当社は、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念とし、新しい学習体験を届ける事業活動を通じ、学習者に「大人になっても役に立つ真の学力」と「努力をすれば結果が出るという自信」を得られる機会を提供しています。貧困や障がいに苦しむ子どもたち、低学力の生徒、世界中の教育格差という社会課題を、最先端技術で解決する。教育格差を根絶することが当社の使命であると考えています。
当社教材は、従来の進学塾・予備校、人による個別指導塾や映像配信型の教材とは異なり、無学年式で、学習内容のさかのぼり、先取りを学年、学校種を超えて行える(高校生が小学校の復習に取り組むなど)特長を活かし、偏差値30~60と低学力層を含めた幅広いレンジの生徒が利用でき、一人ひとりの学力向上のみならず学習塾・学校全体の学力底上げを目指すコンテンツです。また、幅広い機能を有する学習管理機能により、教員の働き方改革への貢献も可能となります。当社は今後も、教材の開発・提供、教育現場でのEdTech活用のためのコンサルテーションならびに、学習者の学習履歴や解答情報をはじめとするビッグデータの活用や、AIのさらなる活用など、新しい教材やサービスの開発、提供を加速し、当社独自のポジションを確立していきます。
わが国の教育業界においては、従来からの少子化の流れの中で、企業間競争が激しさを増しており、経営環境は依然厳しい状況で推移しているものの、当社が属するEdTech市場は、2020年度から始まった政府のGIGAスクール構想と、新型コロナウィルス感染拡大などの影響により、オンライン学習の普及が拡大し、高い水準で関心・注目が続いております。EdTech市場の市場規模は、2021年度には1,868億円と見込まれていますが、2027年度には2,524億円に拡大することが予測されています。(出典:「ITナビゲーター2022年版」野村総合研究所 EdTech市場規模予測「コンテンツ(教科学習)」)
また、新学習指導要領が2020年度(小学校)、2021年度(中学校)、2022年度(高等学校)に実施され、新しい時代に必要となる資質・能力の育成と、学習評価の充実が図られます。新学習指導要領ではSociety 5.0 の実現を目指し、主体的・対話的で深い学び(「アクティブ・ラーニング」)の視点からの学習過程の改善が行われています。情報活用能力が、言語能力、問題発見・解決能力等と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けられ、「各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図る」ことが明記されるなど、今後の学習活動において、積極的にICTを活用することが想定されています。同時に文部科学省からは、「学校における働き方改革に関する緊急対策」が発表され、ICTを活用することにより教員の働き方改革を実現することも期待されています。
文部科学省では、新学習指導要領の実施を見据え「2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針」を取りまとめるとともに、当該整備方針を踏まえ「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)」を策定しました。1人1台端末や、家庭でも繋がる通信環境の整備等、GIGAスクール構想におけるハード・ソフト・指導体制を一体とした整備を加速させる方針が発表されましたが、2020年に起こった新型コロナウイルス感染症拡大を受け、当初のスケジュールが前倒しとなりました。2021年度7月時点で全自治体等のうち、義務養育段階の学校においては96.1%が端末整備されたと報告があります。また、公立高校においては、2022年度1年生の1人1台端末整備は完了予定、2024年度全学年の1人1台端末整備が完了予定と予測されています。(出典:文部科学省「高校学校における学習者用コンピューターの整備状況について(令和4年度見込み)」)
なお、経済産業省では2020年度よりEdTech導入実証事業が進められました。EdTech導入実証事業は、EdTechを学校などに導入実証する事業者に費用の一部を補助する制度で、学校や教育委員会などの費用負担を軽減することによりEdTechを導入しやすくし、教育のイノベーションにつなげることを目的とした事業で、当社は2020年、2021年と採択されています。このように教育支援サービスも広がり、教育のICT化に向けた取り組みは一層加速し、教育現場へのEdTech導入がさらに広がっています。
3.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、EdTechスタートアップ企業として、AI×アダプティブラーニング機能を有した「すらら」を通じて教育現場のICT化を進めてまいりました。
政府のGIGAスクール構想により、公立小中学校を中心とした公教育のICT化が進む中、学校法人や学習塾などの民間教育においてもICT化が加速されると予想しております。
そのような中で大手企業による新サービスの開発や、新たなEdTech企業の台頭により競争環境は厳しくなることが考えられます。
今後他社との差別化を図りつつ、さらに事業を拡大させ、新しい付加価値を創出していく上で、対処すべき課題として以下の項目に取り組んでおります。
① コンテンツの拡充
当社は、2020年3月に小・中学校の理科・社会コンテンツの提供を開始し、「国語・算数/数学・英語・理科・社会」の主要5科目を網羅するAI×アダプティブなeラーニングコンテンツを提供しております。2022年3月には、高校理科・社会コンテンツのサービス提供を開始します。今後も多様化する教育ニーズに対応すべく、新しいコンテンツを企画し拡充してまいります。自社開発以外にも教育関連企業等と協働して、新しい技術を活用し、新しい分野でのコンテンツの制作に邁進してまいります。
② 公立学校マーケットの開拓
2020年、2021年の経済産業省によるEdTech導入補助金の交付や、代理店経由で無償提供をしていた自治体の有償化が始まったことにより、公立学校、自治体での活用が拡大いたしました。さらなるマーケットニーズに対応するため、当社はこれまで以上に大手メーカーや販社などとの連携を深め、引き続き公立学校のマーケット開拓に積極的に取り組んでまいります。
③ BtoCマーケットの開拓
④ 海外マーケットの開拓
当社の顧客は日本国内の塾や学校が大半をしめております。当社が今後も成長を続け、また当社が企業ミッションとして掲げる「人生を切り開く力をすべての子どもたちに」を実現するために、eラーニングサービスの特徴を活かし、当社サービス「Surala Ninja!」を海外で積極的に展開してまいります。そのために、スリランカとインドネシア共和国での事業拡大を引き続き行うとともに「Surala Ninja!」のコンテンツの拡充に努めてまいります。また、その他の国などにおいて、積極的に日本の大手企業や現地企業、国際組織などとの連携を強化し、開拓してまいります。
⑦ 内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
当社のさらなる事業の拡大、継続的な成長のためには、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの一層の強化が重要な課題であると認識しております。当社は、監査等委員会及び内部監査部門、任意の諮問機関である指名委員会・報酬委員会、ならびに会計監査人との連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施等を通じて、内部管理体制の強化に取り組んでいく方針です。
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