当社グループは、時代を拓く優れた技術と製品の開発を通して社会に貢献することを企業理念とし、日立創業の精神である「開拓者精神」「誠」「和」を大切にしていく価値と定め、未知の領域に踏み出すチャレンジ精神をもって、化学を超えた新たな価値を創造し、社会やお客様の期待を超える「驚き」を実現する。
当社グループは、化学を超えた広範な領域において研究を深化させ、当社グループの高度で幅広い基盤技術、すなわち「材料技術」「プロセス技術」「評価技術」を強化する。これらを基に多様な市場の全てのバリューチェーンにおいてイノベーションを実現し、社会に新たな価値を提供することにより、適切な利益を獲得して事業の持続的成長を達成するとともに、ステークホルダーと協働することを通じ、企業価値の最大化を図る。
(事業展開する領域)
当社グループは、グローバルな成長市場において当社グループの基盤技術を最大限に生かせる事業領域に機動的に経営資源を投入し、高付加価値事業を展開するとともに、成長性及び収益性の低い事業については市場・事業環境を早急に見極め、再生もしくは撤退を行うことにより、成長性と収益性の高い事業ポートフォリオを構築する。
(事業運営上の行動指針)
当社グループは、社会やお客様の期待を超える「驚き」を実現するため、ニーズの探索から、研究、開発、生産、営業に至るまでの全ての活動において、以下の行動指針、すなわち、「ニーズを見出す力を持つ」「未来のシナリオを描く」「次のコア技術を生み出す」「グローバルで選ばれる企業になる」「共創しあえるワークスタイルをつくる」ことに挑戦する。
(ステークホルダーへの責任の履行)
当社グループは、お客様、株主、従業員をはじめとするステークホルダーへの責任を履行するため、双方向でのコミュニケーションを重視し相互の理解を深めるほか、事業活動を通じ環境問題をはじめとする社会課題の解決に寄与するとともに、社会の一員として社会貢献活動に積極的かつ継続的に取り組む。また、国籍・性別・人種等を問わず、平等かつ公正に従業員が活躍できる機会を提供するとともに、従業員及び職場の安全を確保できる環境整備に取り組む。
(中期経営計画と年度予算)
当社グループは、10年先のめざす姿を見据えて3ヵ年ごとに中期経営計画を策定し中長期的な視野に立った経営を実践する一方、毎年、中期経営計画の達成に向けた予算を編成、実行することにより、持続的な成長の実現に取り組む。
当社は、株主をはじめとするあらゆるステークホルダーの利益に資する経営を実践する。
業務執行機能と監督機能とを分離した「指名委員会等設置会社」の経験を生かし、機動的な業務執行、専門性の高い意思決定とともに、監督機能の発揮を可能とする体制を今後も追求する。
なお、当社は、2020年6月23日をもって監査役設置会社に移行し、引き続きコーポレートガバナンスの確立を追求することとしている。
当社グループは、全ての役員・従業員の判断の拠り所や取るべき行動を「日立化成グループ行動規範」に定め、企業が社会の一員であるという深い認識のもと、「基本と正道」を旨とし、「日立化成コンプライアンス5則」に則った、企業倫理と法令遵守に根ざした事業活動に徹するとともにその確実な実行のための組織体制を構築する。
当社グループの製品・サービスについては社会の発展に大きく貢献していることを認識し、最終顧客まで意識した品質保証責任の自覚を持つ。また、お客様との健全な関係性を維持し、適切な仕様等の取り決めとその遵守に努める。さらに環境との調和を図り、社会貢献活動を継続することにより、良識ある企業市民として真に豊かな社会の実現に尽力する。
当社グループは、昭和電工(株)を親会社として、経営情報の交換、研究開発、製品の供給等の事業活動において、昭和電工グループ各社との協力関係を発展させ、将来の統合を視野に、グローバルトップクラスの高機能材料メーカーを共にめざす。
なお、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況 (1)親会社」に記載のとおり、2020年4月28日をもって当社の親会社は(株)日立製作所から昭和電工(株)及びHCホールディングス(株)に異動している。
当社グループは、2021年度を最終年度とする中期経営計画において、調整後営業利益率 10%以上、ROIC 13%以上を目標値としている。調整後営業利益率は、「売上収益」から「売上原価」並びに「販売費及び一般管理費」の額を減算して得られた金額の「売上収益」に対する比率をいう。
今後の経済見通しについては、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への影響が懸念され、先行きは不透明な状況にあるが、当社グループでは、5G、CASE(Connectivity、Autonomous、Shared&Service、Electric)、再生医療等の新たな技術革新を成長の機会と捉え、これらの事業・新製品に限りある経営資源を迅速かつ的確に投入することにより、より早期に「高収益基盤の確立」を実現させる方針である。また、お客さまや社会に信頼される会社になるために、「グローバルでのガバナンスの強化」に取り組んでいく。さらに、当社グループは、昭和電工(株)をパートナー企業として選定し、同社の完全子会社であるHCホールディングス(株)が2020年3月24日より実施した当社の普通株式に対する公開買付けの結果、同年4月28日付で同社の子会社となった。今後、経営統合を迅速に進め、当社事業領域より上流の領域で強みを持つ同社が有する材料技術そのものの強化、分子構造にまで遡った素材の設計力と、当社グループが保有する材料・プロセス・評価技術との融合により、「ワンストップ型先端材料パートナー」としてお客さまや社会が抱える課題に対してソリューションを生み出す「世界トップレベルの機能性化学メーカー」をめざしていく。
① 高収益基盤の確立
イ.経営資源の優先投入
当社の幅広い技術プラットフォームを生かした独自に有する技術や、グローバルトップシェアが獲得でき社会的にも大きなインパクトが見込める事業・新製品を指定し、経営資源を優先的に投入することで、当該注力領域で市場の成長を超える成長をめざす。
ロ.クラスター戦略の拡大
半導体実装材料に関する総合的なソリューションを提供するコンソーシアム「JOINT」を最大限活用し、当社グループと参画企業の「知」を結集しながら、ここでしか実現できない画期的な半導体実装材料とプロセス技術を確立していく。また、クラスター戦略のコンセプトを他の事業・製品にも展開し、当社グループの材料・プロセス・評価技術などを融合したソリューションをCASEなどの今後の産業の方向性に即して提供する仕組みを構築していく。
ハ.総コスト低減活動の推進
材料費、外注加工費、間接費等を対象とする総コスト削減及び販売価格設定の見直しを進めるプロジェクトを発足し、ゼロベースで収益構造の見直しを推進する。従来から推進している営業・開発・製造部門における不良等に起因するロスコスト削減対策の徹底と低収益製品対策の完遂とともに、すべての部門におけるコスト構造の棚卸・見直しを推進していく。
② グローバルでのガバナンスの強化
イ.コンプライアンス体制の再構築
不適切な検査等と同様の事案を二度と繰り返さないために、不正を起こさないための全社的な意識改革、事業部門から独立した品質保証体制による管理の厳格化、人の手を介さない検査システムの構築など、再発防止策を徹底するとともに、海外グループ会社を含めたグローバルでの品質保証体制の強化に取り組んでいく。
ロ.グループガバナンスの強化
コンプライアンス・リスクの低減を図るため、 M&A等により増加したグループ会社数の削減を推進し、海外の各地域内の監査体制の構築・強化やレポーティングラインの明確化を通じて、地域毎にグループ会社が自律的にリスク管理を行う体制を整備していく。
③ サステナビリティへの取り組み
当社グループは、持続可能な世界を実現するための国際社会全体の開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)の達成に貢献していく。特に、モノづくりの全プロセスにおいてCO2排出量削減のための対策を徹底するほか、競争力強化の観点から多様性を確保するため、経営層における女性及び外国籍の人材の比率を高めていく。
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