業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

 ①経営成績の状況

当社グループは2019年度からスタートした3カ年の中期経営計画「Vision UBE 2025 ~Prime Phase~」において、「事業の成長基盤強化」「経営基盤(ガバナンス)の強化」「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」を基本方針とし、化学セグメントを核とした次なる成長の実現を目指して、各事業課題の解決に取り組んでまいりました。

当連結会計年度においては、売上高は、収益認識会計基準等を適用した影響はあるものの、化学セグメントを中心に新型コロナウイルス対策の進展に伴う経済活動の回復を受けて需要が堅調に推移し、また原燃料価格の高騰などを背景に販売価格の是正も進んだことから、前連結会計年度を上回りました。営業利益・経常利益は、建設資材セグメントにおいて石炭価格上昇の影響等を受けましたが、化学品の販売価格改善の効果が大きく、前連結会計年度を上回りました。親会社株主に帰属する当期純利益も、前連結会計年度にあった電解液事業分割による一過性の特別利益などはありませんが、経常利益増加の影響が大きく、前連結会計年度を上回りました。

この結果、当社グループの売上高は前連結会計年度に比べ413億7千6百万円増の6,552億6千5百万円、営業利益は181億3千6百万円増の440億3千8百万円、経常利益は182億5千6百万円増の415億4千9百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は15億6千4百万円増の245億円となりました。

 

項   目

売 上 高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属

する当期純利益

当連結会計年度

655,265百万円

(738,024百万円)

44,038百万円

41,549百万円

24,500百万円

前連結会計年度

613,889百万円

25,902百万円

23,293百万円

22,936百万円

増   減

41,376百万円

(124,135百万円)

18,136百万円

18,256百万円

1,564百万円

増 減 率

(20.2%)

70.0%

78.4%

6.8%

 (注)括弧内の数字は「収益認識に関する会計基準」等の影響を考慮しない場合の参考値です。

 

 ②生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

化学

321,270

39.6

建設資材

114,971

3.0

機械

95,144

28.6

合計

531,385

27.8

 (注)金額は平均販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。

b.受注実績

 当連結会計年度における機械の受注実績を示すと、次のとおりです。

 なお、機械を除くセグメントの製品については、受注生産は行っておりません。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

機械

72,291

18.7

52,091

△1.9

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

化学

341,493

(351,724)

(35.6)

建設資材

221,476

(296,196)

(4.7)

機械

96,987

(94,789)

(20.4)

その他

3,411

(3,417)

(9.6)

消去

△8,102

(△8,102)

合計

655,265

(738,024)

(20.2)

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。

2.括弧内の数字は「収益認識に関する会計基準」等の影響を考慮しない場合の参考値です。

 

 ③財政状態

総資産

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ、682億4千4百万円(8.9%)増加し、

8,379億5千4百万円となりました。

流動資産は、契約資産、商品及び製品などの棚卸資産が増加したことなどにより629億6千2百万円   (19.0%)増加し、3,946億8千9百万円となりました。

固定資産は、無形固定資産、投資有価証券などが増加したことなどにより53億2千2百万円(1.2%)増加し、4,431億3千2百万円となりました。

繰延資産は、社債発行費が減少したことにより4千万円減少し、1億3千3百万円となりました。

負債

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ、548億4千4百万円(14.1%)増加し、    4,439億1千9百万円となりました。有利子負債は270億4千5百万円(12.6%)増加し、2,418億1千2百万円となりました。

流動負債は、支払手形及び買掛金、コマーシャル・ペーパーなどが増加したことなどにより487億3千4百

万円(24.3%)増加し、2,491億7千4百万円となりました。

固定負債は、社債、退職給付に係る負債などが減少したものの、長期借入金、特別修繕引当金が増加したことなどにより61億1千万円(3.2%)増加し、1,947億4千5百万円となりました。

純資産

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ、134億円(3.5%)増加し、3,940億3千5百万円となりました。

株主資本は、自己株式の増加により100億6百万円、剰余金の配当により89億4千4百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が245億円増加したことなどにより50億2千9百万円(1.5%)増加し、3,515億4千9百万円となりました。

その他の包括利益累計額は、その他有価証券評価差額金が減少したものの、為替換算調整勘定が増加、退職給付に係る調整累計額が改善したことなどにより51億円(40.8%)増加し、175億9千3百万円となりました。

非支配株主持分は、33億8百万円(15.7%)増加し、243億8千3百万円となりました。

この結果、自己資本比率は、前連結会計年度に比べ、2.5ポイント減少し44.1%となりました。

 

当連結会計年度

前連結会計年度

増  減

総資産

837,954百万円

769,710百万円

68,244百万円

負債

443,919百万円

389,075百万円

54,844百万円

純資産

394,035百万円

380,635百万円

13,400百万円

 

④キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ、333億4千3百万円減の327億1千1百万円となりました。これは、前連結会計年度に比べ、税金等調整前当期純利益による収入は増加したものの、運転資金増減額(売上債権、棚卸資産及び仕入債務の増減合計額)が収入から支出に転じたことなどによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ、39億4千万円増の433億7千3百万円となりました。これは、前連結会計年度に比べ、関係会社出資金の払い込みによる支出、短期貸付金の増減額による支出が増加したことなどによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ24億8千1百万円減の83億7千1百万円となりました。これは、社債の償還による支出、自己株式の取得による支出が増加したことなどによるものです。

この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、現金及び現金同等物に係る換算差額等を含め、前連結会計年度末に比べ、8億8千5百万円(1.1%)減の787億6千1百万円となりました。

 

当連結会計年度

前連結会計年度

増  減

営業活動によるキャッシュ・フロー

32,711百万円

66,054百万円

△33,343百万円

投資活動によるキャッシュ・フロー

△43,373百万円

△39,433百万円

△3,940百万円

財務活動によるキャッシュ・フロー

8,371百万円

10,852百万円

△2,481百万円

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析、検討内容

中期経営計画の最終年度に当たる当連結会計年度の業績は、売上高は、収益認識会計基準等を適用した影響はあるものの、化学セグメントを中心に新型コロナウイルス対策の進展に伴う経済活動の回復を受けて需要が堅調に推移し、また原燃料価格の高騰などを背景に販売価格の是正も進んだことから、前連結会計年度に比べ増加するとともに、営業利益についても建設資材セグメントを除き増加しました。

 

<売上高>

 

当連結会計年度

前連結会計年度

増  減

増減率

化学

341,493百万円

(351,724百万円)

259,380百万円

82,113百万円

(92,344百万円)

(35.6%)

建設資材

221,476百万円

(296,196百万円)

282,855百万円

△61,379百万円

(13,341百万円)

(4.7%)

機械

96,987百万円

(94,789百万円)

78,727百万円

18,260百万円

(16,062百万円)

(20.4%)

その他

3,411百万円

(3,417百万円)

3,117百万円

294百万円

(300百万円)

(9.6%)

調整額

△8,102百万円

(△8,102百万円)

△10,190百万円

2,088百万円

(2,088百万円)

合計

655,265百万円

(738,024百万円)

613,889百万円

41,376百万円

(124,135百万円)

(20.2%)

 (注)括弧内の数字は「収益認識に関する会計基準」等の影響を考慮しない場合の参考値です。

 

<営業利益>

 

当連結会計年度

前連結会計年度

増  減

増減率

化学

35,472百万円

8,184百万円

27,288百万円

333.4%

建設資材

3,405百万円

14,744百万円

△11,339百万円

△76.9%

機械

5,130百万円

2,831百万円

2,299百万円

81,2%

その他

573百万円

447百万円

126百万円

28.2%

調整額

△542百万円

△304百万円

△238百万円

合計

44,038百万円

25,902百万円

18,136百万円

70.0%

 

各セグメントの主要製品の状況は次のとおりです。

 

化学セグメント

主要な事業内容

ナイロン樹脂、カプロラクタム(ナイロン原料)、硫安、工業薬品、ファインケミカル、高機能コーティング、ポリブタジエン(合成ゴム)、ポリイミド、電池材料、機能品、医薬品(原体・中間体)などの製造・販売

強み

・ポリイミド、電池材料、ファインケミカル、高機能コーティングなどのスペシャリティ事業に加えてナイロン樹脂、カプロラクタム、硫安、ポリブタジエン(合成ゴム)などを中心とするベーシックケミカルズ事業を併せ持ち、幅広い製品群を保有。

・日本(山口県宇部市・千葉県市原市・大阪府堺市)・タイ・スペインの世界三極体制によるグローバルネットワークを構築。

・多様化するニーズに対応できる高い技術開発力とモノづくり力を持ち、顧客に対してソリューションを提供。

◆ナイロン樹脂

ナイロンポリマーについては、環境貢献型製品の投入により押出分野におけるトップサプライヤーとして揺るぎない地位の強化を図り、コンポジットについては、エンプラコンポジットメーカーとしてもグローバルに存在感あるソリューションプロバイダーを目指しております。

当連結会計年度においては、前連結会計年度に続き食品包装フィルム用途は堅調に推移し、自動車用途も下期には自動車減産の影響を受けたものの全般的にコロナ禍からの需要回復が継続しました。販売価格は、原料カプロラクタム市況の上昇を上回って上昇しました。

足元においては、原燃料価格の高騰に伴い、製品価格への転嫁(値上げ)を推進しております。また、日本、タイ、スペインの3拠点とも高稼働・フル販売を継続している状況となっております。

今後については、ナイロンポリマーでは、共重合ナイロン等の高付加価値グレードの拡充や環境貢献型製品の開発を進めるとともに、アジアでのナイロン重合体制の最適化を図ってまいります。コンポジットでは、タンクライナー等の既存付加価値製品のグローバル展開を加速するとともに、ナイロン以外の樹脂も含めた新規分野の開拓による更なるスペシャリティ化を進めてまいります。

◆カプロラクタム・硫安

ナイロン原料のカプロラクタムについては、ナイロンポリマー・カプロラクタム・硫安の一体運営を強化していくとともに、硫安の高付加価値化も推進しております。

当連結会計年度においては、主用途であるナイロン繊維向け需要が堅調に推移し、ベンゼンなど原料市況の上昇を上回って製品市況が改善しました。国際市況高騰に伴う硫安価格の上昇も寄与しました。

足元においては、安定した需要が継続しており、主原料ベンゼンとのスプレッドは堅調に推移しております。

今後については、国内のカプロラクタムはエネルギー負荷が高く、中長期的に収益力の改善も見通しづらいため、ナイロン期系再編に併せて2024年度を目途に日本の生産規模縮小を検討してまいります。他方、タイ、スペインではGHGの削減を目的とした投資を実施し、硫安については、大粒品の増産と共に付加価値グレードの開発・拡販を進めてまいります。

 

◆工業薬品

工業薬品については、GHG排出量の多いプロセスを採用する国内アンモニア生産は、設備の老朽化や環境負荷を踏まえた将来の事業性も鑑み、2030年を目途にアンモニア工場稼働停止を目指すとともに、高純度硝酸事業等、事業拡大が見込まれるスペシャリティ事業を伸長させます。

当連結会計年度においては、アンモニア工場で隔年の定期修理がなく出荷は増加し、アンモニア価格も国際市況高騰に伴い上昇しました。

足元においては、アンモニアは天然ガス価格の高騰を受けて価格が上昇し、ウクライナ情勢の悪化で市場への供給減によりタイトな需給環境が継続しております。一方、半導体用途に使用される高純度硝酸市場は高成長が継続しております。

今後については、2030年を目途としたアンモニア工場停止に伴う工業薬品事業の最適化計画を深堀してまいります。また、高純度硝酸工場の能力増強を実施するとともに、クリーンアンモニアの調達も検討してまいります。

◆ファインケミカル

ファインケミカルについては、C1ケミカルチェーン(DMC、EMC、PCD)の海外展開の加速と、スペシャリティ製品の拡大により持続的成長を図っております。

当連結会計年度においては、出荷量は自動車関連製品を中心に概ね堅調に推移しました。

足元の事業環境については、各製品とも需要は総じて堅調に推移し、特に高純度DMCはxEV(電動車)普及に伴い世界的に需要が拡大しております。また、原燃料、物流コストの上昇に伴う製品価格への転嫁も推進しております。

今後については、C1ケミカルチェーンの海外展開の加速と持続的な成長を目指し、中国、米国、欧州での生産拠点設置による地産地消を推進してまいります。

◆高機能コーティング

高機能コーティングについては、環境貢献型製品として、さらなる事業拡大をグローバルに推進しております。

当連結会計年度においては、ファインケミカル同様、出荷量は自動車関連製品を中心に概ね堅調に推移しました。

足元の事業環境については、自動車用途向け需要はコロナ禍もあり減速気味ですが、中国を中心にVOC(揮発性有機化合物)規制等の強化による水系・無溶剤系塗料の需要増など環境対応シフトは継続しております。

今後については、PCDはタイで生産能力を増強しアジア地域での拡販を行うとともに、北中米市場での拡販も継続してまいります。PUDもタイに製造設備を設置するとともに、錫フリー・無溶剤グレードの商業化を図ってまいります。

◆ポリブタジエン(合成ゴム)

ポリブタジエンについては、2021年10月にUBEエラストマー㈱へと分社化したことによる製販技一体化により意思決定および施策実行をスピードアップさせ、スペシャリティ化を推進しております。

当連結会計年度においては、下期には自動車減産の影響を受けたもののタイヤ用途を中心に需要が堅調に推移しました。また、製品価格はブタジエン市況の上昇を上回って上昇しました。

今後については、安全・安定生産、プロセス・品質改善、スペシャリティ化の推進、グローバル展開に取り組んでまいります。

◆ポリイミド

ポリイミドについては、外部環境変化に呼応した製品開発による市場貢献と収益のさらなる拡大に取り組んでおります。

当連結会計年度においては、ディスプレイ向けCOFフィルムおよび有機ELパネル向けワニスの需要が伸長し、販売は好調に推移しました。

足元の事業環境においても、引き続きディスプレイ向けCOFの需要は堅調であり、スマホ向けを中心としたフレキシブル有機ELパネル向けワニス市場が拡大しております。

今後については、フレキシブル有機ELパネル向けワニスの更なる事業拡大や次世代ディスプレイ、電池用途ワニス、5G対応フィルムといった新規開発テーマの立ち上げと外部環境変化に即した開発テーマの設定、増産投資計画の着実な実行および垂直立ち上げと安定操業に取り組んでまいります。

 

◆セパレータ

セパレータについては、継続的な需要の拡大が期待されるxEV市場での拡販を図るとともに、xEV以外の用途開拓も推進しております。

当連結会計年度においてはリチウムイオン電池材料のセパレータは、自動車向け需要が拡大しており、自動車減産などの影響はあるものの、販売は堅調に推移しました。

足元の事業環境では、世界的な脱炭素化社会構築の流れで、自動車を中心に電動化が加速しております。各国が具体的な電動化目標を掲げており、xEV市場が拡大することが見込まれます。

今後については、車載・非車載双方の用途での拡販を図ってまいります。また、コストダウンの更なる推進とともに、高度化する顧客の要求性能を満たす、品質満足度の向上に努めてまいります。

◆分離膜

分離膜については、環境・エネルギー分野を基軸とした事業拡大と商品力強化に取り組んでおります。

当連結会計年度においては、バイオガス向け脱炭酸膜の需要が伸長しました。

足元の事業環境では、環境エネルギー政策を背景に、バイオメタン市場が欧州・北米から全世界へ拡大しております。カーボンニュートラルに貢献する脱CO2化、CO2有効活用、再生可能エネルギー利用などに向け、ガス分離膜への革新的技術要求が高まっております。

今後については、環境・エネルギー分野、特にバイオガス向け脱炭酸膜の拡大に経営資源を集中してまいります。また、燃料電池車、水素などグリーン社会が求める技術に対応するとともに、生産現場におけるDX推進による生産能力増強・品質安定化・商品力強化にも取り組んでまいります。

◆医薬

医薬については、安定的収益構造を構築するとともに、新規創薬・技術による付加価値領域を加えた成長基盤の形成に取り組んでおります。

当連結会計年度においては、ロイヤリティ収入が伸長し、自社医薬品および受託医薬品の出荷も堅調に推移しました。

足元の事業環境では、低分子医薬品は緩やかに成長する一方、核酸やバイオ医薬品などの新規モダリティが市場を牽引しております。医薬品の多様化はさらに加速し、創薬研究・開発・製造のあらゆる分野で競争は激化しております。

今後については、創薬においては、低分子創薬技術の進展やアライアンス形態の多様化による上市・導出確率の向上を進めるとともに、CDMO(医薬品受託製造)においては、工場新設・再編、M&A・アライアンス等による収益基盤強化を図ってまいります。また、ライフサイエンス分野における新規事業領域として、ポリイミド多孔質膜を活用した細胞培養システムの確立に取り組んでまいります。

 

建設資材セグメント

主要な事業内容

セメント、生コン、建材関連製品、石灰石、カルシア・マグネシア、機能性無機材料などの製造・販売、資源リサイクル事業、石炭の輸入・販売、コールセンター(石炭中継基地)の運営および電力供給事業

強み

・幅広い製品・事業をグループ全体で担うことにより、グループ・シナジーを最大限に活用。

・競争力のある石炭・電力を安定供給できる体制と大型港湾設備などの充実したインフラを保有。

・多種多様な廃棄物を利用し、省資源化できる高い技術力を保有。

◆セメント・生コン

セメント・生コンについては、震災復興工事や新幹線延伸工事の反動減に加え大雨等の天候の影響もあり、販売が低調に推移しました。鉄鋼向けなどの需要回復によりカルシア・マグネシアの出荷は増加しましたが、総じて石炭・原油市況の高騰によるコスト上昇の影響を強く受けました。

今後については、2022年4月にスタートしたUBE三菱セメント㈱は、業界トップクラスの効率性と収益性を誇るグローバルカンパニーを目指すとともに、カーボンニュートラルへの対応などの環境変化に率先して取り組み、業界をリードしてまいります。また、国内セメントの生産体制の最適化やバリューチェーン全体での効率化により、事業基盤の更なる強化を図るとともに、海外のセメント・生コンクリートや高機能無機材料など国内外で成長が期待できる事業に経営資源を投下してまいります。

 

機械セグメント

主要な事業内容

成形機(ダイカストマシン、押出プレス、射出成形機)、産業機械(窯業機、化学機器、粉砕機、運搬機、除塵機、破砕機)、橋梁・鉄構、製鋼品(ビレット、鋳造品)などの製造・販売

強み

・自動車や電力・セメント・製鉄などの基幹産業に多数の納入実績があり、顧客から高い評価。

・国内外の多くの拠点を軸に、販売からアフターサービスまで全てにわたり顧客のニーズに対応。

・大型の加工設備と熟練した技術・技能者を保有。

◆成形機

成形機については、自動車のxEV化に対応した新製品の創出に取り組んでおります。

当連結会計年度においては中国・北米における自動車産業向けの販売が堅調に推移しました。

足元の事業環境では、自動車関連市場においては、コロナ禍による減産となる中、自動車のxEV化が世界的な潮流となっております。

今後については、自動車のxEV化に対応した魅力ある製品の上市を図るとともに、北米、アジアなどのグローバル市場に向けた価格競争力のある製品展開を目指してまいります。中国市場向けの販売拡大のための投融資やサービス事業のDX化の更なる推進にも取り組んでまいります。

◆産業機械、製鋼品

産業機械については、再生可能エネルギー市場および製品リサイクル市場向けの製品、プロセス開発による事業拡大を行っております。

当連結会計年度においては、産業機械は、電力会社向け運搬機などの販売が堅調に推移しました。製鋼事業は、ビレットの需要が回復するとともに原材料市況の上昇等により製品価格も上昇しました。

足元の事業環境では、石炭火力発電(IPP)設備需要はピークアウトする一方、バイオマス発電転換の需要が増加しております。また、カーボンニュートラルの達成に向けた製品(洋上風力発電設備、アンモニア燃料関連機器、バイオマス燃料貯蔵・搬送・粉砕設備等)の需要が増加しております。

今後については、発電所向けバイオマスハンドリング需要の取り込みを図るとともに、大型構造物製造技術により洋上風力発電や燃料アンモニア設備市場への参入に取り組んでまいります。
 

②経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

2021年度までの3カ年の中期経営計画「Vision UBE 2025 ~Prime Phase~」において、以下の数値目標を掲げてまいりました。最終年度の数値目標は、経済情勢の変化などもあり未達となりましたが、化学セグメントでは数値目標(営業利益320億円)を達成することができました。

 

<主要項目・経営指標>

 

2019年度

実績

2020年度

実績

2021年度

実績

2021年度

(原計画)

差異

営業利益

340億円

259億円

440億円

550億円

△110億円

経常利益

357億円

232億円

415億円

580億円

△165億円

売上高営業利益率(ROS)

5.1%

4.2%

6.1%

(6.7%)

7%

 

△0.9%

(△0.3%)

自己資本利益率(ROE)

6.9%

6.6%

6.7%

10%

△3.3%

(注)年度間での比較のため、売上高営業利益率で使用する売上高は「収益認識に関する会計基準」等を適用する前の金額を使用しています。適用後の2021年度の売上高営業利益率は括弧で表示しています。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

(財務の基本方針)

当社グループは、財務構造の健全性維持及び資金の効率的調達・運用を基本方針として財務活動を行っております。資金調達については、自己資金のほか、金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパー、社債の発行等により行っております。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、緊急時の資金調達手段の確保等を目的として、一部の取引銀行とコミットメントライン契約を締結しております。

 

(キャッシュ・フロー及び流動性の状況)

当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは327億円のキャッシュ・イン、投資活動によるキャッシュ・フローは434億円のキャッシュ・アウトとなり、フリー・キャッシュ・フローは107億円のキャッシュ・アウトとなりました。なお、3カ年のキャッシュ・フローとしては、税金等調整前当期純利益減に伴い営業キャッシュ・フローは計画を下回ったものの、事業環境に応じて投資計画を見直した結果、フリー・キャッシュ・フローは3カ年の計画を上回る437億円を確保しました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払92億円、有利子負債の増減による収入260億円などにより84億円のキャッシュ・インとなり、期末における現金及び現金同等物の残高は788億円となりました。

2022年よりスタートする新中期経営計画において、3カ年での営業キャッシュ・フロー創出は1,500億円を計画しており、まずは事業構造改革を実現するうえで不可欠なスペシャリティ事業の成長投資を優先させながら、投資キャッシュ・フローに1,150億円を充当したうえで、株主還元の充実を図ってまいります。

設備投資および投融資は、分割したセメント関連事業を除いた前中期経営計画761億円を大きく上回る   1,300億円を計画しており、そのうち約50%をスペシャリティ事業へ振り向けます。研究開発は、320億円を計画しており、そのうち約60%をスペシャリティ事業へ充当いたします。

 

(資本政策)

当連結会計年度は、コロナ禍からの回復が進展しましたが、2022年4月に実施したセメント関連事業の分離に備えた現預金確保などもあり、前連結会計年度に比べてD/Eレシオは0.66倍、自己資本比率は44.1%とわずかに悪化しました。

2030年の目指す姿に向け、新中期経営計画期間においては事業ポートフォリオ変革を進めながらスペシャリティ事業の成長投資に注力いたします。今後も需要拡大が見込まれるポリイミドの事業拡大に取り組み、原料モノマーやフィルムの生産能力を拡大させ、また、米国におけるファインケミカル拠点の新設などを進めてまいります。さらに、M&Aを含む投融資も事業成長のための有効手段として積極的に取り組んでまいります。投資判断においては、株主資本コストと加重平均資本コストを意識し、IRR(内部収益率)、NPV(正味現在価値)、投資回収期間の各数値に事業戦略等の定性要素を加味して実施の判断を行います。また、独自の社内炭素コストを設定した上で、環境コストという観点も投資判断に織り込んでおります。

株主還元の方針は、従来のDOE(株主資本配当率)2.5%以上と中期経営計画期間での連結総還元性向30%以上をKPIとして継続し、安定的かつ持続的な配当を目指します。また、収益やキャッシュ・フローの状況を総合的に勘案しながら、機動的な自己株式の取得も選択肢として株主還元のさらなる充実を図ってまいります。

 

(3)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値および偶発資産・負債の開示、並びに報告年度における収益・費用の数値に影響を与える将来に関する見積りおよび仮定が必要であり、過去の実績やその他の様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

 

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