当社グループの経営成績の概要は以下のとおりです。
当連結会計年度の売上収益は、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復とともに、顧客企業におけるマーケティング需要が拡大し、日本及び韓国事業セグメント、その他の海外事業セグメントの両セグメントにおいて二桁増収となった結果、49,810百万円(前年同期比15.4%増)となりました(セグメント別の業績の概要は、次節「(2) セグメント業績に関する説明」をご参照下さい。)。
費用面では、売上収益の拡大傾向を受けて、リサーチ案件の受注キャパシティ拡大を目的とした人材採用に加えて、データ活用支援(データ・コンサルティング)事業などの新規注力事業に係る人材採用を積極的に行っていることで、人件費が大きく増加しました。また、拡大が続く顧客需要を取り込むために、外注を通じた外部キャパシティを最大限に活用する施策を実施しているため、外注費も増加しています。加えて、M&Aに係る費用やシステム関連等のその他の費用も増加しました。一方で、リモートワークの推進に伴いオフィススペースの一部を解約したことにより、減価償却費は減少しました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益に減価償却費等を加えたEBITDA(利払・税引・償却前利益)(注4)は8,697百万円(同0.2%増)となりました。また、増収効果により営業利益は5,814百万円(同8.4%増)、税引前利益は5,605百万円(同14.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は3,147百万円(同11.5%増)となり、いずれも対前年で大きく伸長しました。
また、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE、直近12ヶ月で算定)は10.3%(前年同期間比0.4ポイント増)となりました。インタレスト・カバレッジ・レシオ(直近12ヶ月で算定、注5)は21.6倍(前年同期間12.9倍)となりました。
当社グループのセグメント業績の概要は以下のとおりです。
(日本及び韓国事業)
日本においては、新型コロナウイルス感染症による影響が残りつつも、経済活動の再開が続いており、顧客企業のマーケティング・リサーチ需要も拡大しています。これを受けて当社も、第1四半期は緊急事態宣言の発令に伴い一部のオフライン・リサーチサービスの提供を中止していましたが、第2四半期以降は同宣言の解除を受けて当該サービスを再開しています。当第4四半期においては、製販一体となった提案型の営業活動の追求等の施策が奏功し、取引規模の拡大に繋がるなど、オンライン・リサーチが堅調に推移したことに加え、デジタル及びその他の新規事業領域の売上拡大も継続しています。その一方で、顧客企業のマーケティング・リサーチ需要の拡大に伴い、オンライン・リサーチにおいては、社内の人的リソースが逼迫し需要過多の状況にあるため、一部機会損失が発生しています。このため、採用の強化及び人員の育成を進めることで受注の社内キャパシティを拡充するとともに、追加的に外注による外部キャパシティの活用を進めています。
韓国においては、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、オフライン・リサーチをオンライン・リサーチで代替する動きが加速しています。オンライン・リサーチに強みを持つ当社グループは、その商機を最大限に捉え、オンライン・リサーチの売上収益を拡大していることに加えて、パネル・ビッグデータ・サービスを含むデジタル領域の営業活動が順調に進展しています。これらを受けて、韓国事業の当連結会計年度の売上収益は前年同期比で二桁成長を実現しました。
以上の結果、日本及び韓国事業セグメントの当連結会計年度の売上収益は37,736百万円(前年同期比10.7%増)となりました。費用面では、将来に向けた受注体制整備のため人件費が大きく増加し、足許の顧客需要の拡大に対応するための外注費も拡大、加えてM&A関連費用やシステム関連費用等が増加したことにより、セグメント利益は5,038百万円(前年同期比0.7%減)となりました。
(その他の海外事業)
その他の海外事業セグメントでは、北米、欧州、中南米、中東及び、日本と韓国等を除く一部アジア地域で事業を営んでいます。前期の第1四半期は新型コロナウイルスの影響を大きく受けましたが、その後は順調に回復基調にあり、グローバル・キー・アカウント(注6)におけるウォレット・シェアの拡大及び新規案件の獲得が進んでいます。このためその他の海外事業の売上収益は、年間を通じて好調に推移し、前年同期比で大きく伸長しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上収益は12,293百万円(前年同期比33.3%増)となり、セグメント利益は841百万円(前年同期比193.6%増)となりました。
なお、日本及び韓国事業内のMACROMILL EMBRAIN CO., LTD.の収益及び業績についてはウォン建てで管理し、その他の海外事業の収益及び業績についてはユーロ建てで管理しています。それぞれの換算レートは以下のとおりです。
(注)
(1) 2021年9月にESOMAR(European Society for Opinion and Marketing Research) が発表した「ESOMAR Global Market Research 2021」による。なお、同2020年版レポートよりグローバルなマーケティング・リサーチ市場の定義が拡大されており、本年からは当該新たな定義に基づく市場規模を記載している(2020年版レポートに記載のあった、従来の市場規模に近い数値(シナリオ2)の開示が、2021年版レポートには存在しないため)。また、従来は過年度の実績値のみ開示されていたところ、コロナ禍の影響があることも踏まえ2021年版レポートより新たに2021年の予想値が開示されており、本稿では同市場規模について当該予想数値に基づく記載を行っている。
(2) 2022年6月に一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)が発表した「第47回 経営業務実態調査」による。
(3) セグメント数値については、セグメント間取引の相殺消去前の数値を記載している。調整額については、(6) 連結財務諸表に関する注記事項(セグメント情報)をご参照下さい。
(4) EBITDA:Earnings Before Interest, Tax, Depreciation and Amortizationの略。当社ではEBITDA = 営業利益+減価償却費及び償却費+固定資産除却損+減損損失と定義しており、各事業から生み出されるキャッシュ・フローの規模をより適切に把握することができるため、各事業の収益性を測るための主要な経営指標として用いている。
(5) インタレスト・カバレッジ・レシオ =(営業利益+受取利息+受取配当金)/ 支払利息
(6) グローバルに事業を展開し、調査・マーケティング予算を多額に有する顧客企業のうち、当社グループのさらなる成長の鍵となる顧客(キー・アカウント)として、グローバルに営業強化の対象としている企業群のこと。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,323百万円減少し、14,756百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、5,514百万円(前年同期比508百万円減)となりました。
これは主に、税引前利益5,605百万円、減価償却費及び償却費2,844百万円、営業債務及びその他の債務の増加977百万円等がありましたが、営業債権及びその他の債権の増加1,216百万円、法人所得税の支払額2,400百万円、利息の支払額236百万円等があったためです。
なお、営業債権の回転期間は79.7日(前年同期比1.3日長期化)、営業債務及びパネルポイント引当金の回転期間は57.9日(前年同期比3.2日長期化)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、1,658百万円(前年同期比524百万円減)となりました。
これは主に、無形資産の取得による支出958百万円、子会社の取得による支出872百万円等があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、8,510百万円(前年同期比9,141百万円減)となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出12,880百万円、社債の償還による支出5,000百万円、リース負債の返済による支出1,181百万円、配当金の支払額829百万円がありましたが、長期借入による収入11,800百万円等があったためです。
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社グループの事業は受注から納品までの期間が短いため、記載を省略します。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)
1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引については、相殺消去しております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。株式会社電通グループ及びその関係会社への売上収益は主に当社の子会社である株式会社電通マクロミルインサイトにおいて計上しております。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、決算日における財政状態、報告期間における経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り・予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り・予測の評価を実施しております。なお、重要な会計方針及び見積りの詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記「3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。
資産は、83,634百万円となり、前連結会計年度末に比べ407百万円減少しました。これは主に、営業債権及びその他の債権の増加686百万円、契約資産の増加978百万円、使用権資産の増加705百万円、のれんの増加1,226百万円等がありましたが、現金及び現金同等物の4,323百万円の減少要因があったためです。
負債は、47,806百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,301百万円減少しました。これは主に、リース負債の増加779百万円、営業債務及びその他の債務の増加1,225百万円、契約負債の増加323百万円等がありましたが、社債及び借入金の減少6,032百万円、未払法人所得税の減少525百万円等の減少要因があったためです。
資本は、35,827百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,894百万円増加しました。これは主に、配当金の支払額1,187百万円がありましたが、当期利益3,895百万円の発生等があったためです。
経営成績の分析につきましては、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.業績等の概要 (1) 経営成績に関する説明」を参照ください。
当社グループの営業活動からの堅実なキャッシュ・フロー創出力を原資として、経営環境や業績状況に適した戦略的なキャピタル・アロケーションを実行することを基本方針とし、継続的な成長の実現に向け、成長投資、負債の返済、株主還元の3つの資金使途のバランスを追求しています。
これらの3つの資金使途のうち、成長投資を最優先事項としています。ROIやROICなど投資効率を重視し、資本コストを上回る潜在リターンを持つ投資機会を、M&Aも含めて追及します。また、重要な資産である人材の雇用にも充当していきます。負債の返済については、純有利子負債(Net Debt)(注1)/EBITDA倍率を2.5倍から2.0倍とすることを中期経営計画の目標値として掲げ、レバレッジ水準をコントロールしていきます。なお、株主還元の考え方は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。
当社グループの資金の源泉は、手元現預金及び将来の営業活動で得られる資金を充当することを基本としています。資金需要及び金利動向等の調達環境並びに有利子負債の返済及び社債の償還時期等を考慮の上、調達規模及び調達手段を適宜判断して外部資金調達を実施する場合があります。
(注)
1.純有利子負債(Net Debt)=有利子負債(短期借入金+1年以内返済予定の長期借入金+長期借入金+リース負債)-現金及び現金同等物
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、前記「2 事業等のリスク」をご参照ください。
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