(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は3,876,744千円と前連結会計年度末比1,610,966千円の増加となりました。これは主に2021年7月に当社株式を上場した際に行った公募増資及びオーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資の実施等により現金及び預金が1,247,218千円増加したこと、受取手形及び売掛金が338,661千円増加したことによるものであります。また、固定資産は1,565,805千円と前連結会計年度末比94,968千円の増加となりました。これは主にオフィス拡張に伴う内部造作等により有形固定資産が39,064千円、LaKeel製品のソフトウェア開発等により無形固定資産が55,651千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は5,442,549千円と前連結会計年度末比1,705,935千円の増加となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,948,480千円と前連結会計年度末比225,416千円の増加となりました。これは主に買掛金が108,157千円、未払法人税等が102,295千円増加したことによるものであります。固定負債は676,580千円と前連結会計年度末比207,080千円の減少となりました。これは主に借入金返済により長期借入金が186,829千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は2,625,061千円と前連結会計年度末比18,336千円の増加となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の合計は2,817,488千円と前連結会計年度末比1,687,598千円の増加となりました。これは主に公募増資及び第三者割当増資の実施、並びに新株予約権の行使に伴い資本金及び資本剰余金がそれぞれ670,826千円増加したこと、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が317,043千円増加したこと、為替換算調整勘定が29,398千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、年初から新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言が再発令される中、景気は総じて停滞して推移するも、企業収益の回復や設備投資拡大など持ち直しの兆しも見られました。一方で新型コロナウイルスの変異株による感染再拡大の懸念もあり、依然として先行きは不透明な状況であります。
当社グループが属する情報サービス業界においては、企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やクラウド型サービスへの移行といったニーズを背景に、様々な情報サービスに対する期待が益々高まっております。
このような環境のもと、当社グループは、次世代クラウド型デジタルビジネスプラットフォーム「LaKeel DX」により、マイクロサービス技術を活用した全く新しいソフトウェア開発手法を提供するなど、自社製品サービスを主力とする事業への転換を継続してまいりました。また、2021年9月にはSaaS型人事統合システムの新製品「LaKeel HR」の販売を開始、製品ラインナップを拡充し、顧客企業の多様化するニーズに応えております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は5,830,059千円(前連結会計年度比9.4%増)、営業利益は549,267千円(同116.2%増)、経常利益は493,323千円(同102.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は317,043千円(同127.1%増)となりました。なお、当社グループはLaKeel事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりませんが、サービス別の売上高は次のとおりであります。
プロダクトサービスの売上高は2,953,757千円(前連結会計年度比45.9%増)となりました。LaKeel製品の新規ライセンス販売とサブスクリプションによる使用料収入、及びこれに付随するコンサルティングサービスが大きく成長しております。
プロフェッショナルサービスの売上高は2,876,301千円(前連結会計年度比13.0%減)となりました。新規開発の受注抑制等による減少はありましたが、過去に当社が提供した既存システムの保守運用といった収益基盤により、リカーリングレベニューが安定して推移しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,570,866千円と前連結会計年度末比1,247,218千円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は409,821千円(前年同期は486,187千円の獲得)となりました。これは主に増加要因として、税金等調整前当期純利益492,158千円の計上、減価償却費183,152千円、仕入債務の増加額105,308千円があった一方で、減少要因として、売上債権の増加額334,448千円、法人税等の支払額98,563千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は301,146千円(前年同期は493,942千円の使用)となりました。これは主に、LaKeel製品に関連するソフトウェア開発の無形固定資産の取得による支出226,188千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,109,057千円(前年同期は583,639千円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入1,325,352千円があった一方で、減少要因として、長期借入金の返済による支出192,364千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。なお、当社グループはLaKeel事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|||
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
プロダクトサービス |
3,312,323 |
158.0 |
1,107,292 |
147.9 |
プロフェッショナルサービス |
2,948,698 |
95.4 |
517,750 |
116.3 |
合計 |
6,261,022 |
120.7 |
1,625,042 |
136.1 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはLaKeel事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
プロダクトサービス |
2,953,757 |
145.9 |
プロフェッショナルサービス |
2,876,301 |
87.0 |
合計 |
5,830,059 |
109.4 |
(注)1.プロダクトサービスにおける売上区分別の販売実績は、次のとおりであります。
売上区分 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
||
製品サービス |
ライセンス |
235,921 |
11.6 |
321,500 |
10.9 |
サブスクリプション(LaKeel製品) |
422,683 |
20.9 |
628,755 |
21.3 |
|
サブスクリプション(LaKeel製品以外) |
204,341 |
10.1 |
158,763 |
5.3 |
|
その他 |
143,997 |
7.1 |
91,211 |
3.1 |
|
コンサルティングサービス |
1,017,800 |
50.3 |
1,753,527 |
59.4 |
|
合計 |
2,024,744 |
100.0 |
2,953,757 |
100.0 |
2.プロフェッショナルサービスにおける売上区分別の販売実績は、次のとおりであります。
売上区分 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
フロービジネス |
202,821 |
6.1 |
68,606 |
2.4 |
リカーリングレベニュー |
3,103,742 |
93.9 |
2,807,695 |
97.6 |
合計 |
3,306,563 |
100.0 |
2,876,301 |
100.0 |
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
前田建設工業株式会社 |
721,922 |
13.5 |
- |
- |
4.金額は販売価格によっております。
5.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
6.当連結会計年度における前田建設工業株式会社に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
プロダクトサービスの売上高は2,953,757千円(前年同期比45.9%増)となりました。LaKeel製品の開発・販売に経営資源を集中しており、製品サービス、コンサルティングサービスともに引き続き順調に成長いたしました。
プロフェッショナルサービスの売上高は2,876,301千円(前年同期比13.0%減)となりました。新規開発の受注を抑え、既存顧客向けのシステム保守運用といったリカーリングビジネスが中心となっております。
この結果、当連結会計年度の売上高は5,830,059千円(前年同期比9.4%増)となり、前連結会計年度比で498,751千円増加いたしました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は3,781,515千円(前年同期比6.2%増)となり、前連結会計年度比で219,774千円増加いたしました。これは、売上高の増加に伴い当社の労務費が150,821千円、経費が152,379千円それぞれ増加したことが主な要因となります。
この結果、売上総利益は278,976千円増加し、2,048,543千円(前年同期比15.8%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,499,275千円(前年同期比1.1%減)となり、前連結会計年度比で16,207千円減少いたしました。これは、広告宣伝費が50,904千円、上場関連費用が17,869千円増加した一方で、新卒採用の減少に伴い人件費等が79,124千円減少したことが主な要因となります。
この結果、営業利益は295,183千円増加し、549,267千円(前年同期比116.2%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は857千円(前年同期比21.1%減)となり、前連結会計年度比で229千円減少いたしました。これは助成金収入が414千円増加した一方で、その他の営業外収入が594千円減少したことが主な要因となります。
当連結会計年度における営業外費用は56,802千円(前年同期比370.8%増)となり、前連結会計年度比で44,736千円増加いたしました。これは為替変動の影響を受けたことにより為替差損が27,147千円、上場時の新株発行に伴い株式交付費が12,633千円増加したことが主な要因となります。
この結果、経常利益は250,217千円増加し、493,323千円(前年同期比102.9%増)となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度及び前連結会計年度における特別利益の発生はありません。当連結会計年度における特別損失は1,165千円(前年同期は発生なし)となり、その内容は固定資産除却損であります。
当連結会計年度における法人税等(法人税等調整額を含む)は177,095千円(前年同期比70.8%増)となり、前連結会計年度比で73,408千円増加いたしました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は177,422千円増加し、317,043千円(前年同期比127.1%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの事業活動における運転資金需要のうち主なものは、サービス提供のための人件費、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要はソフトウエアの開発費であります。
当社グループは、これらの資金需要に対して、事業上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保することを基本方針とし、資金使途や金額に応じて自己資金又は金融機関からの借入といった資金調達を柔軟に検討し、確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。この見積りにつきましては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(受注損失引当金)
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当該連結会計年度末における受注契約に係る損失見込額を計上しております。受注契約時の予見不能な事象の発生や受注案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容
当社グループは経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、LaKeel製品サブスクリプションのユーザー数、売上高、営業利益、営業利益率を重要な経営指標と位置付けております。各指標の進捗状況については、以下のとおりであります。
今後も引き続きユーザー数の増加と、これに伴う売上高及び営業利益の増加、営業利益率の上昇を目指してまいります。
経営指標 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|
|
前年同期比 |
||
ユーザー数 |
202社 |
246社 |
+44社 |
売上高 |
5,331,307千円 |
5,830,059千円 |
109.4% |
営業利益 |
254,084千円 |
549,267千円 |
216.2% |
営業利益率 |
4.8% |
9.4% |
+4.6ポイント |
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
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