第3四半期連結会計期間において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度との比較情報については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種率が上昇していることに加え、感染拡大防止対策が行われる中で持ち直しが続いております。一方で、複数回にわたり首都圏やその他地域に緊急事態宣言が発令され、新たな変異株の感染も広まる等先行きは依然として不透明な状況にあります。
そのような状況下、コミックを中心とする電子書籍市場は、ユーザーの拡大及びユーザー平均購入量の増加が続き、前年は大きく市場が成長いたしました。今後も電子書籍及び電子コミック市場の拡大が続くことが予想されております。(出典:インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2021」)
しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染状況が落ち着くにつれ、外出自粛の反動も現れはじめております。また、電子書籍のビジネスモデルの多様化や成熟によって電子書籍市場が徐々に飽和していくことも予想されます。なお、海賊版サイトによる市場への影響は拡大を続けておりますが、当社グループといたしましては、今後も注意深く情報収集を継続するとともに関連業界団体と連携のうえ、しかるべき対応を取ってまいります。
このような市場環境の中で、プラットフォームセグメントにおいては規模拡大とブランド構築のための積極的な投資、コンテンツセグメントにおいては継続的なデジタルシフトによる安定的な利益創出を実行しました。
さらに、コンテンツプロデュースカンパニーとしての機能強化、成長加速のため、2021年11月に、得意領域の異なる日本テレビ放送網株式会社との資本業務提携契約を締結いたしました。
なお、当社グループでは引き続き当連結会計年度を通じて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の情勢に鑑み、お取引先の皆様、従業員並びに関係者の皆様の安全確保と感染予防・拡大防止に向けた対応を進めるとともに、事業成長との両立に努めてまいりました。
このような経営環境において、通期累計で過去最高売上を更新しております。
この結果、当連結会計年度の売上高は 18,637,202 千円(前年同期比50.6%増)、営業利益は 1,345,394 千円(前年同期比21.8%増)、経常利益は 1,202,335 千円(前年同期比25.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 444,923 千円(前年同期比1.7%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(プラットフォームセグメント)
プラットフォームセグメントの主力サービスであるコミック配信サービス「まんが王国」においては、ユーザーの訪問・定着・課金の流れを促し、課金者数と顧客単価を上げるべく、お得感を訴求するキャンペーンやブランディング活動に注力しました。「まんが王国」サイト内で展開しているポイント購入と消費の両方であわせて毎日最大50%還元されるポイントプログラムの常時実施だけでなく、お得感の訴求や幅広いユーザー層獲得のための販売促進活動を積極的に行いました。また、ユーザーの興味・関心を促進し、サイトへの流入を促す広告宣伝活動も積極的に実施しております。このように「まんが王国」は、お得感No.1(2020年10月から11月に実施された第三者調査機関による電子コミックサービスに関する調査で最もお得に感じるサービス第1位を獲得。)のコミック配信サービスとしてサイト内外で様々な企画を推進いたしました。
また、韓国発のタテヨミコミックレーベル「HCコミック」の日本初独占先行配信のほか、グループ会社である株式会社ぶんか社の「BKコミックス」作品の先行配信や日本テレビ放送網株式会社が運営する2.5次元俳優のYouTubeチャンネル「ぼくたちのあそびば」のコミカライズ企画を実施する等コンテンツの拡充と差別化を推進しております。
この結果「まんが王国」は2021年9月に累計ダウンロード数が16億冊を突破、会員登録数が同月に550万人、2022年2月には600万人を突破いたしましたが、外出自粛の特需は一段落いたしました。
小説投稿サービス「ノベルバ」においては、引き続き投稿作家から商業作家へのデビューを支援するだけでなく、グループ間シナジーの創出にも取り組んでおります。第1回「ノベルバノベルズ登竜門」(投稿小説コンテスト)ではぶんか社のBKコミックスにてコミカライズが確約された「BKコミックス特別賞」を選出いたしました。加えて、2021年4月より株式会社パブリッシングリンクと共同で開催した「恋愛小説コンテスト」では、最優秀賞作品の株式会社竹書房での書籍化確約に加え、「まんが王国」及びぶんか社での電子コミック化を確約したコミカライズ賞を選出いたしました。
IPプロデュースにおいては、配信中のスマートフォンゲーム「無職転生~ゲームになっても本気だす~」にて、収益改善に向け運営体制の見直しを行い、同年10月に開発・運営会社の移管を完了いたしました。
また、通販サイト「FUNDIY STORE」では、2021年11月にグループ会社である株式会社海王社の人気レーベル「GUSH COMICS」、「&.Emo comics」のグッズを販売する等グループ間シナジーの促進にも努めております。
これらの結果、当セグメントの売上高は12,365,762千円(前年同期比11.4%増)、営業利益は154,276千円(前年同期比82.8%減)となりました。なお、「コミックevery」「RenCa:A/N(レンカ アルバニグル)」においてはサービス終了、「ノベルバ」「無職転生~ゲームになっても本気だす~」においては将来の回収可能性が見込まれないことから132,130千円の減損損失を計上いたしました。
(コンテンツセグメント)
コンテンツセグメントにおいては、引き続き収益性の高いデジタルコンテンツが売上高前年比29%増と高成長を維持し、2021年12月末時点でデジタル比率61%と好調な業績を牽引しております。
また紙出版においても、コミックスで女性向け作品を中心に77タイトルの重版を積み上げ、定期誌も引き続きクルマジャンルを中心に堅調に推移しております。
ジャンルの拡充を目的にライトノベル事業を新たに立ち上げ、編集・制作活動と並行してライトノベル及びコミカライズ作品を複数配信開始するほか、新たに女性ライトユーザーをターゲットとしたデジタルコミック誌として「PRIMOプリモ」「COMICヤミツキ」を創刊する等、精力的に展開いたしました。
なお、2022年1月には人気作品「義母と娘のブルース」を原作とした新年スペシャルドラマや、スマホ向けコミックサイト「マンガよもんが」にて連載中の「部長と社畜の恋はもどかしい」を原作としたテレビドラマが放送開始されました。
これらの結果、当セグメントの売上高は6,440,255千円(前年同期比387.1%増)、営業利益は1,192,868千円(前年同期比465.2%増)となりました。
当連結会計年度末における資産合計は 19,458,414 千円となり、前連結会計年度末に比べ577,704千円減少しました。
流動資産は 8,175,916 千円となり、前連結会計年度末に比べ322,644千円増加しました。これは主に、受取手形及び売掛金が61,903千円減少した一方で、現金及び預金が314,954千円、未収還付法人税等が98,976千円増加したことによるものです。
固定資産は 11,282,497 千円となり、前連結会計年度末に比べ900,348千円減少しました。これは主に、無形固定資産が902,265千円減少したことによるものです。
当連結会計年度末における負債合計は 13,786,767 千円となり、前連結会計年度末に比べ1,042,646千円減少しました。
流動負債は 8,036,129 千円となり、前連結会計年度末に比べ196,846千円減少しました。これは主に、支払手形及び買掛金が113,773千円、繰延収益が41,022千円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が120,000千円、未払法人税等が108,479千円、返金負債が166,650千円減少したことによるものです。
固定負債は 5,750,637 千円となり、前連結会計年度末に比べ845,800千円減少しました。これは主に、長期借入金が820,000千円減少したことによるものです。
当連結会計年度末における純資産合計は 5,671,647 千円となり、前連結会計年度末に比べ464,942千円増加しました。これは主に、利益剰余金が444,646千円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は、29.1%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は 3,545,290 千円となり、前連結会計年度末に比べ314,954千円増加しました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動においては、税金等調整前当期純利益 1,077,156 千円から、主な加算項目として、減価償却費 503,514 千円、減損損失 132,130 千円、のれん償却額 638,901 千円、支払利息 139,350 千円、売上債権の減少額 61,903 千円、仕入債務の増加額 113,773 千円等がありました。これに対して主な減算項目として、返金負債の減少額 166,650 千円、利息の支払額 139,312 千円、法人税等の支払額 855,170 千円等がありました。
この結果、獲得した資金は 1,574,214 千円(前年同期は901,524千円の獲得)となりました。
当連結会計年度における投資活動においては、主な資金減少要因として、無形固定資産の取得による支出 338,835 千円等がありました。
この結果、使用した資金は 330,127 千円(前年同期は3,938,102千円の使用)となりました。
当連結会計年度における財務活動においては、主な資金減少要因として、長期借入金の返済による支出 940,000 千円等がありました。
この結果、使用した資金は 929,132 千円(前年同期は4,302,386千円の獲得)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループ全体における生産実績の金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当社グループは、「FUNDIY STORE」での取扱い商品の一部において受注販売も行いましたが、受注から販売までの期間が短期であるため、当該記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.当連結会計年度において、総販売実績に対する割合が10%を超える相手先はありません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
当社グループは、のれんについて、5~20年の均等償却を採用しております。その資産性については、業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合、減損処理が必要になる可能性があります。
当社グループは、固定資産について、減損の兆候の把握を行っております。減損の兆候がある資産又は資産グループについては、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には帳簿価額から回収可能価額を控除した金額を減損損失として認識しており、その前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要になる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
(概況)
当社グループの経営成績は、当連結会計年度において売上高は18,637,202千円(前年同期比50.6%増)となり、営業利益は1,345,394千円(前年同期比21.8%増)、経常利益は1,202,335千円(前年同期比25.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は444,923千円(前年同期比1.7%減)となりました。
なお、当社グループは、株主資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と位置づけております。当連結会計年度末の株主資本当期純利益率(ROE)は8.2%(前年同期8.7%)となり前連結会計年度末と比較して0.5%減少いたしました。引き続きその向上に努めてまいります。
スマートフォンやタブレット向けを中心に、電子書籍市場は拡大していると推計されておりますが、その一方で、競合他社との競争が激化しております。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染状況が落ち着くにつれ、外出自粛の反動も現れはじめております。このような環境の中、「まんが王国」においては、ポイント還元施策及び販促キャンペーンの実施を行うとともに、「まんが王国」連載作品の拡充、新規版元の配信開始等を行い、お客様の利用を促進いたしました。
売上高に応じて、売上原価が12,124,343千円(前年同期比57.3%増)発生いたしました。
中長期的な会員獲得を目的として、広告宣伝及び販売促進を強化しております。
広告宣伝の強化により、広告宣伝費が2,653,278 千円 発生いたしました。広告宣伝は、継続的に効果検証を実施し効率化を図っております。
この結果、販売費及び一般管理費合計は5,167,463千円(前年同期比45.0%増)となりました。
銀行からの借入による支払利息が139,350千円発生いたしました。
この結果、営業外費用は148,441千円(前年同期比8.8%減)となりました。
「コミックevery」「RenCa:A/N(レンカ アルバニグル)」においてはサービス終了、「ノベルバ」「無職転生~ゲームになっても本気だす~」においては将来の回収可能性が見込まれないことから 132,130 千円の減損損失を計上いたしました。
この結果、特別損失は138,679千円(前年同期比9.1%増)となりました。
法人税、住民税及び事業税を656,998千円、法人税等調整額を24,766千円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は444,923千円(前年同期比1.7%減)となりました。
なお、グループ再編の実施に伴い発生したのれん償却費を販売費及び一般管理費に638,901千円計上しており、これを控除した、のれん償却前経常利益は1,841,236千円(前年同期比33.7%増)、のれん償却前親会社株主に帰属する当期純利益は1,083,824千円(前年同期比26.5%増)であります。
(3) キャッシュ・フロー
「(経営成績等の状況の概要)(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業活動に必要な資金について、流動性の高い現金及び現金同等物として保持しております。
当社グループの主な資金需要は、ロイヤリティ等の原価、広告宣伝費をはじめとする販売費及び一般管理費等の営業費用のほか、プラットフォームセグメントの拡充を目的とする投資資金であります。これらの資金需要につきましては自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの短期借入により調達する方針であり、当社では取引銀行4行と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。
なお、当連結会計年度末現在において、特記すべき重要な資本的支出の予定はありません。
(5) 経営成績等に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(6) 経営戦略の現状と見通し
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
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