当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響による不透明な事業環境が継続いたしましたが、当社グループは、2019年5月14日開示の中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)で掲げた、「NJSS」の継続成長化、ストックビジネスとなる新規CGS事業の創出・育成、BPOの高利益率化、という3つの中期方針の柱に基づき、各種施策に継続的に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度における売上高は4,029,292千円(前年同期比25.1%増)、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額(以下同様))は△164,280千円(前連結会計年度は185,843千円)、営業損失は241,449千円(前年同期は135,327千円の営業利益)、経常損失は251,790千円(前年同期は148,271千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は64,401千円(前年同期は42,195千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
なお、2021年5月14日に開示いたしました当初業績予想との対比は以下のとおりです。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の注記事項(会計方針の変更)をご参照ください。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
CGS事業の主力SaaSである「NJSS」については、「ARPU(一件当たり日割り売上高)と有料契約件数の最適化を図ることで将来に渡る売上高を拡大する」という方針に基づき各種施策を展開した結果、ARPUは1,213円と前連結会計年度から微減いたしましたが、有料契約件数は営業プロセスの最適化などの効果で解約数を抑えつつ新規契約を着実に獲得することができたことから、2022年3月末時点で4,704件と、2021年3月末比744件増加いたしました。
また、カスタマーサクセスの強化により、有料契約件数をベースにした12ヶ月平均の解約率は1.5%(同2021年3月末1.7%)と前連結会計年度から改善し、ARR(年間経常収益)も20億円に到達いたしました。
この結果、当連結会計年度におけるCGS事業 NJSSの売上高は1,997,792千円(前連結会計年度比21.4%増)となり、セグメントEBITDAは703,278千円(前連結会計年度比6.0%減)、セグメント利益は696,032千円(前連結会計年度比6.3%減)となりました。
(注) 1.ARPU:有料契約一件当たりの日割り売上高。
2.解約率:前月末有料契約件数に対する当月解約件数の割合上表は12か月平均の数値。
3.LTV:「顧客生涯価値」。ARPU×1/解約率×粗利率90%で算出。
4.ARR:「年間定額収益」。各四半期サブスクリプション売上高に4を乗じて算出。
CGS事業におけるSaaSである「fondesk」は、マーケティング施策の実施など成長投資を行ったことによりコストが増加いたしましたが、新型コロナウイルスの影響によるリモートワークの社会浸透に伴いバックオフィス業務のDX化を支援するサービスの一つとしての認知をさらに拡大させ着実に需要を取り込んだことで、2022年3月末時点で有料契約件数が3,315件(2021年3月末比1,085件増加)と成長いたしました。また、UI・UX改善のためのシステム改修を行うなどユーザー利便性向上を図った結果、有料契約件数をベースにした12ヶ月平均の解約率は1.6%(同2021年3月末2.9%)と前連結会計年度から改善いたしました。
この結果、当連結会計年度におけるCGS事業 fondeskの売上高は454,669千円(前連結会計年度比62.3%増)となり、セグメントEBITDAは△73,437千円(前連結会計年度は△57,856千円)、セグメント損失は74,019千円(前連結会計年度は58,258千円の損失)となりました。
(注)1.ARPU:有料契約一件当たりの月割り売上高。
2.解約率:前月末有料契約件数に対する当月解約数の割合。上表は12か月平均の数値。
3.ARR:「年間経常収益」。各四半期サブスクリプション売上高と各四半期リカーリング売上高の合計に4を乗じて算出。
事業におけるSaaSである「えんフォト」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、新規契約園獲得のための対面営業活動が制限されたものの、電話・メール・ビデオ会議システムを活用しながら着実に契約園数を伸ばすことができました。また、2020年12月に完全子会社化した出張撮影マッチングサービス「OurPhoto(アワーフォト)」を運営するOurPhoto株式会社とのシナジー創出等に注力しつつ、2021年8月には園の写真購入時にプライベート写真も一緒に現像が可能な「いっしょにプリント(β)」を、2021年11月には保護者が購入した写真を祖父母や親族なども手軽に購入することができる「祖父母購入機能」をリリースするなどサービス成長やユーザー利便性向上のための施策を着実に実施いたしました。
この結果、当連結会計年度におけるCGS事業 フォトの売上高は465,072千円(前連結会計年度比73.8%増)となり、セグメントEBITDAは△219,286千円(前連結会計年度は△105,824千円)、セグメント損失は250,396千円(前連結会計年度は114,508千円の損失)となりました。
(注) ARR:「年間経常収益」。各四半期リカーリング売上高に4を乗じて算出。
BPO事業におきましては、新型コロナウイルスの影響によるリモートワークの社会浸透を背景とする紙の電子化需要により引き合いが好調に推移いたしました。また、SaaS型データ自動化サービス「eas(イース/Entry Automation System)」においてマーケティング施策を実施するなど成長投資を行った結果、コストは増加いたしました。
この結果、当連結会計年度におけるBPO事業の売上高は1,081,690千円(前連結会計年度比9.6%増)となり、セグメントEBITDAは48,019千円(前連結会計年度比65.3%減)、セグメント利益は17,977千円(前連結会計年度比83.9%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の注記事項(会計方針の変更)をご参照ください。
クラウドソーシング事業におきましては、「シュフティ」に登録されているクラウドワーカー数は2022年3月末時点で約44万人となっておりますが、CGSにリソースを供給するためのプラットフォームとして、ユーザー利便性向上のためのサービス改修や安定的運営のためのカスタマーサポート改善に継続的に取り組んでおります。また、前連結会計年度の後半に全社的なリソース最適化の観点で行った所属人員の他部署への異動等により、コストが減少いたしました。
この結果、当連結会計年度におけるクラウドソーシング事業の売上高は30,068千円(前連結会計年度比2.9%減)となり、セグメントEBITDAは△30,123千円(前連結会計年度は△69,789千円)、セグメント損失は30,604千円(前連結会計年度は70,655千円の損失)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ486,673千円減少し、2,805,136千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは30,696千円の支出(前連結会計年度は701,834千円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純損失251,790千円の計上、契約負債の増加214,669千円によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは416,772千円の支出(前連結会計年度は196,432千円の支出)となりました。この主な要因は、投資有価証券取得による支出345,506千円、有形固定資産の取得による支出39,338千円、無形固定資産の取得による支出35,458千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは39,205千円の支出(前連結会計年度は78,593千円の支出)となりました。この主な要因は、長期借入金の返済による支出42,320千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入4,575千円であります。
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
BPO事業において受注が発生するものの、受注から納品までの期間が短く見込納品額は変動するケースがあるため、受注額の掲載を省略しております。
最近2連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。
《経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容》
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
「《経営成績等の状況の概要》 (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループのCGS事業は、いずれもストック型・サブスクリプション型のビジネスモデルであるため、その有料契約件数及び一有料契約当たりの総契約額が経営成績等に重要な影響を与えます。
CGS事業の主力サービスである「NJSS」においては、営業体制とプロダクトが抱える課題によって成長が鈍化してきていたという認識があります。具体的には、営業体制に関しては、組織構造及び重視するKPI等が適切ではなかったことにより各社内部門が部分最適に陥っておりました。また、プロダクトに関しては、抜本的システム改修がなされていなかったことにより顧客利便性が不十分となっておりました。営業体制については人員強化を図ったうえプロダクトに関しては2021年7月にフルリニューアル第一弾を実施いたしましたので、今後はこれらの施策の効果をしっかりと出していけるか否かが経営成績に影響を与えます。
BPO事業においては、リモートワークの社会浸透を背景とする紙の電子化需要により好調に引き合いが推移しておりますので、引き続き当該需要をしっかりと取り組んでいくこと、並びにSaaS型自動化サービス「eas(イース/Entry Automation System)」の成長を一層図っていくことが重要であるという認識でございます。
クラウドソーシング事業については、CGS事業のためのプラットフォームとしての位置付けであり、当面横ばいの業績を見込んでいることから経営成績等への重要な影響を与える要因はないという認識であります。
その他の経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度においては、税金等調整前当期純損失を251,790千円計上したうえ、投資有価証券取得による支出345,506千円なども行った結果、現金及び現金同等物は486,673千円減少いたしました。しかしながらそれでもなお当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,805,136千円、有利子負債控除後のネットキャッシュの金額は2,724,446千円となっており、手元流動性には懸念がないものと認識しております。
当社グループは、2017年3月の東証マザーズ上場時に第三者割当増資によって約13億円の資金調達を行いました。また、主力事業であるNJSSにおいて、原則として契約金額全額を顧客から前払いで受領していることにより、契約が増加すればするほど貸借対照表上の契約負債が増加していくため、正常運転資金は基本的に発生しない財務構造となっております。
これらの要因により、当連結会計年度末時点において、現金および預金が約28億円、有利子負債控除後のネット・キャッシュも約27億円あるなど、当社の資金の流動性は当面十分であると考えております。
今後、上記資金は、中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)に掲げる各種投資(人材採用・システム開発・広告宣伝等)やM&Aに積極的に投下してまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成の基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
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