当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナ感染症に対するワクチン接種や治療薬の普及、経済活動の再開やサプライチェーンの回復などもあり、大幅な円安や物価上昇などの要因はあるものの経済活動は持ち直しの動きがみられました。一方、ウクライナ情勢の長期化をはじめとする地政学上のリスクに加え、米国や欧州におけるインフレ圧力と金融引き締め、中国の景気減速などが経済動向に不確定要素を与えており、世界経済は依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境のなか、当社グループは、当連結会計年度を2024年9月期に終了する中期経営計画の初年度として位置づけ、金融機関のレガシーシステムと日本人のゴールベースプランニングのDX化を実現するために以下のようなサービスを提供しました。
① 当社グループの主力分野である生命保険会社においては、人生における様々なイベントの実現可能性をシミュレーションし、最適な保険商品を提案するシステム開発プロジェクトを受託しました。保険の申込、見積書作成から契約締結までの全プロセスを非対面、ペーパーレス、かつクラウド上実行できるDXシステムを実現しています。また、人生100年時代を見据え、死亡保障・入院介護保障から老後保障までの生涯設計をPC、タブレット、スマートフォンなどのデバイスを使いながらリモートコンサルティングセールスができるライフプラン分析システムを開発し、一人ひとりに合った人生設計プランの提案が可能となるシステムを提供しました。
② 証券会社に対し、複数の投資目標の達成可能性を確率的に予想するゴールベースプランニングの計算ロジック部分をAPI化して提供しました。これにより、証券会社の投資信託売買システムとの一体化が実現され、今後拡大が見込まれる組込型金融ビジネスへ布石を打つことができました。
③ 金融機関のレガシーシステムのDX化として、銀行の融資先企業の経営者・資産家を対象に資産運用、事業承継・財産管理コンサルティングを標準化、自動化するシステムプラットフォーム構築プロジェクトに参画しました。金融機関が保有するレガシーシステムについては、オープン言語化、クラウド化を推進するためのシステム開発を引き続き行っております。
当連結会計年度は、主にゴールベースプランニングに基づく死亡保障と資産形成、資産承継等のパーソナライズされたライフプランの再構築やAPIと連携したシステムソリューションなどを金融機関向けに提供したことにより、売上高は6,747,089千円(前年度比1.7%増、前年度6,631,364千円)となりました。一方で、最優先課題と位置付けた優秀な人材確保やプログラマに対する報酬額等の人的資本投資の増加、ならびにソフトウエア資産にかかる減価償却費の増加等が影響し、営業損失は260,240千円(前年度は営業利益120,496千円)、経常損失は245,813千円(前年度は経常利益117,898千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は248,375千円(前年度は親会社株主に帰属する当期純利益69,568千円)となりました。
また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という)等を当連結会計年度の期首から適用しており、この結果、当連結会計年度の売上高は193,167千円、売上原価が133,990千円増加し、営業損失、経常損失及び税金等調整前当期純損失がそれぞれ59,177千円減少しております。また、利益剰余金の当期首残高は26,344千円増加しております。
なお、当社グループはシステム開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。事業の売上区分別の業績は次のとおりであります。
(システム開発)
生命保険会社向けの①ライフプランシステム、②エステートプランシステム、③生保設計書システム、④生保申込書システム、⑤生命保険契約ペーパーレスシステム、⑥生保販売業務の省略化、効率化、自動化を実現するフロントエンドシステム、非金融機関向けの統合資産形成アドバイスシステム等の開発販売の結果、当連結会計年度のシステム開発売上高は6,315,126千円(前年度比0.8%増)となりました。
ライフプランシステム等で使用する、CAPライブラリ(CAP/Lib)について、使用許諾契約や保守契約は引続き堅調であり、使用許諾・保守運用売上高は399,428千円(前年度比22.2%増)となりました。
システムプラットフォームを活用した富裕層向けの資産管理コンサルティング契約の獲得を進め、 その他売上高は32,534千円(前年度比17.6%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて681,816千円減少し、1,187,888千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、182,173千円の支出(前連結会計年度は996,622千円の収入)となりま
した。これは主として税金等調整前当期純損失340,483千円、売上債権の増加168,437千円を計上した一方で、減価償却費351,559千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、164,646千円の支出(前連結会計年度は525,357千円の支出)となり
ました。これは主として無形固定資産の取得による支出248,789千円を計上した一方で、保険積立金の解約による収入107,977千円を計上したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、334,996千円の支出(前連結会計年度は4,710千円の収入)となりまし
た。これは主として長期借入金の返済による支出624,939千円、配当金の支払額59,968千円を計上した一方で、長
期借入れによる収入400,000千円を計上したこと等によるものであります。
当社グループは、システム開発事業の単一セグメントのため、生産、受注及び販売の状況については、売上の区分別に示しております。
当連結会計年度におけるシステム開発売上の生産実績は、次のとおりであります。なお、他の売上区分については生産に相当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
(注) 金額は、販売価格で記載しております。
当連結会計年度におけるシステム開発売上の受注実績は、次のとおりであります。なお、他の売上区分については受注生産を行っていないため、受注実績に関する記載はしておりません。
(注) 金額は、販売価格で記載しております。
当連結会計年度における販売実績を売上区分別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.「その他」は、富裕層向けコンサルティング、セミナー開催等に関する売上であります。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、それが資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。
これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」を参照ください。
当社グループは、生命保険会社を中心とした金融機関に金融フロントエンドシステムの開発や資産管理プラッ
トフォームの提供を行っております。生命保険会社向けには、①死亡保障から老後の資金運用・相続までをDX
化したライフプランシステムの提供②変額個人年金保険の新商品投入、③契約管理等のバックオフィスのクラウ
ド化、④APIを活用したマルチデバイスによるリモートコンサルティングセールスのDX化等の提供を行いま
した。証券会社向けには、①ファンドラップシステムの横展開、②ゴールベースプランニングのロジックをAP
I提供、③ユーザーインターフェイスと売買システムとのAPI連携等の提供を行いました。銀行向けには、企
業経営者や資産家の事業承継・財産承継の問題を支援するためのゴールベースプランニングシステムのビジネス
ロジックをAPIで提供し、使用料課金を実現しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は6,747,089千円(前年度比1.7%増)となりました。
積極的な営業活動及び研究開発を行う一方で、最優先課題である人材確保やプログラマに対する報酬額等の人的資本投資や減価償却費の増加により、営業損失は260,240千円(前年度は営業利益120,496千円)となりました。
(経常損失)
営業外収益として、受取利息及び配当金を12,040千円、保険解約返戻金を20,203千円計上しました。また、営
業外費用として、支払利息を19,510千円計上しました。この結果、経常損失は245,813千円(前年度は経常利益
117,898千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
役員退職金返上益を31,250千円、法人税等合計△92,108千円を計上した一方で、ソフトウエアの減損損失
127,614千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は248,375千円(前年度は親会社株主に帰属する
当期純利益69,568千円)となりました。
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて770,584千円減少し、5,095,767千円となり
ました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産合計は、前連結会計年度末に比べて475,440千円減少し、3,136,171千円と
なりました。これは主として売掛金及び契約資産が353,203千円増加した一方で、現金及び預金が681,815千円、
仕掛品が155,238千円減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産合計は、前連結会計年度末に比べて295,143千円減少し、1,959,596千円
となりました。これは主としてソフトウエアが299,209千円増加した一方で、ソフトウエア仮勘定が457,194千円
、差入保証金が78,775千円、投資その他の資産のその他に含まれる保険積立金が75,454千円減少したこと等によ
るものであります。
ました。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債合計は、前連結会計年度末に比べて107,744千円減少し、1,642,708千円と
なりました。これは主として買掛金が15,995千円増加した一方で、短期借入金が50,000千円、1年内返済予定の
長期借入金が38,819千円、未払法人税等が23,624千円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債合計は、前連結会計年度末に比べて364,034千円減少し、514,666千円とな
りました。これは主として長期借入金が186,120千円、役員退職慰労引当金が73,166千円、繰延税金負債が26,192
千円減少したこと等によるものであります。
りました。これは親会社株主に帰属する当期純損失を248,375千円、剰余金の配当を59,995千円、収益認識会計基
準の適用に伴う利益剰余金期首残高の増加26,344千円をそれぞれ計上したこと等によるものであります。
経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2事業の状況 2事業等のリスク」を参照ください。
キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」を参照ください。
当社グループは、企業体質の強化を図りながら持続的な企業価値の向上を進めるにあたり、事業運営上必要な資金を、安定的に確保することを基本方針としております。
当社グループの資本の財源は、主に営業キャッシュ・フローで生み出した資金を源泉とし、必要に応じて資金調達を行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金の残高は1,377,961千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,187,888千円となっております。
当社グループは、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、事業の収益力を表す経常利益を重視し、拡大を目指しております。当連結会計年度におきましては、経常損失245,813千円を計上いたしましたが、引続き事業の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させてまいります。
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