当社における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、以下のとおりであります。
流動資産は、前事業年度末と比べて94,147千円増加し、1,107,063千円となりました。これは主に、現金及び預金が113,528千円減少した一方、売掛金及び契約資産(前期末は「売掛金」)が96,447千円、商品が5,086千円、仕掛品が46,366千円増加したことによるものであります。
固定資産は、前事業年度末と比べて83,895千円増加し、407,844千円となりました。これは主に、工具、器具及び備品が11,372千円、自社利用ソフトウエアの開発によりソフトウエアが76,834千円及びソフトウエア仮勘定が13,846千円増加した一方、長期前払費用が11,755千円減少したことによるものであります。
この結果、当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ、178,042千円増加し、1,514,907千円となりました。
b.負債の部
流動負債は、前事業年度末に比べて124,506千円減少し、365,512千円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が35,115千円、未払法人税等が39,246千円、契約負債(前期末は「前受収益」)が29,888千円減少したことによるものであります。
固定負債は、前事業年度末と比べて54,389千円減少し、10,890千円となりました。これは主に、長期借入金が53,552千円減少したものであります。
この結果、当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ178,895千円減少し、376,403千円となりました。
純資産合計は、前事業年度末に比べて356,938千円増加し、1,138,504千円となりました。これは、当社株式の東京証券取引所マザーズ(現:グロース市場)への上場に伴う公募増資等及び新株予約権の行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ241,014千円増加したものの、利益剰余金が当期純損失の計上により91,660千円減少、配当金の支払により33,400千円減少したことによるものであります。
当事業年度におけるわが国経済は、各種政策の効果や新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展により段階的な経済活動持ち直しの動きがみられるものの、依然として厳しい状況にあります。また、半導体不足の継続、円安の進行に加え世界情勢の不安もあり、先行きは不透明な状況が続いております。
当社の主要な事業領域であるクレジットカード業界においては、経済産業省が実施したキャッシュレス・ポイント還元事業等を背景に、キャッシュレス決済の浸透が進み、民間消費支出に占めるキャッシュレス決済比率、キャッシュレス支払金額はともに上昇し、市場の成長が続いています。経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によると、クレジットカード業の取扱高は2022年6月度における前年同月比で19.6%増加しており、クレジットカード等の普及は、今後ますます増加が継続するものとみられます。
このような環境の中、当社はスーパーマーケット・ディスカウントストア等の小売業を中心にEMV(注)に準拠した決済システム及び端末の提案や導入を進めてまいりました。
情報システム開発売上高(フロー収益)は、決済システムと決済端末をセットで導入する予定であった一部のユーザーにおいて、システム投資時期の見直しが発生したことに伴い、受託開発案件及び端末導入案件の受注が伸び悩み、666,437千円(前年同期比43.5%減)となりました。
アウトソーシングサービス売上高(ストック収益)は、情報システム開発売上高案件の納品後から売上計上されるため、情報システム開発の受注が伸び悩んだ影響を受け、922,370千円(前年同期比2.6%増)に留まりました。
以上により、会社全体の当事業年度の売上高は1,588,807千円(前年同期比23.5%減)となり、営業損失55,715千円(前年同期は営業利益199,591千円)、経常損失82,878千円(前年同期は経常利益191,615千円)、当期純損失91,660千円(前年同期は当期純利益126,576千円)となりました。
当社は、カード決済サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注)「EMV」とは、Europay、Mastercard、VISAの頭文字をとったもので、IC型クレジットカードに関する国際規格です。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、 385,085千円 となり、前事業年度末に比べ 117,133千円減少 しました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果使用した資金は △273,858千円 となりました。これは主に、税引前当期純損失の計上 △82,878千円 、 減価償却費 79,330千円 、売上債権の増減額△96,447千円、棚卸資産の増減額△51,453千円、法人税等の支払額△75,580千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は △189,377千円 となりました。これは主に、社内用PC、サーバー購入等、 有形固定資産の取得による支出 △40,475千円 、自社利用ソフトウエアの開発を中心に 無形固定資産の取得による支出 △139,867千円 によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は346,053千円となりました。これは主に、新規上場及び新株予約権の行使に伴う株式の発行による収入475,867千円、長期借入金の返済による支出△88,667千円及び配当金の支払額△33,400千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の事業は、キャッシュレス決済に関連したサービスの提供であり、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当事業年度における受注実績は次のとおりであります。なお、当社はキャッシュレス決済サービス事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
(注)1.当事業年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、情報システム開発におきまして、大型案件を受注したことによるものであります。
2.アウトソーシングサービスについては、その事業の性質上、受注生産形態になじまないため、受注実績は記載しておりません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社はキャッシュレス決済サービス事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
この財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。経営者は過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、事業活動へ与える影響は限定的であると見込んでおり、当社の事業計画に与える影響も軽微であると見込んでおります。
② 財政状態の状況
財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態の状況」をご参照ください。
当事業年度における売上高は、前事業年度に比べ489,317千円減少し、1,588,807千円(前期比23.5%減)となりました。当社の経営指標の1つである、アウトソーシングサービス売上成長率は2.6%であり、目標値10%は未達となりました。
当事業年度における売上原価は、前事業年度に比べ248,302千円減少し、955,452千円(前期比20.6%減)となりました。これは主に、決済端末の販売減に伴う、仕入の減少によるものであります。その結果、当事業年度における売上総利益は633,355千円(同27.6%減)となりました。売上総利益率は2.2ポイント低下し、39.9%となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ14,291千円増加し、689,071千円(前期比2.1%増)となりました。これは主に、研究開発費の増加によるものであります。
研究開発費は、新たに採用予定の決済端末用アプリケーションの開発・検証、将来の事業化に向けた健康サポートサービスの研究開発活動に継続して取り組んだため、増加しました。研究開発への投資は、売上高に対して9.1%となり、前事業年度より2.4ポイント上昇しました。
この結果、営業損益は、前事業年度に比べ255,306千円減少し、営業損失55,715千円(前期は営業利益199,591千円)となりました。
d.営業外損益、経常利益
当事業年度における営業外収益は、前事業年度に比べ678千円減少し、2,084千円となりました。また、営業外費用は、前事業年度に比べ18,508千円増加し、29,246千円となりました。これは主に、訴訟関連費用及び上場関連費用の増加によるものであります。
この結果、経常損益は、前事業年度に比べ274,493千円減少し、経常損失82,878千円(前期は経常利益191,615千円)となりました。
e.特別損益、当期純利益
当事業年度における特別損益は、大きな発生はなく、当期純損益は、前事業年度に比べ218,237千円減少し、当期純損失91,660千円(前期は当期純利益126,576千円)となりました。
④ キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
当社の運転資金需要のうち主なものは、労務費、外注加工費、商品仕入、並びに販売費及び一般管理費となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、新たなパッケージソフトの開発や、データセンター等への投資が必要な場合には、状況に応じて金融機関からの借入等による資金調達で対応していくこととしております。
なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動から得る現金及び現金同等物の水準については、当事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。
今後の重要な資本的支出としては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載した内容の支出を予定しており、自己資金、金融機関からの長期借入金、及び新株発行による調達資金により充当することとしております。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑦ 経営戦略の現状と見通し
当社の中長期における最重要課題は、当社商品とサービスの機能拡張を行うことにあります。成長戦略の一つとして決済端末の販売方法を従来の売切り型に加え、ユーザーが購入しやすいサブスク型の方式を導入するなど、積極的に営業推進・研究開発・人材等に投資を行い、将来につながる基礎を確立させてまいります。
⑧ 経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
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