文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
① 新規開拓に向けた営業力の強化
機能性精密成形品で培った強み・特徴を活かし、これまでの産業機器、レジャーに加えて、
ロボット、センサ、通信、医療などの他市場・他分野へ新規顧客開拓のためのアプローチを強化する。
② 環境への対応と未来への商品開発
環境方針、管理体制、規程類を整備し、環境に関わる全社的な体制づくりを行うとともに、
「未来への商品開発」を推進し、成果を出す。
(世界的な環境意識の加速に対応するため、2023年3月期に変更しました。)
③ 生産力の強化と人材育成
個別製品の原価低減に取り組むとともに、検査機やロボット等の導入による自動化と効率化を
さらに進める。
会社と社員の成長、成果の配分を徹底する。
(2)経営環境
わが国の経済の先行きにつきましては、ロシアによるウクライナ侵攻とG7諸国の対ロシア経済制裁、アメリカの利上げによる円安の進行により、原油や天然ガスなどエネルギー価格の上昇とそれに伴う電力費の高騰が懸念されます。
また、新型コロナウイルスの世界的な感染の再拡大も予断を許さない状況です。
しかしながら、当社のマイクロ・テクノロジー事業は比較的堅調に推移するものと予想しております。
これに伴い、当社は設備の更新や生産工程の自動化、老朽設備の更新をさらに進めていき、生産性の向上と生産力の増強をしていくことを計画しております。
当社のセグメントごとの経営環境の認識は以下のとおりであります。
<ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業>
映像機器分野は、前期好調に推移したミラーレス機器や人気機種の反動もあり、売上高はやや減少で推移するものと思われます。
OA機器分野は、更新金型及び既存の量産品が引き続き順調に推移するものと思われます。
産業機器分野は、前期大幅に伸びた産業用プリンター等の需要の一服が予想され、前年並みに推移するものと思われます。
レジャー分野は、売上高はやや減少で推移するものと思われます。
また、引き続き新規(分野)の開拓や既存顧客の深堀営業を積極的に推進することにより、売上拡大につながると考えております。
<マクロ・テクノロジー関連事業>
機能性樹脂複合材料、樹脂成形碍子ともに景気動向の影響は受けにくいものの、ライフラインを支えるインフラ設備に使用される製品であるため、定期的な入替需要のほか、電線の地中化や高圧受配電盤の樹脂絶縁部品などが見込まれます。また前期に発生した原料メーカーの事故による供給不足の影響はなくなりますが、引き続き一部顧客への販売減少が見込まれることから、売上高は、微増になるものと思われます。
(3)対処すべき課題
中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の第1年度の取組
当社は、2022年3月期から2024年3月期(第31期~第33期)の3年間における経営方針として「当社の強みをお客様の付加価値に繋げる!」をスローガンに、
① 新規開拓に向けた営業力の強化
② 顧客提案力の向上と未来への商品開発
③ 生産力の強化と人材育成
を行い、当社の強みをお客様の付加価値向上と当社の利益向上に繋げていく施策を継続的に推進してまいりました。その中で、売上高を、3年後(2024年3月期)に10億円超を目標とする中期経営計画を昨年5月に発表いたしました。
当社は、同計画の初年度である2022年3月期において、コロナ禍での厳しい売上状況が引き続き予想されると判断し、個別製品の原価低減を推進いたしました。対処すべき製品を個別に選定し、その利益率の改善に積極的に取り組んでまいりました。
こうした中、当社のナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業が、米中の景気回復や巣ごもり需要等を背景に産業用機器やOA機器関連を中心に売上高は回復し、個別製品の原価低減の積極推進と相まって、営業利益は大幅に改善してまいりました。それに伴い、当社は、昨年5月に発表いたしました中期経営計画を同年11月に以下のとおり修正いたしました。
中期経営計画の一部変更について (単位:千円)
以上の結果、中期経営計画の初年度(2022年3月期)は、期初予想を大きく上回る業績を達成することが出来ました。特に、利益面におきましては、10年ぶりに過去最高益を更新いたしました。
(単位:千円)
しかしながら、当初予定していた生産工程の自動化は、一部で遅れが生じており今後の課題となっております。また、「① 新規開拓に向けた営業力の強化」や「② 顧客提案力の向上と未来への商品開発」は今後さらに強化すべき課題であると認識しております。
中期経営計画の第2年度(2023年3月期)の取組
当社は、昨年5月に発表した中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の経営方針を見直して
、
8ページの(1)経営方針に取り組むとともに、以下の施策を強化してまいります。
a. 設備投資及び開発投資の積極化
当社の工場の設備は、購入後年数も経過しており老朽化が散見されていましたが、安定的な利益確保の観点から、大幅な設備の更新に充分な手当がなされていなかったところがありました。
しかし、当社の更なる発展には、設備の更新や生産工程の自動化が必須と考え、今後は、関東工場への設備投資を増大させることを計画しております。2019年3月期から2021年3月期の3年間の当社の設備投資額は毎年30百万円前後で推移しておりましたが、当事業年度(2022年3月期)は、関東工場での更新投資や自動化投資を中心に実施し、52百万円を投資いたしました。
2023年3月期以降はこれらの投資をより一層積極的に推進し、今後2年間で2億円超の投資を計画しております。人材の活性化や外部人材の採用、生産工程の自動化、老朽設備の更新により、生産性の向上と生産力の増強をしていくことを計画しております。
さらには、新商品の開発においても、下記の給与体系・人事制度の抜本的な改定により、外部人材の確保を進め、開発投資を増加させ、「未来への商品開発」を推進してまいります。
b. 人材の育成と外部人材採用による競争力の強化
当社は、近年重要な経営資源の一つである人材(社員)の待遇改善等を推進してまいりました。これまで実施した賞与支給額の増額等によるモチベーション向上は上記の原価低減等の推進に大きな原動力の一つとなりました。
しかしながら、安定的な利益確保を優先するために給与原資の制限を考えざるを得ず、待遇改善も限定的なものに留まらざるを得ない状況が続いていました。。
当社は、2018年3月期以降、営業損益が5期連続黒字化し、当事業年度(2022年3月期)においては過去最高益を更新する利益体質になったことから、本年4月より、給与体系・人事制度を抜本的に改定いたしました。
年功序列の色彩が強かった従来制度から脱却し、人材活性化(優秀な人材確保を含む)を通じて会社を飛躍させるために給与体系・人事制度の見直しを行いました。具体的には、仕事内容・役割や成果に応じて給与やポストを決め、公平に評価し分配していく制度へ変革いたしました。
その結果、待遇改善原資のうち、月額給与の給与原資は、約8%増加する見込みです。特に、将来の活躍が期待できる20代から30代の人材や女性幹部の待遇改善が大きく前に進みました。また当社における男女間の給与格差はなくなりました。
中途採用市場における開発、技術、製造関連の人材確保は厳しい状況が続いておりますが、今後は以前より優秀な中途人材の確保が容易になると予想しております。
(4)事業方針
「高精度・高機能に特化した樹脂製品の提供」
当社は高精度と高機能を軸として樹脂製品に機能を付加することにより、お客様の商品価値の向上に貢献します。
(5)当社の強み
① 樹脂製品の概念を変える
樹脂製品は「精度がでない」「物性が満足できない」今までの常識で樹脂化を断念していませんか。当社は新たな樹脂化の可能性を追求し、樹脂製品の概念を変えます。
② 樹脂製品のコーデイネーター
当社はお客様の樹脂製品の設計から生産に至るまでのプロセスをトータル的(材料、金型、成形、後加工に至るまで)にサポート提案します。お客様の商品価値向上と量産を視点にあらゆる角度から最適な樹脂製品を提案します。
③ 樹脂製品のカスタマイズ
熱硬化性・熱可塑性に関わらず、様々な種類の樹脂を取り扱う事が可能です。独自コンパウンド技術により、お客様商品にマッチしたオリジナル材料を提案・開発・製造することが可能です。
④ 樹脂製品の一貫生産
樹脂複合材料をコアとして、金型、成形、後加工に至るまで一貫した技術と生産体制を保有しており、提案力、スピード、完成度の優れた樹脂製品を提供できます。一貫体制ならではの安定した量産構築が可能であり、品質保証も一貫して行います。
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