当社グループは、「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というMissionの下、「すべての人の、『お金のプラットフォーム』になる。」というVisionを掲げ、法人及び個人のお金の課題を解決するイノベーティブなサービスづくりに取り組んでおります。
当社グループのMissionの追求並びにVisionを達成するために、法人向けサービスを提供するMoney Forward Businessドメイン、個人向けサービスを提供するMoney Forward Homeドメイン、金融機関のお客様向けにサービス開発を行うMoney Forward Xドメイン、新たな金融ソリューションの開発を行うMoney Forward Financeドメインの4つのドメインにおいて、事業を運営しております。各ドメインにおける具体的なサービス内容は下記の通りです。
<Money Forward Business>
●サービスの特徴及び優位性
当該ドメインの中心サービスである『マネーフォワード クラウド』は、バックオフィス向けの業務効率化ソリューションをSaaS(注1)という形態にて提供しております。会計・確定申告のサービスから始まり、現在では経理財務領域に留まらず人事労務、法務、情報システム領域の幅広い機能を取り揃え、個人事業主や中小企業だけでなく、中堅企業にも導入が進んでおります。『マネーフォワード クラウド』は、モジュール間でデータをシームレスに連携できることはもちろん、銀行口座やクレジットカードの情報等のサードパーティのデータを自動で収集・記録することもできます。これにより、バックオフィス業務の大幅に効率化できる他、経営状況をリアルタイムで把握し、改善につなげることができます。
生産年齢人口の減少により、今後ますます労働力確保が難しくなってくることが見込まれる中、日本の経済活動を支える中小・中堅企業の生産性の改善、収益性の向上は急務の課題となっております。このような状況の打開に向けて、電子帳簿保存法の改正や年末調整手続きの電子化等、様々な規制緩和が行われております。また、リモートワーク等の新しい働き方が広がり、クラウドサービスのニーズは更に高まっております。ユーザー獲得を加速するため、今後は中堅向けのサービスラインナップをより強化する予定です。
また、M&A(グループジョイン)により、クラウド記帳サービス『STREAMED』を提供する株式会社クラビス、クラウド型経営管理システム『Manageboard』を提供する株式会社ナレッジラボ、SaaSマーケティングプラットフォーム『BOXIL』やインサイドセールス支援『BALES』等を提供するスマートキャンプ株式会社、入金消込・債権管理クラウドサービス『V-ONEクラウド』等を提供する株式会社アール・アンド・エー・シーがグループにジョインしております。また、新たに社内向けAIチャットボットを提供するHiTTO株式会社をグループに迎えることも決定しております。バックオフィスSaaS領域でのサービスラインナップの拡充提供に加えて、SaaSマーケティング領域にも事業領域を拡大する等、グループ全体での提供価値が高まっております。
●収益構造
バックオフィスSaaS領域
『マネーフォワード クラウド』、『STREAMED』、『Manageboard』、『V-ONEクラウド』等をサービスやプランによって異なる価格帯にて月額又は年額課金の形態にて提供しております。解約率が非常に低いため、新規ユーザーの増加に従って、収益がストック型で逓増するモデルとなっております。主な販売経路は①当社営業人員による会計事務所への販売、②ウェブサイトでの販売、③当社営業人員による中堅企業への販売であります。また、フロー収入として、導入支援手数料、イベントの協賛金・参加金売上、ナレッジラボ社におけるコンサルティング売上等を計上しております。
SaaSマーケティング領域
『BOXIL』におきましては、広告主に対して、月額基本料及び資料請求数に応じた課金を行っております。『BALES』におきましては、インサイドセールス業務の内容、ボリューム等に応じて課金を行っております。また、『BOXIL EXPO』等の展示会を行い、出展企業より出展料を収受しております。加えて、BtoB、SaaS領域におけるマーケティング活動のデジタルシフトを支援するADXL株式会社においては、SaaS企業に対してマーケティングサービス等を提供し、これに応じた対価を収受しております。
<Money Forward Home>
●サービスの特徴及び優位性
『マネーフォワード ME』を中核に、各種サービスを通して個人のお金に関する課題を解決することを目的に運営しております。スマートフォンの普及を背景に、ユーザーの家計や資産などお金の情報を可視化するとともに一元管理することで、理想の家計や資産状況に向けた改善案を提示しております。
『マネーフォワード ME』では、当社グループが独自で保有するアカウントアグリゲーション(注2)技術を活用し、複数の金融機関等にある口座の残高や入出金の履歴などのデータを集約・分類して表示させることができます。それによって、『マネーフォワード ME』のユーザーは、銀行、クレジットカード、証券、保険、年金、ポイントなど、お金に関する情報を一元管理することが可能になります。さらには、お金の動きをアラートしてくれる「MY通知」や、家計資産サポート、家計診断機能により、理想の家計や支出バランスを追求することが可能となります。
また、くらしの経済メディア『MONEY PLUS』、各種セミナー・イベント、ファイナンシャルプランナーに無料で家計の相談ができる『マネーフォワード お金の相談』を通じて、お金にまつわる様々な情報の提供も行っております。電気代などの固定費の削減をサポートする『マネーフォワード 固定費の見直し』等、ユーザーのお金の課題解決に資するサービスも提供を開始しております。
●収益構造
プレミアム課金
『マネーフォワード ME』は、いわゆるフリーミアムモデル型(注3)のサービスです。複数の口座残高の一括管理や、取引履歴を食費や光熱費等のカテゴリに自動で分類・グラフ化を行うなどの基本的な機能は無料で提供しておりますが、月額約500円のプレミアムサービスとして、詳細分析機能、金融関連サービス11件以上の連携機能、1年以上前の過去データの蓄積機能、将来シミュレーション機能、家計診断による節約ポイントの把握などの上位機能を提供しております。
メディア/広告収入
『マネーフォワード ME』及び『MONEY PLUS』における広告掲載料、イベントやセミナーの開催に伴う運営収入を計上しております。『マネーフォワード お金の相談』や『マネーフォワード 固定費の見直し』等に関しては、連携する外部サービスに対する送客に応じた対価を収受しております。
<Money Forward X>
●サービスの特徴及び優位性
『マネーフォワード クラウド』、『マネーフォワード ME』の開発やデザインノウハウを活かし、アプリやwebサービスの企画・開発を行っております。主な提供サービスとして、金融機関の個人顧客向けの自動家計簿・資産管理サービス『マネーフォワードfor○○』、通帳アプリ『デジタル通帳』、法人顧客向けの資金管理サービス『Business Financial Management』等が挙げられます。また、金融関連サービスの資産データや決済データを蓄積・分析する共通基盤『マネーフォワードFintechプラットフォーム』を提供開始し、金融機関の顧客向けサービスの拡充と金融機関のDX支援を一層強化しております。さらに、通信業界等の金融機関以外の企業とサービスの共同開発にも取り組んでおります。
●収益構造
『マネーフォワードfor○○』や『デジタル通帳』等の保守・運用にかかる月額課金ストック収益として収受する他、開発、プロモーション支援等により発生する一時的なフロー収益を収受しております。
<Money Forward Finance>
●サービスの特徴及び優位性
主なサービスとして、企業の資金繰りをサポートする、企業間後払い決済サービス『マネーフォワード ケッサイ』及び売掛金早期資金化サービス『マネーフォワード アーリーペイメント』を提供しております。独自の与信モデルにより、スピーディーに審査ができ、企業における資金繰り早期化ニーズ、請求業務のアウトソースニーズに迅速に対応しております。さらには、当連結会計年度においては、株式会社三菱UFJ銀行との合弁会社として株式会社Biz Forwardを設立し、翌連結会計年度より中小企業向けのオンラインファクタリング事業及び請求代行事業の提供を開始する予定です。また、マネーフォワードシンカ株式会社において、既存のサービスや金融機関とのネットワークを組み合わせた成長企業向けのフィナンシャル・アドバイザリーサービスを提供しております。さらに、前連結会計年度に開始した、シード・アーリーステージのスタートアップを支援するアントレプレナーファンド『HIRAC FUND』は、累計16社への投資を行っております。
●収益構造
『マネーフォワード ケッサイ』『マネーフォワード アーリーペイメント』の手数料収入、マネーフォワードシンカ社におけるアドバイザリーフィーを計上しております。
(注1)SaaS
「Software as a Service」の略称であり、サービス提供者がソフトウエア・アプリケーションの機能をクラウド上で提供し、ネットワーク経由で利用する形態を指します。一般的に初期導入コストを抑えた月額課金のビジネスモデルとなります。
(注2)アカウントアグリゲーション
ユーザーが保有する、銀行、証券、クレジットカードなど複数の金融機関の口座の残高や入出金履歴といった情報を取得・集約する技術をいいます。
(注3)フリーミアムモデル型
基本的なサービスはすべて無料で提供し、一部の機能を有料で提供するビジネスモデルをいいます。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
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