(1) 経営方針
当社グループは、新たなステージへの飛躍を目指し、2030年を見据えた長期ビジョン「Challenge 1000」を策定、2020年度よりこれに沿った積極経営を推進しております。
変わらぬ企業理念「独創力」のもと、2030年にありたい姿として、「独創力で、“一歩先行く提案”型企業へ」を掲げ、独創的なアイデアで社会課題を解決し、世界をリードする企業となることを目指しております。
さらに、良き企業市民として、顧客、従業員、株主、そして社会に貢献していくこととした「四方よし」を企業の活動方針としています。お客様には「一歩先の価値」を、従業員には「挑戦と成長」を、株主の皆様にはより一層の「利益還元」を、そして、社会には「より良い明日」を届けることにより、ステークホルダーの皆様に貢献してまいります。また、自主的なレスポンシブル・ケア*活動に取り組み、社会の持続的な発展に貢献するとともに、さらなる社会課題の解決に向け、国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献してまいります。
*レスポンシブル・ケア:化学物質等を製造または取り扱う事業者が、製品の開発、製造、物流、使用、最終消費、廃棄、リサイクルの全ライフサイクルにわたって環境、安全、健康を守る自主管理活動のことです。
(2) 経営戦略等
「Challenge 1000」の実行にあたっては、2030年までの10年間を「STAGE 1」、「STAGE 2」、「STAGE 3」の3つのステージに分けております。2020年4月より開始した「STAGE 1」においては、6つの全社変革方針の実行による事業基盤の強化を推し進めるとともに、事業変革方針として、これまでの「お客様のご要望起点」のスタイルから、「四国化成からの提案起点」 のスタイルへの変革を掲げ、各事業が持つ強みをさらに高め、世界中のお客様や社会の課題解決のために、いかに先回りした提案ができるのかを追求し、実行しております。
全社変革方針
①価値づくり「ブランド価値の向上と新しい事業への挑戦」
②余力づくり「変革リソース確保に向けた効率化実現」
③拠点づくり「世界への足場づくりと世界展開の加速」
④組織づくり「ビジョン実現に向けたグループガバナンス体制の確立」
⑤風土づくり「多様性を認め、挑戦を後押しする風土の醸成」
⑥人財づくり「個人の挑戦を促し、公正に評価する仕組みの構築」
事業変革方針
「お客様のご要望起点」のスタイルから、「四国化成からの提案起点」 のスタイルへの変革
2030年に目指す事業のありたい姿
化学品事業「世界の進歩のために、進化と深化を続ける事業」
無機化成品事業
「取り扱いが難しい素材を循環的に活用し、世界の技術革新や環境保全に貢献する事業」
有機化成品事業
「環境・衛生を守り、世界中の人にキレイを届ける事業」
ファインケミカル事業
「独自技術による高機能な製品を提供し、技術の発展に貢献する事業」
「新技術で世界のスタンダードを創出する事業」
建材事業「未来のくらしをデザインし、笑顔でくらせる世界の街づくりに貢献」
「Challenge 1000」の遂行にあたっては、全社変革方針及び事業変革方針を着実に実行し目標を達成するために、積極的に成長投資を行っていく計画としております。
このうち設備投資といたしましては、徳島工場北島事業所の塩素化イソシアヌル酸の新プラントが、2022年4月に竣工し、7月に稼働開始予定です。投資額は約50億円です。
当社グループは、さらなる持続的な成長を目指して、「全員参加型」による「積極経営」を進め、世界の持続可能な発展に貢献する企業集団となることを目指しております。
なお、当社グループはグループ長期ビジョン「Challenge 1000」の達成に向け、2023年1月1日から持株会社体制へ移行することとしており、新事業会社での円滑な事業運営に向けた準備を進めております。
持株会社体制への移行により分社化される各事業会社に対して大胆に権限移譲することで、意思決定を迅速化するとともに、生産・販売・開発の機能別組織を垂直的に統合し、組織をさらに一体化・緊密化し、一貫性を持った戦略の遂行を実現します。また、ガバナンス体制、本社部門の役割を再定義することで、企業統治構造のより一層の明確化や業務の効率化を図ってまいります。さらに、持続的な経営力強化に向けて自律性を持った事業会社の運営の中で、将来の経営人材育成を推進します。
これらの取り組みにより、経営のさらなる強化を図るとともに、変化の速い事業環境への対応、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素化への取り組みなど、山積する経営課題を着実に解決してまいります。
(3) 経営環境
① 全般
当連結会計年度におけるわが国経済は、9月30日の緊急事態宣言解除以降、一旦は持ち直しの動きが見られたものの、年明けからのオミクロン株の感染急拡大以降、ワクチン接種の遅れや自動車産業を中心とする生産制約の影響等により、緩慢な回復に留まりました。
海外経済は、欧米を中心に持ち直しが続いていますが、半導体をはじめとする供給制約の長期化、ロシアのウクライナ侵攻により加速するエネルギー・資源高、世界的なコンテナ不足や海上運賃の高騰に起因する物流コスト上昇等の影響がグローバルに深刻化しており、今後の経済の見通しは極めて不透明となっています。
② 化学品
全般に短期的には新型コロナウイルスの影響を受けるものの、中長期的には世界のタイヤ市場は成長基調にあると予想され、無機化成品事業における不溶性硫黄の需要は堅調であるとみております。有機化成品事業では、新型コロナウイルスの感染拡大により人々の衛生管理に対する関心や需要はさらに高まってくると考えられ、塩素化イソシアヌル酸を中心とする殺菌・消毒剤事業は様々な方面で事業拡大の機会があります。ファインケミカルの事業領域である先端技術分野においても、例えば自動運転技術のさらなる進化や、5G(第5世代移動通信システム)の商用サービス本格化により、半導体をはじめとする電子部品などには更なる高機能化が求められております。そうした進化の一翼を担うものとして、当社の有機合成技術や低金属管理技術が生み出す新しい機能材料や電子化学材料、表面化学材料の評価や採用はさらに活発となるものと予想しております。
③ 建材
国内市場では、人口の減少傾向も相俟って新設住宅着工戸数自体は高度経済成長期のピーク時からはほぼ半減しておりますが、エクステリア事業においては、従来の門扉・フェンス、車庫といった製品に加えて、デッキ、テラスやファサード製品など、新しい住まい方や空間提案による新たな市場創造は絶え間なく続けられております。また、台風など近年の自然災害の増加・激甚化を背景に、住宅・景観エクステリアともに建築基準法に対応した高強度製品や安全性を重視した製品の需要が増加しており、今後も市場は拡大基調にあるとみております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
このような経営環境の中、当社グループにおきましては、長期ビジョン「Challenge 1000」の達成を目指し、「全員参加型」による「積極経営」を進め、コア・コンピタンスに根ざした新規商品・事業の育成・展開を図るとともに、研究開発及び生産技術の強化、グローバルな市場動向に機敏に反応できるきめ細かで効率的なマーケティングの展開、物流購買機能の向上等、全社変革方針及び事業変革方針で定めた施策の実行に全社を挙げて取り組んでおります。
また、“安全操業”、“環境保全”、“安定品質”の飽くなき追求は事業活動の根幹であると銘肝し、確実に成し遂げてまいります。
市場の成長や変化に対応し、優先して取り組む課題として、化学品事業では、コロナ禍を背景とする衛生意識の高まりに対応し、塩素剤を主成分とする家庭用品や医療介護向け製品の開発・販売など、提案型営業に力を入れております。ICTの発展に伴い、さらなる高機能化が求められている最先端の電子化学材料分野では、本格的な商用サービス段階に入った5G(第5世代移動通信システム)の業界標準を目指す電子化学材料「GliCAP」のグローバルスタンダード獲得に注力するとともに、次世代の技術動向を見据えて研究開発体制の一層の強化を図っております。また、電子部品の性能の向上に貢献する「機能材料製品群」の開発・試作・量産体制の強化に加え、新たな領域として、微細化が進む最先端の半導体プロセス材料などに、近年の研究開発成果をタイムリーに投入するなど、上記方針に沿った「一歩先行く提案」に具体的かつ意欲的に取り組んでおります。
建材事業では、建築基準法に準拠したエクステリア製品の開発に力を入れております。台風の大型化やゲリラ豪雨など、自然災害の頻発や激甚化に対するユーザーからの風雨に強い製品を求める声に応え、従来製品の高強度化や新製品の継続的な投入によりラインアップを充実させております。引き続き、市場ニーズを先取りする独創的な商品をはじめ、高付加価値商品を継続的に投入することで、適正な利益水準の確保を前提とした事業規模の拡大に取り組んでまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
長期的視点に立った成長戦略の実行による飛躍的な成長を目指し、2030年に達成すべき財務目標として、売上高1,000億円、営業利益150億円、ROE10%以上を掲げ、目標の達成に向けて全社一丸となって取り組んでまいります。
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