(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、新型コロナウイルスのワクチン接種が欧米諸国を中心に進み、各国の経済政策や金融緩和も相まって経済活動の回復が進みました。それによる需要の高まりによって原油をはじめ天然ガス、木材、鉄鋼などの原材料価格が高騰しました。加えて2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻とG7諸国の対ロシア経済制裁により原油や天然ガス、鉱物資源、穀物等の価格のさらなる高騰を招き、世界経済全体に大きな影を落としております。
わが国製造業においては、国内外の設備投資需要の高まりで順調に回復しておりましたが、2022年初からのアメリカの利上げによる円安の進行とエネルギー価格の高騰が企業収益を圧迫しつつあります。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業について、映像機器分野は、デジタルカメラ市場において、レンズ交換式タイプは、ミラーレス機種については伸びが見られましたが、全体的には前年同期並みとなりました。当社においては、ミラーレス機種や人気機種の好調に支えられ、前年同期比で大幅に増加いたしました。
OA機器分野は、世界経済の回復により、期間を通して、既存の量産品が微増いたしました。
産業機器分野は、中国での好調な設備投資や産業用プリンター等の需要の伸びを背景に前年同期比で大幅に増加いたしました。
レジャー分野は、特に海外のアウトドア需要の好調もあり、前年同期比で大幅に増加いたしました。
一方、「新規開拓に向けた営業力の強化」については、Web会議での打ち合わせを活用しながら、訪問可能な顧客も増加しつつあり、前年同期比で回復しておりますが、新型コロナウイルスのオミクロン株による感染拡大もあり、新規顧客開拓や新規商品開拓活動は苦戦いたしました。
パルスインジェクター®(以下、PIJという)は、大学や顧客企業の研究開発活動が本格的に回復し、Web会議が中心となりましたが、大学研究室及び各企業の研究・開発部門へ積極的にアプローチを行った結果、前年同期比で大幅に増加いたしました。
マクロ・テクノロジー関連事業は、樹脂成形材料、樹脂成形品はともに景気動向の影響を受けにくいものの、一部顧客への販売減少に加えて、原料メーカーの事故による供給不足の影響により売上高は減少いたしました。
高耐熱性・高熱伝導性・低温硬化などの固形封止材「エポクラスター®クーリエ」をはじめとする固形封止材につきましては、引き続き半導体デバイスメーカーや産業機器メーカー等へサンプル供給しながら事業を展開・推進しております。
以上の結果、当事業年度の全社の業績は売上高905百万円(前年同期比23.0%増)、売上総利益383百万円(前年同期比32.3%増)、営業利益100百万円(前年同期比191.9%増)、経常利益102百万円(前年同期比174.2%増)、当期純利益114百万円(前年同期比262.9%増)となりました。
なお、営業利益、経常利益、当期純利益とも10年ぶりに過去最高益を更新いたしました。
当事業年度のセグメントの業績は次のとおりであります。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料及び機能性精密成形品並びにPIJ関連製品の当事業年度の売上高は746百万円(前年同期比36.3%増)、セグメント利益は344百万円(前年同期比38.4%増)となりました。
マクロ・テクノロジー関連事業
マクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料、樹脂成形碍子及び金型・部品の当事業年度の売上高は158百万円(前年同期比14.1%減)、セグメント利益は38百万円(前年同期比0.3%増)となりました。
その他事業
その他の事業につきましては、医療薬品容器の異物検査事業などにより、当事業年度の売上高は1百万円(前年同期比75.2%減)、セグメント利益は0百万円(前年同期比82.8%減)となりました。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ75百万円増加し、当事業年度末には316百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益102百万円に減価償却費27百万円、仕入債務の増加22百万円、売上債権の減少19百万円、棚卸資産の減少14百万円等を加減した結果、120百万円の収入となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出により、43百万円の支出となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動によるキャッシュ・フローはリース債務の返済による支出により、2百万円の支出となりました。
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は905百万円(前年同期は736百万円)となりました。ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業において、映像機器分野は、デジタルカメラ市場において、レンズ交換式タイプは、ミラーレス機種については伸びが見られましたが、全体的には前年同期並みとなりました。当社においては、ミラーレス機種や人気機種の好調に支えられ、前年同期比で大幅に増加いたしました。
OA機器分野は、世界経済の回復により、期間を通して、既存の量産品が微増いたしました。
産業機器分野は、中国での好調な設備投資や産業用プリンター等の需要の伸びを背景に前年同期比で大幅に増加いたしました。
レジャー分野は、特に海外のアウトドア需要の好調もあり、前年同期比で大幅に増加いたしました。
(売上総利益)
当事業年度における売上総利益は383百万円(前年同期は289百万円)となりました。これは主に、売上高の増加と個別製品の原価低減の推進によるものです。
(営業利益)
当事業年度における営業利益は100百万円(前年同期は34百万円)となりました。これは主に、売上高の増加と個別製品の原価低減の推進によるものです。
(経常利益)
当事業年度における経常利益は102百万円(前年同期は37百万円)となりました。営業外収益は2百万円(前年同期は4百万円)、営業外費用は1百万円(前年同期は1百万円)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は114百万円(前年同期は31百万円)となりました。これは繰延税金資産計上による法人税等調整額30百万円の計上によるものです。
財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の資産は、前事業年度より164百万円増加し、1,635百万円となりました。
これは、主に現金及び預金の増加75百万円と繰延税金資産の増加30百万円によるものです。
(負債)
負債合計は、前事業年度より49百万円増加し、201百万円となりました。これは、主に買掛金の増加22百万円、未払法人税等の増加16百万円によるものです。
純資産は、前事業年度より114百万円増加し、1,434百万円となりました。
これは、当期純利益114百万円の計上によるものです。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社の運転資金需要のうち、主なものは製品の製造にかかる原材料の購入、金型及びその労務費、販売並びに一般管理、研究開発の労務費や経費などの販売費及び一般管理費です。
また、成形機をはじめとする生産設備の更新、増強による設備投資、情報システムの更新のための資金需要が生じております。
(財務政策)
当社の運転資金につきましては、現在、借り入れを行うことなく、内部資金(現金及び預金)にて調達しております。なお、2022年3月期の資産における流動比率は646.3%となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。健全な財務報告を行うためには、財務諸表の作成にあたって収益・費用又は資産・負債の状況に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りは、過去の実績やその時点において入手可能な情報及び合理的であると判断した一定の前提に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため実際の結果とは異なることがあります。
当社の財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりですが、見積りによって重要な影響を受ける可能性がある会計方針は、貸倒引当金、賞与引当金、繰延税金資産、固定資産の減損評価であり、その金額は過去の実績や将来予測に基づく一定のルールや内規に基づいて合理的に決定しております。繰延税金資産については毎期慎重に回収可能性を判断し、将来の事業年度において回収が見込まれない税金の額は、繰延税金資産から控除しております。なお、貸倒引当金は貸倒実績及び貸倒懸念債権等の回収不能見込額がないため計上しておりません。
また、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もあります。したがって、期末時点で入手可能な情報を基に会計上の見積りを実施しております。
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