文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、“人と自然を大切にします。”“常に変革を行い成長し続けます。”“価値ある商品を創出して、社会の発展に貢献します。”という企業理念に基づき活動し、“エクセレント・カンパニー”を目指し挑戦し続けます。
また、コンプライアンス(法令および社会的規範の遵守)を重視し、公正で自由な競争に基づく事業活動、正確で有用な情報の適時適切な開示、地域社会への積極的な貢献、地球環境の保護等にも当社グループをあげて真摯に取り組んでまいります。
以上を経営の基本方針とし、当社グループ全体の企業価値を最大限に高めてまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、差別化製品のグローバル展開と新事業の創出により企業価値向上を目指す観点から「売上収益」および「営業利益」、資産効率の指標である「総資産利益率(ROA)」ならびに資本効率の指標である「自己資本利益率(ROE)」を経営指標とし、その向上に取り組んでまいります。
また、企業理念に基づくESG経営への取り組みとして、温暖化ガス排出抑制目標の達成に向け取り組んでまいります。具体的な目標は以下のとおりです。
・2030年度の温暖化ガス排出抑制目標:エネルギー起源CO2排出量を、絶対量で2013年度比20%削減
(3) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題
当社は、「『技術立社』企業として、スペシャリティ・ケミカル分野において差別化された製品を開発し、社会に貢献し続ける高付加価値型企業となること」を目指し、2016年度に策定した中期経営計画「Kureha's Challenge 2018」(2016年度~2018年度)、「Kureha's Challenge 2020」(2019年度~2020年度、以下、「KC2020」という)を経て、「KC2020」を2年間延長した中期経営計画「Kureha's Challenge 2022」(2021年度~2022年度、以下、「中計ストレッチFinal stage」という)に取り組んでおります。2022年度は次期中期経営計画の準備年度と位置付け、「中計ストレッチFinal stage」で掲げた課題の完遂に取り組んでまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策等を講じての経済社会活動の継続により、今後、わが国を含む世界経済は持ち直しの動きが続くことが期待されますが、同感染症の影響は未だに不透明であり、原燃料価格の高騰、半導体の供給不足、ウクライナ情勢の動向等による影響も懸念されます。
このような状況に対し、当社グループでは、事業活動への影響を注視の上、安全で衛生的な労働環境の確保や適切な製品価格への転嫁等、適宜対策の立案およびその実行に努めてまいります。
「中計ストレッチFinal stage」について
<位置づけ>
1)「やり抜く」姿勢(企業風土)の定着
「中計ストレッチFinal stage」における最優先課題は、「KC2020」の未達成課題を完遂しステークホルダーの皆様に当社のコミットメント重視の姿勢を発信しながら、「やり抜く」企業風土を定着させることです。
2)中長期視点に立ったクレハグループの将来像設計とアクションプラン策定
「中計ストレッチFinal stage」の期間中に、従来の課題を「やり抜く」とともに、将来に向けて持続的な成長を果たすための具体的目標とアクションプランを設定します。
<経営目標と重点施策>
1)高機能製品事業の拡大
・新戦略に基づく既存製品のシェア拡大と新製品の上市・拡販によるPGA事業の基盤固め
・フッ化ビニリデン樹脂事業の収益拡大と、次期プラントの建設工事着工
・協業先との連携強化によるPPS事業の収益改善
2)既存事業の最適化
・環境変化に応じた事業戦略・施策の見直し
・既存製品の新規用途開拓
3)新規事業探索と育成
・環境負荷低減技術の開発と事業化による社会貢献
・パイプラインにある新製品の開発推進
・自社保有技術と外部技術の協業による新規事業創出
4)経営基盤の強化
・新人事制度の導入と浸透(役割・成果重視の処遇の強化、定年延長)
・生産技術力、コスト競争力の更なる強化
・デジタル化の推進およびIT人財の強化
・SDGsやカーボンニュートラルを見据えたESG経営の強化
<定量計画>
定量計画は、新型コロナウイルス感染症等が内外経済に及ぼす影響が不透明なため、単年度ごとに計画を策定してこれを達成することを目指します。
(単位:億円)
(前提条件) 為替:120円/米ドル、132円/ユーロ、18.5円/人民元
〔セグメント別計画〕 (単位:億円)
<その他の経営課題>
また、コーポレート・ガバナンスの高度化や内部統制の強化も重要な経営課題と認識しています。
当社は、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方・方針を定め、株主・投資家に対して当社の姿勢を示すために、「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定しており、経営の「監督機能」と「執行機能」の役割を明確にし、それぞれの機能強化を図ることにより、コーポレート・ガバナンスの高度化に取り組んでいます。
(経営における監督責任と執行責任の明確化)
・経営における監督責任と執行責任を明確にするために、社外取締役と執行役員制度を導入しています。
・取締役会は、業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役3分の1以上を含む10名以内で構成し、監査役(社外監査役2名以上を含む4名以内で構成)も参加しています。
・事業年度の運営に対する責任を明確にするため、取締役、執行役員の任期は1年としています。
(会社機関の機能)
・取締役会は、重要な経営事項の決定と業務執行の監督を行なっています。
・経営会議は、代表取締役社長が議長を務め、執行役員を構成メンバーとし、当社の経営に関する重要案件等について審議しています。
・連結経営会議を定期的に開催し、経営方針、事業戦略について相互に意見交換を行うことにより、連結経営の強化を図っています。
内部統制の強化については、内部統制システム(取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制および株式会社の業務の適正を確保するための体制)をより強固なものとするべく、「内部統制システムの基本方針」を制定し、当社およびグループ各社が業務遂行に当たり、法令を遵守し、業務を適正に遂行する体制を確保するよう各種委員会の設置や社内規程の整備および法令への対応を進めています。「財務報告に係る内部統制」に関しましても「基本規程」を制定し、金融商品取引法に定められた「財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者による評価及び公認会計士等による監査」を実施し、財務報告の信頼性の確保を図り、代表取締役の責任の下、「内部統制報告書」を作成しています。
コーポレート・ガバナンスの高度化とともに内部統制の強化については今後も継続して取り組んでまいります。
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