業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績等の状況

 当事業年度における我が国経済は、前年に続き新型コロナウイルスに翻弄された1年でした。東京2020(オリンピック・パラリンピック)がほぼ無観客ながらも1年遅れで開催され、日本代表選手の活躍で盛り上がりを見せる中、「巣ごもり需要」に対応するニュービジネスが話題となり、業績を回復する企業が増えました。年初の米国新大統領の就任に始まり、わが国やドイツでは新首相が就任する一方で、ロシアや中国の政権長期化とともに対立構造が深まり、世界的な物流や半導体の需要急増、エネルギー資源の高騰など、新しい経済局面を迎えました。

 フォーム印刷業界におきましては、特に公的部門で新型コロナワクチン接種券関係の特需が生じましたが、テレワークやオンライン会議が日常化するニュー・ノーマルの中でビジネス・スタイルのペーパーレスにも一段と拍車がかかりました。

 このような情勢のもと、当社は営業部門におきましては、特に新型コロナワクチン接種関係の公的需要の取り込みに注力し、接種券の印刷発送以外にも、コールセンター業務と連携した予約システムの一括受注を図り、売上の拡大に努めました。

 製造部門におきましては、様々な感染症予防対策を講じて生産力を維持しつつ、一層の省力化・人員配置の効率化に努めました。

 また、セキュリティ委員会を通じて、サイバー攻撃対策などの情報セキュリティ対策を強化すると共に、法令遵守、内部統制、ISO、個人情報保護の諸活動を通じて各製造工程の質的な見直しを図り、社員教育を繰り返し行いました。

 以上のとおり、営業・製造・管理各部門においてそれぞれの体質強化策を推進してまいりました結果、売上高9,565百万円(前期比31.8%増)、経常利益1,229百万円(前期比173.5%増)、当期純利益819百万円(前期比131.1%増)となり、前事業年度に比べ増収・増益となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ976百万円増加し、3,152百万円となりました。
 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動の結果得られた資金は1,096百万円(前年同期比346百万円の増加)となりました。これは主として税引前当期純利益1,208百万円、減価償却費312百万円、仕入債務の増加額160百万円、売上債権の増加額353百万円、役員退職慰労引当金の減少額241百万円及び法人税等の支払額138百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動の結果得られた資金は250百万円(前年同期比113百万円の増加)となりました。これは主として保険積立金の解約による収入185百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入179百万円、有価証券及び投資有価証券の取得による支出144百万円及び有形固定資産の取得による支出28百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果使用した資金は371百万円(前年同期比18百万円の増加)となりました。これは配当金の支払132百万円及びリース債務の返済による支出215百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

製品区分

生産高(千円)

前年同期比(%)

ビジネスフォーム

2,635,889

110.6

一般帳票類

1,447,694

102.5

データプリント及び関連加工

5,207,841

163.8

合計

9,291,424

133.2

(注)1 当社は単一セグメントであるため、製品区分別に記載しております。

2 金額は販売価格で表示しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.商品仕入実績

製品区分

金額(千円)

前年同期比(%)

サプライ商品

243,802

113.8

(注)1 当社は単一セグメントであるため、製品区分別に記載しております。

2 金額は実際仕入額で表示しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.受注実績

製品区分

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ビジネスフォーム

2,682,405

111.3

404,025

127.8

一般帳票類

1,460,971

101.1

147,138

109.9

データプリント及び関連加工

5,436,420

170.6

442,715

206.7

合計

9,579,798

136.0

993,879

149.7

(注)1 当社は単一セグメントであるため、製品区分別に記載しております。

2 金額は販売価格で表示しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

d.販売実績

製品区分

販売高(千円)

前年同期比(%)

ビジネスフォーム

2,594,433

108.8

一般帳票類

1,447,694

102.5

データプリント及び関連加工

5,207,841

163.8

サプライ商品

315,086

112.3

合計

9,565,055

131.8

(注)1 当社は単一セグメントであるため、製品区分別に記載しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①.財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末の総資産は前事業年度末に比べて1,278百万円増加し、10,798百万円となりました。うち流動資産は4,875百万円(前年同期比1,513百万円の増加)、固定資産は5,923百万円(前年同期比235百万円の減少)となりました。流動資産の主な増加要因は、現金及び預金が976百万円、売上債権が353百万円増加したこと等によるものであります。また固定資産の主な減少要因は、保険積立金が159百万円、有形固定資産が72百万円減少したこと等によるものであります。

(負債)

 当事業年度末の負債は前事業年度末に比べて573百万円増加し、2,891百万円となりました。うち流動負債は2,321百万円(前年同期比756百万円の増加)、固定負債は570百万円(前年同期比182百万円の減少)となりました。流動負債の主な増加要因は、未払法人税等が242百万円、前受金が105百万円、賞与引当金が98百万円増加したこと等によるものであります。また固定負債の主な減少要因は、長期未払金が42百万円増加したものの、役員退職慰労引当金が241百万円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末の純資産は前事業年度末に比べて704百万円増加し、7,906百万円となりました。うち株主資本は7,691百万円(前年同期比669百万円の増加)、評価・換算差額等は214百万円(前年同期比34百万円の増加)となりました。株主資本の主な増加要因は、利益剰余金が676百万円増加したことによるものであります。評価・換算差額等の増加要因は、その他有価証券評価差額金が34百万円増加したことによるものであります。

 

②経営成績の分析

 当事業年度の売上高は前事業年度に比べ2,308百万円増加の9,565百万円、売上原価は前事業年度に比べ1,494百万円増加の7,034百万円、販売費及び一般管理費は前事業年度に比べ59百万円増加の1,330百万円となりました。この結果、営業利益は前事業年度に比べて754百万円増加の1,199百万円となりました。

 営業外損益は前事業年度に比べて25百万円増益の29百万円となりました。これは、受取利息及び配当金等による営業外収益が52百万円、支払利息等による営業外費用が23百万円計上されたことによるものであります。この結果、経常利益は前事業年度に比べて779百万円増加の1,229百万円となりました。

 特別損益は前事業年度に比べて32百万円減益の△21百万円となりました。これは、投資有価証券売却益等による特別利益が41百万円、独占禁止法関連損失引当金繰入額等による特別損失が62百万円計上されたことによるものであります。この結果、当期純利益は前事業年度に比べて464百万円増加し、819百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの分析

 当事業年度のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金1,096百万円及び投資活動で得た資金250百万円を、財務活動に371百万円使用しました。その結果、当事業年度の現金及び現金同等物の残高は、前事業年度に比べ976百万円増加し、3,152百万円となりました。

 なお、詳細につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社の主な資金需要は、製造費用や営業費用の運転資金及び設備投資資金であります。資金調達につきましては、運転資金の状況や設備投資計画に照らして必要な資金を、自己資金及び金融機関からの借入等により調達しております。なお、当事業年度末における有利子負債残高はリース債務の529百万円となっております。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載しているとおりであります。

 

⑥経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載しているとおり、自己資本当期純利益率(ROE)10%以上、売上高経常利益率(ROS)13%以上を目標としております。当事業年度は、ROEが10.8%、ROSが12.9%となっており、資本の効率的な運用と収益性の向上に努めてまいります。

 

⑦重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成において、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性から、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社が採用しております重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しているとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症が業績に及ぼす影響については、現在のところ限定的であり、会計上の見積りに大きな影響を及ぼす可能性はないとみております。

 

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