課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針

120年を超える歴史を刻む当社グループは、「共存同栄」と「有限の鉱業から無限の工業へ」を創業の精神として受け継ぎ、時代と産業構造の変化に対応しながら、新たな技術への挑戦と自己変革を重ねて業容を拡大してまいりました。

今後ますます多様化・複雑化するニーズに応えながら、下記の当社グループのパーパス(存在意義)を全うすべく経営理念と経営方針に基づき、未来につながる、新たな価値を創出するための事業活動をグローバルに展開するとともに、ESG(環境・社会・コーポレートガバナンス)への取り組みを一層充実し、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。

また、株主を始め顧客、取引先、従業員や地域社会等のあらゆるステークホルダー、さらには地球環境との共生を実践し、これらに貢献する価値創出企業であり続けます。

 

 パーパス(存在意義)

  「創業以来の歴史の中で培ってきたモノづくりの技術を活かし、社会に必要とされている価値を、社会が求める安全で環境負荷の少ない方法で創り出し、人々に提供していくこと。これにより、人類共通の課題となった地球環境問題の解決に、また人々の生命・健康、そして未来へとつながる豊かな社会に貢献すること」

 

 経営理念

  「技術の探求と革新の心で、未来につながる価値を創出し、社会の発展に貢献します」

 

 経営方針

「倫理」     高い倫理観を保ち、法令及び社会規範を遵守します

「安全と安心」  地球環境保全に努め、安全・安心なものづくりを行います

「品質」     お客様と社会の信頼に応える品質をお届けします

「人」      個性と多様性を尊重し、健康で働きやすい職場をつくります

 

当社は、2022年4月に「UBE株式会社」という新社名の下、化学事業持株会社へと経営構造を転換し新たなスタートを切りました。今後は、スペシャリティ化学の企業グループとしてグローバルに持続的成長を図るとともに持続可能な社会への貢献に取り組み、機械事業やセメント関連事業については、持株会社としての経営を推進し、UBEグループとしての企業価値の最大化を図ります。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、2030年の目指す姿とその達成に向けた経営施策を長期ビジョン「UBE Vision 2030 Transformation」として描き、2024年度までのアクションプランとなる3カ年の中期経営計画「UBE Vision 2030 Transformation~1st Stage~」を策定しました。将来の目指す姿と中期経営計画の基本方針は次のとおりです。

 

◆長期ビジョン(2030年)の目指す姿

「地球環境と人々の健康、そして豊かな未来社会に貢献するスペシャリティ化学を中核とする企業グループ」

この目指す姿の実現に向け、「エネルギー負荷の低い」、「市況変動に左右されにくい」、「収益性の高い」スペシャリティ製品を主体とする事業構造への転換を進めてまいります。また、こうした事業構造改革と省エネ推進・プロセス改善等の施策により、温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標の達成を目指すとともに、環境に貢献する製品や技術の開発と実用化を推進することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

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◆中期経営計画の基本方針

(ⅰ) スペシャリティ化学を中心にグローバルな利益成長を追求

(ⅱ) 地球環境問題に対応した事業構造改革の推進

(ⅲ) 持続的成長に向けた人的資本の充実

(iv) DX(デジタルトランスフォーメション)の推進による企業価値の向上と顧客価値の創出

(v) ガバナンスの更なる向上

 

(3)経営環境

当連結会計年度においては、世界経済は新型コロナウイルス対策の進展に伴い経済活動の回復が進み、各種製品の需要も堅調に推移しました。一方で、変異型コロナウイルスによる感染症の再拡大、地政学的リスクの深刻化、エネルギーコストや原材料価格の高騰、物価上昇に伴う需要減退の懸念などから今後も先行きが見通しづらい状況が続くものと予測されます。

こうした状況に加え、地球温暖化、海洋プラスチックなどの環境問題、自然災害の増加、インフラの老朽化、少子高齢化など持続可能な社会創出のための諸課題への対応が企業活動に求められており、更には、DXによる競争優位性の変化、健康や安全・安心についての意識の更なる高まりなど、経営環境の変化のスピードも一段と速まっております。

 

(4)優先的に対処すべき課題等

当社グループはこれらの経営環境を踏まえ、スペシャリティ化と地球環境問題への取り組みを強く意識した事業構造改革を着実に進めながら、収益基盤の強化を図り、すべてのステークホルダーに価値を創出し続けていくために、中期経営計画における5つの基本方針の着実な実行を重要な課題として認識しております。

(ⅰ)スペシャリティ化学を中心にグローバルな利益成長を追求

技術力やバリューチェーンにおける強みをベースに付加価値を創出することで高収益を実現できるスペシャリティ事業に経営資源を重点的に投入し、一層の成長・拡大を図ります。需要拡大に対応したポリイミド、分離膜、コンポジット、ファインケミカル、高機能コーティングなどの能力増強や北米での生産拠点新設を進め、グローバルでの事業拡大と利益成長を目指してまいります。

他方、ベーシック事業については更なるコスト競争力の強化とともに、ナイロンポリマー、硫安、工業薬品、エラストマーなどでの高付加価値グレードの拡充ならびに環境貢献型製品の開発や上市への取り組みを推進し、安定的なキャッシュ・フローと着実な収益の上乗せを図ってまいります。

(ⅱ)地球環境問題に対応した事業構造改革

石炭を主要なエネルギー源として事業展開してきた当社グループは、エネルギー多消費型の事業構造を変革することが大きな課題であると認識しております。2021年4月に「UBEグループ 2050年カーボンニュートラルへの挑戦」を宣言し、自らの事業活動から排出されるGHGの実質排出量ゼロに挑戦するとともに、環境に貢献する製品・技術に関わる研究開発の推進とイノベーションの実用化により、社会全体のカーボンニュートラルへの貢献を目指すことといたしました。2030年度までの中期目標として、GHG排出削減率を50%(2013年度比)、環境貢献型製品・技術の連結売上高比率を60%以上にすることを目指しております。

こうした目標の達成に向け、中期経営計画期間においては生産活動における徹底した省エネ推進・プロセス改善に継続的に取り組むとともに、再生可能エネルギーを最大限活用し、GHG排出量の削減に努めてまいります。また、グローバルな最適生産体制構築のため国内ナイロンポリマーの海外へのシフトを進めるとともに、エネルギー負荷が高く中長期的に収益力の改善も見通しづらい国内カプロラクタムは、2024年度を目途に主要期系の停止により減産する方向で検討を深めてまいります。

(ⅲ)持続的成長に向けた人的資本の充実

ダイバーシティ&インクルージョン推進のため、特に日本国内では、女性が働きやすく働き甲斐がある制度と環境整備の推進、専門性の高いキャリア採用や外国人採用の拡充などを進めるとともに、グループ全体でワークエンゲージメントの向上に取り組んでまいります。

(ⅳ)DXの推進による企業価値の向上と顧客価値の創出

新たに設置したDX推進室が主体となり、デジタル人材の育成を推進し、デジタル技術を活用した業務効率化とともに、新たな顧客価値や新規事業の創出を加速いたします。

(ⅴ)ガバナンスの更なる向上

化学事業会社として、グループ・カバナンスのレベルアップに努めるとともに、機械事業やセメント関連事業については、持株会社としてのガバナンス体制の整備、運用を通して、UBEグループの企業価値の最大化に努めてまいります。

<事業ポートフォリオ>

長期ビジョンの目指す姿とともに、今後の市場の成長期待、UBEグループの有する強み、収益性などを踏まえて、化学分野の主要事業・製品の位置づけを明確にするとともに、経営資源投入の判断にも活用いたします

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(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

中期経営計画「UBE Vision 2030 Transformation~1st Stage~」においては、最終年度となる2024年度の数値目標を次のとおり設定しております。

<主要項目>

 

2024年度目標

営業利益

400億円

(うちスペシャリティ事業 240億円)

経常利益

470億円

 

<経営指標>

 

2024年度目標

売上高営業利益率(ROS)

8%

自己資本利益率(ROE)

8%

 

<非財務指標>

 

2024年度目標(日本国内連結ベース)

女性社員比率

15%

女性管理職比率

6%

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