文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、環境・社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会を皆さまと一緒に築くこと、すなわち「KAITEKI実現」をビジョンに掲げ、経済性や資本効率の追求(MOE)、イノベーションの追求(MOT)、サステナビリティの向上(MOS)を経営の3つの基軸として、これらに沿った企業活動を通じて生み出される価値の総和を企業価値(=KAITEKI価値)と捉え、その向上に努める「KAITEKI経営」を実践しております。当社グループでは、すべての活動が、KAITEKI価値の向上につながると同時に、KAITEKI実現に通じるという強い思いのもと、企業活動を推進しております。
(2) 経営環境
当社グループを取り巻く経営環境については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ②経営環境と今後の見通し」に記載のとおりです。
(3) 対処すべき課題
当社グループは、KAITEKI実現をビジョンとして掲げ、事業活動を通じて地球環境や世界の人々の健康に貢献することをめざし、広範な事業領域で培ってきた独自技術や基盤技術を活用して、イノベーションを高度化することで、既存事業の強化と新たな事業機会の創出に取り組んでまいりました。
当社は、昨年12月、2025年度に向け、企業価値最大化のための新たな経営方針「Forging the Future 未来を拓く」を策定しました。
新経営方針における新たな戦略・組織体制により、加速度的に変化する事業環境や社会ニーズに適応し、来る低炭素社会における成長性と収益性の最大化を図ってまいります。
「新経営方針」は、以下の5つの重点戦略から構成されています。
●市場の成長性、競争力、サステナビリティにフォーカスしたポートフォリオ
①市場の魅力度、②グループの強み、③カーボンニュートラルという3つの評価基準に基づき注力事業を選別し、当社グループが競争優位性を有する成長市場にフォーカスしたポートフォリオ運営を推進します。最重要戦略市場として、エレクトロニクス及びヘルスケア&ライフサイエンスを位置付けました。
●分離・再編し、独立化を進める事業
石油化学事業及び炭素事業については、分離・再編し、独立化を進めることで、国内基礎化学産業の再編を主導します。
●グループ全体におけるコスト構造改革
主要な項目別の施策を実行することにより、2025年度までに年間1,000億円超のコスト構造改革を実施し、着実な利益成長を実現します。
●戦略遂行のためのスリムな組織
本年4月、当社グループ全体を「One Company, One Team」として効率的に一体運営する体制をスタートさせました。
●戦略的なキャピタル・アロケーション
事業の効率化・売却により得た資金を戦略的に再配分し、業務効率と財務体質の改善を図り、2025年度の財務目標の達成に向け、成長を加速させるための強固な基盤を構築してまいります。
企業の持続的成長の基盤となる、安全管理・コンプライアンスの徹底、内部統制システム及びリスク管理体制の構築を通じたグループガバナンスの強化に引き続き取り組んでまいります。
ウクライナ情勢の影響等、グローバル経済の先行きは依然として不透明ですが、当社グループは、新経営方針における戦略を確実に実行し、企業価値・株主価値の向上を図ってまいります。
(4) 新経営方針「Forging the future 未来を拓く」
2025年度までの期間を対象とする経営方針「Forging the future 未来を拓く」の内容は次のとおりです。効率性を追求した事業運営と事業の成長力を引き出す明確な戦略のもと、全てのステークホルダーにとっての価値の最大化を目指します。
1.市場の成長性、競争力、サステナビリティにフォーカスしたポートフォリオ
2.分離・再編し、独立化を進める事業
3.グループ会社全体におけるコスト構造改革
4.戦略遂行のためのスリムな組織
5.戦略的なキャピタル・アロケーション
(1) 注力事業の選別基準
次の3つの評価基準に基づき注力事業を選別し、当社グループが競争優位性を有する成長市場にフォーカスしたポートフォリオ運営を推進します。
①市場の魅力度
・市場成長性
・高収益性を阻む要因・リスク
・ROS/ROIC/EBITDAマージン
②グループの強み
・No.1/No.2を狙える地位
・技術革新性
・競争優位性・差別化要因
③カーボンニュートラル
・CO2排出基準
・CO2排出の削減余地
・顧客/社会に対する付加価値
(2) 最重要戦略市場
上記評価基準に基づき、エレクトロニクス及びヘルスケア&ライフサイエンスを最重要戦略市場と位置付けます。
[最重要戦略市場]
<エレクトロニクス>
当社のコア技術を用いて、ターゲット領域において更なる成長を目指します。
<ヘルスケア&ライフサイエンス>
食品分野におけるターゲット領域においてイノベーションを牽引するとともに、ヘルスケアにおいては新型コロナウイルスワクチン等開発後期段階プロジェクトの価値実現を図ります。
<当社が強みを有する市場:強固な機能性素材事業群>
ケミカル、ポリマー、フィルム、モールディングマテリアルの各領域において、更なる競争力強化を図ります。
<当社が強みを有する市場:産業ガス>
成長機会の獲得、コスト削減、収益性向上への戦略的イニシアティブを推進します。
(3) デジタライゼーション
デジタル戦略の強化によって、カスタマー・エクスペリエンスとビジネスプロセスのトランスフォーメーションを実現します。
(4) カーボンニュートラル
持続的な成長を達成しつつ、2050年度までに着実にカーボンニュートラルを実現します。
石油化学事業及び炭素事業については、2023年度を目途に分離・再編し、独立化を進めることで、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて国内基礎化学産業の再編を主導します。
2025年度までに年間1,000億円超のコスト構造改革を実施し、着実な利益成長を実現します。
2022年4月1日、組織体制を改め、「One Company, One Team」のカルチャーを持つフラットな組織としました。また、リーガル・エンティティベースからビジネスユニット及びコーポレート機能ベースへの運営に移行し、責任の所在を明確化します。
規律ある事業運営とノンコア資産・事業の売却等により得た追加資金を戦略的に再配分します。
収益性と財務健全性の改善を通じて、業績成長を加速するための基盤を構築します。
各種指標の算定式
Ⅲ. ロードマップ
以下のロードマップに従い、株主価値を増大させる確固たる戦略を実行します。
なお、さらなる詳細につきましては2021年12月1日付の当社プレスリリース
(https://www.mitsubishichem-hd.co.jp/ir/01165.html)をご参照ください。
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