文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当期の国内外の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にありましたが、持ち直しの動きが見られました。
当社グループは、2020年度から2022年度までの中期経営計画において、喫緊の経営課題である事業構造の変革および研究開発の強化に取り組み、3事業すべてが成長を牽引する事業構造への転換を進めることとしております。
本中期経営計画を踏まえた事業別の課題および取り組みについては次のとおりであります。
吸水性樹脂セグメントでは、高付加価値分野に研究開発リソースを集中投下し、顧客の多様なニーズを実現する新グレードの開発や、中国・アジアなどの成長市場におけるテクニカルマーケティングの強化を通じ、当社製品・技術サービスの差別化および新グレードの拡販に注力してまいります。同時に、抜本的な合理化として製造プロセス改善、生産体制再構築、サプライチェーン最適化に取り組み、競争力強化と生産性向上を実現いたします。
機能化学品セグメントでは、パーソナルケア分野では欧米・中国などの成長市場をメインターゲットとし、化粧品・トイレタリー用増粘剤の市場ニーズにマッチした機能を開発する一方、環境分野では世界的な環境問題に対応した水系エマルジョン・有機溶剤フリーの粉体塗料への切り替えを展開してまいります。電子材料分野では5G高速通信、自動車CASE対応などの新たな市場ニーズに対応するため、最適な機能開発を進める一方、エネルギー分野では高容量化、長寿命化等の次世代車載用電池等のニーズに対応した、高機能なバインダー、添加剤を提供いたします。
ガス・エンジニアリングセグメントでは、半導体ガスでは大手デバイスメーカー向けエッチング・成膜プロセス用高純度CO・高純度C3H6(プロピレン)の顧客・技術動向の早期把握による拡販、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体向け高純度C3H8(プロパン)の拡販、コストダウン実現と次期投資機会の獲得に取り組んでまいります。ガスケミカルでは工業用途向けの需要を安定確保するとともに、半導体用途などの新規需要を取り込み、プロダクトミックスを最適化してまいります。開発品ではガス製品およびPSA関連への選択と集中で効率を重視しつつ、特に次世代半導体材料で他社との提携を含めた開発を強化いたします。
新製品の開発では、吸水性樹脂では衛材共通ニーズの漏れ、臭い、かぶれ等を解決する新製品開発の継続に加え、環境に配慮した製品を追求する技術開発、コスト削減に向けたプロセス開発に取り組んでまいります。機能化学品では電子、エネルギー分野の新製品開発を継続する一方、当社の水溶性樹脂技術を生活、医薬関連化学品、接着剤、塗料分野に向けて展開してまいります。ガス・エンジニアリングでは半導体用高純度ガスのプロダクトラインアップ拡充や新規半導体プロセス材料の開発推進、PSA技術活用ガスの適用拡大に注力いたします。
本計画では、最終年度である2022年度の業績目標を、売上高1,200億円、営業利益80億円、ROE8.5%としており、その前提条件は、為替レートが110円/米ドル、15.0円/人民元、国産ナフサ40,000円/KLであります。一方、2022年度の業績見通しは、計画策定時と比べ、人民元の上昇等が増益要因となるものの、コロナ禍からの世界経済の回復に伴う原油の需要増や一部産油国の生産停滞などによる原油価格の高騰に伴い、原燃料価格が大幅に上昇していることなどの減益要因が大きく、業績目標の達成は困難な状況であります。
<2022年度 業績>
厳しい事業環境の下ではありますが、当社グループは引き続き、中期経営計画に掲げている、事業構造の変革、研究開発の強化、開発品への積極的な投資を推進し、2023年度以降の飛躍につなげてまいります。
なお、2022年5月12日開催の取締役会において、2022年6月24日付で機能化学品部門とガス部門を統合し、機能マテリアル部門とすることを決議したことに伴い、翌連結会計年度以降は、従来の「機能化学品」セグメントと「ガス・エンジニアリング」セグメントを統合し、「機能マテリアル」セグメントへ変更することといたしました。2022年度の「機能マテリアル」セグメントの業績予想は、売上高390億円、営業利益48.5億円であります。「吸水性樹脂」セグメントおよび「その他」セグメントへの影響はありません。
また、グループ経営の強化、人財の育成、更なる技術力の強化に取り組むとともに、カーボンニュートラルの実現に向け、環境負荷低減の取り組みをより一層推進するなど、SDGsの課題に取り組み、持続可能な社会の発展に貢献することで、社会から信頼を得て、常に社会と共存共栄する企業グループであるよう努めてまいります。
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