当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の概況、認識及び分析・検討内容
①全般的状況
当連結会計年度における事業環境は、ワクチンの普及などにより新型コロナウイルス感染症の影響が軽減され、景気持ち直しの動きが継続したものの、足下では欧州でウクライナ危機(ロシアによるウクライナへの侵攻)が勃発し、先行きへの不透明感が俄かに増しております。
日本経済においても、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、製造業を中心に景気持ち直しの動きが継続しました。一方で、自動車減産の動きに加え、足下ではウクライナ危機等に起因する原油価格の更なる高騰や円安の進行など、注視すべき状況も生じております。
化学工業界においても、景気持ち直しの動きとともに、国内のナフサクラッカーの稼働率は高水準で推移しました。
このような情勢のもとで、当社グループは、成長3領域の「モビリティ」、「ヘルスケア」、「フード&パッケージング」の拡大・成長、「次世代事業」の創出・育成、「基盤素材」領域の更なる競争力強化に取り組みました。
モビリティ領域では、自動車業界において燃費向上ニーズや電動化へのシフトに加え、軽量化・快適性の向上といった多様化したニーズが生まれています。自動車の軽量化に貢献するポリプロピレン・コンパウンドでは、世界に主要な9つの生産拠点と7つの研究拠点を有し、自動車メーカーのグローバル戦略にスピーディに対応できる体制を構築しております。自動車の省燃費や長寿命に貢献するギアオイル用の添加剤「ルーカント®」は、拡大する世界需要に対応するべく、市原工場において新プラントの営業運転を開始しました。ICT(情報通信技術)産業においては、半導体の更なる微細化に貢献するEUVペリクルの生産設備を、岩国大竹工場に新設し、商業生産を開始しました。
ヘルスケア領域では、先進国の少子高齢化や新興国の経済成長に加え、足下の新型コロナウイルス感染症への対策など、健康への関心が増大しています。不織布においては、前連結会計年度と同様に、国内マスク生産用に部材を安定供給しました。また、産業材料向けの需要拡大に対応するため、子会社であるサンレックス工業株式会社において、メルトブローン不織布製造設備を増設することを決定しました。世界トップシェアのメガネレンズ用材料では、アジアや北米での需要拡大に対応するため、大牟田工場において高屈折メガネレンズ材料製造設備を増強することを決定しました。また、整形外科用の医療機器を製造販売する株式会社日本エム・ディ・エムとの間で資本及び業務提携契約を締結するとともに、同社発行済株式の30%を、日本特殊陶業株式会社から取得しました。
フード&パッケージング領域では、世界の人口増加や気候変動などに伴い、食料の安定確保やフードロス・廃棄削減が社会課題となっています。また、アジアの生活水準向上によって、パッケージング分野での高機能化や環境負荷低減といったニーズが高まっています。農業化学品においては、子会社である三井化学アグロ株式会社が、独創的な創農薬を実現し、高い研究開発力を有するMeiji Seikaファルマ株式会社の農薬事業を取得しました。機能性フィルム・シートにおいては、半導体製造工程用の保護テープとして世界トップシェアを有する「イクロステープ®」について、子会社である台灣東喜璐機能膜股份有限公司の製造設備を増強することを決定しております。
石化・基礎化学品を中心とする基盤素材領域では、競争力強化のため、ダウンフロー強化・拡大及び最適化・再構築を進めております。その一環として、三井物産株式会社と共同して本州化学工業株式会社の普通株式を共同公開買付により取得し、同社の保有比率を51%としました。さらに、国内における高機能ポリプロピレンプラントの新設及び韓国における高機能MDIの生産能力の増強に着手しました。また、当社岩国大竹工場の高純度テレフタル酸の生産を2023年8月(予定)に停止することを決定し、再構築を進めました。一方で、地球規模で気候変動やプラスチックごみなどの環境問題が顕在化しています。当社は、環境負荷低減、サーキュラーエコノミーのニーズへの取組みの一環として、日本で初めてバイオマスナフサからのバイオマス誘導品の生産を開始し、アジア地区で初めてバイオマスフェノールを出荷しました。
これらの取組みにより、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。
|
売上収益 |
コア営業利益 |
営業利益 |
親会社の所有者に 帰属する当期利益 |
当連結会計年度(億円) |
16,127 |
1,618 |
1,473 |
1,100 |
前連結会計年度(億円) |
12,117 |
851 |
781 |
579 |
増減率(%) |
33.1 |
90.1 |
88.7 |
90.1 |
売上収益は、前連結会計年度に比べ4,010億円増(33.1%増)の1兆6,127億円となりました。これは、ナフサなどの原燃料価格の上昇に伴う販売価格上昇の影響があったことに加え、経済活動の再開に伴う需要回復により各セグメントにおいて販売数量が増加したことなどによるものです。
海外売上収益は7,709億円となり、売上収益全体に占める割合は前連結会計年度に比べ0.5ポイント増の47.8%となりました。
コア営業利益は、前連結会計年度に比べ767億円増(90.1%増)の1,618億円となりました。これは、ビスフェノールAなどの市況が上昇したことによる交易条件の改善に加え、各セグメントにおける販売数量の増加や持分法投資利益が増加したことなどによるものです。
なお、当連結会計年度の為替レートは112円/$、国産ナフサ価格は56,600円/KLとなりました。
営業利益は、コア営業利益の増加に伴い、前連結会計年度に比べ692億円増(88.7%増)の1,473億円となりました。
金融収益・費用は、為替差損益が改善したものの、貸倒引当金の繰入額の増加などにより、21億円悪化の60億円の損失となりました。
以上により、税引前利益は、前連結会計年度に比べ671億円増(90.3%増)の1,413億円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ521億円増(90.1%増)の1,100億円となり、基本的1株当たり当期利益は565.45円となりました。
②セグメント別の状況
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
(モビリティ)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ961億円増の4,116億円、売上収益全体に占める割合は25%となりました。また、コア営業利益は、主にエラストマー、海外ポリプロピレン・コンパウンド等の堅調な販売により、前連結会計年度に比べ188億円増の490億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・増益となりました。
エラストマー、機能性コンパウンド、海外ポリプロピレン・コンパウンド事業は、需要の回復に的確に対応し、販売が堅調に推移しました。
機能性ポリマーは、ICT関連需要に的確に対応し、販売が堅調に推移しました。
ソリューション事業は、試作・開発案件の延期等が長期化し、販売は前連結会計年度並で推移しました。
(ヘルスケア)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ207億円増の1,646億円、売上収益全体に占める割合は10%となりました。一方、コア営業利益は、主にビジョンケア材料の販売が堅調に推移したものの、不織布における原料価格上昇に伴う交易条件悪化により、前連結会計年度に比べ1億円減の198億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・減益となりました。
ビジョンケア材料のメガネレンズ用材料は、需要の回復に的確に対応し、販売が堅調に推移しました。
不織布は、マスク向けの販売は堅調に推移したものの、医療用ガウン向けの販売は減少しました。
歯科材料は、需要の回復に的確に対応し、欧州を中心に販売が堅調に推移しました。
(フード&パッケージング)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ375億円増の2,352億円、売上収益全体に占める割合は15%となりました。また、コア営業利益は、主にコーティング・機能材及び機能性フィルム・シートの販売が堅調に推移したことにより、前連結会計年度に比べ46億円増の266億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・増益となりました。
コーティング・機能材は、需要の回復に的確に対応し、販売が堅調に推移しました。
機能性フィルム・シートは、ICTを中心とした産業用フィルム分野において販売が堅調に推移しました。
農薬は、海外の販売が堅調に推移しました。
(基盤素材)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ2,449億円増の7,863億円、売上収益全体に占める割合は49%となりました。また、コア営業利益は、ビスフェノールA等の海外市況の影響及びナフサ等原料価格上昇に伴う在庫評価益等により、前連結会計年度に比べ555億円増の751億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・増益となりました。
ナフサクラッカーの稼働率は、川下製品の需要回復により高水準で推移しました。また、ポリエチレン及びポリプロピレンは、国内需要が回復し、販売が堅調に推移しました。
(その他)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ18億円増の150億円、売上収益全体に占める割合は1%となりました。また、コア営業損失は、前連結会計年度に比べ1億円増の12億円となりました。
売上収益とコア営業利益のセグメント別増減内訳はそれぞれ以下のとおりであります。
(売上収益)
(単位:億円) |
|
第24期
|
第25期
|
増減 |
||
|
計 |
数量差 |
価格差 |
||
モビリティ |
3,155 |
4,116 |
961 |
210 |
751 |
ヘルスケア |
1,439 |
1,646 |
207 |
207 |
0 |
フード&パッケージング |
1,977 |
2,352 |
375 |
305 |
70 |
基盤素材 |
5,414 |
7,863 |
2,449 |
233 |
2,216 |
その他 |
132 |
150 |
18 |
- |
18 |
消去又は全社 |
- |
- |
- |
- |
- |
合計 |
12,117 |
16,127 |
4,010 |
955 |
3,055 |
(コア営業利益)
(単位:億円) |
|
第24期
|
第25期
|
増減 |
|||
|
計 |
数量差 |
交易条件 |
固定費差他 |
||
モビリティ |
302 |
490 |
188 |
16 |
144 |
28 |
ヘルスケア |
199 |
198 |
△1 |
91 |
△32 |
△60 |
フード&パッケージング |
220 |
266 |
46 |
112 |
△25 |
△41 |
基盤素材 |
196 |
751 |
555 |
53 |
444 |
58 |
その他 |
△11 |
△12 |
△1 |
- |
- |
△1 |
消去又は全社 |
△55 |
△75 |
△20 |
- |
- |
△20 |
合計 |
851 |
1,618 |
767 |
272 |
531 |
△36 |
(注) 交易条件=価格差+変動費差(主として原燃料価格差)
③経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下のとおりであります。なお、当社グループは、モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージング及び基盤素材の各セグメントにおいて、多種多様な製品を取り扱っており、それぞれの製品によって経営成績に影響を与える要因及びその程度は異なります。
a 売上収益について
売上収益は、販売数量及び販売価格等により変動します。
販売数量については、主に顧客の状況、市場環境及び競合他社の事業展開等の要因によって影響を受ける可能性があります。
販売価格については、主にナフサ等の原燃料価格の変動の製品価格への転嫁状況、製品市況の変動及び為替変動等の要因によって影響を受ける可能性があります。
b コア営業利益について
コア営業利益は、販売数量、交易条件及び固定費等により変動します。
販売数量については、主に顧客の状況、市場環境及び競合他社の事業展開等の要因によって影響を受ける可能性があります。
交易条件については、主にナフサ等の原燃料価格の変動、原燃料価格の製品価格への転嫁状況、製品市況の変動及び為替変動等の要因によって影響を受ける可能性があります。
固定費については、主に生産設備の新増設、研究開発の状況等の要因によって影響を受ける可能性があります。
④生産、受注及び販売の実績
a 生産実績及び受注実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産実績及び受注実績については、「(1) 経営成績の概況、認識及び分析・検討内容 ②セグメント別の状況」におけるセグメント別の業績に関連付けて示しております。
b 販売実績
セグメントの名称 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
前年同期比(%) |
モビリティ(百万円) |
411,622 |
30.5 |
ヘルスケア(百万円) |
164,544 |
14.3 |
フード&パッケージング(百万円) |
235,167 |
19.0 |
基盤素材(百万円) |
786,330 |
45.2 |
報告セグメント計(百万円) |
1,597,663 |
33.3 |
その他(百万円) |
15,025 |
13.6 |
合計(百万円) |
1,612,688 |
33.0 |
(注)1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
三井物産㈱ |
229,470 |
18.9 |
333,659 |
20.7 |
(2) 財政状態の概況、認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,769億円増の1兆9,350億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,519億円増の1兆1,279億円となりました。また、有利子負債は1,513億円増の7,151億円となりました。この結果、資産合計に対する有利子負債の比率は前連結会計年度末に比べ0.8ポイント増の37.0%となりました。
|
第21期 |
第22期 |
第23期 |
第24期 |
第25期 |
有利子負債残高(億円) |
4,637 |
4,850 |
5,994 |
5,638 |
7,151 |
有利子負債比率(%) |
32.4 |
32.3 |
39.2 |
36.2 |
37.0 |
※第22期以前の指標については日本基準の値を記載しております。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ1,250億円増の8,071億円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ2.2ポイント減の36.8%となりました。
以上により、当連結会計年度末のネットD/Eレシオ(ネット有利子負債(有利子負債-現預金・長期性預金)/親会社の所有者に帰属する持分)は、前連結会計年度末に比べ0.15ポイント増の0.75となりました。
ネットD/Eレシオの推移は以下のとおりであります。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
①キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ148億円減少し、当連結会計年度末には1,812億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度に比べ817億円減の926億円となりました。これは主に、税引前利益の改善があったものの、運転資本が増加したことなどによるものです。
この結果、営業キャッシュ・フローに対する有利子負債の比率は前連結会計年度の3.2から7.7に増加し、インタレスト・カバレッジ・レシオは37.1倍から23.3倍に減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用された資金は、前連結会計年度に比べ1,277億円増の2,052億円となりました。これは主に、設備投資による支出、持分法で会計処理されている投資の取得による支出及び子会社の取得による支出が増加したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって得られた資金は、892億円となりました。これは主に、有利子負債の借入額が増加したことなどによるものです。
なお、キャッシュ・フローに関する指標は以下のとおりであります。
|
第21期 |
第22期 |
第23期 |
第24期 |
第25期 |
親会社所有者帰属持分比率(%) |
35.7 |
36.8 |
34.6 |
39.0 |
36.8 |
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%) |
46.6 |
34.7 |
25.6 |
44.0 |
30.9 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
5.6 |
4.4 |
4.2 |
3.2 |
7.7 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
14.8 |
19.9 |
25.5 |
37.1 |
23.3 |
(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※第22期以前の指標については日本基準の値を記載しております。
キャッシュ・フローの推移は以下のとおりであります。
②資金の調達について
当社グループの資金調達については、
1)高い格付けを維持し、資金需要に応じて都度、社債、借入及びコマーシャル・ペーパーを主体に低コストの資金調達を行うこと。
2)一定割合の間接金融を導入し、資金調達の安定化を図ること。
3)売上債権流動化等の資産の流動化により、資金調達の多様化を図ること。
を基本的な考え方として実施しております。
また、子会社(日米欧、中国、シンガポール)の資金調達については、原則として、当社及び地域統括会社を通じたグループファイナンスを行うことにより、グループ全体での有利子負債削減と資金効率の向上に努めております。
③資金の流動性について
資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、手元流動性を確保すると共に、コミットメント・ライン、当座貸越枠等の代替調達手段を備えております。
④資本政策のための基本方針
当社は、資本コストを意識した経営が重要との認識の下、投資効率性の向上と資本コストの低減に向けた取り組みを通じて、企業価値の最大化を図っております。投資効率性向上の取り組みとして、当社は「ポートフォリオマネジメント」、「KPIマネジメント」、「投資評価適正化」を推進しています。一方資本コスト低減に向けては、「収益ボラティリティの低減」、「最適資本構成の実現」、「投資家とのコミュニケーション強化」に取り組んでおります。
このうち、最適資本構成については、財務健全性と資本コスト最小化を両立できる資本構成を追及しております。足下のネットD/Eレシオの状況は財政状態に記載のとおり低下しており、営業キャッシュ・フローも高水準な状況が継続しております。
今後につきましては、現状の財政状態の水準を維持しつつ、積極投資を継続して事業の成長・拡大による更なる企業価値の向上を推進してまいります。
一方で、当社は株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題と位置づけています。翌連結会計年度以降の株主還元方針としては、業績の動向を踏まえながら、安定的かつ継続的な配当の実現と、機動的かつ柔軟な自己株式の取得により、株主還元の充実を図ることといたします。
(4) 目標とする経営指標の達成状況等
2030年度長期経営目標に対する2021年度の達成・進捗状況は以下のとおりであります。
|
当連結会計年度(計画) |
当連結会計年度 (実績) |
当連結会計年度 (計画比) |
2030年度長期経営目標 |
コア営業利益 |
1,150億円 |
1,618億円 |
468億円増 (40.7%増) |
2,500億円 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 |
790億円 |
1,100億円 |
310億円増 (39.2%増) |
1,400億円 |
親会社所有者帰属持分当期利益率 (ROE) |
12.5% |
16.7% |
4.2ポイント増 |
10%以上 |
Net D/E |
0.61 |
0.75 |
0.14ポイント増 |
0.8以下 |
投下資本利益率 (ROIC) |
6.7% |
8.7% |
2.0ポイント増 |
8%以上 |
総還元性向 |
30%以上 |
30.3% |
- |
30%以上 |
親会社所有者帰属持分配当率 (DOE) |
3.0%以上 |
3.5% |
- |
3.0%以上 |
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しております。また、当社は連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第93条の規定を適用しております。連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
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