課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 森六グループは、未来を先取りする創造力と優れた技術で高い価値を共創し、時を越えて、グローバル社会に貢献します。

・行 動 指 針

 

(法令遵守)

国内外の法令を遵守し、公平で公正な企業活動を通じ、信頼される企業グループをめざします。

(人間尊重)

社員一人ひとりが自主性、創造性を発揮し、一緒に働く仲間の人格や個性を尊重します。

(顧客満足)

お客様に満足いただける、価値ある情報、質の高いサービス、優れた製品を提供します。

(社会貢献)

地球環境に配慮し、地域に根ざした企業活動を通し、「良き企業市民」として社会に貢献します。

・大切にする価値観

(進取の精神)

時代を先取りし、継続的に企業価値向上に努めます。

(同心協力)

チームワークを尊重し、理想を追求する企業グループをめざします。

 

(2)経営戦略等

 当事業年度は、コロナ禍から回復に向かう世界の情勢が未だ不透明な中、生産現場や営業活動においてオミクロン株による感染再拡大に伴う制限があり、当社グループの事業運営にも一定の影響を受けました。当社グループはそうした中でも国内外の社員とご家族、関係者の健康や安全確保を最優先としながら事業活動を継続し、製品とサービスの安定供給に努めてまいりました。

 世界各国において脱炭素モビリティへの転換が打ち出され、自動車業界では、カーボンニュートラルに貢献する生産技術革新、再生可能資源への原材料シフト、再生可能エネルギーの活用拡大などが加速しております。大手の完成車メーカーが大胆な電動化シフトを相次いで発表し、事業拡大と環境対策の両立を目指す事業戦略を進めている一方、限られたリソースでの全方位的な開発には限界があり、自動車部品の業界では、再編や統合を伴う水平分業化が進むと見られます。このような状況の中、当社グループは第12次中期経営計画『MI400(Moriroku Innovation 400)(2020年3月期~2022年3月期)』を掲げ、パブリックカンパニーとして進化するために、ステークホルダーとの対話を重視し、企業価値の更なる向上に取り組んでまいりました。

 2023年3月期よりスタートする、第13次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)では、森六グループ「サステナビリティ方針」を中心に据え、特に環境と人材への取り組みに重点を置いております。

 次世代自動車の安全性、快適性、環境性能の向上に繋がる技術、製品、材料開発を推進するとともに、カーボンニュートラルの達成に貢献するGHG削減、再生可能エネルギー導入の拡大などサステナビリティ活動を通じて経営のレジリエンス向上に取り組んでまいります。また、成長戦略を支える多様な人材の採用と育成を強化すると共に、ダイバーシティ推進活動によって、その人材が生き生きと活躍できる企業文化を醸成するなど、人材に関する多角的な取り組みにより、「働きがいのある会社」を目指してまいります。当中期経営計画を通じてサステナビリティ推進活動と事業成長の融合を進めてまいります。

 

 第13次中期経営計画の概要につきましては、以下のとおりであります。

 

・スローガン

 CREATE THE NEW VALUE

 STEP1 強みのある事業の強化・成長分野の絞り込み

 

・基本方針

 独自技術を強みとした価値創造で持続可能な未来社会に貢献するグローバル企業集団へ

 

・基本戦略

 Ⅰ.安定した財務基盤の確立・収益力の強化

 Ⅱ.研究開発の強化による価値創造と、2030年に向けた種まき

 Ⅲ.サステナビリティ活動の推進による経営のレジリエンス向上

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは主な経営指標として、企業の事業活動の成果を示す営業利益に注視し、収益性判断の指標に営業利益率を掲げているほか、資本および資産の効率性判断の指標にROE(自己資本利益率)、財務の安定性判断の指標に自己資本比率を掲げております。

 また、プライム上場企業としてのマネジメント機能向上に注力し、グループ連携によってサステナビリティ経営を深化させるため、サステナビリティに関する指標を導入しており、環境に配慮した事業活動の視点においてGHG排出量の削減、再生可能エネルギーの導入比率、多様な人材の確保と育成の視点において社員エンゲージメントの向上を掲げております。

 第13次中期経営計画におきましては、最終年度である2025年3月期の目標値を営業利益率7.7%以上、ROE(自己資本利益率)9.0%以上、GHG排出量を2019年度比30%削減、全消費電力に占める再生可能エネルギー由来の電力量の割合を35%以上、社員エンゲージメントは2021年度実施の社員意識調査での肯定回答率より10ポイント上昇に設定しております。

 

(4)経営環境

 当事業年度の後半からコロナ禍からの改善の兆しは見られていましたが、オミクロン株の感染拡大による行動制限、物流網の混乱、中国経済の減速リスク等不透明な状況が継続しております。

 自動車業界においては、半導体供給不足の長期化、中国ロックダウン影響による原料、部品調達難から各社生産計画への影響が心配されますが、挽回生産による生産台数の増加が予想されます。また、脱炭素社会に向けた環境規制の強化により電気自動車需要の拡大が中国、欧州を主体に進んでおり、自動運転車を加えた次世代自動車に対する技術革新は業種の垣根、地域を越えてさらに広がりを見せております。モビリティ領域での新たな部品開発ニーズが期待されると同時に部品調達におけるサプライチェーンの多様化が進んでおります。

 資源インフレが続く化学業界では、環境課題の解決や、5G・DXといった技術革新の鍵となる画期的な新素材への期待が高まっております。

 当社グループを取り巻く事業環境につきましては、自動車業界、化学業界における需要増が予想され、同事業領域における生産および原油高影響に連鎖した市況の強含みが見込まれます。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当面は、新型コロナウイルスの感染状況、半導体不足の影響による事業環境変化や得意先の生産変動への迅速な対処が出来るよう、合理的な稼働体制の確保を実施します。更に次世代自動車の安全性、快適性、環境性能の向上に繋がる技術、製品、材料開発をグループ横断で追求するとともに、グローバル市場で持続的な成長に向けた新たな市場獲得を行い、強固な経営基盤を構築してまいります。

 当社グループは、持続的に成長する企業集団を目指し、第13次中期経営計画において全従業員の総力を結集して、以下の課題に重点的に取り組んでまいります。

 

・フレキシブル生産体制の進化

主要顧客の挽回生産に対応し、フレキシブルな生産体制を構築してまいります。

・高効率生産の推進

グローバル各拠点において生産効率向上のための製造プロセスの最適管理を推進してまいります。

・技術領域の拡張、独自技術の保有

自社研究所を活用し現有技術領域をその周辺から拡張すると共に、独自技術を磨き上げ、知財戦略と連動した付加価値創造を実施してまいります。

・サプライチェーンを通じた強みの創出

サプライチェーンにおける川上原料から川下製品まで弊社グループが一気通貫に介在するビジネスモデルを構築し、強みを創出してまいります。

・企業価値の向上

オープンイノベーションによる取り組みや競争優位性の強化により新規事業を創出し、成長軌道に乗せて時価総額向上を目指してまいります。

 

・ガバナンス機能の強化

コーポレート・ガバナンスの高度化、ステークホルダーとの意思疎通、リスクマネジメント、コンプライアンス体制の強化を推進してまいります。

・多様な人材の確保と育成

成長戦略に連動した多様な価値観を持った人材を確保、育成しエンゲージメント向上を目指してまいります。

 

(6)サステナビリティ経営への取り組み

 当社グループは「森六グループ サステナビリティ方針」に基づき、持続可能な社会を実現するために、すべてのステークホルダーに配慮した事業活動に取り組み、社会課題解決に貢献することで、皆さまからますます期待され、求められる「400年企業」を目指しています。今後さらに「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の観点から情報開示の拡充に努め、企業価値向上に取り組んでまいります。

 当社グループの気候変動問題を含むサステナビリティ最重要課題は、当社の社長を委員長、当社のCSR担当役員を副委員長とする、サステナビリティ委員会(年4回開催)にて議論されるとともに、課題解決に向けた取り組み状況やKPIのモニタリングを行っています。本委員会で決定された内容は、年2回取締役会へ報告し、社外取締役の監督・アドバイスも踏まえて、グループ全体計画へ反映しています。

 要請の高まる気候変動問題については、サステナビリティ最重要課題(マテリアリティ)の1つに特定し、TCFD要請に沿った対応を行っています。現在、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を実施のうえ、リスクと収益機会の特定を行っています。今後、継続的に企業の強靭性を開示してまいります。

 

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