当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。
当社グループの売上高は20,478百万円と前期に比べ806百万円(3.8%)の減収、営業利益は3,468百万円と前期に比べ451百万円(15.0%)の増益、経常利益は3,415百万円と前期に比べ434百万円(14.6%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は2,063百万円と前期に比べ327百万円(18.9%)の増益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当期首より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年度比較につきましては、前年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
<化学品>
化学品セグメントの売上高は、9,062百万円と前期に比べ651百万円(6.7%)の減収、総売上高に占める割合は44.3%(前期比1.3ポイント減)となり、セグメント利益は原燃料市況の大幅な下落等の影響により1,489百万円と前期に比べ524百万円(54.3%)の増益となりました。
<機能材料>
機能材料セグメントの売上高は、5,364百万円と前期に比べ567百万円(11.8%)の増収、総売上高に占める割合は26.2%(前期比3.7ポイント増)となり、セグメント利益は1,094百万円と前期に比べ86百万円(8.6%)の増益となりました。
<工業材料>
工業材料セグメントの売上高は、5,696百万円と前期に比べ650百万円(10.2%)の減収、総売上高に占める割合は27.8%(前期比2.0ポイント減)となり、セグメント利益は1,576百万円と前期に比べ199百万円(11.2%)の減益となりました。
<その他>
販売用役等のその他セグメントの売上高は、354百万円と前期に比べ72百万円(17.0%)の減収、総売上高に占める割合は1.7%(前期比0.3ポイント減)となり、セグメント利益は8百万円と前期に比べ28百万円(76.7%)の減益となりました。
総資産は31,271百万円となり、前期に比べ1,642百万円増加しました。これは流動資産が、現預金の増加(1,266百万円)等により、前期に比べ1,174百万円増加し、20,800百万円となったこと、また固定資産が、有形固定資産の増加(425百万円)等により、前期に比べ468百万円増加し、10,470百万円となったことによります。
負債は7,893百万円となり、前期に比べ255百万円減少しました。これは流動負債が、買掛金の減少(556百万円)、未払法人税等の増加(214百万円)、設備関係未払金の増加(88百万円)等により、前期に比べ212百万円減少し、4,980百万円となったこと、また固定負債が、前期に比べ42百万円減少し、2,913百万円となったことによります。
純資産は、23,378百万円となり、前期と比べ1,897百万円増加しました。これは利益剰余金の増加(1,695百万円)、為替換算調整勘定の増加(174百万円)等によります。
この結果、自己資本比率は68.5%と前期に比べ2.7ポイントの上昇となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ313百万円(7.7%)減少し、3,779百万円の収入となりました。これは主に売上債権の増加、たな卸資産の減少、仕入債務の減少等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ173百万円(10.0%)増加し、1,551百万円の支出となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が減少したこと等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ36百万円(3.8%)減少し、998百万円の支出となりました。これは主に配当金の支払により支出が増加したこと等によるものであります。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前期に比べ1,266百万円(14.8%)増加し、9,796百万円となりました。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び割合は、次のとおりであり
ます。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の貸借対照表計上金額並びに当会計期間における収益・費用の損益計算書計上金額に影響する判断、見積りを実施する必要があります。
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が2022年3月期の一定期間続くとの仮定のもと繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響につきましては、今後の終息時期を予測することは極めて困難な状況にありますが、会計上の見積りに与える影響については、現時点で重大な影響を与えるものではないと判断しております。
しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響の見積りは不確実性が高く、終息時期及び経済環境への影響が変化した場合には、翌連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。
正味売却価額をもとに収益性の低下を検討するため、将来、市場価格が下落した場合には、たな卸資産の簿価を切り下げ、売上原価を増加させる可能性があります。
当社グループは、有形固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。
将来の市況悪化等により事業計画が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。
当社グループでは、将来減算一時差異に対して、将来の収益力を根拠とした課税所得及びタックス・プランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を判断しております。課税所得の見積りは将来の事業計画等を基礎としております。
課税所得の見積りの基礎となる将来の事業計画等における主要な仮定は、将来の市場動向、為替レート、原材料価格等であります。
繰延税金資産の回収可能性は、主に将来の課税所得の見積りによるところが大きく、課税所得の見積額が変動することにより、繰延税金資産の回収可能性の判断に重要な影響を与えるリスクがあります。主要な仮定である将来の市場動向、為替レート、原材料価格等は、見積りの不確実性が高く、繰延税金資産の回収可能性の評価に影響を及ぼす可能性があります。また、主要な仮定は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けますが、終息遅延により当感染症の影響が長期化した場合には、繰延税金資産の回収可能性の評価に影響を及ぼす可能性があります。
従業員退職給付費用および債務は、数理計算上で設定されている前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の昇給率、退職率、死亡率及び年金資産の収益率などが含まれております。実際の結果が前提条件と異なる場合または前提条件が変更された場合、退職給付費用及び債務に影響する可能性があります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。外部需要を中心に回復の動きがみられたものの、全体として業績は二極化しました。加えて流行の再拡大を受け景気回復が鈍化するなど、厳しい状況が継続しました。
当社グループを取り巻く事業環境は、自動車市場が新型コロナウイルス感染症の影響を受け需要の落ち込みが継続しましたが、情報関連財市場はゲーム機やパソコンが伸長しました。
またビタミンE向けクレゾール誘導品、光学レンズ材料も堅調な需要が継続しました。加えて、原油市況の下落に伴い原材料価格の大幅な低下が見られました。
このような状況のもと、当社グループは、新型コロナウイルス感染症感染防止に取り組むとともに、既存製品の拡販や、新規製品の開発及び市場への早期投入に取り組みました。
さらに製品の安定供給、在庫数量の適正化、全社的なコスト削減等に注力し、より強固な経営体制の構築を推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度における経営成績は、前期に比べ減収増益となりました。
当社グループでは、2020年度中期経営計画を策定し、連結経営目標(2023年度)を売上高300億円、営業利益42億円、売上高営業利益率14%以上、自己資本利益率10%以上としております。
当連結会計年度においては、売上高204億円、営業利益34億円、売上高営業利益率16.9%、自己資本利益率10.1%であり引き続き目標達成に向け邁進してまいります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、当期首より報告セグメントの区分を変更しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
<化学品>
ビフェノールは、パソコン、スマートフォンやデジタル家電等の情報通信機器の電子部品に用いられる液晶ポリマー(LCP)や医療、航空機分野等で使用されるポリフェニルスルホン(PPSU)の原料として使用されております。当期においては、新型コロナウイルス感染症の影響、円高・原料価格低下による売価下落があったものの、下期にはLCPやPPSUの生産回復もあり、売上高は前期を若干下回りました。
クレゾール誘導品は、家畜用飼料の添加剤に使用されるビタミンEの原料や電子材料及び酸化防止剤等の原料として使用されております。当期においては、ビタミンE向け堅調も、酸化防止剤は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、更に円高・原料価格低下による売価下落もあり、売上高は前期を下回りました。
この結果、化学品セグメントは、売上高は前期を下回りましたが、利益は原燃料市況の大幅な下落等の影響により前期を上回りました。
<機能材料>
当社の電子材料は、半導体及びフラットパネルディスプレイ(液晶・有機ELディスプレイ)等の製造過程で使用されております。当期においては、通信量増やゲーム機・パソコンの伸長を受け半導体中心に好調な需要が継続し、当社製品販売も堅調に推移したため、売上高は前期を上回りました。
特殊ビスフェノールを原料とした樹脂は、耐熱性、光学特性に優れているため、特殊ポリカーボネート樹脂(光学・電子部品用途向け)の原料として使用されております。当期においては、光学・電子部品用途共に好調な需要が継続し、当社製品販売も堅調に推移したため、売上高は前期を上回りました。
この結果、機能材料セグメントは売上高、利益ともに前期を上回りました。
<工業材料>
特殊ビスフェノールは様々な用途に使用されており、主なものに成形材や自動車部品用途向けポリカーボネート原料があります。当期においては、成形材向けが漸増している一方、新型コロナウイルス感染症の影響により自動車部品用途の需要が落ち込み、売上高は前年を下回りました。
受託品の売上高はほぼ前期並みとなりました。
この結果、工業材料セグメントは売上高、利益ともに前期を下回りました。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、修繕等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,608百万円となっており、また現金及び現金同等物の残高は9,796百万円となっております。
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