業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 わが国の教育業界においては、従来からの少子化の流れの中で、企業間競争が激しさを増しており、経営環境は依然厳しい状況で推移しているものの、当社が属するEdTech市場は、2020年度から始まった政府のGIGAスクール構想と、新型コロナウイルス感染拡大などの影響により、オンライン学習の普及が拡大し、高い水準で関心・注目が続いております。

 当社はこのような環境の中、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念として社員全員が共有し、その実現に取り組んでおります。

 主要顧客である「学習塾マーケット(学習塾を対象とした販路を指します。)」においては、これまでの「低学力に強い学力向上教材」というイメージに加え、先取り学習・反転授業など幅広い学力層での活用拡大、オンライン学習切り替えへの迅速な対応実績から「通塾でも自宅学習でもオンラインでシームレスに対応できるAI教材」として順調に認知が拡大しています。また、放課後等デイサービスにつきましても、契約数が順調に増加しております。一方、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う通塾の自粛により生徒数が減少し、当期末時点の導入校数は1,215校(前期末比99校増加)、ID数は22,494ID(前期末比2,786ID減少)となりました。その結果、学習塾マーケットの当期における売上高は738,024千円(前年同期比2.6%増加)となりました。

 次に「学校マーケット(学校を対象とした販路を指します。)」においては、私立学校分野で専門学校や通信制高校の採用が増加しました。公立学校分野では経済産業省の先端的教育用ソフトウェア導入実証事業費補助金(以下、EdTech導入補助金)を利用したサービス提供や、無償で提供していたNEC教育クラウドを利用した「すららドリル」の有料利用が開始されました。その結果、当期末時点の導入校数は1,336校(前期末比240校増加)、ID課金数(校舎課金を除く。)は403,621ID(前期末比69,055ID増加)となりました。また、学校マーケットの当期における売上高は836,620千円(前年同期36.0%増加)となりました。

 さらに当社では学習塾・学校に続く第3の事業の柱として「個人学習者向けのBtoCマーケット(個人学習者を対象とした販路を指します。)」における事業展開を進めております。新型コロナウイルス感染症拡大による自宅学習需要の拡大と、昨今社会問題として注目されつつある不登校生の自宅利用の増加により、当期末時点のID数は3,677ID(前期末比261ID増加)となりました。その結果、BtoCマーケットの当期における売上高は365,346千円(前年同期18.7%増加)となりました。

 また、当社が将来の成長の鍵として注力しております「海外マーケット(日本国外を対象とした販路を指します。)」では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う現地の学校閉鎖が長期化しておりますが、家庭学習として個人での利用が増加していることと、NPO教育プロジェクト等複数のプロジェクトの活動が始まり、当期末時点の海外マーケットにおけるID数は2,710ID(前期末比774D増加)となりました。

 その結果、当社全体の当期における売上高は1,952,688千円(前年同期比18.4%増加)となりました。また、当社全体の当期末時点における導入校数は2,606校(前期末比339校増加)、利用ID数は433,439ID(前期末比59,656ID増加)となりました。

 

 業容の拡大に向けた営業・開発人員の増強、社内体制強化、新コンテンツ・システムへの開発投資、サーバー増強において、積極的に取り組んでまいりました。一方、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が政府により発令されたことにより、在宅勤務や時差出勤制度を継続的に活用し、出張や対面での営業活動を自粛し、オンライン対応へと切り替えたことにより、旅費交通費など一部の経費については減少しております。その結果、当社全体の当期における売上原価は474,307千円(前年同期比32.8%増加)、販売費及び一般管理費は957,332千円(前年同期比27.3%増加)となりました。

 

 以上の結果、当期の営業利益は521,048千円(前年同期比3.6%減少)、経常利益は552,545千円(前年同期比0.7%増加)、当期純利益は399,782千円(前年同期比5.2%増加)となりました。

 

 当事業年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。

 

(a)財政状態

 当期の総資産は2,128,148千円となり、前事業年度末に比べ347,475千円増加いたしました。これは主に、コンテンツ・システム開発に伴うソフトウエアとソフトウエア仮勘定が増加したものであります。

企業の安全性を示す自己資本比率は前事業年度末72.1%に対し、当事業年度末は80.5%と8.4ポイント増加しております。また、支払能力を示す流動比率は前事業年度末267.0%に対し、当事業年度末は387.5%と120.5ポイント増加しております。

 

(流動資産)

当期における流動資産は1,608,745千円となり、前事業年度末に比べ282,605千円増加いたしました。これは主に売上高の増加により現金及び預金が291,382千円増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

当期における固定資産は519,403千円となり、前事業年度末に比べ64,869千円増加いたしました。これは主にコンテンツ・システム開発により無形固定資産が67,726千円増加したことによるものであります。

 

(流動負債)

当期における流動負債は415,135千円となり、前事業年度末に比べ81,493千円減少いたしました。これは主に未払法人税等121,747千円の減少と、前受金71,604千円が増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当期における純資産合計は1,713,013千円となり、前事業年度末に比べ428,968千円増加いたしました。これは主に当期純利益を399,782千円計上したこと、新株予約権(ストックオプション)の行使と、譲渡制限付株式報酬としての新株の発行により、資本金及び資本準備金がそれぞれ14,593千円増加したことによるものであります。

 

(b)経営成績

 当事業年度の経営成績は、売上高は1,952,688千円(前年同期比18.4%増加)、営業利益は521,048千円(前年同期比3.6%減少)、経常利益は552,545千円(前年同期比0.7%増加)、当期純利益は399,782千円(前年同期比5.2%増加)となりました。

 

②キャッシュフローの状況

 当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は前事業年度末に比べ291,382千円増加し、1,244,512千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は502,678千円(前年同期は600,354千円の収入)となりました。その主な内訳は税引前当期純利益552,545千円、減価償却費137,691千円、前受金の増加額71,604千円、法人税等の支払額267,225円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は222,875千円(前年同期は187,296千円の支出)となりました。その主な内訳は無形固定資産の取得による支出220,829千円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は11,760千円(前年同期は7,243千円の収入)となりました。その内訳は新株予約権の行使による株式の発行による収入11,760千円であります。

 

 ③生産、受注及び販売の状況

(a)生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(b)受注状況

当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(c)販売実績

当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比
(%)

eラーニング関連事業(千円)

1,952,688

118.4

合計(千円)

1,952,688

118.4

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社の事業セグメントは、eラーニング関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の

販売実績は記載しておりません。

3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合。

  損益計算書の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

4.マーケット別の販売実績は次のとおりであります。

マーケットの名称

当事業年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比
(%)

学習塾(千円)

738,024

102.6

学校(千円)

836,620

136.0

BtoC(千円)

365,346

118.7

その他(千円)

12,697

87.2

合計(千円)

1,952,688

118.4

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態の分析

当事業年度末の総資産は2,128,148千円となり、前事業年度末に比べ347,475千円増加いたしました。

詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (a)財政状態」をご参照下さい。

 

(b)経営成績の分析

(売上高)

当事業年度における売上高は1,952,688千円(前年同期比18.4%増加)となりました。詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

 

(営業利益、経常利益及び当期純利益)

業容の拡大に向けた営業・開発人員の増強、社内体制強化、新コンテンツ・システムへの開発投資、サーバー増強において、積極的に取り組んでまいりました。一方、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が政府により発令されたことにより、在宅勤務や時差出勤制度を継続的に活用し、出張や対面での営業活動を自粛し、オンライン対応へと切り替えたことにより、旅費交通費など一部の経費については減少しております。その結果、当社全体の当期における売上原価は474,307千円(前年同期比32.8%増加)、販売費及び一般管理費は957,332千円(前年同期比27.3%増加)となりました。

この結果、営業利益は521,048千円(前年同期比3.6%減少)、経常利益は552,545千円(前年同期比0.7%増加)、当期純利益は399,782千円(前年同期比5.2%増加)となりました。

 

 

(c)キャッシュ・フローの分析

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュフローの状況」に記載しております。

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。当社の資金需要の主なものは、コンテンツ・システムの開発費、人件費及び販売活動のための広告宣伝費等の運転資金であります。これらの資金需要に対して、営業活動により必要となる資金を調達しており、資金の流動性は十分に確保されております。今後新たな資金需要が出てきた場合には、金融機関からの借入や新株の発行等により、最適な方法による資金調達にて対応する方針です。

 

(d)経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

(e)経営戦略の現状と見通し

当社は、設立以来、インターネットを通じてPCタブレットで学ぶことができるeラーニングサービス関連事業を展開してまいりました。

現在の「すらら」の契約数は、コンテンツや機能の追加・拡充、学習塾や学校等に対する経営支援、他社とのコラボレーションによるコンテンツや機能の強化等の施策により堅調に推移しております。

当社は今後、上記の強みを活かしながら社会に発生する様々な教育課題を解決するために、既存ルートの深耕と、新分野の開拓を進めていく方針であります。

 

(f)経営者の問題認識と今後の方針について

当社は、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念として事業を展開しております。世の中には、学力や所得、地域の格差などによって十分な教育を受けることができない子どもたちがいます。当社はそうした子どもたちにも、ひとりひとりに合った新しい学習体験を届け、この学習体験を通じて、子どもたちが「大人になっても役に立つ真の学力」と「努力をすれば結果が出るという自信」を身に付ける支援をしております。当社はこれらを実現するために、新しい学びの形を、学習塾や学校、その他の教育機関と共に築いてまいります。さらに「不登校」「発達障がい」など次々に発生する社会課題をテクノロジーで解決すべく、技術開発とサービスの品揃えに注力します。これらの取り組みを世界に拡げ、貧しい子どもたちでも高品質な教育が安価に受けられるようにし、所得格差と教育格差の負のスパイラルという社会の問題を解決することをビジョンとしております。当社は、このようなビジョンに基づいて事業を展開し業績の向上を図るとともに、株主利益や社会貢献に十分に配慮し、企業価値の向上に努める所存であります。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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