当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、9月30日の緊急事態宣言解除以降、一旦は持ち直しの動きが見られたものの、年明けからのオミクロン株の感染急拡大以降、ワクチン接種の遅れや自動車産業を中心とする生産制約の影響等により、緩慢な回復に留まりました。海外経済は、欧米を中心に持ち直しが続いていますが、半導体をはじめとする供給制約の長期化、ロシアのウクライナ侵攻により加速するエネルギー・資源高、世界的なコンテナ不足や海上運賃の高騰に起因する物流コスト上昇等の影響がグローバルに深刻化しており、今後の経済の見通しは極めて不透明となっています。
このような状況下、当連結会計年度の当社グループの 売上高は541億37百万円 ( 前年同期比9.2%の増収 )、営業利益は84億0百万円(前年同期比13.5%の増益)、経常利益は92億91百万円(前年同期比16.2%の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は68億78百万円(前年同期比19.4%の増益)と、いずれも前年を上回りました。また、売上高及び営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも過去最高を記録し、世界経済のコロナ禍からの回復を背景に高い水準となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(無機化成品)
ラジアルタイヤ向け原料である不溶性硫黄は、半導体不足による自動車生産の落ち込みの中でも、市販用タイヤや産業車両用タイヤの底堅い需要を受け、販売は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた前年を大きく上回りました。レーヨン・セロハン向けの二硫化炭素や、浴用剤・合成洗剤向けの無水芒硝は、コロナ禍からの反動増で前年を上回りました。
(有機化成品)
殺菌消毒剤塩素化イソシアヌル酸は、国内市場は、学校のプール授業一部再開によるプール薬剤の販売回復等により、前年を上回りました。米国市場は、経済状態の回復や巣ごもり需要等により需給がひっ迫しており、資源価格や物流コストの高騰を価格転嫁するなど採算性の改善を図り、収益性が大きく向上しました。
(ファインケミカル)
プリント配線板向けの水溶性防錆剤タフエースは、世界的なエレクトロニクス市場の成長を背景に、堅調に推移しました。エポキシ樹脂硬化剤(イミダゾール類)や樹脂改質剤(グリコールウリル誘導体等)、半導体プロセス材料を中心とする機能材料も、電子部品用途の需要が伸長し、前年を上回りました。
この結果、化学品事業の 売上高は349億95百万円 ( 前年同期比17.2%の増収 )、 セグメント利益は75億45百万円 ( 前年同期比33.2%の増益 )と、いずれも前年を上回りました。
新設住宅着工戸数はやや持ち直しの傾向が見られたものの、公共事業や民間企業の設備投資は、消費マインドの低迷や先行き不透明感を背景に、先送りや様子見基調が続いており、壁材、エクステリアともに販売は低調に推移しました。また、アルミ地金をはじめとする原材料価格の高騰により収益性が低下しました。
この結果、建材事業の 売上高は179億61百万円 ( 前年同期比4.3%の減収 )、 セグメント利益は25億76百万円 ( 前年同期比26.5%の減益 )と、いずれも前年を下回りました。
財政状態は、総資産は、前連結会計年度末比64億61百万円増加し、1,138億5百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末比21億19百万円増加し、328億97百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末比43億42百万円増加し、809億8百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、357億55百万円(前連結会計年度末比14億51百万円の減少)となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、50億89百万円(前年同期比23億21百万円の減少)となりました。投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、50億87百万円(前年同期比20億87百万円の増加)となりました。財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、18億9百万円(前年同期比18億98百万円の増加)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 生産金額は主に生産量に平均販売価格を乗じて算出しております。
2 生産実績は自家消費(無機・有機化成品及びファインケミカル)を一部含んでおります。
3 報告セグメント以外のその他については生産活動になじまないため記載しておりません。
当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上となる販売先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は541億37百万円(前年同期比9.2%の増収)となりました。国内売上高は351億69百万円(前年同期比1.7%の増収)となりました。海外売上高は189億68百万円(前年同期比26.4%の増収)となりました。売上高に占める海外売上高の割合は4.7ポイント上昇し、35.0%となりました。
売上原価は313億63百万円(前年同期比6.3%の増加)、売上高に対する比率は1.6ポイント低下し、57.9%となりました。
販売費及び一般管理費は143億74百万円(前年同期比13.3%の増加)となりました。運送費及び保管費が増加したことなどによるものであります。
以上の結果、営業利益は84億0百万円(前年同期比13.5%の増加)となり、売上高営業利益率は15.5%となりました。
営業外損益は、前連結会計年度の5億96百万円の利益(純額)から、8億91百万円の利益(純額)となりました。為替差益の発生が主な要因です。
この結果、経常利益は92億91百万円(前年同期比16.2%の増加)となり、売上高経常利益率は17.2%となりました。
特別損益は、前連結会計年度の2億60百万円の利益(純額)から、4億19百万円の利益(純額)となりました。これは、投資有価証券売却益の増加が主な要因です。
この結果、税金等調整前当期純利益は97億10百万円(前年同期比17.6%の増加)となりました。
法人税等は、前連結会計年度の24億59百万円から、当連結会計年度は28億25百万円となりました。これにより、税効果会計適用後の法人税等の負担率は、前連結会計年度の29.8%から29.1%となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は68億78百万円(前年同期比19.4%の増加)となり、1株当たり当期純利益は前連結会計年度に比べ22円25銭増加し、125円52銭となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替変動があります。この影響により、前連結会計年度に比べ、売上高が9億92百万円増加したものと試算されます。(ただし、為替の影響の試算は前連結会計年度の平均レートと当連結会計年度の平均レートの差によって算定しており、販売価格の変動に伴う影響は考慮されておりません。)
財政状態は、総資産は、前連結会計年度末比64億61百万円増加し、1,138億5百万円となりました。主な増加は、投資有価証券26億25百万円、売掛金17億67百万円であります。
負債は、前連結会計年度末比21億19百万円増加し、328億97百万円となりました。主な増加は、1年内返済予定の長期借入金20億円であります。
純資産は、前連結会計年度末比43億42百万円増加し、809億8百万円となりました。主な増加は、利益剰余金33億34百万円、その他有価証券評価差額金10億64百万円であります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の70.5%から70.3%となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、50億89百万円(前年同期比23億21百万円の減少)となりました。主な収入項目は、税金等調整前当期純利益97億10百万円、減価償却費20億90百万円、一方で主な支出項目は法人税等の支払額27億39百万円であります。
投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、50億87百万円(前年同期比20億87百万円の増加)となりました。主として有形固定資産の取得による支出41億53百万円であります。
財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、18億9百万円(前年同期比18億98百万円の増加)となりました。主な収入項目は、長期借入れによる収入21億60百万円、一方で主な支出項目は、自己株式の取得による支出24億74百万円、配当金の支払額13億26百万円であります。
以上の結果、現金及び現金同等物は、357億55百万円(前連結会計年度末比14億51百万円の減少)となりました。
当社グループの資金の財源及び流動性については、事業活動にかかる短期運転資金は営業キャッシュ・フローを主な財源としておりますが、その他取引金融機関に有する当座貸越等の融資枠からの短期借入金も利用し、経営環境の急激な変化にも対応できる十分な流動性を保持しております。
設備投資、投融資資金などの長期資金についても、自己資金を基本としつつ、資本調達コストの低減や最適な資本構成、資金需要や金利情勢を考慮しながら、金融機関からの長期借入を随時行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、159億27百万円、前連結会計年度末比20億円増加しました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5章 経理の状況 1(1)連結財務諸表注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
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