当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、研究開発部門、商品開発部門それぞれの独自活動に加え、部門間での連携により、新事業の芽を次の成長エンジンに育て上げ、新たな収益の柱となる事業の構築を目指し推進しております。
また、生産部門、販売部門と連携したプロジェクト活動やグループ会社との協業により、お客様のニーズに応える魅力ある製品づくりの推進、並びに海洋プラスチック問題や脱炭素といった社会問題およびSDGsに対応するため、環境対応の基本原則である3R+Renewableのうち、リデュース、リサイクル、バイオマスプラスチック、生分解性樹脂を重点に開発を進め、持続可能な社会に対して貢献できる技術・製品の開発にも取り組んでおります。
なお、当連結会計年度に支出した研究開発費は基礎研究に係るもので、総額
建築資材事業セグメント
住設建材事業の採光建材分野では、防災・減災に寄与する防煙垂れ壁“ダンスモーク”の不燃シートの透明性の向上と現場での施工性の改善に注力しました。畜産資材向けには、屋根用途向けに加え、新たに壁・天井向けに塩化ビニル樹脂とEPSを複合した“角ダン波”の開発を進めました。ポリカーボネート樹脂製大型複層パネル“ルメカーボ”において、更に断熱気密性能を向上させた断熱アルミ部材の開発を行いました。また、サイネージ分野を主とする当社グループ会社の三和サインワークス株式会社では新たに開発したポールサインの炭素繊維による補強工法「SAN-SPEC工法」と建設残土の少ない新工法「GGS工法」の拡販に注力しました。
床・建装事業の床材分野では、防滑・防汚性能をそのままに、インレイド構造を継承した高意匠木目調床材に縦木目2柄を追加、石目調3柄を開発し販売を開始しました。建装資材分野では、粘着剤付化粧フィルム“ベルビアン”において、高意匠木目柄WRシリーズ新柄64品番を追加、また、長期屋外使用の実績と高機能性が特長のEXにも石目・金属など13品番を追加し、新サンプルブック(2021-2022)とともに販売を開始しました。また、建装資材のもう一つのカテゴリーである家具表面材“ボンレックス”については、リサイクルペットボトルを主原料としたラインナップを増やし、環境配慮型製品の拡大に貢献いたしました。防災資材分野では、止水板“フラットセーフライト・パネル”シリーズに、新たに“フラットセーフボックス”を開発いたしました。簡易設置性に重点を置きながらも、優れた止水性を発揮する製品として今後の拡大が期待されます。
以上の製品群は2022年順次発売を計画しており、各々の社会課題の解決に繋げてまいります。
建築資材事業部門においては、引き続き、安全・安心・且つ環境配慮型製品の拡充を、重点課題として捉え、マーケットニーズに対応した商品開発を進めてまいります。
環境資材事業セグメント
アグリ分野では、グループ会社と連携した開発体制をスタートさせ、グループが保有する製造技術や販売網を活かした新製品の開発を目指しております。主力商品である農業用被覆資材については、使用後の廃棄量削減につながる環境配慮型製品の開発が進んでおります。また、前年度から被覆資材の加工場で発生する廃プラスチックを自社の配送ルートで回収して再利用するシステムを試験的ではありますが運用開始いたしました。今後も環境への対応は最重要課題ととらえ、製品設計の段階で販売後の流通から末端ユーザーの使用後まで含めた環境負荷低減を目指し、持続可能な社会に向けた開発を行ってまいります。
インフラマテリアル分野では、両面太陽光パネルの発電効率アップに寄与する光反射シート“マルチライニング”の開発に重点的に取り組みました。また、昨年発足したタキロンシーアイシビル株式会社とともに、既存事業領域(道路、トンネル、処分場、上下水道)では、防水・導水・更生部材の応用開発を、新規事業領域(環境分野、リニューアル、防災・減災)では新たな新商品開発に取り組んでおります。また、今後は循環社会に適応できる環境配慮型製品の開発にも積極的に取り組んでまいります。
高機能材事業セグメント
塩ビプレートは、レーザー加工装置用カバーとしてご好評いただいているレーザー遮蔽プレート“タキシャロン”の販路を拡大するため、中国国内での要求仕様にフォーカスした製品設計を完了、試験販売の準備を整えてまいりました。また、クリーンルームパーテションとしてご好評いただいている“制電プレートESND”は、制電性能改善要望に対応した商品を上市いたしました。2022年度より、国内、海外ともに既存品からの切替を進めてまいります。
ポリカーボネートプレートは、試験販売を実施しておりました新型コロナウイルス感染防止対策向け透明プレートに抗菌機能を付与した商品を正式に上市完了し、拡販を進めてまいります。
切削用材料は、スーパーエンプラのPPSから汎用素材のPP、PEまでを取り揃え、独自の技術によって低歪で高品質な商品として継続的に拡充してまいります。
マイクロモータは、電子錠、ポンプ、防護マスク、自転車用途へと多種多様なニーズにマッチした商品を市場に提供するとともに、ギアなど周辺部材の開発、拡充を進めることにより事業領域の拡大を図ってまいります。
さらに、社会課題解決への取り組みとして事業部内に「エコプラプロジェクト」を発足させ、環境に配慮した原材料情報の調査およびプレート製品の企画検討や既存製品を循環利用するためのスキーム検討などを継続して進めてまいります。
機能フィルム事業セグメント
2022年4月からプラスチック資源循環促進法が施行され、ブランドオーナー、コンバーターからは、更に地球環境保護の要望が高まっています。熱収縮フィルム、ジッパーを通じて、その要望に応えるべく、リサイクルし易いように設計した製品、「カーボンニュートラル」を特徴とするバイオマス原料を使用した製品、プラスチックごみによる環境汚染に配慮した生分解性プラスチックを使用した製品、そしてリサイクル可能な原料を使用した製品を開発し、環境に調和した循環型社会の実現に向けた製品を販売してまいります。
具体的には、熱収縮フィルム分野で、PS系熱収縮フィルムでは業界初となるバイオマス成分を含有し「バイオマスマーク」を取得した“BP10”を、PET系熱収縮フィルムでは米国連結子会社Bonset America Corporationから、リサイクル性が優れた点で米国リサイクル協議会「The Association of Plastic Recyclers」から認定を受けた“BonpetRenew”を販売・展開しております。
ジッパー分野では、セルロースコンパウンドを51%含む“紙製ジッパー”の開発に成功し販売の準備を進めております。また、パウチそのものを単一素材で作りリサイクルする指向に基づいた「モノマテリアル」に最適なジッパー開発も進んでおり、近々欧州、北米への販売を開始する予定です。
機能性製品としては、“幼児誤飲防止用ジッパー(チャイルドレジスタンスジッパー)”の発売を予定しています。幼児が開封しくい構造になっており、薬品、化学物質等の誤飲抑止の機能がついた製品です。
当ジッパーを使用したパウチは、チャイルドレジスタンス機能の認証(FDA1700.20、ISO83217)を取得しております。
今後も独自性のある機能性製品の開発を進めてまいります。
全社(共通)
研究開発部門は、未来の変化・需要を見据えて、グループ全体のコア・テクノロジーを活かした技術開発を進め、さらにはオープンイノベーションや外部専門家の活用など研究開発費を積極的に投入、且つ外部企業や大学・研究機関との交流やDXの活用を行うことで開発のスピードアップを図ります。
また、高度な配合設計技術、形状(意匠)設計技術、性能・分析評価技術、設備設計技術、成形加工技術を活用して、独自性・優位性のある素材の開発、高付加価値な機能性フィルム・シートの開発、施工技術・新工法の開発、新しい機能を生み出せるプロセスの構築などに注力し、次世代を担う新製品・新事業を創り出すことにチャレンジし、実現いたします。
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