業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社グループの属する情報サービス産業では、ビッグデータの活用、AIやIoTの発展等、業界を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響により、さらに変化が加速しております。

 これまでの、産業の生産性向上や高付加価値化の実現に向けたデジタル基盤整備、IT技術の活用によりビジネスモデル自体を変革する「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」の取り組みに加えて、新型コロナウイルス感染症を契機として、デジタル化・リモート化を最大限活用することによって個人、産業、社会といったあらゆるレベルにおいて変革が生まれ、新たな価値の創造へとつながっていくと考えられております。これらの大きな転換期においても「データが価値創出の源泉」であることは不変であり、IoT、ビッグデータ、AIは更に重要な位置付けとなっております。

 なかでも当社グループが注力する国内IoT市場におけるユーザー支出額は、2021年実績で5兆8,948億円(見込値)となり、その後、2026年までの年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は、9.1%、2026年

には9兆1,181億円に達すると予想されています。(IDC Japan株式会社「IoT市場産業別/テクノロジー別市場予測」より引用。)。

 

 このような環境のもと、当社グループは2021年8月期から「新・中期経営ビジョン」に基づく事業展開を開始しております。政府が発表した2021年度からの「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」において、激甚化する災害への対策、予防保全に向けた老朽化対策並びにデジタル化の推進にかかる対策が三つの柱として掲げられております。これに関連し当社は、IoT領域における強みの更なる深化・拡大に向け、AIや電源・電池領域において垂直統合的なワンストップ提供を可能とし、競争優位性を高めてまいります。更にPdriveやAITELL、また、KDDI IoTクラウドStandardにおける機能拡充による BtoBtoC領域の拡大を図るべくサービス開発はもとより、販売チャネル開発にもより注力し、各ソリューションに おける市場シェア拡大を図ってまいります。

 

 インテグレーションソリューションにおいては、新型コロナウイルスワクチンフリーザー対応型のUPSが全国で導入されてきているものの、新型コロナウイルス感染症の影響により営業機会が逸失し、案件の積上げが伸び悩みました。

 コンストラクションソリューションにおいては、中四国エリアへの営業所設置による活動エリア拡充も、土木関連市場の情報化施工案件の獲得、防災対策のIoT化といったニーズの高まりへの対応に貢献いたしました。また、遠隔臨場に対応したサービスが堅調に推移しています。これは、現場の往来を減らすことで効率的な事業運営を実現し、建設現場で課題とされている「人手不足」を解決する一助になり得るとともに、新型コロナウイルス等の感染リスク抑制に貢献するものであるため、今後さらに導入拡大が進むものと見込んでおります。

 モニタリングソリューションにおいては、パッケージサービスの導入件数の増加による累計契約数拡大が続いているほか、3Gサービス終了を見据えた3G端末からLTE端末へのリプレイス案件も多くフロー売上拡大に寄与しました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、子会社である株式会社ストークをはじめとして、失注や遅延が多数発生いたしました。また、資本業務提携先であるユアスタンド株式会社との協業による、電気自動車の充電スタンド販売・導入・運用管理を北海道・青森エリアでのユアスタンド販売代理店として、今後拡大すると目されるEV市場の工作展開を行っております。EV充電スタンドは「ゆりもっと」同様に集合住宅向けの商品であるため、トップシェアを誇るものの成熟市場であった遠隔監視サービス事業の底上げを図ることができ、高い親和性に期待ができます。

 モビリティサービスにおいては、より一層の成長のため、株式会社プレステージ・インターナショナル100%子会社である株式会社プレミア・エイドと合弁会社を設立し、当社モビリティサービスの顧客契約を合弁会社に集約することによって、顧客へのサービス提供の一元化や合弁会社パートナー間とのより密な連携が実現され、効率的なサービス提供や営業活動の実現が期待できます。

 以上の通り、国内IoT市場の成長予測や「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」から、当期はこれまで以上に高い目標を設定し、各ソリューションにおいて案件の創出に取り組みましたが当初計画を下回る結果となり、当連結会計年度の業績は、売上高2,217,113千円、営業利益19,547千円、経常利益34,311千円、親会社株主に帰属する当期純利益27,770千円となりました。

 

 また、財政状態の概況は以下の通りです。

 

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、1,369,503千円となりました。主な内訳は、現金及び預金546,117千円、電子記録債権162,682千円、受取手形及び売掛金307,373千円、商品及び製品156,716千円、原材料及び貯蔵品83,615千円であります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は、502,118千円となりました。主な内訳は、有形固定資産173,520千円、投資その他の資産251,457千円、無形固定資産77,140千円であります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、469,703千円となりました。主な内訳は、支払手形及び買掛金122,548千円、1年内返済予定の長期借入金139,244千円であります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は、298,918千円となりました。主な内訳は、長期借入金288,001千円であります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、1,103,001千円となりました。主な内訳は、資本金615,326千円、資本剰余金605,429千円、利益剰余金△106,335千円であります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ194,293千円減少し、546,117千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は84,057千円となりました。

 収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益32,589千円、減価償却費113,268千円、売上債権の減少額54,091千円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果、減少した資金は213,422千円となりました。

 支出の主な内訳は、持分法適用会社株式取得による支出98,000千円、敷金の差入による支出37,828千円、投資有価証券の取得による支出30,129千円、有形固定資産の取得による支出28,809千円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果、減少した資金は64,928千円となりました。

 内訳は、長期借入による収入200,000千円があった一方、長期借入金の返済による支出164,988千円、社債の償還による支出100,000千円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社は、IoTインテグレーション事業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売実績はソリューション別に記載しております。

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

ソリューションの名称

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

前年同期比(%)

インテグレーションソリューション(千円)

151,990

229.3

コンストラクションソリューション(千円)

162,946

84.8

モニタリングソリューション(千円)

28,907

129.3

モビリティサービス(千円)

22,632

175.7

合計(千円)

366,477

124.8

 (注)1.上記の金額は、製造原価の金額となっております。

2.製造原価は材料仕入高、直接労務費及び外注費の金額によっております。製造原価とは製品及びソフトウエアの製造に係る原価であり、機器の設置工事委託費、融雪装置遠隔監視業務委託費等の製造以外の原価は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

ソリューションの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

インテグレーション

ソリューション

552,930

112.1

85,471

64.9

コンストラクション

ソリューション

1,029,122

110.0

56,117

1,020.6

モニタリング

ソリューション

302,959

93.7

43,856

116.8

モビリティサービス

342,647

85.1

5,205

95.6

合計

2,227,659

103.4

190,650

105.9

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

ソリューションの名称

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

前年同期比(%)

インテグレーションソリューション(千円)

599,069

58.4

コンストラクションソリューション(千円)

978,503

△6.6

モニタリングソリューション(千円)

296,656

△11.4

モビリティサービス(千円)

342,884

△14.7

合計(千円)

2,217,113

2.5

 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2020年9月1日

至 2021年8月31日)

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社仙台銘板

553,341

25.6

447,733

20.2

 

 

(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績等は、以下のとおりであります。

a.経営成績等の状況

(売上高)

 当社グループは、報告セグメントがIoTインテグレーション事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。以下の説明においては、インテグレーションソリューションの他、同ソリューションから派生したソリューションであるコンストラクションソリューション、モニタリングソリューション、モビリティサービスに区分して表記しております。

・インテグレーションソリューション

 IoTプラットフォームFASTIOを利用したソリューション提供によるイニシャル売上、KDDI及び他チャネルにおける営業活動が順調に進行し売上高は599,069千円となりました

 

・コンストラクションソリューション

 遠隔監視サービスGリポートの好調により顧客基盤は堅調に拡大している一方で、開発案件の受注の伸び悩みにより売上高は978,503千円となりました

 

・モニタリングソリューション

 ベース案件が堅調に推移しモニタリングソリューション事業部単体では計画通りの着地となったものの、連結子会社ストークのベース案件の失注や納期遅延となったことが大きく影響いたしました。その結果売上高は296,656千円となりました

 

・モビリティサービス

 当初売上計画に3Gサービス終了を見据えた解約増加による影響で対前年実績を下回るもベース案件の獲得は順調に推移し当初計画を達成。売上高は342,884千円となりました

 

(売上原価・売上総利益)

 売上高は当初計画を下回ったことで、売上総利益率も当初計画値を下回り、売上原価が1,202,959千円となり、売上総利益は1,014,153千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費・営業利益)

 給料及び手当や役員報酬など、主に組織強化のための人件費の増加により、販売費及び一般管理費が994,605千円となりました。その結果、営業利益は19,574千円となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は、17,749千円となりました。また、営業外費用は2,985千円となりました。この結果、経常利益は34,311千円となりました。

 

(税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は32,589千円、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、27,770千円となりました。

 

b.資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの事業活動における主な運転資金需要は、人件費(売上原価やソフトウエアに計上されるものを含む)、仕入(通信費を含む)等であります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉の安定的確保を図る趣旨の下、短期運転資金を自己資金で、設備投資や長期運転資金の調達については金融機関からの長期借入で賄うことを基本原則としております。当連結会計年度末現在、有利子負債残高は427,245千円、総資産に対する借入金の割合は22.8%となっております。

 主要な取引先金融機関とは良好な関係を維持しており、流動性確保のため、700,000千円の当座貸越契約を締結しております。当連結会計年度末現在、借入実行残高はありません。

 なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 コロナウィルス感染症が会計上の見積りに与える影響については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表等 注記事項 追加情報」に記載しております。

 

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