研究開発活動

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動については、研究開発本部、経営企画部、営業本部が連携してグループ会社との協力体制を深め、有望開発品の上市に向けてスピードアップを図っております。2021年9月に研究開発体制を変更し、新規テーマの探索と初期検討を強化するとともに、有望なテーマについて柔軟かつ迅速にリソースの最適配分を行い、早期上市を目指す体制としました。また、各グループ会社の開発部門でも取り扱い製品の品質向上あるいは新製品上市やプロセス改善のための研究開発を行っております。

中央研究所では、当社グループが得意とする粉体プロセシング技術を核として、また、大学や公的研究機関との産学連携も視野に入れて、機能性材料の開発を進めております。主には、各種発光材料、燃料電池用電極触媒、二次電池用電極材料等の開発に取り組んでおります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は、2,376百万円であります。

セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。

(化学)

(1) 電子材料

電子材料事業においては、電子材料用途向けに誘電体の開発を行っております。チタン酸バリウムに関しては、積層セラミックコンデンサの小型化・高容量化、自動車部品の高信頼性要求に水熱合成法の特長である微粒子・高結晶・粒度均一な製品を積極的に提案しております。また、誘電体材料についてもさらなる高純度化および微粒子化を進めています。

(2) 酸化チタン・亜鉛製品

化粧品材料事業においては、従来の日焼け止め分野に加え、用途拡充としてメイクアップ化粧品向けにも注力しています。肌触りの良化を目指して開発した「六角板状酸化亜鉛XZシリーズ」や「板状集積型球状酸化亜鉛CANDY ZINC」のほか、肌を鮮やかに見せる新機能性酸化亜鉛「化粧品用無機蛍光材料Lumate G」を新たに上市しました。また、感染症対策市場が拡大している中、酸化亜鉛の抗菌、抗ウイルス効果に着目し、「FighZinc™シリーズ」を立ち上げたほか、多様化する顧客ニーズに対応すべく表面処理や分散体の開発を進めております。

一方、5Gネットワークの拡大や自動車のEV化による熱マネジメントに対する需要増大に伴い、放熱フィラーとして「大粒子酸化亜鉛LPZINCシリーズ」の開発も進めております。

(3) 樹脂添加剤

当社が得意とする表面処理技術・粒子制御技術をハイドロタルサイトや塩化ビニル安定剤原料に応用し、特殊ハイドロタルサイト、独自性の高い塩化ビニル安定剤を展開し、性能の差別化に注力しております。同時にハイドロタルサイトを含め、各種配合剤の自社生産化や高効率化により、コストパフォーマンスに優れる製品の開発を進めております。

(4) 有機化学品

イオウ、リンを含むヘテロ有機化合物合成技術をベースとして、光学材料、電子材料、自動車向け材料等の開発に取り組んでおり、耐水性に優れた新規グレードMulthiol(マルチオール)シリーズや多官能チオール製品群の開発を進めております。

 

 

(5) 触媒

カーボンに代わる無機系の導電性材料としてサブミクロンの低次酸化チタンENETIA(エネティア)の開発を進めており、固体高分子形燃料電池の電極材料や触媒担体向けにサンプルワークを進めています。また、産学連携による人工光合成に用いる光触媒の研究開発も進めております。環境・エネルギー・化学プロセスは当社の重要な研究開発分野であり、これからの水素エネルギー社会が求める技術開発に貢献していくよう取り組んでまいります。

一方、環境負荷の低減に特化した触媒の開発にも取り組んでおります。化学プロセス分野では、脱水素反応、水素添加反応用触媒として有害成分であるクロムを含有しない銅系触媒の開発に注力しており、ポリエステル重合用触媒としてはアンチモンのような重金属を含有しないチタン系触媒の開発を進めております。

(6) 受託加工

導電材としてのシングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)に加え、抗ウイルス剤などの機能性フィラーの分散に取り組んでおります。近年、顧客ニーズは多様化しており、高級志向の高まりから一段と高漆黒化を進めたマスターバッチや、環境対応型製品として赤外線遮蔽インキ・マスターバッチ、入浴剤・化粧品向け製品および機能性インキ・マスターバッチの開発に注力しております。

なお、化学事業に係る研究開発費用は2,235百万円であります。

(医療)

健診領域において、血液ならびに唾液による各種がんリスクスクリーニングのリキッドバイオプシー検査、胸部X線や消化器内視鏡の医用画像の診断支援AI等、スタートアップ企業との協業により、さらなるラインナップの拡充を進めております。ヘルスケア分野では、紫外線対策サプリメント「ソルプロ」のリニューアルに加え、記憶力・注意力維持食品「メモエル」、フレグランスサプリメント「アプローラ」等の新規ラインナップの拡充も進めております。

また、産学連携の枠組みを活用した複数の共同開発を行い、新規事業拡大に積極的に取り組んでおります。

 

なお、医療事業に係る研究開発費用は141百万円であります。

 

 

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