課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、プラスチックのより高度な機能を創出し、顧客価値の創造を通じて、機能性化学品分野での持続的成長を続けるグローバル・エクセレント・カンパニーを目指します。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大の影響をはじめとした不確実な状況や社会・環境の急激な変化にも適応できるよう、これまで以上に経営基盤を強化するとともに、社会課題の変化を成長機会に結びつけることで将来につながるサステナブルな経営を推進するべく、2021年度を初年度とする3か年の中期経営計画をスタートさせています。その骨子は、次のとおりであります。

 


 

本中期経営計画の策定時に掲げた最終年度(2023年度)の数値目標(売上収益2,500億円、事業利益250億円、ROE10%)については、ROEを除いて初年度である2021年度において達成することができたことから、最終年度(2023年度)における数値目標として、売上収益3,000億円、事業利益300億円を新たに設定いたしました。ウクライナ情勢の悪化、資源価格高騰の長期化、サプライチェーンの混乱、新型コロナウイルス変異株の流行の懸念など、今後も先行き不透明な状況が継続すると考えられますが、社内プロジェクトの活用・推進等を通じて新製品の積極的な開発・早期の市場投入を加速し事業を拡大することで、新たな数値目標の達成に向けて、さらなる飛躍を目指します。

 

本中期経営計画の2年目に向けた当社グループの取り組みの概要は、次のとおりであります。

 

(サステナビリティの取り組みの推進)

当社グループは、社会的問題を解決し、持続的な成長と価値創造を実現していくためには、経済的価値のみならず社会的価値向上への取り組みが不可欠と考えております。すべての事業活動において、当社の基本方針である「我が社は、信用を重んじ確実を旨とし、事業を通じて社会の進運及び民生の向上に貢献することを期する。」の理念に基づいて「開発・モノづくり」を行い、持続可能な社会の実現に寄与できるよう取り組んでおります。

2015年9月の国連サミットで採択された世界共通の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)の具現化は、当社の基本方針の理念に通じるものであることから、SDGsへの取り組みの推進を本中期経営計画の施策の一つと位置付けております。当社グループでは、重点的に取り組むべきSDGsの領域を設定し、またSDGsに寄与する製品を「SDGs貢献製品」と定め、その売上収益比率を2020年度実績37%から、本中期経営計画の最終年度である2023年度には50%以上、そして2030年度には70%以上とする目標を掲げて取り組みを進めております。

また、当社グループにおけるSDGs重点領域の一つとして「気候変動」を定めており、本中期経営計画においては、2020年度に策定した「2050年環境ビジョン(ネットゼロ)」をもとに、2030年度のCO2排出量46%削減(2013年度比)、2050年度のカーボンニュートラルを目標として掲げております。2021年度には、国内の当社グループの全工場・研究所において、外部から直接購入する電力のすべてをグリーン電力に切り替えたことで、国内における前述の2030年度目標を大幅に前倒しで達成することができました。さらに、欧州でも同様に、グリーン電力への100%切り替えを完了しております。また、当社グループは、2021年2月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しており、社内タスクチームを組織して、対応を進めております。これらの取り組みを通じて、2050年度のカーボンニュートラルへの挑戦を加速してまいります。
 

(DXの推進)

本中期経営計画では、DX(デジタルトランスフォーメーション)を意識した経営を推進し、競争力のある製品やサービスを創出していくことを掲げております。研究分野におけるデータ駆動型の開発や生産技術のデジタル化のグローバル展開のほか、DX推進のための人財育成や風土の醸成に向けた取り組みを進めており、DXを通じてビジネスモデルの変革を起こすことで、新たな顧客価値の創出につなげてまいります。

 

(組織カルチャーの進化)

当社グループでは、従業員一人ひとりが躍動し、人生産性を高めることが価値創造の源泉につながると考えております。本中期経営計画では、従業員個々人が活躍・挑戦できる風土を醸成するべく、人事制度の見直し、ダイバーシティの推進、働き方改革などさまざまな取り組みを行っております。これらの取り組みのほか、これまで取り組んできた組織の枠を越えた全社横断的な活動である「One Sumibe活動」、前述のDXの推進を通じて、新たな価値を生み出す組織作りを進めてまいります。

 

事業分野ごとの重点施策は、次のとおりであります。

 

(半導体関連材料)

中国に設置済および台湾に設置予定の各新生産ラインの戦力化による製品供給力の確保など、半導体需要の拡大に対応した事業体制の構築により、グローバルシェアのさらなる拡大を目指します。また、自動車の電動化に向けた車載用の戦略製品の拡販や欧米での生産拠点の確立、5G通信やDXの拡大を見据えた先端材料・高機能材料の開発強化など、社会の変化に対応した新領域での事業拡大を推進します。
 

(高機能プラスチック)

基盤製品のグローバルでの体制・連携の強化によりシェアの拡大を目指すとともに、成長領域への集中と不採算事業の構造改革による製品ポートフォリオの変革を加速し、環境対応製品の積極的な開発・市場投入により、事業全体の競争力を確保し、収益力の強化を図ります。
 

 

(クオリティオブライフ関連製品)
  ・医療機器事業・バイオ事業

    SBカワスミ株式会社との医療機器事業の統合によるグループシナジーの最大化を図ります。また、バイオ事業では、完全子会社のSBバイオサイエンス株式会社でこれまで取り組んできた体外診断用医薬品事業を当社に統合し構築したOne-Bio体制に基づいて、生・販・研一体での拡販を進めてまいります。これらの取り組みを通じて、診断から治療までを担うヘルスケアメーカーに向けて、事業規模の拡大および収益力の強化を図ります。

・フィルム・シート事業

  食品包装用スキンパックの積極展開や、モノマテリアルやバイオマス材料を利用した環境対応製品の市場投入など、機能性フィルムにより新たな事業領域を開拓し、事業規模の拡大を図ります。

・産業機能性材料事業および防水関連事業

  光学制御製品や車載用絶縁材料などの差別化技術を生かした高付加価値製品の実績化により、高収益事業への転換を進めます。また、防水機能一体型の屋根材である「スミルーフDN®」の拡販を進め、防水材料だけでなく、一般建築分野に向けたビジネスを強化してまいります。

 

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