人への安全確保を第一とした各種感染症拡大防止策の励行を徹底してまいりました。
中国事業においては、上海古林国際印務有限公司は、環境対応として当局の指導に基づき2020年12月に市街地から郊外へVOC対策を施した工場移転を完了し、2021年度初めから本格稼働を開始いたしました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ503百万円減少し、17,007百万円となりました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ314百万円増加し、7,371百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が243百万円増加、棚卸資産が46百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ817百万円減少し、9,637百万円となりました。これは、投資有価証券が895百万円減少したこと等によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ74百万円減少し、8,577百万円となりました。
流動負債は前連結会計年度末に比べ116百万円増加し、6,853百万円となりました。これは、短期借入金が201百万円増加したこと等によるものであります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ189百万円減少し、1,724百万円となりました。これは、繰延税金負債が292百万円減少したこと等によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ429百万円減少し、8,430百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が624百万円減少、為替換算調整勘定が176百万円増加したこと等によるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は16,147百万円(前年同期比3.9%減)、営業利益は170百万円(前年同期比70.1%減)、経常利益は185百万円(前年同期比69.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は136百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a.日本
当社および国内連結子会社においては、セグメント間の売上高を含め売上高は13,127百万円(前年同期比2.4%減)となりました。総じて新型コロナウイルス感染症拡大の影響が前第2四半期連結会計期間以降現在に至るまで及んでおります。セグメント利益は売上高の減少が利益に影響し、319百万円(前年同期比47.2%減)となりました。
b.中国
当社グループにおいては、セグメント間の売上高を含め売上高は4,162百万円(前年同期比9.5%減)となりました。古林紙工(上海)有限公司を前連結会計年度末に連結除外したことが影響しております。セグメント利益は原材料費上昇に対して販売価格への転嫁を進めたものの上海古林国際印務有限公司の工場移転に関わる費用の増加等により、2百万円(前年同期比98.8%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローの増加等により前連結会計年度末に比べほぼ横ばいの当連結会計年度末残高は1,177百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、259百万円(前年同期比55.4%減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益185百万円、減価償却費441百万円、売上債権の増加による資金の減少131百万円、仕入債務の減少による資金の減少121百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、508百万円(前年同期比37.7%増)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出418百万円、無形固定資産の取得による支出108百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、203百万円(前年同期は143百万円の使用)となりました。これは、借入金の増加額314百万円、配当金の支払額55百万円等によるものであります。
③ 生産、受注および販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
日本 (千円) |
11,343,515 |
△1.7 |
中国 (千円) |
4,166,110 |
△7.3 |
合計 (千円) |
15,509,625 |
△3.3 |
(注)1 中国は台湾を含んでおります。
2 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
日本 |
13,083,489 |
△2.7 |
1,168,765 |
△3.5 |
中国 |
3,031,227 |
△6.8 |
246,045 |
4.1 |
合計 |
16,114,716 |
△3.5 |
1,414,810 |
△2.2 |
(注)1 中国は台湾を含んでおります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
日本 (千円) |
13,125,436 |
△2.4 |
中国 (千円) |
3,021,649 |
△9.7 |
合計 (千円) |
16,147,085 |
△3.9 |
(注)1 中国は台湾を含んでおります。
2 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
花王株式会社 |
3,325,853 |
19.8 |
2,930,705 |
18.2 |
レンゴー・リバーウッド・パッケージング株式会社 |
- |
- |
1,679,775 |
10.4 |
4 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
当連結会計年度の販売に関して、当社グループ一体でお客様への供給責任を果たすべく、各部門で従来からの課題の解決に取り組むとともに部門相互で連携を強化し、全社一体となってお客様と締結した品質契約と個別契約の要求基準を満たす製品を生産し、確実な納品を徹底してまいりました。そのために防虫対策をはじめとした生産環境の改善にも努めてまいりました。しかし、日本では、総じて新型コロナウイルス感染症拡大の影響が前第2四半期連結会計期間以降現在に至るまで及んでおり、グループ全体として売上高は減少いたしました。このような状況下、特に新型コロナウイルス感染症に対しては、人への安全確保を第一に2020年年初から各種感染症拡大防止策を講じ、すべてのステークホルダーへの安全安心を最優先に、従業員とその家族への消毒の徹底および感染対策の指導、工場内の入場制限、ソーシャルディスタンスの確保、時差出勤など、人への安全確保を第一とした各種感染症拡大防止策の励行を徹底したことにより、お客様への納品を滞らせることは有りませんでした。その結果、売上高は16,147百万円(前年同期比3.9%減)となりました。このうち、日本の売上高はセグメント間の売上高を含め13,127百万円(前年同期比2.4%減)、中国の売上高はセグメント間の売上高を含め4,162百万円(前年同期比9.5%減)となりました。
当連結会計年度の売上原価、販売費及び一般管理費は、日本では売上高の減少により変動費が減少いたしました。DX開発への取組みとして、ERPパッケージ導入とオペレーションのトレーニングを進めることで人的資本への教育投資を行っております。中国では原材料費上昇に対して販売価格への転嫁を進めたものの上海古林国際印務有限公司の工場移転に関わる費用が増加しました。このような状況下、当社グループではESGを経営の根幹に据え、事業を通じて社会的課題の解決を図るよう努め、結果として国内においてはエネルギー由来CO2排出量を前年同期比4.0%効率化したように少ないエネルギーと素材をより無駄なく製品化することで環境負荷低減に貢献し、コスト削減に努めました。その結果、売上原価は13,735百万円、販売費及び一般管理費は2,243百万円となり、営業利益は170百万円(前年同期比70.1%減)となりました。
当連結会計年度の営業外収益は受取配当金等により146百万円、営業外費用は為替差損等により130百万円となり、経常利益は185百万円(前年同期比69.0%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は136百万円となりました。
c.セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源および資金の流動性につきまして、運転資金需要のうち主なものは生産費用を含む営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは設備投資によるものであります。当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、運転資金および設備資金は自己資本および金融機関からの借入を基本としております。当連結会計年度は、前連結会計年度から引続き新型コロナウイルス感染症の影響に備え、手元流動性を厚くして経営の安全性を高めております。なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は2,955百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,177百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 追加情報」をご参照ください。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2021年12月期の達成・進捗状況は以下のとおりとなります。
売上高は計画比53百万円減(0.3%減)となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きかったことによるものであります。経常利益は計画比215百万円減(53.8%減)となりました。これは主に、売上高の減少に加え、原材料費の上昇と為替差損によるものであります。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、計画比114百万円減(45.6%減)となりました。
指標 |
2021年度(計画) |
2021年度(実績) |
2021年度(計画比) |
売上高 |
16,200百万円 |
16,147百万円 |
△53百万円 (0.3%減) |
経常利益 |
400百万円 |
185百万円 |
△215百万円 (53.8%減) |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
250百万円 |
136百万円 |
△114百万円 (45.6%減) |
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