当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりです。
(経営成績の状況)
当期のわが国を含む世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が緩和し、持ち直しの動きがみられました。今後、感染拡大の防止策を講じての経済社会活動の継続等を受け持ち直しの動きが続くことが期待されますが、同感染症の影響が未だに残っていることに加え、原燃料価格の高騰、半導体の不足、ウクライナ情勢の動向等による影響が懸念され、先行きが不透明な状況が続いております。
このような状況のなか、当社グループは、新型コロナウイルス感染症に対し感染予防と感染リスク低減に努めて安定的に事業活動を継続しております。同感染症の再流行に伴う中国でのロックダウンにより、機能製品事業の炭素製品分野の現地工場が稼働を停止していますが、影響は軽微でした。また、機能製品事業を中心に、原燃料価格の高騰による業績への悪影響はあるものの、これに対し適宜、製品価格への転嫁等の対策を進めております。
当連結会計年度は、機能製品事業のリチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂を中心に売上げが伸張し、米国のPGA(ポリグリコール酸)樹脂製造会社での当期の生産活動を中止したことによる損失があったものの、セグメント営業利益合計は増益となりました。また営業利益でも、その他の費用で機能製品事業に係る固定資産の減損損失を計上しましたが増益となりました。
売上収益は前期比16.4%増の1,683億41百万円、営業利益は前期比16.7%増の201億42百万円、税引前利益は前期比14.9%増の203億98百万円、当期利益は前期比5.0%増の142億93百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比5.0%増の141億64百万円となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 営業利益の調整額には、報告セグメントに配分していないその他の収支が含まれております。詳細は、連結財務諸表注記「24.その他の収益」および「25.その他の費用」に記載しております。
機能製品事業
化学製品事業
樹脂製品事業
建設関連事業
その他関連事業
(財政状態の状況)
当期末の資産合計につきましては、前期末比257億16百万円増の2,826億39百万円となりました。流動資産は、現金及び現金同等物、営業債権ならびに棚卸資産が増加したこと等により、前期末比261億81百万円増の1,124億18百万円となりました。非流動資産は、無形資産、持分法投資および退職給付に係る資産等が増加しましたが、補助金受領に伴う圧縮記帳を実施したこと、および減損損失を計上したこと等により、有形固定資産が前期末比57億35百万円減の1,144億35百万円となり、前期末比4億65百万円減の1,702億21百万円となりました。
負債合計につきましては、前期末比105億12百万円増の819億14百万円となりました。これは、有利子負債が借入金等の返済により前期末比9億99百万円減の285億7百万円となりましたが、営業債務等が増加したこと等によるものです。
資本合計につきましては、前期末比152億3百万円増の2,007億24百万円となりました。これは、剰余金の配当を33億18百万円実施した一方で、親会社の所有者に帰属する当期利益を141億64百万円計上するとともに、為替市場での円安の影響によりその他の資本の構成要素が増加したこと等によるものです。
営業活動によるキャッシュ・フローは285億81百万円の収入となり、前期に比べ18億77百万円収入が増加しました。これは、税引前利益が増加したこと等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは109億99百万円の支出となり、前期に比べ71億23百万円支出が増加しました。これは、投資有価証券の売却による収入が減少したこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは61億5百万円の支出となり、前期に比べ64億10百万円支出が減少しました。これは、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの増減額による収入が増加したこと等によるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、前期末に比べ128億5百万円増加し306億39百万円となりました。これは、今後の資金の流動性の確保のために現金及び現金同等物を積み上げしたことによるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は平均販売単価によっております。
当連結会計年度における土木・建築工事の施工請負等の受注実績は次のとおりです。なお、これ以外の製品については見込生産を行っております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループは、「中計ストレッチFinal stage」を「KC2020」で掲げた重点課題を完遂させる(「やり抜く」姿勢(企業風土)を定着させる)とともに、将来に向けて持続的な成長を果たすための具体的目標とアクションプランを策定する期間と位置づけ、事業活動を推進しております。
なお、経営成績の分析については、「3. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に、分析に基づく検討内容については、「1. 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営環境、中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題」に記載しております。
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2.事業等のリスク」に記載のとおりです。
(セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容)
機能製品事業
化学製品事業
樹脂製品事業
業務用食品包装材は、新型コロナウイルス感染症の拡大によるロックダウンの影響を最小限に留め生産を継続し、アジア地域では販売、利益ともに伸長しました。欧州地域では原材料価格の急激な上昇や原料サプライヤーのプラントトラブル、地政学的リスクの増大等厳しい事業環境が続きましたが、販売は増加し、損失は減少しました。
建設関連事業
その他関連事業
「3. 経営者による財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループは、必要な資金を金融機関からの借入、社債およびコマーシャル・ペーパーの発行により調達しております。また、当社グループとしての資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、コマーシャル・ペーパーの発行枠の確保、金融機関とのコミットメントライン契約、当座貸越契約等の活用により、流動性を確保できております。
当社グループは、計画利益の確保と資産の効率化による営業キャッシュ・フローの最大化を図り、優先的に新規事業および既存事業拡大のための設備投資、投融資、研究開発投資、および株主への配当等に資金を配分することを基本方針としております。その上で、長期的な資金の確保を第一としながら、長短借入金のバランスについても考慮し、必要な資金調達を実施しております。
重要な資本的支出の予定およびその資金の調達源については、機能製品事業を中心に設備投資を予定し、その資金調達は自己資金、社債及び借入金を考えております。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、「第5.経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積りおよび判断」に記載しております。
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