当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の停滞に加え、半導体不足や原材料費の高騰、また、ウクライナ情勢に端を発する地政学リスクの高まりにより資源価格が高騰するなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような状況のなかで、当社グループは市場が求める安全・安心な製品やサービスを供給することを基本とし、安定的な収益確保に向けた販売体制の強化や生産体制の効率化に取り組んでまいりました。その結果、当連結会計年度の売上高は821億12百万円(前連結会計年度比7.2%増加)、営業利益は47億20百万円(前連結会計年度比12.6%増加)、経常利益は54億3百万円(前連結会計年度比13.2%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は41億49百万円(前連結会計年度比17.9%増加)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、従来の方法に比べて、当連結会計年度の売上高及び売上原価がそれぞれ29億29百万円減少しております。
当社グループのセグメント別の状況は次のとおりであります。
ガス事業を取り巻く環境は、自動車、化学、半導体、食品など仕向け先全般において需要が緩やかに回復し、持ち直しの動きがみられました。
このような事業環境のなか、当事業ではシリンダーガスビジネスの持続的な成長や収益の改善を目指し、生産・販売体制の合理化、安全・保安対策の強化、既存設備の更新などの投資を行ない、地域に密着した営業に努めてまいりました。
『溶解アセチレン』は、現場関係及び造船業界向け需要が減少したものの、自動車関連向け需要が回復し、売上高は前連結会計年度並みとなりました。『その他工業ガス等』は、酸素が新規及びスポット需要の獲得、窒素が半導体及び食品向け需要の回復、アルゴンが新規獲得及び需要の回復、炭酸ガスがプラントメーカーの出荷量増加及びドライアイス向け需要の回復、冷媒ガスが自動車向け新規獲得、また、LPガス等の石油系ガスが入札案件獲得と輸入価格の上昇に伴なう販売価格の上昇によりそれぞれ増加し、売上高は前連結会計年度を上回りました。『溶接溶断関連機器』は、新規獲得や設備工事、工作機械等の受注が回復し、売上高は前連結会計年度を上回りました。『容器』は、消火設備装置向け容器及び一般工業用向け容器が減少し、売上高は前連結会計年度を下回りました。
以上の結果、当事業の売上高は605億94百万円(前連結会計年度比6.4%増加)、営業収入は3億70百万円(前連結会計年度比4.9%増加)、営業利益は44億52百万円(前連結会計年度比7.8%増加)となりました。
化成品事業を取り巻く環境は、仕向け先全般に需要が回復したものの、原材料の高騰や供給制限、供給不足が続く厳しい状況で推移いたしました。
このような事業環境のなか、当事業では新しい技術の開発に注力し、環境にやさしい製品や付加価値の高い製品づくりに努めてまいりました。
『接着剤』は、ペガールが、新製品の開発により、紙用及び粘着用が増加し、また、需要先の業況回復により塗料用、建築用、繊維用の需要が増加、シアノンが、欧米向けに医療用・工業用高付加価値品、南米・韓国向けにコンシューマー用の需要が増加、ペガロックが、国内、海外向けの需要が増加し、売上高は前連結会計年度を上回りました。
『塗料』は、建築用塗料が高機能品の「ウォールバリアシリーズ」や「ビーズコートシリーズ」の伸長、また、エアゾール製品は需要が回復し、売上高は前連結会計年度を上回りました。
以上の結果、当事業の売上高は185億1百万円(前連結会計年度比9.6%増加)、営業収入は0百万円(前連結会計年度比変わらず)、営業利益は15億72百万円(前連結会計年度比6.4%増加)となりました。
『その他事業』は、ITソリューション事業は、電子ペーパー関連、RFタグ関連が半導体及び樹脂製品の不足による納期遅れの影響を受けましたが、LSIカード関連の需要が増加し売上高は増加しました。また、食品添加物事業は原産国での気候変動、労働力不足や輸送費の高騰等の影響を受けたものの、コンビニ向け製品原料としての需要が増加し、売上高は30億15百万円(前連結会計年度比10.3%増加)、営業利益は55百万円(前連結会計年度は8百万円の営業損失)となりました。
(各事業別の売上高、営業収入および営業利益)
(単位:百万円)
(注) 各事業別営業利益合計60億79百万円と連結損益計算書「営業利益」47億20百万円の差額13億59百万円は、各事業に帰属しない一般管理費であります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、法人税等の支払額が17億63百万円、有形固定資産の取得による支出が42億78百万円、配当金の支払いが8億82百万円、売上債権の増加が15億69百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が62億74百万円(前連結会計年度比19.4%増加)、減価償却費が23億11百万円、仕入債務の増加が17億66百万円、借入による資金調達15億円があったため、24億99百万円の増加(前連結会計年度比543.7%増加)となり、現金及び現金同等物の期末残高は、236億72百万円(前連結会計年度比11.8%増加)となりました。
当連結会計年度における営業活動の結果、得られた資金は57億95百万円(前連結会計年度比16.8%増加)と前連結会計年度と比べて8億34百万円増加しました。これは主に売上債権の増加が前連結会計年度と比べて24億50百万円増加、棚卸資産の増加が前連結会計年度と比べて8億22百万円増加したものの、税金等調整前当期純利益が前連結会計年度と比べて10億22百万円増加、仕入債務の増加が前連結会計年度と比べて26億46百万円あったことによるものであります。
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は38億18百万円(前連結会計年度比6.7%増加)と前連結会計年度と比べて2億42百万円増加しました。これは主に投資有価証券の売却による収入が前連結会計年度と比べて4億4百万円増加したものの定期預金の預入による支出が前連結会計年度と比べて2億22百万円の増加、有形固定資産の取得による支出が前連結会計年度と比べ2億97百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度における財務活動の結果、得られた資金は5億83百万円(前連結会計年度比-%)と前連結会計年度と比べて15億71百万円減少しました。これは主に長期借入による収入が前連結会計年度と比べて6億96百万円減少したものの、長期借入金の返済が前連結会計年度と比べて20億54百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 金額は、製造原価であります。
3 その他事業については、生産活動は行なっていません。
受注生産は行なっていません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しています。
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり連結会計年度末時点での状況を基礎に、連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与える項目・事象について見積りを行なう必要がある場合があります。
当社グループでは、連結財務諸表作成に影響を与える重要な項目・事象について見積りは過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により検証し、意思決定を行なっております。これらの見積りは不確実性を伴なうため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社グループでは、中期経営計画「チェンジ&チャレンジStageⅡ」(2021年4月~2026年3月)を策定し、当連結会計年度は、中期経営計画の初年度でありコア事業の持続的成長を維持する収益基盤の構築をはかるため、新規事業の拡大への積極的な投資、グループ機能や体制の強化などに取り組んでまいりました。世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響や半導体不足や原材料費の高騰ありましたが、緩やかな回復傾向な状況で推移しました。
(a)財政状態の分析
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ59億90百万円増加して984億円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比べ51億36百万円増加して549億75百万円となりました。これは主に現金及び預金が26億57百万円、電子記録債権が9億90百万円、売掛金が12億8百万円増加したものの受取手形が5億97百万円減少したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末と比べ8億54百万円増加して434億24百万円となりました。これは主に、投資有価証券が時価の下落により16億55百万円減少したものの、有形固定資産が21億11百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ35億円増加して324億98百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末と比べ25億18百万円増加して256億81百万円となりました。これは主に、電子記録債務が14億33百万円、未払法人税等が4億54百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末と比べ9億81百万円増加して68億16百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が3億24百万円減少したものの、長期借入金が14億89百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ、24億89百万円増加して659億1百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が9億17百万円減少したものの、利益剰余金が32億66百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ55億58百万円増加して821億12百万円(前連結会計年度比7.2%増加)となりました。
売上高が増加した主な要因は、主力製品である「溶解アセチレン」は、現場関係及び造船業界向け需要が減少、自動車関連向け需要の回復により、売上高は前連結会計年度並みとなりました。「その他工業ガス等」は、酸素が新規及びスポット需要の獲得、窒素が半導体及び食品向け需要の回復、アルゴンが新規獲得及び需要の回復、炭酸ガスがプラントメーカーの出荷量増加及びドライアイス向け需要の回復、また、LPガス等の石油系ガスが入札案件獲得と輸入価格の上昇に伴なう販売価格の上昇によりそれぞれ増加し、売上高は前連結会計年度を上回りました。「接着剤」はペガールが新製品の開発により、紙用及び粘着用が増加、需要先の業況回復により塗料用、建築用、繊維用の需要が増加、シアノンは欧米向けに医療用・工業用高付加価値品、南米・韓国向けにコンシューマー用の需要が増加、ペガロックは国内、海外向けの需要が増加し、売上高は前連結会計年度を上回りました。「塗料」は、建築用塗料が高機能品の伸長、エアゾール製品は需要が回復し、売上高は前連結会計年度を上回りました。
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度と比べ11億69百万円増加して224億34百万円(前連結会計年度比5.5%増加)となり、売上総利益に営業収入を加えた営業総利益は、前連結会計年度と比べ11億87百万円増加して228億5百万円(前連結会計年度比5.4%増加)となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、販売運賃、人件費、旅費交通費等の増加により前連結会計年度と比べ6億56百万円増加して180億84百万円(前連結会計年度比3.7%増加)となりました。
当連結会計年度の営業利益は、販売費及び一般管理費は増加しましたが前連結会計年度と比べ5億30百万円増加して47億20百万円(前連結会計年度比12.6%増加)となりました。
当連結会計年度の経常利益は、6億31百万円増加して54億3百万円(前連結会計年度比13.2%増加)となりました。
当連結会計年度において、特別利益として投資有価証券の売却益8億71百万円等を計上しています。
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度と比べ10億22百万円増加して62億74百万円(前連結会計年度比19.4%増加)となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は、前連結会計年度と比べ3億76百万円増加して20億96百万円(前連結会計年度比21.9%増加)、非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ15百万円増加して28百万円(前連結会計年度比114.3%増加)となりました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ6億30百万円増加して41億49百万円(前連結会計年度比17.9%増加)となりました。
なお、セグメント別の売上高及び営業利益の分析については、「第2 [事業の状況] 3 [経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析](1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 [事業の状況] 3 [経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]](1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費など製造費用、商品の仕入、販売費及び一般管理費等であります。
また、従来から製造設備及び販売設備の新設、更新等の設備投資を行なっております。当連結会計年度において45億74百万円の設備投資を実施しております。
当社グループの運転資金及び設備投資資金の調達は、自己資金及び銀行借入による調達を主としております。
銀行借入につきましては、主に長期借入金を利用することで安定的な資金を確保するとともに、日常の資金需要の変動については短期借入金により対応しております。
当社グループは、持続的成長と企業価値の向上をはかるために、事業の拡大に必要な資金需要に対応した資金調達をはかり、健全な財務バランスの実現を検討してまいります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :キャッシュ・フロー/利息支払額
(注)1.いずれの指標も連結ベースの財務数値により計算しています。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しています。
3.キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている借入金を対象と
しています。
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