課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の方針

当社グループは、2022年4月にコーポレートビジョンを「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」へと刷新いたしました。

日本では2040年までに約1,600万人、約69兆円の労働力が失われるとされ、日々、「労働力不足」という大きな社会問題が深刻化しています。当社は新たな労働力を創出し活用できるようにすること、ITやAIを活用しDXを推進することで生産性を向上させていくこと、既成概念にとらわれずユニークな発想で新しい解決方法を考えて生み出していくことなどを通じて日本が抱える深刻な社会問題を解決し、さらには、世界全体の社会問題と向き合ってまいります。

 

(2) 経営環境

平成30年版「情報通信白書」によると、日本の生産年齢人口は2017年から2040年にかけて約1,600万人減少することが推計されており、労働力不足による経済規模の縮小、国際競争力の低下といった社会的・経済的な課題が深刻化することが危惧されております。そのような状況の中、当社グループはこれまで様々な領域において労働力の代替ソリューションとなる事業をSaaSを中心に複数展開してまいりました。

2022年4月には、コーポレートビジョンを「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」へと刷新し、今後は「労働力不足解決のリーディングカンパニー」を目指し、上記社会課題の解決に一層向き合ってまいります。

当社グループを取り巻く経営環境につきましては、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2020年版」によると、国内SaaS市場規模は、2019年度において6,016億円となっており、2024年度には11,178億円に達すると予測されております。

また、CGS事業の中でも主力サービスである官公庁等の入札情報を提供する入札情報速報サービス「NJSS(エヌジェス)」を巡る環境として、国内入札市場における年間契約額は、2017年度において21.9兆円と、毎年安定的に年間20兆円超の発注がなされる市場規模が維持(中小企業庁「官公需契約の手引」より)されております。NJSSのTAM(Total Addressable Market)については、NJSSのメインターゲットとなる落札実績のある企業数が約40万社(NJSSのデータベースより)であることに加え、今後は入札資格未保有の企業もターゲットとなると想定されるのに対し、NJSSの有料契約件数は2022年3月末時点では4,704件に止まっていることから、将来的には数十倍の有料契約件数の拡大の余地があると考えております。

競合企業の状況や当社の優位性については、現在、国内でクラウドソーシング・サービスを展開する競合企業は複数存在しますが、当社グループは、クラウドソーシング・サービスのみならず、そのワーカーをリソースとするCGS事業、そして企業のアウトソーシング・ニーズの受け皿となるBPO事業を展開しており、それらの相互のシナジーによって優位性を築いていると考えております。優位性を更に強固なものにするためにも当社では、新たなCGS事業を継続的に生み出し続けていきたいと考えております。

 

(3) 中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは2019年5月14日に短期的な利益追求ではなく中長期的な企業価値の向上を企図した5カ年の中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)を策定し、2022年3月期までに下記中期方針の3つの柱に注力してまいりました。

 

 

① 「NJSS」の継続成長化
契約総受注額の拡大と解約総額の改善に向けた営業プロセスの最適化やプロダクトのリニューアル等を行うことによって、中長期的な事業価値の向上を図る。
 ② ストックビジネスとなる新規CGS事業の創出・育成
「えんフォト」と「fondesk」を新規CGS事業の柱として、システムや人員等への投資を積極的に行うことによって、ストックビジネスとしての育成を図る。
 ③ BPOの高利益率化
営業・施工体制の見直しによる売上高向上とコスト改善を通じて、利益率の向上を図る。

 

その結果、2022年3月期までの中期経営経営計画の全社及びセグメント別の進捗状況は以下の通りとなっております。

 


① 「NJSS」の継続成長化

2022年3月期においては「ARPU(一件当たり日割り売上高)と有料契約件数の最適化を図ることで将来に渡る売上高を拡大する」という方針に基づき各種施策を展開した結果、ARPUは1,213円と前連結会計年度から微減いたしましたが、有料契約件数は営業プロセスの最適化などの効果で解約数を抑えつつ新規契約を着実に獲得することができたことから、2022年3月末時点で4,704件と、2021年3月末比744件増加いたしました。

 また、カスタマーサクセスの強化により、有料契約件数をベースにした12ヶ月平均の解約率は1.5%(同2021年3月末1.7%)と前連結会計年度から改善し、ARR(年間経常収益)も20億円に到達いたしました。

② ストックビジネスとなる新規CGS事業の創出・育成

NJSSへの売上・利益依存脱却を図るため第2、第3の柱となる事業として「fondesk」と「えんフォト」を育成するための投資を積極的に実施いたしました。

「fondesk」においては、新型コロナウイルスの影響によるリモートワークの社会浸透に伴いバックオフィス業務のDX化を支援するサービスの一つとしての認知をさらに拡大させ着実に需要を取り込んだことや、各種マーケティング施策の積極的な展開、UI・UX改善のためのシステム改修を行うなどの継続性なユーザー利便性向上施策の実施を行った結果、2022年3月末時点で有料契約件数が3,315件(2020年3月末比1,884件増加)となるなど当連結会計年度において大きく成長いたしました。「えんフォト」においては、新型コロナウイルス感染症の影響により2020年4月に発令された緊急事態宣言下において保育園・幼稚園の各種イベント縮小等の懸念がありましたが、ネガティブな影響が限定的に止まったうえ、日常生活の写真需要等により底堅く推移いたしました。また、そのような不透明な環境下においても2020年12月にえんフォトとのシナジー創出を目的とした出張撮影マッチングサービス「OurPhoto(アワーフォト)」を運営するOurPhoto株式会社の全株式取得による完全子会社化や、園の写真購入時にプライベート写真も一緒に現像が可能な「いっしょにプリント(β)」、保護者が購入した写真を祖父母や親族なども手軽に購入することができる「祖父母購入機能」をリリースするなどサービス成長及びユーザー利便性の向上のための各種施策を着実に実施いたしました。

③ BPOの高利益率化

BPO事業におきましては、リモートワークの社会浸透を背景とする紙の電子化需要により好調に引き合いが推移しており足元では当該需要をしっかりと取り込めております。今後は並行してSaaS型データ自動化サービス「eas(イース/Entry Automation System」の成長に向けて一層注力してまいります。

 

この通り、当社グループは短期的な利益追求ではなく、積極的な投資の実行により更なる成長を図るため、2019年5月14日に発表、2021年5月14日に修正した5カ年(2020年3月期~2024年3月期)の中期経営計画のもと各種施策に注力してきた結果、中期経営計画の3年目となる当連結会計年度までにおいては当社の想定を上回る売上高成長を果たすことができていると考えております。今後も売上高成長の加速化と中期経営計画5年目となる2024年3月期のEBITDA目標1,500百万円達成の両立を実現するためには、以下の課題に対処しなければならないと考えております。

 

① NJSSのSaaS事業としての更なる成長

 当連結会計年度では中期経営計画に基づく各種施策に取り組んだ結果、順調にサービスを成長させることができました。今後NJSSをSaaS事業としてさらに成長させいくためには「ARPU(一件当たり日割り売上高)と有料契約件数の最適化を図ることで将来に渡る売上高を拡大する」という方針のもと有料契約件数増加トレンドの継続・チャーンレートの更なる抑制・プロダクトへの機能追加等によるアップセルの強化等の施策を展開するなどして事業価値を向上させていきたいと考えております。

② 新規CGS事業の成長促進

 当連結会計年度においてはNJSS以外のCGS事業「fondesk」・「えんフォト」は、いずれも大きく成長いたしましたが、依然としてNJSSが売上高の約半分及び利益の大半を占める状況が続いており、当社グループの更なる成長にはNJSSに次ぐ新たな柱となるサービスが必要であると考えております。2023年3月期においては、「fondesk」におけるマーケティング施策の継続展開や「えんフォト」におけるサービス成長・ユーザー利便性向上のためのシステム開発並びに「OurPhoto」とのシナジー創出等を進めることによって、これらの事業の成長を図る次第です。

③ BPO事業の継続成長と「eas」による成長加速

 当連結会計年度においてBPO事業はDX需要の高まりに伴い大きく成長いたしましたが、2023年3月期においても強固な施工体制を維持し続け継続的・安定的にスキャン需要に対応し続ける必要があると考えております。また、AI-OCRと人力をかけ合わせた新たなSaaS型データ自動化サービスである「eas(Entry Automation System)」の拡販も引き続き進めることで事業成長を加速させていきたいと考えております。

 

この先、労働力不足が懸念される社会において「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」というビジョンのもと、「労働力不足解決のリーディングカンパニー」を目指して社会課題の解決に一層向き合いつつ、既存サービスの成長および新規サービスの創出を図り、売上高成長を加速させて企業価値の最大化を目指していく所存であります。

 

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社では、中期経営計画達成に資するM&A等を積極的に検討するという観点から、EBITDAを経営上の目標の達成状況を判断するための重要指標として位置付けております。

 

《2022年3月期 実績および2023年3月期、2024年3月期 連結業績予想値》

 

2022年3月期

(実績)

2023年3月期

(業績予想)

2024年3月期

(業績予想)

売上高

4,029百万円

4,850百万円

5,800百万円

EBITDA

△164百万円

50百万円

1,500百万円

 

 

なお、上記の業績予想は本資料の発表日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は今後様々な要因によって予想数値と異なる結果となる可能性があります。

 

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