業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況

  当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

 a. 財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、1,689,126千円(前連結会計年度末1,323,975千円)となり、365,151千円の増加となりました。このうち、流動資産は942,803千円(前連結会計年度末746,935千円)となり、195,867千円の増加となりました。この主な要因は、受取手形及び売掛金が140,249千円、現金及び預金が52,428千円それぞれ増加したことによるものであります。また、固定資産は741,788千円(前連結会計年度末575,964千円)となり、165,824千円の増加となりました。この主な要因は、繰延税金資産が66,368千円、『シャノンマーケティングプラットフォーム』の機能強化や『ZIKU』の開発等によるソフトウエア及びソフトウエア仮勘定の合計が54,845千円、それぞれ増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、1,043,225千円(前連結会計年度末790,637千円)となり、252,588千円の増加となりました。このうち、流動負債は641,359千円(前連結会計年度末476,213千円)となり、165,146千円の増加となりました。この主な要因は、前受金が70,025千円、未払金が40,148千円、1年以内償還予定の社債が40,000千円それぞれ増加したことによるものであります。また、固定負債は401,866千円(前連結会計年度末314,424千円)となり、87,442千円の増加となりました。この主な要因は、社債が130,000千円増加した一方で、長期借入金が42,558千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、645,901千円(前連結会計年度末533,337千円)となり、112,563千円の増加となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が107,885千円増加したことによるものであります。

 

 

 b. 経営成績

 当社グループが属するクラウドサービス市場においては、クラウドサービスを利用している企業の割合は引き続き上昇傾向にあります。総務省の令和2年「通信利用動向調査」によると、2020年度末におけるクラウドサービス利用企業の割合は68.7%(前年 64.7%)に拡大しています。また、同調査によると、資本金規模別のクラウドサービス利用状況においても、大企業を中心に引き続きその利用率は拡大傾向にあります。このように成長を続けるクラウドサービス市場の中で、当社が属するマーケティングオートメーション(SaaS)分野も例外ではなく、今後も11.4%(2020~2025年度の年平均成長率)の市場成長率が見込まれています(出展:株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2021年版」)。

 一方で、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う緊急事態宣言の発出による各種経済活動の自粛、オフライン開催でのセミナーやイベント・展示会の開催中止やイベント開催における収容率要件や人数上限といった制限措置は、当社のマーケティング活動(イベント出展等)やイベントマーケティングサービスにも大きな影響を与えましたが、ウェビナーを活用した自社マーケティング活動の実施やイベントマーケティングサービスにおけるオンラインカンファレンス、バーチャルイベントへの取り組みによりこの状況を乗り越えるだけでなく、むしろ良い機会と捉え、アフターコロナの時代に向けて、更なる成長の糧にしていきたいと考えています。

 また、当連結会計年度においては、中期的な成長を加速するための投資として、採用活動の強化やM&Aにも積極的に取り組むことができました。なお、2021年10月21日に公表いたしましたヴィビットインタラクティヴ株式会社の株式取得に関しては、株式譲渡が2021年11月1日付であるため、当連結会計年の連結決算には基本的には影響はしないものの、会計基準に基づき処理を行った結果、取得関連費用(M&A仲介手数料、デューデリジェンス費用)については、当連結会計年度の費用として計上しています。

 

 このような状況の中、当連結会計年度における売上高については、最重点方針として取り組んでいるマーケティングオートメーションサービスにおけるサブスクリプション売上は、大型案件の解約の影響を受ける中で、新規案件の獲得や、従量課金売上の発生が寄与したことでその影響を吸収し、堅調に推移しました。

 また、イベントマーケティングサービス売上は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受ける事業環境の中で、東京2020オリンピック・パラリンピックが無観客という形で開催されるなど、不透明な事業環境が継続した影響もあり、期初の想定に対して、若干のビハインドとなったものの、オンラインカンファレンス、バーチャルイベント案件を軸に大きな影響を受けることなく推移しました。

 一方で、費用面については、コロナ禍での在宅勤務や活動自粛による各種費用(旅費交通費、交際費、消耗品費等)が減少したことが少なからず収益に寄与した半面、M&Aが想定より早期に決着した影響で、M&Aの取得関連費用(M&A仲介手数料、デューデリジェンス費用)を計上したことや、マーケティングオートメーションサービスにおいて、一部の大型案件で対応リソースが不足した影響もあり社内工数よりも割高となる外注費が想定よりも膨らんだこと、積極採用により採用費が例年よも多くなったこと等が影響しました。

 また、当社は近年の業績が堅調に推移し、将来にわたり課税所得の発生が見込まれることから、企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」における会社分類の見直しを行い、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、当連結会計年度末の繰延税金資産は前期末と比較して66,368千円増加しました。これにより、法人税等調整額(△は利益)として△66,368千円を計上しています。

 

 以上の結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は2,196,093千円(前期比23.0%増)、営業利益は11,368千円(前期比71.6%減)、経常利益は52,258千円(前期比43.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は107,885千円(前期比91.6%増)となりました。

 

 当社グループはマーケティングプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報との関連についての記載はしておりません。サービス別の売上高の概況は以下のとおりであります。

 

a マーケティングオートメーション

 当サービスについては、サブスクリプション売上(システム利用料に関するMRR(月額契約金額)から発生する売上+従量課金売上+有償保守サービス売上+年間契約のBPOサービス)、プロフェッショナルサービス売上ともに堅調に推移し、サブスクリプション売上は1,113,788千円(前期比14.5%増)、プロフェッショナルサービス売上は、492,417千円(前期比24.5%増)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度における契約アカウント数は、477アカウント(前期末比5.8%増)、当連結会計年度における売上高は1,606,205千円(前期比17.4%増)となりました。

 

b イベントマーケティング

 当サービスにおけるイベント(システム支援(バーチャルイベントに関連するシステム構築費を含む)、会期当日支援)関連の売上は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うオフライン(リアル)イベントの開催中止、あるいは、開催にあたっての収容率要件や人数上限の制限、東京2020オリンピック・パラリンピックの無観客開催という状況の中で、前連結会計年度から取り組んでいる「オンラインカンファレンスサービス」や「バーチャルイベントサービス」等の取り組みが一定の成果を挙げ、オフライン(リアル)イベント案件の穴を埋める形で推移しました。なお、一部のイベント案件で、開催直前のキャンセルが発生し、それに関する受取キャンセル料が37,245千円発生していますが、これについては、受取事務手数料として営業外収益に計上しています。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は529,978千円(前期比26.8%増)となりました。

 

c その他

 当連結会計年度より、株式会社TAGGYから譲り受けた広告事業に関する売上を計上しており、その金額は59,909千円となりました。今後は、当社の既存サービスとの相乗効果を発揮できるよう、製品・サービスの連携に取り組んでいき、売上拡大を目指していきます。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末比で52,428千円増加し、491,143千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は183,719千円の収入となりました(前期は235,083千円の収入)。これは主に、税金等調整前当期純利益52,258千円(増加要因)、減価償却費135,323千円(増加要因)、仕入債務の増加額16,468千円(増加要因)、売上債権の増加額139,070千円(減少要因)、その他に含まれる前受金の増加額70,025千円(増加要因)によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、246,883千円となりました(前期は151,242千円の支出)。これは主に、無形固定資産の取得による支出189,570千円及び事業譲受による支出24,915千円よるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は、112,128千円となりました(前期は177,029千円の収入)。これは主に、長期借入金の借入による収入50,000千円、長期借入金の返済による支出110,320千円、社債の発行による収入200,000千円、社債の償還による支出30,000千円によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当社グループの事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b. 受注実績

 当社グループは、受注実績の金額と販売実績の金額の差額が僅少であるため受注実績の記載を省略しております。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは、マーケティングプラットフォーム事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、サービス別に記載しております。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

マーケティングオートメーション

1,606,205

17.4

イベントマーケティング

529,978

26.8

その他

59,909

合計

2,196,093

23.0

(注)上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択適用のほか、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

a. 経営成績の分析

(売上高)

 当社グループは、事業戦略上、長期的に収益に貢献していくMA-サブスクリプションを特に重視しています。当連結会計年度におけるサブスクリプション売上は、前連結会計年度に積上げたシステム利用料に関するMRR(月額契約金額)やカスタマーサクセス部門の体制・方針の整備、カスタマ―サポート体制(問い合わせ対応やユーザー向けトレーニング等)の強化による既存契約の維持やアップグレードの発生等が寄与し、前期比で14.5%の増加となりました。一方で、イベント売上については、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うイベントの開催中止やイベント開催における収容率要件や人数上限といった制限措置の影響はあったものの、オンラインカンファレンス、バーチャルイベント案件でその影響を補うことができたため、前期26.8%の増加となりました。その結果、総売上高は、前年同期と比べ409,982千円増加し、2,196,093千円となりました。サービス別の売上高は、マーケティングオートメーション1,606,205千円(うち、MA-サブスクリプションは1,113,788千円)、イベントマーケティング529,978千円、その他59,909千円であります。

 (シャノンの売上構成)

0102010_001.jpg

 

(売上原価)

 当連結会計年度における売上原価は、前期比で140,415千円増加し、828,859千円となりました。これは主に、マーケティングオートメーションサービス、イベントマーケティングサービスの売上増加や当連結会計年度より追加となったその他サービス(広告事業)の売上に関する原価の計上、新機能等の開発に伴う減価償却費の増加によるものであります。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前年同期と比べ298,282千円増加し、1,355,865千円となりました。これは主に、コロナ禍での在宅勤務や活動自粛による各種費用(旅費交通費、交際費、消耗品費等)が減少しているものの、積極的な採用戦略による採用費や人件費の増加がそれを上回ったことによるものであります。

 この結果、営業利益は11,368千円(前期比71.6%減)となりました。これは、マーケティングオートメーションサービスやイベントマーケティングサービスの増収があったものの、マーケティングオートメーションサービスにおける一部の大型案件で対応リソース不足の影響により社内工数よりも割高となる外注費が膨らんだこと、M&Aが早期決着したことにより、それに関する取得関連費用(M&A仲介手数料、デューデリジェンス費用)を当連結会計年度に計上したこと、成長を加速するために積極的に進めている採用により、人件費や採用費が増加したことによる減収要因が、コロナ禍での在宅勤務や活動自粛による各種費用(旅費交通費、交際費、消耗品費等)の減少を上回ったことによるものであります。

(営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は、前年同期と比べ50,721千円増加し、53,869千円となりました。これは主に、イベント案件で発生した受取キャンセル料について、受取事務手数料として営業外収益に計上したことや助成金収入が増加したことによるものであります。また、営業外費用は前年同期と比べ6,060千円増加し、12,979千円となりました。これは主に、為替差損が増加したことによるものであります。

 この結果、経常利益は52,258千円(前期比43.9%増)となりました。

(税金等調整前当期純利益)

 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、52,258千円(前期比43.9%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、107,885千円(前期比91.6%増)となりました。この主な理由としては、繰延税金資産を追加計上したことによるものであります。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの事業活動における主な運転資金需要は、人件費(売上原価やソフトウエアに計上されるものを含む)、仕入、広告宣伝費、システムの運用・保守費用等であります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としながら、市場の状況等を勘案しながら必要に応じて株式発行等で調達する方針であります。

 なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

c. 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

 「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得