当連結会計年度(以下、当年度)における当社グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
当年度末における当社グループの財政状態は次のとおりとなりました。
当年度末における資産合計は、前連結会計年度(以下、前年度)末に比べて465億3千4百万円増加の5,181億5千1百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べて458億5千1百万円増加しました。原料価格の上昇に伴い販売価格が上昇したことから営業債権が増加したことや、原料価格の上昇に伴い棚卸資産が増加したことなどによるものです。非流動資産は、前年度末に比べて6億8千4百万円増加しました。保有株式の公正価値の変動によりその他の金融資産が減少したものの、持分法で会計処理されている投資の増加やソフトウェアの取得により無形資産が増加したことなどによるものです。
負債合計は、前年度末に比べて191億3千7百万円増加の1,670億2千8百万円となりました。原料価格の上昇に伴い営業債務が増加したことや、課税所得の増加に伴い未払法人所得税等が増加したことなどによるものです。
資本合計は、前年度末に比べて273億9千8百万円増加の3,511億2千3百万円となりました。当期利益の計上により利益剰余金が増加したことや、為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したことなどによるものです。
親会社所有者帰属持分比率は、前年度末の67.3%から66.4%へと0.9ポイント減少しました。なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は、前年度末に比べて664.95円増加の8,624.02円となりました。
当年度末における現金及び現金同等物は、 営 業活動によるキャッシュ・フローの収入が、設備投資等の投資活動によるキャッシュ・フローの支出及び財務活動によるキャッシュ・フローの支出を上回ったため、前年度末に比べて 30億2千2百万円増加の393億6千3百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度の 352億7千7百万円の収入 に対し、 350億5千8百万円の収入 となりました。税引前利益の増加や営業債務の増加などがあったものの、営業債権が販売価格上昇に伴い増加したことや、原料価格の上昇により棚卸資産が増加したこと、減損損失の計上額が減少したことなどにより、前年度に比べて 2億1千9百万円 の収入の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度の306億2千3百万円の支出に対し、231億5千8百万円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出が減少したことなどにより、前年度に比べて74億6千6百万円の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度の 127億5千万円の支出 に対し、 107億5千1百万円の支出 となりました。当年度において社債の償還があったことに加え、長期借入金の返済による支出が増加したものの、短期借入金が増加したことなどにより、前年度に比べて 19億9千9百万円 の支出の減少となりました。
当年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.生産実績が増加した主な要因は、国産ナフサや原料価格の上昇による販売価格の上昇があったことに加え、販売数量増加に伴い生産数量が増加したためであります。
当社グループは、主として見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
当年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度(以下、当年度)末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況1(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「同 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直しの動きが続き、景気回復の程度は国や産業により異なるものの、経済活動の再開が進められるなかで推移しました。足元ではウクライナ情勢等による先行きの不透明感がみられるなかで、資源価格の高騰や供給面での制約等による景気下押しが懸念されております。
米国では景気が着実に持ち直している一方、欧州では天然ガスなどの原燃料の高騰を受けて景気は減速しております。中国では景気の緩やかな回復が続いておりましたが、感染再拡大とそれに伴うゼロコロナ政策等により回復のペースは鈍化しました。アジア新興国では景気の持ち直しの動きがみられました。
日本経済は、オミクロン株感染拡大による厳しい状況が続くなかで、個人消費には足踏みがみられるものの、設備投資や生産活動は持ち直しの動きが続くなど、輸出や企業収益は総じて改善の動きがみられました。
化学工業界におきましては、日米の金融政策の違い等により円安が進み、また原油価格も上昇したことで国産ナフサなど原燃料価格が上昇しました。また、世界的な物流網の混乱が続き、海上輸送費が上昇しました。
このような状況のもと、当社グループの当年度の売上収益は、原料価格の上昇や製品海外市況の上昇に伴い販売価格が上昇したことや、販売数量が増加したことにより、前連結会計年度(以下、前年度)に比べて 961億3千万円増収(35.2%)の3,692億9千3百万円となりました。
利益面につきましては、海上輸送費の高騰などにより販売費及び一般管理費が増加したものの、一部製品の海外市況の上昇によるスプレッドの拡大や、生産・販売数量の増加、原料価格上昇による在庫評価差額の影響などが増益要因となり、加えて、前年度に計上したニッポンショクバイ・ヨーロッパ N.V.(以下、NSE)の固定資産に対する減損損失119億3百万円及びシラス, Inc.に係るのれん及び技術関連資産等に対する減損損失92億8千2百万円や、当社と三洋化成工業株式会社との経営統合の中止に伴う関連費用17億1千3百万円がなくなったため、営業利益は、前年度に比べて 449億8千2百万円増益の290億6千2百万円となりました。
税引前利益は、営業利益や持分法による投資利益の増加などにより、前年度に比べて466億1百万円増益の336億7千5百万円となりました。
その結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年度に比べて346億1千9百万円増益の237億2千万円となりました。
なお、スプレッドの拡大や販売数量の増加、前年度に計上した連結子会社における減損損失がなくなったことなどにより、売上収益税引前利益率は前年度を上回りました。また、販売価格の上昇や販売数量の増加による売上収益の増加により、資産合計回転率は前年度を上回りました。以上の結果、ROA(資産合計税引前利益率)は、△2.7%から6.8%へ9.5ポイント増加しました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。
当年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。当年度末における当社グループの有利子負債の合計残高は、主に海外子会社で金融機関からの借入金の返済が進んだことにより、前年度末に比べて18億9千5百万円減少し、596億7千7百万円となりました。なお、今後の設備投資計画等につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであり、その資金につきましては自己資金及び金融機関からの借入金により調達する予定であります。
当社グループの所要資金は、主に運転資金、設備投資、戦略投資、研究開発投資、借入金返済並びに社債償還等であり、これらを自己資金、金融機関からの借入金により賄っております。
当社グループにおける、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標及びその進捗状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
基礎化学品事業
アクリル酸及びアクリル酸エステルは、原料価格の上昇や製品海外市況の上昇などにより販売価格が上昇したことや、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
酸化エチレンは、原料価格の上昇により販売価格が上昇したことや、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
エチレングリコールは、販売数量が減少しましたが、製品海外市況の上昇による販売価格の上昇などにより、増収となりました。
セカンダリーアルコールエトキシレートは、販売数量が増加したことや、原料価格の上昇などに伴い販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
以上の結果、基礎化学品事業の売上収益は、前年度に比べて44.1%増加の1,588億9千6百万円となりました。
営業利益は、製品海外市況の上昇によるスプレッドの拡大や、生産・販売数量の増加、原料価格上昇による在庫評価差額の影響などが増益要因となり、前年度に比べて165億7百万円増益の210億4千2百万円となりました。
基礎化学品事業の資産は、前年度末に比べて296億2千9百万円増加の1,862億7千1百万円となりました。主として営業債権や棚卸資産が増加したことによるものです。
機能性化学品事業
高吸水性樹脂は、原料価格や製品海外市況の上昇に伴う販売価格の上昇や、販売数量が増加したことなどにより、増収となりました。
特殊エステルは、製品海外市況の上昇などに伴い販売価格が上昇したことや、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
コンクリート混和剤用ポリマー、洗剤原料などの水溶性ポリマー、エチレンイミン誘導品及び塗料用樹脂は、販売数量が増加したことなどにより、増収となりました。
無水マレイン酸は、原料価格の上昇などに伴い販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
ヨウ素化合物は、製品販売構成や販売数量が増加したことにより、増収となりました。
樹脂改質剤、電子情報材料及び粘着加工品は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
以上の結果、機能性化学品事業の売上収益は、前年度に比べて28.8%増加の2,000億4百万円となりました。
営業利益は、海上輸送費の高騰などにより販売費及び一般管理費が増加したものの、生産・販売数量の増加や、原料価格上昇による在庫評価差額の影響などが増益要因となり、加えて、前年度に計上したNSEの固定資産に対する減損損失及びシラス, Inc.に係るのれん及び技術関連資産等に対する減損損失がなくなったため、前年度に比べて277億8千8百万円増益の86億6千9百万円となりました。
機能性化学品事業の資産は、前年度末に比べて250億9千1百万円増加の2,620億2千5百万円となりました。主として営業債権や棚卸資産が増加したことによるものです。
環境・触媒事業
プロセス触媒、脱硝触媒及び燃料電池材料は、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
リチウム電池材料は、販売価格が下落したものの販売数量が増加したことにより、増収となりました。
湿式酸化触媒は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
以上の結果、環境・触媒事業の売上収益は、前年度に比べて36.2%増加の103億9千3百万円となりました。
営業利益は、在庫評価差額の影響や、販売費及び一般管理費の増加などが減益要因となり、前年度に比べて11億4千4百万円減益の△9億4千1百万円となりました。
環境・触媒事業の資産は、前年度末に比べて13億4千9百万円増加の364億9千4百万円となりました。主として棚卸資産が増加したことによるものです。
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