課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<経営方針>

 当社グループは、以下の企業理念に基づき、様々な産業分野に特色のある高品質な化学製品を提供することを主方針として経営諸活動を遂行しております。

・ 企業使命 「化学の力」で、よりよい明日を実現する。

・ 経営姿勢 確かな技術と豊かな発想で、夢を「かたち」にする。

・ 行動指針 「新たな一歩」を踏み出して、さらなる高みに挑戦する。

 

 当社グループは中長期的な視点から目指す姿を描くとともに、実現に向けた道筋を示すものとして「VISION 2030 ~世界で輝くスペシャリティケミカル企業~」を策定しております。

 VISION 2030において、当社グループが目指す具体的な姿は以下の3点です。

 

目指す姿① 地球温暖化抑制・豊かな暮らしに貢献するスペシャリティケミカル素材を提供

 事業活動を通じて地球温暖化抑制に資する製品や、よりよい暮らしに貢献できる素材を世界に向けて提供してまいります。

 

目指す姿② 戦略ドメインで世界シェアNo.1製品と新事業を拡大

 当社が強みをもつ、冷凍機油原料、化粧品原料、高純度溶剤分野の製品を核とし、設備投資や研究開発など集中的に資源を配分する領域として、戦略ドメインを「環境」「ヘルスケア」「エレクトロニクス」に設定しました。この戦略ドメインにおいて、世界シェアNo.1の製品を拡大するとともに、新たな事業や製品を創出します。

 

目指す姿③ 国内で化学業界トップクラスの利益率

 戦略ドメインにおいて、高付加価値で独自性の高い製品に対して生産能力の増強や新製品の開発を進め、AIやIoT等の最新技術を取り込み、生産効率を向上させることで、国内の化学業界の中でもトップクラスの営業利益率を目指します。

 

 なお、2030年長期経営目標として、売上高 1,800億円、営業利益 250億円超、ROE 12%超、自己資本比率 50%を掲げております。

 

<経営環境>

 当社グループを取り巻く経営環境は、コロナ禍からの世界経済の回復等により需要は堅調に推移しておりますが、米国におけるインフレの長期化による経済への影響や中国景気の減速リスク、東欧や中東の地政学的リスクなど、不確実性が高まってきています。また、世界が持続可能な開発目標(SDGs)への取組みを進めるなか、経済の発展とグローバル化に伴い、企業活動が環境や社会に与える影響はますます増大しております。このような外部環境において、当社グループが中長期にわたり成長していくためには、サステナビリティの観点が不可欠になってきています。

なお、事業分野別の中長期的な経営環境につきましては、次のように認識しており、様々な課題に当社グループ一丸となって取り組んでまいります。

 

■基礎化学品

 溶剤、可塑剤原料においては、国内需要は成熟するものの、アジアを中心とした需要が着実に拡大しており、底堅く推移すると認識しています。

 

■機能性材料

 主力の冷凍機油原料は、コロナ禍からの経済再開による世界的なエアコン市場の拡大に加えて、キガリ改正や米国EPA規則などの国際的な冷媒規制により、環境にやさしい冷媒(低GWP冷媒)への転換が進み、引き続き、需要が拡大することを見込んでおります。一方で、化粧品原料は、コロナ禍による需要縮小や競合他社の増強等により、需給バランスは軟化しておりますが、中長期的には、東南アジア諸国を中心に市場が拡大すると見込んでおります。

 

■電子材料

 5GやIoT、AIの普及やDXの推進などにより、半導体を中心に需要拡大が続くと認識しております。

 

<対処すべき課題>

 当社グループは、これまでも、「安心・安全・信頼」を基盤に、環境や人々の暮らしに役立つ製品を提供することで、社会課題解決に貢献してまいりました。今後は、その動きを更に加速し、事業を通じて様々な価値を提供し、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、当社グループ自身が社会とともにサステナブルな成長を遂げていきたいと考えています。

 具体的には、ステークホルダーの皆さまへ、サステナブル経営を推進する「7つの約束」を宣言し、それに沿った「マテリアリティ(重要課題)」16項目を特定しました。これら「マテリアリティ」に関する取り組みとマイルストーンとしてのKPIを設定し、中期経営計画においてその進捗を継続的にモニタリングしてまいります。

 

当社グループのサステナブル経営

 

サステナブル経営を推進する

「7つの約束」と「マテリアリティ(重要課題)」

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 当社グループは、VISION 2030の達成に向けた新たな中期経営計画である、第4次中期経営計画を策定し、基本方針を「サステナブル経営の推進」と位置づけ、持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値向上を図ってまいります。

 具体的には、以下3つの基本戦略を中心に、各種施策を推進してまいります。

 

戦略Ⅰ 戦略ドメインにおける更なる成長

 VISION 2030で掲げた戦略ドメインにおける更なる成長のため、冷凍機油原料等の大型設備投資を着実に実行することや、次世代半導体向け材料設備の活用による最先端分野への拡販など、各種施策を進めてまいります。

 

戦略Ⅱ 社会課題解決に向けた中長期的な取り組み

 2050年までのカーボンニュートラル実現を目指してまいります。そのマイルストーンとして、2030年に温室効果ガス(GHG)排出量を2017年(法律に基づく届出数値)比で30%削減すべく、様々な取組みを進めてまいります。加えて、低GWP冷媒に適合した冷凍機油原料の供給を拡大させることで、地球温暖化の抑制に大きく貢献してまいります。

 

戦略Ⅲ ビジネス基盤の強化

 スマート保安の推進による安全性と生産性の向上や職場環境の改善などに取り組んでまいります。また、リスクマネジメントをさらに強化するため、従来と異なる新たなリスク評価基準に基づくリスクマップを作成し、PDCAを回すとともに、経営戦略の一環として位置づけ、経営層がこれまで以上に重要リスクの解消にコミットする体制を構築してまいります。

 

 なお、経営数値目標としては、2022年度~2024年度までの期間累計連結営業利益 486億円、期間累計連結EBITDA 635億円、ROE 15%以上の達成を目指してまいります。

 

 第4次中期経営計画の初年度となる2022年度は、上記の基本戦略に基づき、冷凍機油原料等の大型設備完工に向けた取組みなど、各種施策を着実に実施いたします。また、2022年1月28日に賛同を表明しました気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の推奨開示項目に従い、積極的な情報開示を進めてまいります。具体的には、年央を目途に開示すべく、シナリオ分析やリスク管理、ガバナンス体制の整備等を進めてまいります。

 一方、新型コロナウイルス感染症の拡大状況に留意し、引き続き感染対策を徹底するとともに、当社グループの事業への影響を抑制するなど、リスク管理を適切に行ってまいります。

 

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