事業の内容

3【事業の内容】

 当社グループは、当社及び連結子会社である株式会社ストーク及び株式会社フィットで構成されており、IoTを通じてより安心な社会の実現に貢献するため、「あなたの『見える』を、みんなの安心に。」というコーポレートスローガンを掲げ、「IoTインテグレーション事業」を展開しております。IoTとは、Internet of Thingsの略で、「モノのインターネット化」と訳されます。コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々なモノに通信機能を持たせ、インターネットへの接続や相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行います。

 当社グループは、IoTソリューションの企画及びこれに付随する端末製造、通信インフラ、アプリケーション開発並びにクラウドサービスの運用・保守に関する業務をワンストップで提供する事業を展開しております。

 

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 なお、当社グループは、IoTインテグレーション事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、以下の二つの位置づけのもと4つのソリューションを提供しております。

事業セグメント

ソリューションの位置付け

ソリューション

プラットフォーム/

主なパッケージサービス

IoTインテグレーション事業

IoTプラットフォームをベースとしたSIによるソリューション

インテグレーションソリューション

IoTデータコレクトプラットフォーム

「FASTIO」

パッケージサービスを中心としたソリューション

モニタリングソリューション

融雪システム遠隔監視ソリューション

「ゆりもっと」

コンストラクションソリューション

建設情報化施工支援ソリューション

「現場ロイド」

モビリティサービス

交通事故削減ソリューション

「Pdrive」

① IoTプラットフォームをベースとしたSIによるソリューション

 当社グループのインテグレーションソリューションは、独自のIoTプラットフォーム(注1)である、IoTデータコレクトプラットフォーム「FASTIO」を基盤として提供しております。

 「FASTIO」は、IoT運用により大量に発生するセンサーデータをリアルタイムかつ効率的に扱うための各種機能を実装しております。また、クラウド提供であることから、通信インフラやクライアントソフトのインストールが不要であり、短期間で、安価にIoTサービスを利用することが可能となっております。

 IoTの導入はセンサーやゲートウェイ(注2)端末選定が重要となりますが、当社グループのアライアンスプログラム「FASTIO LINK」及び「FASTIO DATALINK」により多様なデバイスからのデータ取り込みが可能となります。「FASTIO」は、「物理現象を電気信号としてクラウドに取り込む」コストを最小化することにより、デバイスメーカー等へのインテグレーションソリューションを提供しております。また、「FASTIO」は、標準のアプリケーションで画像・動画管理、遠隔接点制御、位置情報管理等に対応しており、様々な産業、市場において利用が可能です。また、複雑な分析やBIツール(注3)、マシンラーニング等の先進分野における外部クラウドサービスとの連携を前提として設計されており、センシングデータを外部クラウドサービスで利用するためのAPI(注4)を充実させているため、外部クラウドサービスへシームレスなデータ提供が可能となっており、クラウドベンダーに対してもインテグレーションソリューションの提供を行っております。

 インテグレーションソリューションは、「物理現象を電気信号としてクラウドに取り込み、外部クラウドサービスへ渡す」までを首尾一貫して提供するサービスであります。

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 「FASTIO」は2016年4月に、KDDI株式会社「KDDI IoTクラウド Standard」のベースシステムとして採用されております。同サービスは「FASTIO」に専用のカスタマイズを施し同社へ提供しているものであり、当社が培ってきた技術・ノウハウがフル活用されています。

 また、2019年5月に同社とLPWA(注5)環境に最適化した「KDDI IoTクラウド Standard」LOGGERコース(LPWA)を共同開発しました。本コースでは、通信プロトコルや端末台数に応じた従量制の料金体系など、あらゆる面でLPWA専用設計がなされており、LPWAを活用したIoTの導入を強力にサポートします。

 

② パッケージサービスを中心としたソリューション

 当社は創業以来IoTインテグレーション事業を行っております。その中で、特定の市場や端末、機能等を選定し、パッケージ化することで運用コストを低減するとともに、ニッチなマーケットでの実績を積み重ねてきました。AIの活用により、さらなる運用コストの低減や新たな付加価値の創出を行っております。具体的なサービスの内容は下記のとおりであります。

■モニタリングソリューション

 マンションや商業施設等に対して、融雪・消雪装置の監視ソリューションを提供しております。融雪装置の遠隔監視により稼働を可視化するとともに、リモートオペレーションによって運転の最適化を実現し、燃料コストや環境負荷を低減させます。「ゆりもっと」は融雪装置自体の予防保全を可能とし、融雪装置利用にあたっての安全性、信頼性を高めます。

 主に分譲マンションの管理組合、賃貸マンション・アパートのオーナー、大規模駐車場を有する小売事業者の方々にご利用いただいております。

 「ゆりもっと」のシステムは、クラウドサーバー上で構築されており、季節に応じたサーバーリソースの割り当てをマネジメントすることで、インフラコストの最適化を図っております。

 また、監視作業効率の向上、監視品質の均質化のため、AIによる融雪監視機構を開発しました。センサーを使った現地での降雪状況やカメラ画像のほか、1kmメッシュの気象予報情報を組み合わせて現地の積雪状況を推定し、適切な融雪装置の制御判断材料を提供しています。さらに、オペレータの操作をAIへフィードバックし、学習させることで、AI判断精度の向上を図っております。

 2021年7月には、電気自動車の充電スタンド販売・導入・運用管理を行っているユアスタンド株式会社と資本業務提携契約を締結いたしました。北海道・青森エリアでのユアスタンド販売代理店として、今後拡大すると目されるEV市場に参画いたします。EV充電スタンドは「ゆりもっと」同様に集合住宅向けの商品であるため、トップシェアを誇るものの成熟市場であった遠隔監視サービス事業の底上げを図ることができ、高い親和性に期待ができます。

 

■コンストラクションソリューション

 建設現場、構築物の維持管理及び防災等の「安全管理」「省力化による生産性向上」「リアルタイム計測による作業精度向上」などを目的とした総合情報化ソリューションを提供しております。「現場ロイド」はモバイルワイヤレス技術を使って、センサーによる常時警戒により、異常を検知してからの迅速な警告発報を行い、現場管理や作業を効率化し、異常値や緊急地震速報を受信した場合には、現地の警報装置や警戒メールによる複数同時警報で事故やトラブルを未然に防ぐことを可能としております。

 「現場ロイド」においては、屋外におけるサービス提供を主としており、独立電源による電力供給、モバイルネットワークによるデータ計測、遠隔監視及び遠隔制御等の多様な環境下における運用実績を有しております。

 また、遠隔臨場(注6)に対応したサービスとして、MET-EYEとGリポートをリリースいたしました。これらは、現場の往来を減らすことで効率的な事業運営を実現し、建設現場で課題とされている「人手不足」を解決する一助になり得るとともに、新型コロナウイルス等の感染リスク抑制に貢献するものであるため、今後さらに導入拡大が進むものと見込んでおります。

 

■モビリティサービス

 モビリティサービス「Pdrive」は、主に社有車を保有する事業者向けに、危険運転時のリアルタイム動画を提供し、運転状況を「見える化」することで、交通事故削減を図ることに強みを持つカーテレマティクス(注7)サービスを提供しております。

 「Pdrive」は、加速度センサーが急ブレーキや急ハンドルといった交通事故の兆候(ヒヤリハット)である危険運転を感知すると、搭載するモバイル通信端末を介し、車載カメラの動画をクラウドへ保存し、安全管理者にメール配信する機能が特徴であります。この動画配信機能によりヒヤリハットを「見える化」することで、交通事故削減並びに自動車保険料の低減に貢献しております。

 

[事業系統図]

 以上に述べた事業の内容を事業系統図によって示すと以下のとおりであります。

 なお、当社は、IoTインテグレーション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の情報を省略しております。

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用語解説

(注1) IoTプラットフォーム

IoTを実現するためのプラットフォームのこと。一般的なIoTのフローでは、データの発生源であるセンサーから計測データが発信され、当該計測データを加工・分析した結果をトリガーとして、現地のデバイス(アクチュエーター)に対して何らかのアクションを起こします。この一連の処理を実現するソフトウエアならびにインフラを、IoTプラットフォームと呼びます。現在では広く解釈されており、データの収集や蓄積に特化したものや、データ解析に特化したもの、モバイル通信サービスに特化したもの等もIoTプラットフォームと総称されます。

(注2) ゲートウェイ

ゲートウェイとは、異なるネットワーク同士を接続するネットワーク関連機器及びソフトウエアの総称であります。

(注3) BIツール

Business Intelligenceツールの略。企業の業務システムの一種で、膨大なデータを蓄積・分析・加工し、意思決定に活用できるような形式にまとめるものであります。昨今は、情報の収集や成型といった入り口側の機能を簡略化し、美しく直感的なアウトプットに特化したものが注目されています。

(注4) API

Application Programming Interfaceの略。あるコンピュータプログラム(ソフトウエア)の機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するためのものです。APIの活用により、開発者は、自身が開発するソフトウエアにAPIで提供される機能を容易に組み込むことが可能になります。

(注5) LPWA

Low Power Wide Areaの略。省電力で遠距離通信を実現する通信方式のため、IoTに適した通信方式として注目されています。

(注6) 遠隔臨場

2020年3月に国土交通省より試行要領が発表されたもので、動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)により撮影した映像と音声を Web 会 議システム等を利用して「段階確認」、「材料確認」と「立会」を行うものであります。

(注7) カーテレマティクス

カーテレマティクスとは、カー(Car=自動車)とテレコミュニケーション(Telecommunication=遠隔通信)及びインフォマティクス(Informatics=情報学・情報処理)から作られた造語で、移動体通信を用いて自動車や輸送車両等に対して提供するサービスの総称であります。

 

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