当社グループの研究開発活動は、既存事業の製造技術の高度化及び周辺や延長分野における事業拡大を図るとともに、新規事業の創出及び長期的な視野に立った基盤技術の強化を志向しております。
研究開発活動は、当社の研究開発本部並びに、化学生産部門及び各事業部門の開発部門で行っているほか、一部には連結子会社独自で行っているものもあります。当社及び連結子会社における研究開発スタッフは577名にのぼりますが、これは総従業員数の約6%に当たります。
当社では、研究・開発・技術・製造・営業を強固に連携し、事業としての意思統一、責任体制の明確化及び研究開発のスピードアップを図りながら、既存事業関連の研究を各事業部のもとに集約して行っております。また、研究開発本部については環境関連の技術開発及び新規事業創出に向けた研究開発の役割を担っています。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
化学
既存事業の強化、高度化を図るため、ナイロン等の革新的プロセス開発及び独自技術による新規グレードや新製品の開発を行っております。合成ゴム関係では新規触媒を用いたポリブタジエンの製造技術開発や市場開発、タイヤ用途で省燃費性、耐久性に優れる新規の合成ゴムを開発中です。ナイロン関係では日本、タイ、スペインに設立した研究所を基点にして、グローバルなニーズに応える研究開発を進め、パラダイムシフトに対応した次世代の材料開発を行っております。また、次世代蓄電池の材料の開発、ポリイミドフィルム及びワニス等関連製品の開発、窒化珪素セラミックスの開発、新規高機能ガス分離膜の開発、CMC(Ceramic Matrix Composites)向け次世代炭化ケイ素繊維の開発、航空宇宙材料(熱制御フィルム、チラノ繊維など)の開発、C1ケミカル及び二価フェノール誘導品の開発、環境型コーティング材料(水系ポリウレタンディスパージョン等)の開発等を行っています。
医薬事業分野では、製薬会社などとの共同研究開発や独自に進めている創薬研究開発による新規医薬品の創製、受託医薬品原体の製造プロセスの開発などを行なっております。主な成果としては、第一三共㈱と共同開発した抗血小板剤「エフィエント®錠3.75mg」 「エフィエント®錠2.5mg」の国内における効能又は効果、用法及び用量追加に係る一部変更承認を取得したことがあげられます。
新規事業の創出に向け、建築インフラ、CO2・廃プラ利活用、エネルギーマネジメント、ネイチャーサステナビリティ、ライフサイエンスの5領域に焦点を当て研究開発を行いました。その中で環境を意識した研究としては、CO2電解技術、廃プラスチックリサイクル技術、高熱伝導性材料などの研究開発を行っております。
当セグメントに係る研究開発費は
建設資材
セメント・コンクリート及び建材関連分野では、セメント工場での廃棄物・副産物の継続的な利用拡大に向けた研究開発、生コン会社や二次製品会社からのニーズに対応した商品の開発や技術サービス、セルフレベリング材・リニューアル・防水材関連商品の開発、環境資材等の新規事業分野の研究開発、そのほかカルシウム及びマグネシウムの基礎材料を元とした複合系材料の研究開発などに取り組んでおります。主な成果としては、通常の10倍の耐硫酸性を有するコンクリートの開発および実用化で、一般財団法人エンジニアリング協会エンジニアリング奨励特別賞、公益社団法人土木学会インフラメンテナンスチャレンジ賞の受賞などがあげられます。
エネルギー事業分野では、当社燃料コストと環境コストの持続的低減と、「環境に配慮したエネルギー事業」の実現に貢献することを目指し、低品位燃料の利用拡大、低環境負荷燃料(低CO2負荷燃料)の利用拡大、省エネ・低CO2負荷プロセス構築の3つの視点から、廃棄物の利活用拡大に加え、再生可能エネルギーの利用拡大に向け新規バイオマス燃料の製造及び利用技術の開発などに取り組んでおります。
当セグメントに係る研究開発費は
機械
機械分野の研究開発は連結子会社の宇部興産機械㈱(現・UBEマシナリー㈱)で行っております。
ダイカスト・押出プレス事業では自動車ボディ・シャシー系の大型部品を製造するためのアルミダイカストプロセスの開発を、射出成形事業では北米仕様に特化した大型2枚プラテン機の開発を行っています。産機事業では基盤技術である乾燥・焙焼・粉砕技術や事業移管を受けた化学機器の技術を活かして、脱炭素社会のニーズを実現する開発に取り組んでおります。
当セグメントに係る研究開発費は
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