業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、各国で行動制限が緩和されたことから、一定の経済活動回復も見られました。しかしながら、世界的なサプライチェーンの混乱や半導体不足、原材料やエネルギー価格の急騰などが本格的な回復に水を差し、そこに追い打ちをかけるようにロシア・ウクライナ問題も加わるなど、先行き不透明な状況が続いております。

 当社グループの主な事業領域である自動車業界では、新型コロナウイルス感染症の再拡大や半導体不足の影響による自動車メーカーの生産調整が続き、市場の需要に応えられないまま低い水準で推移しました。また素材や資源の高騰、世界的なサプライチェーンの混乱、北米における人件費の上昇など、コストアップの要因も重なりました。

一方、化学業界では、ナフサ価格に連動した販売価格の上昇や、経済活動の再開に伴う需要の回復等により、市場は堅調に推移しました。

 このような事業環境のもと、当社グループは、生産性向上によってコスト削減や利益確保に努めつつ、半導体不足解消後の挽回生産に追随できるフレキシブルな生産体制の構築を進めてまいりました。

 第12次中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)に基づき、樹脂加工製品事業では、自動車部品の軽量化や 環境配慮型素材の研究、電気自動車向けの部品開発などに注力しました。ケミカル事業では、海外現地メーカーとの取引強化に加えて、合成受託ビジネスの拡大を睨んだ設備投資を行うなど、将来の成長戦略を推進しました。

また、第13次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)のスタートに先立って、「サステナビリティ方針」を策定し、持続可能な社会の実現に向けて確実に活動推進する体制を整えました。

 以上の結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高128,842百万円、営業利益2,846百万円(前期比49.8%減)、経常利益2,965百万円(前期比47.0%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を特別利益に計上したこと等により、4,259百万円(前期は375百万円)となりました。

 なお、前連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために、各国政府や地域行政機関による要請や声明等を踏まえ、当社グループの多くの拠点において、一時的な操業停止または縮小がありました。このため、当該期間に発生した固定費(人件費・減価償却費等)のうち、操業の停止または縮小により臨時性があると判断された金額、および当感染症に対処するために直接要した費用を、新型コロナウイルス感染症による損失として、特別損失に計上しております。

 また、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し、当社グループの役割が代理人に該当する取引については純額で収益を認識する方法に変更しております。これにより、当連結会計年度の売上高は47,157百万円減少していることから、売上高の前期比較(%)は記載しておりません。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増 減

売上高

155,460

128,842

営業利益

5,672

2,846

△2,826

 営業利益率(%)

3.6

2,2

△1.4pt

経常利益

5,595

2,965

△2,630

親会社株主に帰属する当期純利益

375

4,259

3,883

1株当たり当期純利益(円)

22.68

258.92

236.24

1株当たり配当金(円)

50.00

94.00

44.00

為替(円/ドル)

106.1

112.4

6.3

KL当たりナフサ価格(円/KL)

(期中平均)

31,300

56,100

24,800

 

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」の冒頭部分にまとめて記述しておりますので、そちらをご覧ください。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(樹脂加工製品事業)

 樹脂加工製品事業においては、コロナ禍からの回復は進んだものの、日本および北米を中心に半導体不足等による主要顧客の減産の影響がありました。

 利益面では、自動化・省人化などによって生産性の向上に努めたものの、挽回生産を念頭においた従業員の雇用を維持するため北米を中心に固定費が増加し、前期比で減益となりました。

 このような結果、当連結会計年度の売上高は101,786百万円、営業利益は1,253百万円(前期比72.6%減)となりました。

 

(ケミカル事業)

 ケミカル事業においては、ファインケミカルや生活材料分野を中心に、化学品原材料の販売が堅調に推移しました。モビリティ、コーティング分野では、国内向けは自動車メーカーの減産の影響を受けたものの、中国やアジアではコロナ禍からの回復が進み、海外現地メーカーとの取引も拡大しました。電機・電子分野では、半導体や電子機器向けの原材料販売が伸長しました。

 利益面では、物流費の増加はあったものの増収効果と合理化によるコスト削減効果により、前期比で増益となりました。

 このような結果、当連結会計年度の売上高は27,055百万円、営業利益は1,836百万円(前期比32.1%増)となりました。

 

 また、地域別の売上高の状況は次のとおりであります。

(日本)

 日本では、半導体不足の影響により、生産台数は減少しました。一方、ケミカル事業では、ファインケミカルや電機・生活材料分野を中心に化学品原材料の取引が堅調に推移しました。その結果、売上高は35,752百万円となりました。

(北米)

 北米では、半導体不足の影響により、生産台数が減少しましたが、製品構成の改善が見られました。その結果、売上高は49,454百万円となりました。

(アジア)

 アジアでは、タイは生産台数が増加した一方、中国において前期はコロナ禍からの挽回生産で売上が伸びましたが、今期は半導体不足の影響を受けました。その結果、売上高は43,032百万円となりました。

(その他)

 その他の地域の売上高は602百万円となりました。

 

②財政状態

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2021年3月31日)

当連結会計年度

(2022年3月31日)

増 減

流動資産

67,360

77,058

9,697

固定資産

65,527

60,066

△5,460

資産合計

132,887

137,125

4,237

流動負債

51,049

55,961

4,912

固定負債

11,701

9,095

△2,606

負債合計

62,750

65,057

2,306

純資産合計

70,136

72,067

1,930

自己資本比率(%)

51.8

51.6

△0.2pt

自己資本額

68,813

70,690

1,876

負債純資産合計

132,887

137,125

4,237

 

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は77,058百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,697百万円増加しました。これは主に、受取手形及び売掛金が2,348百万円、世界的な物流網の混乱および顧客の生産変動へ対応、新車量産準備により、原材料及び貯蔵品が1,880百万円、商品及び製品が1,658百万円増加、仕掛品が1,558百万円増加したこと等によるものであります。

 また、固定資産は60,066百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,460百万円減少しました。これは主に、政策保有株式の売却により投資有価証券が6,386百万円減少したこと等によるものであります。

 これらの結果、資産合計は137,125百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,237百万円増加しました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は55,961百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,912百万円増加しました。これは主に短期借入金が3,938百万円増加したこと等によるものであります。

 また、固定負債は9,095百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,606百万円減少しました。これは主に繰延税金負債が1,315百万円、長期借入金が1,127百万円減少したこと等によるものであります。

 これらの結果、負債合計は65,057百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,306百万円増加しました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は72,067百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,930百万円増加しました。これは主に、その他有価証券評価差額金が3,654百万円減少したこと、および株主還元と資本効率の向上を図るため、自己株式を1,350百万円取得したこと等によるものです。その一方で、為替換算調整勘定が3,674百万円、利益剰余金が2,983百万円増加したこと等によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増 減

営業活動によるキャッシュ・フロー

9,693

3,434

△6,258

投資活動によるキャッシュ・フロー

△5,260

△1,140

4,120

フリー・キャッシュ・フロー

4,432

2,294

△2,138

財務活動によるキャッシュ・フロー

1,633

△2,824

△4,457

現金及び現金同等物の増減額(△減少)

6,279

425

△5,853

現金及び現金同等物の期末残高

17,933

18,358

425

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より425百万円増加し、18,358百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは3,434百万円となり、前連結会計年度より6,258百万円減少しました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加があったものの、投資有価証券売却益の計上や、前連結会計年度に計上した減損損失の影響等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは△1,140百万円となり、前連結会計年度より4,120百万円増加しました。

これは主に、投資有価証券の売却による収入が増加したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは△2,824百万円(前連結会計年度は1,633百万円)となりました。

これは主に、短期借入金の返済や、自己株式の取得による支出が増加したことによるものです。

 

④生産、受注および販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

樹脂加工製品事業(百万円)

111,795

111.0

ケミカル事業(百万円)

11,737

121.1

合計(百万円)

123,533

111.8

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

樹脂加工製品事業

97,426

103.1

3,844

79.9

ケミカル事業

74,256

118.7

2,303

102.1

合計

171,683

109.3

6,148

87.0

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております

2.当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し、当社グループの役割が代理人に該当する取引については純額で収益を認識しておりますが、受注高及び受注残高については総額の数値を記載しております。

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

樹脂加工製品事業(百万円)

101,786

ケミカル事業(百万円)

27,055

合計(百万円)

128,842

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し、当社グループの役割が代理人に該当する取引については純額で収益を認識しております。これにより、当連結会計年度の販売実績は純額の数値を記載しております。そのため、対前年同期比は記載しておりません。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Honda Development & Manufacturing of America, LLC

37,386

29.0

Honda Manufacturing of Alabama LLC

16,697

10.7

本田技研工業株式会社

16,240

10.4

19,625

15.2

Honda of America Mfg., Inc.

13,302

8.6

4.Honda Development & Manufacturing of America, LLCは前期記載しておりました

Honda Manufacturing of Alabama LLC、Honda of America Mfg., Inc.および他米国法人6社を統合し、設立された会社です。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析、検討内容

 経営成績等の状況に関する認識および分析、検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 経営成績に影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、コーポレート・ガバナンス体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合った商品・製品を提供することにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減した上で、適切な対応を図ってまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

 「第2部 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(資金需要)

 当社グループの資金需要は、大きく分けて運転資金と設備資金の二つです。運転資金の主なものは、製造子会社で製品を製造するための原材料仕入と製造費、商社として機能するための商品の仕入、共通するものとして販売費及び一般管理費等があります。設備資金の主なものは、増産や自動化・効率化、生産品目のモデルチェンジ対応のための建物や機械装置、金型等の有形固定資産取得に加え、情報処理のための無形固定資産取得等があります。

 

(財務政策)

 当社グループは、事業活動のために健全なバランスシートと適正な流動資産の保持を財務方針としております。運転資金、設備資金については,まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を充当し、不足分について有利子負債での調達を実施しております。長期借入については、事業計画に基づく資金需要、金利動向、既存借入金の返済時期等を考慮の上、調達を行っており事業継続に必要な資金を十分に賄えていると考えております。なお、投資有価証券の売却により調達した資金は、設備資金に充当いたします。

 また、不測の事態に備え、取引金融機関とコミットメントライン契約並びに、当座貸越契約を締結し、代替流動性を確保しています。

 

③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、主な経営指標として、企業の事業活動の成果を示す営業利益に注視し、収益性判断の指標に営業利益率を掲げているほか、資本および資産の効率性判断の指標にROE(自己資本利益率)、財務の安定性判断の指標に自己資本比率を掲げております。また、当社グループは2020年3月期から2022年3月期までの中期経営計画を策定しており、最終年度である2022年3月期の目標値を営業利益率5.0%以上、ROE(自己資本利益率)9.0%以上に設定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症および半導体不足による主要顧客の減産影響等により両指標ともに未達となりました。

 当連結会計年度を含む、直近2会計年度の各指標の推移は、次のとおりであります。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。

 

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

営業利益率

3.6%

2.2%

ROE(自己資本利益率)

0.6%

6.1%

自己資本比率

51.8%

51.6%

株主総還元性向

220.5%

62.1%

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

 

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