業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 当連結会計年度におけるわが国の経済は、年初から政府による緊急事態宣言の発出や自治体によるまん延防止等重点措置に基づく要請で、行動制限や人流が抑制されて景気は落ち込みと持ち直しを繰り返しました。期待された東京五輪による景気押上げ効果も無観客で限定的なものとなり、1年を通して景気は停滞が続きました。年末にかけて新型コロナウイルス感染症の収束により個人消費は持ち直してきたものの先行きは不透明な状況であります。

 米国の経済は、コロナワクチンの接種の進展に伴い、人々の外出機会が増加し個人消費はサービス業を中心に復調、企業活動も拡大が続いていましたが、年末にかけてオミクロン株の流行により新規感染者が急増し人流が抑制されています。一方、中国の経済は、感染の抑え込みに成功しており、全体としては順調な回復が続いてきましたが、格差是正の政策や電力の規制強化によって先行きは不透明です。

 新型コロナウイルス感染症拡大は、当社グループの経営成績に影響を及ぼしましたが、当社は「前進のためのリセット」をスローガンに掲げ、グループ全社が結束して新たな市場開拓、積極的な設備投資、品質管理の改善など業績の向上に努めてまいりました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は801億77百万円(前年同期比2.2%増加)、営業利益は41億44百万円(前年同期比26.6%増加)、経常利益は44億22百万円(前年同期比22.6%増加)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は28億24百万円(前年同期比18.1%増加)となりました。

 

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 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

 

紙加工品部門

 当社グループ売上高の69.2%を占めるこの部門では、紙袋(対連結売上高構成比27.5%)は、国内における個人消費の停滞による販売の減少から徐々に回復が進みつつあり、また、海外子会社でも特百嘉包装品貿易(上海)有限公司とザ・パックアメリカコーポレーションが好調に推移し、同上売上高は220億32百万円(前年同期比2.6%増加)となりました。

 紙器(同上構成比24.3%)は、テイクアウト用食品パッケージの販売が好調に推移し、また、特百嘉包装品貿易(上海)有限公司もメーカー向けの売上が好調に推移し、同上売上高は194億97百万円(前年同期比13.1%増加)となりました。

 段ボール(同上構成比14.8%)は、メーカーやEC市場向け販売が好調で、同上売上高は118億50百万円(前年同期比11.5%増加)となりました。

 印刷(同上構成比2.6%)は、株式会社京浜特殊印刷、日幸印刷株式会社ともに売上が堅調に推移し、同上売上高は21億31百万円(前年同期比3.9%増加)となりました。

 以上により、この部門の売上高は555億11百万円(前年同期比8.0%増加)となり、営業利益は39億58百万円(前年同期比26.7%増加)となりました。

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化成品部門

 当社グループ売上高の14.0%を占めるこの部門では、紙おむつ用製品の販売減少や新型コロナウイルス感染症拡大による国内専門店向けの販売が減少したほか、2020年7月から実施されたレジ袋有料化の影響により、同部門の売上高は111億84百万円(前年同期比17.1%減少)となり、営業利益は3億97百万円(前年同期比22.4%減少)となりました。

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その他

 当社グループ売上高の16.8%を占めるこの部門では、量販店向け用度品等の販売は堅調に推移し、また、カンナル印刷株式会社でも医療機関向けの用度品の売上が好調に推移しました。一方で西日本印刷工業株式会社や特百嘉包装品貿易(上海)有限公司の売上が減少したこともあり、同部門の売上高は134億81百万円(前年同期比0.7%減少)となりましたが、営業利益は物流費の改善もあり8億82百万円(前年同期比17.9%増加)となりました。

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 財政状態につきましては、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末の835億56百万円から38億66百万円増加し、874億22百万円となりました。負債は、前連結会計年度の238億16百万円から15億74百万円増加し、253億90百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末の597億39百万円から22億92百万円増加し、620億32百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて28億43百万円増加し、180億67百万円(前期比18.7%増加)となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益42億14百万円、減価償却費20億29百万円、法人税等の支払額5億2百万円等により72億17百万円の収入(前連結会計年度は31億55百万円の収入、前期比128.7%増加)となりました。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却による収入96億7百万円等があった一方、有価証券の取得による支出95億5百万円、有形固定資産の取得による支出32億19百万円等により34億60百万円の支出(前連結会計年度は50億13百万円の支出)となりました。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額10億45百万円等により10億29百万円の支出(前連結会計年度は12億14百万円の支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

紙加工品事業

22,907

102.7

化成品事業

2,831

88.0

その他

合計

25,739

100.9

(注)1.金額は製造原価で計算しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

紙加工品事業

59,570

117.8

8,738

186.7

化成品事業

11,205

83.6

823

102.6

その他

13,609

100.6

221

238.6

合計

84,385

108.9

9,782

175.5

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.その他事業の一部は受注生産を行っておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

紙加工品事業

55,511

108.0

化成品事業

11,184

82.9

その他

13,481

99.3

合計

80,177

102.2

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計基準は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。

 当社の連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積り及び判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、収束までの見通しが不透明な状況が続いており、適正かつ合理的に算定することは困難でありますが、当社グループでは、新型コロナウイルス感染症が2022年度以降、徐々に収束していき、2023年度以降に当該感染症が拡大する前の水準に概ね回復していくものと仮定し、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。

 当社グループの事業活動は新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受けており、今後も当社の業績に一定の影響が及ぶことが想定されます。

 

② 当連結会計年度の経営成績の分析

a.売上高

 当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大による個人消費の減速や緊急事態宣言の発出の影響で販売が減少しましたが、消費活動の変化による巣ごもり需要などのEC市場向けの販売は堅調に推移し801億77百万円(前期比2.2%増加)となりました。

 

b.売上総利益

 当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加により611億70百万円(前期比1.7%増加)となりました。

 売上総利益は、新規設備投資により減価償却費が増加したものの生産効率が改善し、190億7百万円(前期比3.8%増加)となり、前連結会計年度と比べ6億92百万円の増益となりました。

 

c.営業利益

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、経費管理を徹底してコスト削減に取り組んだことで148億62百万円(前期比1.2%減少)となりました。

 この結果、営業利益は41億44百万円(前期比26.6%増加)となり、前連結会計年度と比べ8億69百万円の増益となりました。

 

d.経常利益

 営業外損益は、為替差益が減少したものの受取利息が増加しました。

 この結果、経常利益は44億22百万円(前期比22.6%増加)となり、前連結会計年度と比べ8億16百万円の増益となりました。

 

e.親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、28億24百万円(前期比18.1%増加)となり、前連結会計年度と比べ4億32百万円の増益となりました。

 

③ 当連結会計年度の財政状態の分析

a.資産の部

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ38億66百万円増加し、874億22百万円となりました。これは主に「現金及び預金」18億43百万円・「有価証券」29億6百万円の増加、「投資有価証券」16億98百万円の減少によるものです。

 

b.負債の部

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ15億74百万円増加し、253億90百万円となりました。これは主に「支払手形及び買掛金」10億51百万円・「未払法人税等」9億35百万円の増加によるものです。

 

c.純資産の部

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ22億92百万円増加し、620億32百万円となりました。これは主に「利益剰余金」17億80百万円の増加によるものです。

 

④ 戦略的現状と見通し

 戦略的現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。

 

2017年12月期

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

自己資本比率(%)

65.1

65.5

66.0

71.4

70.9

時価ベースの

自己資本比率(%)

87.2

69.1

84.7

64.3

58.6

キャッシュ・フロー対

有利子負債比率(年)

0.0

0.1

0.0

0.1

0.0

インタレスト・

カバレッジ・レシオ(倍)

8,274.9

833.2

2,257.9

2,570.0

5,405.8

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値を用いて、以下の計算式により計算しております。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2.株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4.営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主に商品の仕入れのほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金につきましては、金融機関からの長期借入による資金調達を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金の残高は85百万円となっており、また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は180億67百万円となっております。

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