事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、当社グループの事業上のリスク全てを網羅するものではありません。

 

(1) リスクマネジメント体制

当社グループでは、「危機管理方針」を制定し、事業の継続を危うくする重大な危機に対して、事前に予測・予防措置を実行し、万一発生した場合には被害を最小限に抑え、再発防止措置をとることで、危機を適切に管理し、事業の継続・安定的発展を確保できるよう努めております。
 損失の危険の全社的な管理や対応については「リスク管理規則」に基づき、総務担当部署が総括的に担当し、全社的なリスク管理体制の構築、規則類の整備、運用状況の確認、情報の適切な伝達等および全社総括部署として必要な措置を講じております。
 個々の損失(品質、財務等)の危険については「リスク管理規則」に基づき、当該危険の存在する各担当部署が、リスク管理体制整備、運用状況の確認等、必要な措置を講じております。
 また、大規模災害等、当社グループに対する危機が生じた場合には、「緊急時対応規則」に基づき速やかに緊急対策本部を設置し、「事業継続計画(BCP)」に沿って損失の極小化および復旧に向けた対応を行うこととしております。

 

(2) 認識している重要なリスク

当社グループでは、(1)リスクマネジメント体制のもと、全社的なリスクのアセスメントを実施し、事業や社会環境の変化に合わせて定期的にリスクの確認や見直しを行っております。その結果、以下の重要なリスクを認識しており、リスク低減のための取り組みを実施しております。

また、リスクの洗い出しに際して、リスクを戦略リスクとオペレーショナルリスクに分類しており、それぞれ以下のように定義しております。

〇戦略リスク

事業戦略および戦略目標に影響を与える、またはそれらよって生じるリスク

△オペレーショナルリスク

戦略遂行に影響を及ぼす主要なリスクまたは事象発生することから当社グループに生じる損失に係るリスク

 

 


 

 

①新型コロナウイルス感染症等の異常事態リスク        発生可能性:高  影響度:特大

                              発生する可能性のある時期:現在

概要

新型コロナウイルス感染拡大などのパンデミックが想定を超える規模で発生し、社会・経済活動が大幅に制限された場合、当社グループ製品・サービスの消費が大幅に抑制される状況となる可能性があります。また、当社グループの事業拠点運営が困難になったり、原材料調達等のサプライチェーンに支障をきたす状況になった場合においても、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるインバウンド消費の低下をはじめ、スポーツ、イベント等の制限、各種店舗の営業時間短縮などにより、当連結会計年度の業績に影響を受けておりますが、当該感染症の収束時期は未だ予測することが出来ない状況にあるため、将来の当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

対応

当社グループでは、複数の事業拠点・物流拠点等を設置し事業運営を行い、「事業継続計画(BCP)」および「緊急時対応規則」を整備するとともに、緊急時には従業員の安全を優先したテレワークや時差出勤等の勤務体制の推進や、Web会議システム活用による集合会議や出張・直接面談の抑制を推進できるよう異常事態に備えております。

また、このような状況においても、増収・増益を確保するために、中期経営計画の取り組みに注力してまいります。

 

 

②原材料価格の変動リスク                  発生可能性:中  影響度:大 

                              発生する可能性のある時期:現在

概要

当社グループの製品は、プラスチックフィルム等石油を原料とするものや、紙やセロハン、天然ゴム等市況の影響を受ける原材料が多いため、自然災害や地政学的リスク等を起因とした市場動向の変化による価格高騰の影響を受けます。当該原材料の高騰について、仕入先との交渉や代替可能な原材料等によって対応できない場合には、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

対応

原材料価格の高騰等に関するリスクを低減するために、原材料の複数社購買、原材料の市場動向等の情報収集、適正在庫の確保および生産性向上による原価低減等の様々な対応策を実施しております。また、このような対応策を実施したうえでの原材料価格の高騰に対しては、製品価格への適正な転嫁を図ってまいります。

 

 

③市場動向、需要変化に関するリスク             発生可能性:中  影響度:中

                                                            発生する可能性のある時期:特定時期なし

概要

当社グループの製品・商品は、医薬品業界向けの絆創膏等、産業用粘着テープ業界およびオフィス・ホーム業界向けの粘着テープ等であり、当社グループの販売先は、販売代理店となり、小売店等を通じて最終消費者に販売されることとなります。
そのため、これらの製品・商品の主要市場におけるサステナビリティの取り組みや働き方改革に伴う消費者需要の変化は、小売店等の販売政策に影響するとともに、販売代理店を通じ、当社グループの販売高にも影響し、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、次のような特殊性があります。季節性のある製品・商品の入れ替え時等の小売店等の製品ラインナップの変更時に、小売店等から販売代理店を通じ、当社グループの製品・商品の返品を受け入れる商習慣があります。また、当社グループ製品の販売後に販売代理店に対して売上値引を行う商習慣があります。そのため、当該返品が多額に発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 

対応

当社グループは、サステナビリティへの積極的な取り組みを進め、販売代理店や小売店等からの販売データ等を活用し、製品の主要市場における動向およびそれに伴う消費者需要の変化を即座に把握し、開発、生産計画、販売政策に適宜反映させ、廃棄・返品のリスクを最小限にとどめる取り組みを推進しております。また、将来の返品に伴う損失に備えるため、返品されると見込まれる商品及び製品については、変動対価に関する定めに従って、販売時に収益を認識せず、当該商品及び製品について受け取ったまたは受け取る対価の額で返金負債を計上することとしております。さらに、当社グループ製品の販売後に発生が見込まれる販売代理店に対する売上値引に備えるため、値引が見込まれる商品及び製品については、変動対価に関する定めに従って、販売時に収益を認識せず、取引対価の変動部分の額を見積り、認識した収益の著しい減額が発生しない可能性が高い部分に限り取引価格に含めることとしております。

 

 

④価格競争のリスク                     発生可能性:低  影響度:小

                              発生する可能性のある時期:特定時期なし

概要

当社グループの属する市場において、市場縮小や新規参入等により企業間の競争が激化し、販売価格が下落した場合、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

対応

価格競争に陥るリスクを低減するために、独自の高い技術力と確かな品質を軸に、地球環境に配慮した高機能・高付加価値製品をタイムリーに提供することにより、ブランド力の強化と他企業との差別化を常に図っております。

 

 

 

⑤災害事故の発生リスク                   発生可能性:高  影響度:特大

                               発生する可能性のある時期:特定時期なし

概要

当社グループは、地震・洪水等の天災や火災・爆発による不測の事故により、製造設備や物流拠点等が大きな損害を受けた場合、業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

対応

本社・工場等の事業所において「緊急時対応規則」に基づき、災害事故等発生時における緊急対策本部の設置訓練や、各種保全活動など、社内体制の整備を行うとともに「事業継続計画(BCP)」への対応についても積極的に推進しております。

 

 

⑥情報管理に関するリスク                                  発生可能性:中  影響度:特大

                                                            発生する可能性のある時期:特定時期なし

概要

当社グループは、個人情報の他、多くの重要情報を保有しております。これらの情報はサイバー攻撃やシステム障害、災害等により、情報の漏洩等が発生し、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

対応

これらの情報の取り扱いについては、「ITセキュリティ方針」および「個人情報保護方針」に基づき、情報資産を犯罪・事故・災害等の脅威から守り、お客様および社会の信頼に応えるべく、従業員に対し情報管理の重要性を継続的に教育するとともに、システム上のセキュリティ対策を行っております。

 

 

⑦製品の品質に関するリスク                                発生可能性:中  影響度:大

                                                            発生する可能性のある時期:特定時期なし

概要

予期せぬ事態により重大な品質上の問題が発生し、当該製品や当社グループの製品全体に対する評価が低下した場合、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

対応

当社グループでは、製品の品質を保持すべく、企業理念に基づく「品質方針」を策定し、品質マネジメントシステムへの取り組みを中心とした管理のもと、医薬品・医療機器、産業資材、文具・事務用品業界向けの製品の企画、製造・仕入、販売を行っております。

 

 

⑧退職給付債務に関するリスク                発生可能性:中  影響度:中

                              発生する可能性のある時期:特定時期なし

概要

当社グループにおける年金資産運用において、市場金利の低下および運用環境の変化による運用利回りの悪化により、業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

対応

年金資産の運用目標を達成する上で、運用利回りのリスクを最小化するように、投資対象の種類等について分散投資に努めております。

 

 

⑨企業の社会的責任に関するリスク              発生可能性:低  影響度:中

                              発生する可能性のある時期:特定時期なし

概要

ステークホルダーからのESGを重視した経営やSDGsへの関心は年々高まっており、サステナブルな社会実現への取り組みが、今後ますます重要となります。 当社グループが、これらの状況に適切に対応できない場合には、社会的評価の低下等により、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

対応

当社グループでは、企業理念に基づく「ニチバングループのサステナビリティの考え方」を制定し、「ニチバングループの倫理」「品質方針」「環境方針」などの基本的方針に展開し、さまざまな事業活動を通じて企業の社会的責任を果たしていくよう取り組んでおります。

具体的には、環境面ではISO14001を中心とした活動を堅実に遂行するとともに、「グリーン調達ガイドライン」の遵守を徹底してまいります。また、溶剤使用の問題はテープ製品を扱う当社グループが担うべき課題と捉え、技術革新に挑戦しながら脱溶剤を目指してまいります。天然素材である「セロテープ」の積極的販売を通して環境問題のさまざまな取り組みを行ってまいります。

社会面では、メーカーとして「お客様にとっての『良いもの』を届ける」ことを基本に、女性活躍やワークライフバランスなど、社員が長く安心して働ける職場環境を整備してまいります。さらに環境保全活動である「巻心ECOプロジェクト」やスポーツメディカル分野へのサポートなど、事業活動と密接に関連した社会貢献を推進いたします。

 

 

 

 

(3)気候変動に関するリスク

当社グループは、「サステナビリティの考え方」においてマテリアリティ(重要課題)を定め、「気候変動・温暖化対策」を最も優先度の高い項目として掲げております。(2)認識している重要なリスクとは別に、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言において開示が推奨されている、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの内容について検討を行い、以下の通りリスクの認識をしております。

 

①炭素税の導入によるリスク                 発生可能性:中  影響度:中

                              発生する可能性のある時期:特定時期なし

概要

排出量原単位の高いSFC認証紙や樹脂、ゴムなどの原材料や副資材コストへの価格転嫁、炭素税の支払いにより、コストが上昇し利益が圧迫され、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

対応

調達条件や調達先の見直し等の調達機能強化による調達コストの削減と価格転嫁の実施、生産拠点再編や新工法の導入等によるエネルギー使用量削減により、生産、調達コストの軽減を図っております。

 

 

②GHG排出規制を含む各種規制の強化によるリスク        発生可能性:中  影響度:中

                              発生する可能性のある時期:特定時期なし

概要

証書等環境価値購入による操業コストの増加や脱炭素(CO2排出目標達成)へ向けた新たな設備投資や生産拠点再編にともなう設備更新コストの増加により、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

対応

環境価値の価格交渉や調達先多様化を通じた購入コストの削減、CO2排出量や環境負荷の総合的判断基準導入によるコストの抑制、長期的な投資計画にもとづく設備投資等の平準化により、利益の確保を図っております。

 

 

③投資家のESG重視姿勢の高まりによるリスク          発生可能性:中  影響度:大

                                                            発生する可能性のある時期:特定時期なし

概要

気候変動などへの取り組みの情報開示の遅延により、投資家評価の低下を招き、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

対応

適切な気候変動への取り組みと情報の開示を継続しております。

 

 

④気候変動による天然資源由来原料の生産高減少のリスク    発生可能性:中  影響度:大

                              発生する可能性のある時期:特定時期なし

概要

生産に必要な資材の調達が困難になることでの生産停止になり、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

対応

原材料調達先の多様化によりリスクの分散を図っております。

 

 

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