当連結会計年度における当社グループ(当社、及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)は、各国において新型コロナウイルスのワクチン接種が進展し、感染者が減少したことから国内及び海外経済は回復基調となりましたが、その後、変異株による感染が再拡大し、新型コロナウイルス収束の目途が立たない状況が継続いたしました。更に、世界的な半導体不足の長期化や中国経済の減速懸念等に加え、ロシアのウクライナ侵攻という地政学的リスク等によるエネルギーや資源価格の高騰が懸念される等、わが国経済の先行きについては依然として不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは新型コロナウイルスの感染防止対策の徹底を継続するとともに持続的な成長を図り、安定的な収益の確保・拡大のために、営業・研究開発・生産部門の三位一体での取組強化によって、従前からの課題である新製品・新規用途開発品の早期の実績化を目指すとともに、既存製品の販売・生産数量を確保・拡大することに取り組んでまいりました。また、新規ユーザーの開拓にも力を注ぎ、リサイクル原料の活用・拡大によるコスト・経費の引き下げを徹底するとともに、ITを活用した業務の効率化や生産拠点及び生産工程の最適化等の生産性向上による価格競争力の向上を図るといった低コスト体質の強化にも引き続き取り組んでまいりました。
その結果、全般的な需要の回復基調が継続したことに加え、薬品事業における非鉄金属相場の上昇基調が想定以上に継続したこと等により、当連結会計年度の当社グループ全体の売上高は前期比4,074百万円 20.7%増の23,716百万円、営業利益は前期比1,835百万円 76.8%増の4,223百万円、経常利益は前期比1,909百万円 73.4%増の4,510百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1,392百万円 75.6%増の3,236百万円となりました。
なお、2019年に福島県いわき四倉中核工業団地の土地を工場建設予定地として取得いたしましたが、取得後のコロナ禍等の影響により事業環境が大幅に変わったことから想定していた当初の計画を見直すことといたしました。これにより、帳簿価額を市場価額まで減額し、当該減少額(24百万円)を減損損失として特別損失に計上しております。
また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第 29 号 2020 年3月 31 日)等を当連結会計年度の期首より適用しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等) セグメント情報 2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法」に記載しております。
セグメント別の概況は以下のとおりであります。
① 薬品事業
主力の薬品事業は、非鉄金属相場の上昇基調継続による売価アップを主因に、福島第一工場での二次電池用正極材受託加工の安定供給の実現及び2022年1月から埼玉工場での同受託加工開始に加え、既存製商品に対する需要の回復傾向が継続し、販売数量が増加したことに加えて一部売価に上乗せする加工賃も改訂できたこと等により、売上高は前期比 3,605百万円 22.3%増 の 19,785百万円 となりました。
利益面でも、原材料や部材価格の高騰があったものの、受託加工を含む販売・生産数量が回復傾向にあったこと、非鉄金属相場の上昇メリットに加え、タイ子会社の電子部品関連の主力製品が引き続き好調で収益が堅調に推移したことから、営業利益は前期比 1,724百万円 82.5%増 の 3,816百万円 となりました。
② 建材事業
建材事業は、経済活動回復に伴い、新設住宅着工戸数の需要が持ち直したことから、引き続き主力の住宅建材製品が堅調に推移し、売上高は前期比 468百万円 13.5%増 の 3,930百万円 となり、期後半での鋼材価格の高騰があったものの、増収効果等により営業利益も前期比 194百万円 20.9%増 の 1,121百万円 となりました。
生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 金額は製造原価で表示しており、セグメント間の内部取引はありません。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 金額は仕入価格で表示しており、セグメント間の内部取引はありません。
2 当連結会計年度の期首より収益認識会計基準等を適用しております。この結果、従前の会計処理と比較して、当連結会計年度の「薬品事業」の仕入高は1,561,908千円、「建材事業」の仕入高は240千円それぞれ
減少しております。
当社グループは、需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の内部取引はありません。
2 総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
(2)財政状態
当連結会計年度末における流動資産は、現金及び預金、売上債権、棚卸資産が増加したことにより、前連結会計年度末比 3,093百万円増 の 29,902百万円 となりました。一方、固定資産は、有形固定資産が埼玉工場の受託加工の設備投資等の増加により、 前連結会計年度末比192百万円増の7,351百万円となりましたが、保有株式の株価が上昇した一方、長期預金の払戻等により、投資その他の資産が前連結会計年度末比113百万円減の12,073百万円となったことにより、前連結会計年度末比 51百万円増 の 19,585百万円 となりました。
この結果、総資産は前連結会計年度末比 3,145百万円増 の 49,487百万円 となりました。一方、流動負債は、未払法人税等、仕入債務が増加したことにより、前連結会計年度末比 665百万円増 の 5,709百万円 となり、固定負債も役員株式給付引当金が増加したこと等により、前連結会計年度末比 47百万円増 の 1,805百万円 となったことから、負債合計では前連結会計年度末比 712百万円増 の 7,514百万円 となりました。また、純資産は前連結会計年度末比 2,432百万円増 の 41,973百万円 となり、その結果、自己資本比率は前連結会計年度末の 85.3% から 84.8% となりました。
セグメントごとの資産は次のとおりであります。
① 薬品事業
薬品事業は、売上高の増加による売上債権、棚卸資産、及び固定資産の増加により、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ1,930百万円増の17,226百万円となりました。
② 建材事業
建材事業は、売上高の増加による売上債権、棚卸資産、及び固定資産の増加により、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ361百万円増の2,427百万円となりました。
③ その他
現預金の増加、及び保有株式の株価上昇等により、投資その他の資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ852百万円増の29,833百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローで 2,761 百万円増加、投資活動によるキャッシュ・フローで 954 百万円減少、財務活動によるキャッシュ・フローで 981 百万円減少し、この結果、換算差額による影響等も含めると、当連結会計年度末は、前連結会計年度末に比べ 817 百万円増加し、 16,786 百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、 2,761 百万円の増加(前連結会計年度は 3,492 百万円の資金の増加)となりました。この主な要因は、法人税等の支払額 906 百万円、売上債権の増加額 1,580 百万円、棚卸資産の増加額 679 百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益が 4,453 百万円、減価償却費 1,037 百万円、仕入債務の増加額 396 百万円等により資金が増加したことであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、 954 百万円の減少(前連結会計年度は 749 百万円の資金の減少)となりました。この主な要因は、定期預金の有形固定資産の取得による支出 1,296 百万円、定期預金の預入による支出 400百万円等があったものの、定期預金の払戻による収入900百万円等があったことであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、 981 百万円の減少(前連結会計年度は 595 百万円の資金の減少)となりました。この主な要因は、自己株の取得による支出 403百万円、配当金の支払額577百万円等があったことであります。
当社グループの資金需要は、主に製品製造に使用する主要材料及び補助材料の購入、製造費や販売費及び一般管理費に計上される財・サービスの調達等の運転資金であります。設備投資資金は、生産設備の取得等生産体制の構築等に支出されております。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。これらの必要資金は、利益、減価償却費等により生み出される自己資金により賄うことを基本方針としております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ( 1 )連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
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